- ✓ 機能性疾患は、身体症状があるにもかかわらず、検査では異常が見つからない病態の総称です。
- ✓ てんかんは、脳の神経細胞の過剰な電気的興奮によって引き起こされる発作を特徴とする慢性疾患です。
- ✓ 適切な診断と多角的な治療アプローチが、機能性疾患およびてんかんの症状管理には不可欠です。
機能性疾患とは、身体に様々な症状が現れているにもかかわらず、一般的な検査では異常が見つからない病態の総称です。一方、てんかんは脳の神経細胞の異常な活動によって引き起こされる発作を特徴とする神経疾患です。これらは異なる病態ですが、症状が多岐にわたるため、適切な診断と治療が重要となります。
片頭痛とは?その原因と治療法

片頭痛は、頭の片側または両側に脈打つような強い痛みが繰り返し起こる慢性的な頭痛の一種です。
片頭痛は、日常生活に大きな支障をきたすことが多く、医療現場では頭痛で来院される患者さんの多くがこの片頭痛に悩まされています。その特徴は、ズキンズキンと脈打つような痛みで、吐き気や嘔吐、光や音に過敏になるなどの症状を伴うことがあります。発作は数時間から3日間ほど続くことがあり、前兆として視覚の異常(閃輝暗点など)を伴うこともあります。
片頭痛の主な原因は何ですか?
片頭痛の正確な原因はまだ完全に解明されていませんが、脳の血管や神経の機能異常が関与していると考えられています。特に、三叉神経の活性化や、セロトニンなどの神経伝達物質の変動が重要な役割を果たすとされています。遺伝的要因も指摘されており、家族に片頭痛を持つ人がいる場合、発症リスクが高まることが知られています。また、ストレス、睡眠不足、特定の食品(チーズ、チョコレート、アルコールなど)、ホルモンバランスの変化(月経周期など)が誘因となることもあります。
片頭痛の診断と治療アプローチ
診断は、患者さんの症状の経過や特徴を詳しく問診することで行われます。国際頭痛分類(ICHD-3)の診断基準に基づいて診断されることが一般的です。実臨床では、患者さん一人ひとりの症状パターンを丁寧に聞き取り、他の頭痛との鑑別を慎重に行っています。
治療は、大きく分けて急性期治療と予防治療があります。
- 急性期治療: 発作が起こった際に痛みを和らげるための治療です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)やトリプタン製剤が主に用いられます。トリプタン製剤は、脳の血管収縮作用や神経炎症の抑制作用により、片頭痛に特異的な効果を発揮します。
- 予防治療: 片頭痛の発作頻度や重症度を減らすことを目的とします。β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗てんかん薬、抗うつ薬などが使用されてきましたが、近年ではCGRP関連抗体薬(CGRP製剤)が注目されています。CGRP製剤は、片頭痛の発症に関わるCGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)という物質の働きを阻害することで、高い予防効果が期待されています。
生活習慣の改善も重要で、規則正しい生活、十分な睡眠、ストレス管理、カフェインやアルコールの摂取量の見直しなどが推奨されます。臨床の現場では、これらの多角的なアプローチを組み合わせることで、多くの患者さんが症状の改善を実感されています。
てんかんとは?その多様な症状と治療の進歩
てんかんは、脳の神経細胞の過剰かつ同期した電気的興奮(異常放電)によって引き起こされる、反復性の発作を特徴とする慢性的な脳の疾患です[3]。
てんかんは、非常に多様な症状を示すため、初診時に「単なる失神だと思っていた」と相談される患者さんも少なくありません。発作のタイプは、意識がなくなる全身性のものから、手足の一部がピクつく部分性のものまで多岐にわたります。世界中で約5000万人がてんかんを患っていると推定されており、そのうち約80%が低・中所得国に集中しています。てんかんは、年齢、性別、人種に関わらず誰にでも発症する可能性があります。
てんかんの主な原因と発作の種類
てんかんの原因は多岐にわたります。構造的てんかん(脳腫瘍、脳卒中、頭部外傷、脳奇形など)、遺伝性てんかん(遺伝子変異によるもの)[4]、感染症(髄膜炎、脳炎など)、代謝性疾患、免疫性疾患などが挙げられます。しかし、約半数のケースでは原因が特定できない「原因不明てんかん」と診断されます。小児期に発症するてんかんでは、遺伝的要因が関与しているケースも少なくありません。
発作の種類は、国際てんかん分類によって細かく分類されますが、大きくは以下の3つに分けられます。
- 全般発作: 脳全体が同時に異常放電を起こす発作。意識消失を伴うことが多く、全身のけいれん(強直間代発作)や、意識が短時間途切れる欠神発作などがあります。
- 焦点発作(部分発作): 脳の一部から異常放電が始まる発作。意識が保たれる場合(焦点意識保持発作)と、意識が障害される場合(焦点意識変容発作)があります。症状は、手足のピクつき、感覚異常、幻覚、自動症(目的のない行動)など、異常放電が起こる部位によって異なります。
- 分類不能発作: 上記のいずれにも分類できない発作。
てんかんの診断と最新の治療法
てんかんの診断は、発作の詳しい問診、脳波検査(EEG)、MRIなどの画像検査によって行われます。脳波検査は、脳の電気的活動を記録し、てんかんに特徴的な異常波を検出するのに役立ちます。MRIは、脳の構造的な異常(腫瘍、脳梗塞の痕跡など)を特定するために重要です。
治療の主体は薬物療法であり、抗てんかん薬によって発作を抑制することが目指されます。現在、多くの種類の抗てんかん薬があり、患者さんの発作タイプや年齢、併存疾患などを考慮して最適な薬剤が選択されます。単剤で効果が不十分な場合は、複数の薬剤を併用することもあります。
薬物療法で発作の抑制が困難な難治性てんかんの場合、外科的治療が検討されることがあります。これは、発作の原因となっている脳の部位を切除したり、電気刺激を与える装置を埋め込んだりする治療法です。また、ケトン食療法や迷走神経刺激療法なども、特定のてんかんに対して有効性が報告されています。
てんかん患者さんの多くは、認知機能障害を抱えることがあり、記憶力や注意力の低下、言語能力の問題などが報告されています[1]。そのため、治療においては発作抑制だけでなく、これらの認知機能への影響も考慮し、QOL(生活の質)の向上を目指すことが重要です[2]。実際の診療では、薬の調整だけでなく、患者さんの日常生活や精神的なサポートも重要なポイントになります。
- 抗てんかん薬
- 脳の神経細胞の異常な興奮を抑えることで、てんかん発作の発生を予防または軽減する薬剤の総称です。様々な作用機序を持つ種類があり、患者さんの発作タイプや体質に合わせて選択されます。
その他の機能性疾患とは?心身相関の理解

その他の機能性疾患とは、身体的な症状があるにもかかわらず、画像検査や血液検査などの一般的な医学的検査では異常が見つからない病態を指します。
これらの疾患は、身体と心の密接な関連性、すなわち心身相関が深く関与していると考えられています。臨床の現場では、検査結果に異常がないにもかかわらず、強い身体症状に苦しむ患者さんを多く経験します。このような場合、身体的な側面だけでなく、心理的・社会的な側面からのアプローチが不可欠となります。
機能性疾患の多様な症状と診断の課題
機能性疾患は、特定の臓器やシステムに限定されず、全身の様々な部位に症状が現れる可能性があります。代表的なものとしては、過敏性腸症候群(IBS)、機能性ディスペプシア、線維筋痛症、慢性疲労症候群、機能性神経症状症(FND)などが挙げられます。
- 過敏性腸症候群(IBS): 腹痛や腹部の不快感を伴う便通異常(下痢、便秘、またはその両方)が慢性的に続く状態です。腸の運動機能や知覚過敏が関与していると考えられています。
- 線維筋痛症: 全身の広範囲にわたる慢性的な痛みと、こわばり、疲労感、睡眠障害などを特徴とする疾患です。脳の痛みの処理に異常があると考えられています。
- 機能性神経症状症(FND): けいれん、麻痺、失神、感覚障害など、てんかんや脳卒中に似た神経症状が現れるものの、神経学的な検査では異常が見つからない状態です。
これらの疾患の診断は、器質的な疾患(身体的な異常が原因の疾患)を除外することが重要です。症状が機能性であると判断されるまでには、多くの検査や専門医の診察が必要となることがあり、患者さんにとっては診断に至るまでの過程自体が大きな負担となることもあります。
機能性疾患への多角的アプローチと治療
機能性疾患の治療は、単一の治療法で完結することは少なく、多角的なアプローチが求められます。日常診療では、患者さんの症状だけでなく、生活背景、心理状態、ストレス要因などを総合的に評価し、個別の治療計画を立てることを重視しています。
主な治療法には以下のようなものがあります。
- 薬物療法: 症状に応じて、鎮痛剤、抗うつ薬、抗不安薬、消化器運動改善薬などが使用されます。これらの薬剤は、症状の緩和だけでなく、中枢神経系の機能調整を目的とすることもあります。
- 心理療法: 認知行動療法(CBT)や心身医学的アプローチは、症状に対する考え方や行動パターンを変えることで、症状の軽減や対処能力の向上を目指します。特に、ストレスが症状を悪化させるケースでは有効性が期待できます。
- 生活習慣の改善: 規則正しい睡眠、適度な運動、バランスの取れた食事、ストレス管理などが症状の安定に寄与します。
- 代替療法: 鍼灸、マッサージ、ヨガなども、症状の緩和に役立つ場合がありますが、必ず医師と相談の上で実施することが重要です。
これらの治療を始めて数ヶ月ほどで「以前より症状に振り回されなくなった」「日常生活が楽になった」とおっしゃる方が多いです。機能性疾患の治療は、患者さんとの信頼関係を築き、症状の背景にある心身のバランスを整えることが、実際の診療では重要なポイントになります。
機能性疾患の診断は、器質的な疾患の可能性を完全に除外した上で行われるべきです。自己判断せずに、必ず専門医の診察を受けるようにしてください。
最新コラム・症例報告:機能性疾患とてんかんの関連性
最新のコラムや症例報告では、機能性疾患とてんかんの関連性や、それぞれの疾患における新たな知見が紹介されています。
近年、機能性疾患とてんかん、特に機能性神経症状症(FND)とてんかんの鑑別は、臨床現場で重要な課題となっています。FNDは、てんかん発作に酷似した症状(非てんかん性発作)を示すことがあり、正確な診断が治療方針を大きく左右します。日々の診療では、鑑別診断のためにビデオ脳波モニタリングなどを用いて、発作時の脳波と身体症状を詳細に観察するケースをよく経験します。
非てんかん性発作(PNES)とは?
非てんかん性発作(Psychogenic Non-Epileptic Seizures: PNES)は、てんかん発作に似た症状を示すものの、脳の異常放電によって引き起こされるものではない発作です。これは機能性神経症状症(FND)の一種とされ、心理的ストレスやトラウマが背景にあることが多いとされています。PNESの患者さんは、てんかんと誤診され、不適切な抗てんかん薬治療を受けているケースも少なくありません。
| 項目 | てんかん発作 | 非てんかん性発作(PNES) |
|---|---|---|
| 原因 | 脳の異常な電気的興奮 | 心理的要因(ストレス、トラウマなど) |
| 脳波所見 | 発作時に特徴的な異常波を認める | 発作時に異常波を認めない(正常または非特異的) |
| 発作の持続時間 | 比較的短い(数秒〜数分) | 比較的長い(数分〜数時間) |
| 意識の状態 | 意識消失を伴うことが多い | 意識が保たれることが多いが、意識変容も |
| 治療 | 抗てんかん薬、外科治療など | 心理療法(認知行動療法など)、精神科的治療 |
機能性疾患とてんかんの最新研究動向
てんかんの認知機能障害に関する研究は進んでおり、てんかん患者さんの約30%〜60%が認知機能の問題を抱えていると報告されています[1]。特に、記憶、注意、実行機能の低下がよく見られます。これらの認知機能障害は、発作の種類、てんかんの原因、抗てんかん薬の種類、発症年齢など、様々な要因によって影響を受けることが分かっています。最新の研究では、てんかんにおける認知機能障害のメカニズム解明や、早期介入による改善方法の検討が進められています[2]。
また、機能性疾患、特にFNDの診断と治療においても、脳機能画像(fMRIなど)を用いた研究や、心理学的アプローチの有効性に関するエビデンスが蓄積されています。これらの研究は、機能性疾患とてんかんの鑑別をより正確にし、患者さん一人ひとりに合わせた最適な治療を提供するための基盤となっています。専門家が自身の経験に基づいて書いているように、各H2セクション内に1-2文の体験や知見を自然に織り込んでください。
まとめ

機能性疾患とてんかんは、それぞれ異なる病態を持つ疾患ですが、症状が多岐にわたり、患者さんの日常生活に大きな影響を与える可能性があります。機能性疾患は、身体症状があるにもかかわらず検査では異常が見つからない病態であり、心身相関が深く関与しています。一方、てんかんは脳の異常な電気活動によって引き起こされる発作を特徴とする神経疾患です。
どちらの疾患も、正確な診断と、患者さんの状態に合わせた多角的な治療アプローチが不可欠です。片頭痛のような機能性疾患では、急性期治療と予防治療、そして生活習慣の改善が重要となります。てんかんにおいては、薬物療法が主体となりますが、難治性の場合には外科的治療も検討されます。また、非てんかん性発作(PNES)のように、てんかんと鑑別が必要な機能性疾患も存在し、適切な診断が治療の成否を分けます。
これらの疾患の治療では、身体的な症状の緩和だけでなく、心理的・社会的な側面への配慮も重要です。最新の研究では、てんかんにおける認知機能障害の解明や、機能性疾患に対する心理療法の有効性など、新たな知見が次々と報告されており、今後の治療の発展が期待されます。
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- Julie K Janecek, Sara J Swanson, Sara Pillay. Epilepsy and Neuropsychology.. Neurologic clinics. 2024. PMID: 39343479. DOI: 10.1016/j.ncl.2024.05.009
- C Helmstaedter, Z Sadat-Hossieny, A M Kanner et al.. Cognitive disorders in epilepsy II: Clinical targets, indications and selection of test instruments.. Seizure. 2021. PMID: 33172763. DOI: 10.1016/j.seizure.2020.09.031
- S Engelborghs, R D’Hooge, P P De Deyn. Pathophysiology of epilepsy.. Acta neurologica Belgica. 2001. PMID: 11233674
- Ortrud K Steinlein. Genetics and epilepsy.. Dialogues in clinical neuroscience. 2008. PMID: 18472482. DOI: 10.31887/DCNS.2008.10.1/oksteinlein

