【全身 かゆみ 原因 薬】全身のかゆみ 原因と薬|薬剤師が対処法を解説

全身 かゆみ 原因 薬
最終更新日: 2026-04-09
📋 この記事のポイント
  • ✓ 全身のかゆみは、皮膚の乾燥やアレルギーだけでなく、内臓疾患や神経障害など多岐にわたる原因が考えられます。
  • ✓ 市販薬で一時的な対処は可能ですが、原因に応じた適切な治療のためには医療機関での正確な診断が重要です。
  • ✓ かゆみ以外の症状(発熱、倦怠感、黄疸など)を伴う場合は、自己判断せずに速やかに専門医を受診しましょう。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

全身のかゆみは、日常生活の質を著しく低下させる不快な症状です。その原因は多岐にわたり、単なる皮膚の問題だけでなく、全身性の疾患が隠れていることもあります[1]。この記事では、全身のかゆみの主な原因、適切な対処法、そして市販薬の選び方について、薬剤師の視点から詳しく解説します。

皮膚の乾燥・アレルギーによるかゆみとは?

乾燥肌で全身に赤みと湿疹ができ、かゆみを訴える女性の皮膚状態
乾燥やアレルギーによる皮膚のかゆみ

皮膚の乾燥やアレルギーは、全身のかゆみの最も一般的な原因の一つです。これらは皮膚のバリア機能の低下や免疫反応によって引き起こされます。

皮膚の乾燥(乾皮症)は、特に空気が乾燥する季節や高齢者に多く見られます。皮膚の表面にある角質層の水分が不足することで、バリア機能が低下し、外部からの刺激に敏感になるためかゆみを感じやすくなります[2]。調剤の現場では、冬場に「体がカサカサしてかゆい」と保湿剤を希望される患者さんが多いです。特に、入浴後に保湿を怠ると、かゆみが悪化しやすい傾向にあります。

乾燥肌が全身のかゆみを引き起こすメカニズム

健康な皮膚は、角質層が細胞間脂質や天然保湿因子(NMF)によって潤いを保ち、外部からの刺激やアレルゲンの侵入を防ぐバリア機能を果たしています。しかし、乾燥が進むとこのバリア機能が損なわれ、わずかな刺激でも神経が興奮しやすくなり、かゆみが発生します。さらに、乾燥した皮膚はひび割れや炎症を起こしやすく、かゆみの悪循環に陥ることがあります。

  • 水分保持能力の低下: 加齢や環境要因により、皮膚の天然保湿因子や細胞間脂質が減少します。
  • バリア機能の損傷: 物理的な刺激や化学物質、アレルゲンが皮膚内部に侵入しやすくなります。
  • 神経の過敏性: 刺激に対する神経の反応が過敏になり、かゆみを感じやすくなります。

アレルギー性皮膚炎による全身のかゆみとは?

アレルギー性皮膚炎は、特定の物質(アレルゲン)に体が過剰に反応することで生じる炎症です。アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、じんましんなどがこれに該当します。これらの疾患では、免疫システムがアレルゲンを異物と認識し、ヒスタミンなどの化学伝達物質を放出し、強いかゆみや発疹を引き起こします[2]

アトピー性皮膚炎
皮膚のバリア機能不全とアレルギー体質が複合的に関与し、慢性的なかゆみと湿疹を繰り返す疾患です。乳幼児期に発症し、成長とともに改善することも多いですが、成人まで続く場合もあります。
接触皮膚炎(かぶれ)
特定の物質(金属、植物、化粧品、洗剤など)が皮膚に触れることでアレルギー反応や刺激反応が起こり、かゆみや赤み、水ぶくれが生じます。
じんましん
皮膚の一部が突然盛り上がり、強いかゆみを伴う発疹(膨疹)が数時間以内に消えることを繰り返す状態です。食物、薬剤、物理的刺激など様々な原因があります。

アレルギー性皮膚炎の診断には、問診や皮膚テスト(パッチテスト、血液検査など)が行われます。治療は、原因アレルゲンの特定と回避、ステロイド外用薬や抗ヒスタミン薬の内服が中心となります。薬局での経験上、アトピー性皮膚炎の患者さんは、保湿剤の選択や正しい塗り方について特に注意を払う必要があると感じています。適切なスキンケアが、かゆみの軽減に大きく貢献します。

内臓の病気・その他の原因によるかゆみとは?

全身のかゆみは、皮膚疾患だけでなく、内臓の病気や神経系の異常、薬剤の副作用など、様々な全身性の原因によって引き起こされることがあります[1]。これらの「皮膚に病変がないかゆみ」は、特に注意が必要です。

服薬指導の際に「最近、全身がかゆくて眠れない」と質問される患者さんがいらっしゃいますが、その背景に肝臓や腎臓の機能低下が隠れているケースも少なくありません。特に高齢の患者さんや、複数の薬剤を服用されている方には、かゆみ以外の症状がないか、詳しくお話を伺うようにしています。

内臓疾患が引き起こす全身のかゆみ

特定の全身疾患は、皮膚に明らかな発疹がないにも関わらず、広範囲にわたるかゆみを引き起こすことがあります。これを「全身性掻痒症(ぜんしんせいそうようしょう)」と呼びます[2]

  • 肝臓病: 慢性肝炎、肝硬変、胆汁うっ滞などでは、胆汁酸やビリルビンなどの物質が体内に蓄積し、かゆみを引き起こすことがあります。特に、手のひらや足の裏に強いかゆみが出ることがあります。
  • 腎臓病: 慢性腎不全の患者さんは、尿毒症性掻痒と呼ばれる強いかゆみに悩まされることが少なくありません。老廃物が体内に蓄積し、皮膚の神経を刺激すると考えられています。
  • 糖尿病: 血糖値が高い状態が続くと、皮膚の乾燥やかゆみ、感染症のリスクが高まります。神経障害によるかゆみも報告されています。
  • 甲状腺疾患: 甲状腺機能亢進症では皮膚の乾燥や発汗、かゆみが見られることがあります。
  • 血液疾患: 鉄欠乏性貧血や多血症、悪性リンパ腫などでもかゆみが症状として現れることがあります。特にホジキンリンパ腫では、入浴後に悪化する全身性のかゆみが特徴的な場合があります。

これらの疾患によるかゆみは、基礎疾患の治療が最も重要です。かゆみ自体に対する対症療法としては、抗ヒスタミン薬や保湿剤が用いられますが、根本的な解決には至りません。実際の処方パターンとして、腎性掻痒症の患者さんには、既存の抗ヒスタミン薬では効果が不十分な場合に、ナルフラフィン塩酸塩(商品名:レミッチ)のようなオピオイド受容体作用薬が処方されることがあります。

薬剤の副作用によるかゆみ

特定の薬剤は、副作用としてかゆみを引き起こすことがあります。これはアレルギー反応(薬疹)の場合と、非アレルギー性の機序による場合があります。薬局での経験上、新規に薬を服用し始めた患者さんから「飲み始めてから体がかゆくなった」という相談を受けることがあり、その際は薬剤師として、服用開始時期と症状出現時期の関連性、他の症状の有無などを確認し、必要に応じて医師への相談を促します。

  • 抗生物質: 特にペニシリン系やセフェム系で薬疹が報告されています。
  • 降圧剤: ACE阻害薬などで空咳とともに皮膚のかゆみや血管性浮腫が報告されることがあります。
  • オピオイド系鎮痛薬: モルヒネやコデインなどは、ヒスタミン遊離作用によりかゆみを引き起こすことがあります。
  • 抗がん剤: 特定の分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬では、皮膚症状としてかゆみや発疹が頻繁に現れます。

薬剤によるかゆみが疑われる場合は、自己判断で服用を中止せず、必ず医師や薬剤師に相談してください。原因薬剤の特定と、必要に応じた代替薬への変更が検討されます。

神経障害によるかゆみ

神経障害性掻痒は、神経系の異常によって引き起こされるかゆみで、皮膚に異常が見られないのが特徴です[3]。帯状疱疹後神経痛、脳梗塞、多発性硬化症、糖尿病性神経障害などが原因となることがあります。この種のかゆみは、一般的な抗ヒスタミン薬が効きにくいことが多く、神経障害性疼痛に用いられる薬剤(ガバペンチン、プレガバリンなど)が効果を示す場合があります。

⚠️ 注意点

皮膚に発疹がない全身のかゆみは、重大な内臓疾患のサインである可能性があります。自己判断で市販薬を使い続けるのではなく、早めに医療機関を受診し、原因を特定することが非常に重要です。

かゆみの応急処置・市販薬・受診先とは?

かゆみに効果的な市販薬を手に取り、皮膚に塗布している様子
かゆみ止め薬による応急処置

全身のかゆみに対する応急処置は、症状の悪化を防ぎ、一時的に不快感を和らげるために重要です。また、市販薬は軽度のかゆみに有効ですが、症状が続く場合や原因が不明な場合は医療機関の受診が不可欠です。

薬局での経験上、かゆみで来局される患者さんには、まず「いつから、どんな時に、どこがかゆいか」を詳しく伺い、市販薬で対応可能か、それとも受診を勧めるべきかを判断しています。特に、全身性のかゆみで発疹がない場合は、慎重な対応が必要です。

かゆみを和らげる応急処置

  • 冷やす: かゆい部分を冷たいタオルや保冷剤で冷やすと、神経の興奮が鎮まり、一時的にかゆみが和らぎます。
  • 保湿する: 乾燥が原因のかゆみには、保湿剤を塗ることが有効です。入浴後など、皮膚がまだ潤っているうちに塗布すると効果的です。
  • 刺激を避ける: 締め付ける衣類、化学繊維、熱いお風呂、香料の強い石鹸などは、かゆみを悪化させる可能性があります。綿などの柔らかい素材の衣類を選び、ぬるめのお湯で入浴しましょう。
  • 掻かない: 掻くことで皮膚が傷つき、炎症が悪化したり、細菌感染のリスクが高まります。爪を短く切る、手袋をするなどの対策も有効です。

市販薬の選び方と注意点

軽度のかゆみや乾燥によるかゆみには、市販薬が有効な場合があります。主な市販薬の種類と選び方は以下の通りです。

市販薬の種類主な有効成分特徴と適応
抗ヒスタミン外用薬ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミンなどかゆみの原因物質であるヒスタミンの働きを抑えます。虫刺されや軽度のじんましん、湿疹に伴うかゆみに。
ステロイド外用薬ヒドロコルチゾン、プレドニゾロンなど炎症を鎮める作用が強く、湿疹や皮膚炎によるかゆみに効果的です。使用期間や範囲に注意が必要。
非ステロイド性抗炎症外用薬ウフェナマート、グリチルレチン酸などステロイドに抵抗がある方や、顔などのデリケートな部位に。炎症を抑え、かゆみを和らげます。
保湿剤ヘパリン類似物質、尿素、セラミドなど乾燥によるかゆみに最も重要。皮膚のバリア機能を回復させ、潤いを保ちます。
抗ヒスタミン内服薬クロルフェニラミン、フェキソフェナジンなど全身性のかゆみやじんましんに。眠気を伴う成分もあるため、服用後の運転などに注意が必要です。

市販薬を使用する際は、添付文書をよく読み、用法・用量を守ることが大切です。特にステロイド外用薬は、漫然と使用せず、症状が改善したら使用を中止するか、より弱いものに切り替えることを検討してください。また、5〜6日使用しても改善しない場合や、悪化する場合は使用を中止し、医療機関を受診しましょう。

どの医療機関を受診すべき?

全身のかゆみの原因は多岐にわたるため、適切な医療機関を選ぶことが重要です。

  • 皮膚科: 発疹を伴うかゆみ(湿疹、アトピー性皮膚炎、じんましん、虫刺されなど)や、皮膚の乾燥が主な原因と考えられる場合。
  • 内科: 皮膚に明らかな異常がない全身性のかゆみで、内臓疾患(肝臓病、腎臓病、糖尿病など)が疑われる場合。まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門科へ紹介してもらうのが一般的です。
  • 心療内科・精神科: ストレスや精神的な要因が強く関与していると考えられる場合。
  • アレルギー科: 特定のアレルゲンによるかゆみが疑われる場合。

特に、かゆみ以外に発熱、倦怠感、体重減少、黄疸、リンパ節の腫れなどの全身症状を伴う場合は、早急に医療機関を受診してください。これらの症状は、より重篤な疾患のサインである可能性があります。

症状の掛け合わせ(かゆみ+〇〇)でわかる全身のかゆみの原因とは?

全身のかゆみが他の症状と同時に現れる場合、その組み合わせは原因疾患を特定する上で重要な手がかりとなります。単なるかゆみだけでなく、どのような症状が伴っているかを医師に伝えることで、より迅速かつ正確な診断につながります[2]

服薬指導の際、患者さんが「かゆみと同時にこんな症状もあって…」と話されることがよくあります。例えば、「かゆみと体がだるい」「かゆみと皮膚が黄色い」といった情報は、薬剤師として「もしかしたら内臓疾患が隠れているかもしれない」と判断し、受診を強く勧めるきっかけとなります。

かゆみと発疹・皮膚の変化

  • かゆみ + 赤み・湿疹: アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、湿疹、乾燥肌に伴う炎症などが考えられます。皮膚のバリア機能が低下し、炎症が起きている状態です。
  • かゆみ + 膨疹(みみず腫れ): じんましんの典型的な症状です。アレルギー反応や物理的刺激によってヒスタミンが放出され、皮膚が一時的に盛り上がります。
  • かゆみ + 皮膚の乾燥・落屑: 乾皮症、アトピー性皮膚炎、尋常性魚鱗癬などが考えられます。皮膚の水分や皮脂が不足している状態です。
  • かゆみ + 皮膚の黒ずみ・肥厚: 慢性的な掻破によって皮膚が厚くなり、色素沈着を起こしている状態です(苔癬化)。神経皮膚炎や慢性湿疹でよく見られます。
  • かゆみ + 小さな丘疹(ブツブツ): 慢性痒疹(慢性痒疹結節)と呼ばれる状態では、強いかゆみを伴う硬いブツブツが多発します[4]

かゆみと全身症状

  • かゆみ + 黄疸(皮膚や白目が黄色い): 肝臓病(胆汁うっ滞など)が強く疑われます。胆汁酸が体内に蓄積し、かゆみを引き起こします。
  • かゆみ + 倦怠感・疲労感: 肝臓病、腎臓病、甲状腺機能低下症、悪性腫瘍など、様々な全身疾患の可能性があります。
  • かゆみ + 体重減少: 悪性腫瘍(リンパ腫など)、糖尿病、甲状腺機能亢進症などが考えられます。
  • かゆみ + 発熱: 感染症、膠原病、悪性腫瘍など、炎症性の疾患が疑われます。
  • かゆみ + 口渇・多尿: 糖尿病の可能性があり、高血糖による皮膚の乾燥や神経障害が関与していることがあります。
  • かゆみ + 夜間増悪: 疥癬(ヒゼンダニ感染症)や一部の全身性掻痒症で夜間に症状が悪化することがあります。

これらの症状の組み合わせは、あくまで疾患を疑う手がかりであり、自己診断は避けるべきです。正確な診断のためには、医療機関での詳細な検査が必要です。特に、かゆみが長期間続く場合(6週間以上[3])や、原因不明の場合、または上記のような全身症状を伴う場合は、速やかに医師の診察を受けることを強く推奨します。

まとめ

全身のかゆみに関する情報をまとめたノートとペン、解決策を検討
全身のかゆみ対策のまとめ

全身のかゆみは、皮膚の乾燥やアレルギーといった比較的軽度な原因から、肝臓病、腎臓病、糖尿病、血液疾患、悪性腫瘍などの重篤な全身疾患まで、その原因は多岐にわたります。市販薬による一時的な対処は可能ですが、症状が改善しない場合や、発疹がないかゆみ、他の全身症状を伴う場合は、速やかに医療機関を受診し、正確な診断を受けることが重要です。適切な診断と治療により、かゆみの軽減だけでなく、隠れた病気の早期発見にもつながります。日常生活では、保湿を心がけ、皮膚への刺激を避け、ストレスを管理することが、かゆみの予防や緩和に役立ちます。

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よくある質問(FAQ)

全身のかゆみで、特に夜間にひどくなるのはなぜですか?
夜間にかゆみが悪化する原因はいくつか考えられます。一つは、日中の活動による刺激が減り、かゆみに意識が集中しやすくなるためです。また、体温の上昇や皮膚の乾燥も夜間のかゆみを悪化させる要因となります。さらに、疥癬(ヒゼンダニ感染症)や一部の全身性疾患によるかゆみも夜間に増悪する傾向があります。症状が続く場合は、医療機関を受診して原因を特定することが大切です。
市販薬でかゆみが治まらない場合、いつ病院に行くべきですか?
市販薬を5〜6日使用してもかゆみが改善しない場合や、むしろ悪化する場合は、医療機関を受診することをお勧めします。特に、発熱、倦怠感、体重減少、黄疸などの全身症状を伴う場合や、皮膚に発疹がないのに全身がかゆい場合は、速やかに医師の診察を受けてください。内臓疾患が隠れている可能性も考慮し、自己判断は避けましょう。
妊娠中にかゆみが出た場合、どうすれば良いですか?
妊娠中にかゆみが生じることは珍しくありませんが、その原因は多岐にわたります。妊娠中のホルモンバランスの変化による皮膚の乾燥や、妊娠性痒疹、妊娠性肝内胆汁うっ滞などが考えられます。特に妊娠性肝内胆汁うっ滞は、母体だけでなく胎児にも影響を及ぼす可能性があるため、自己判断せずに必ず産婦人科医に相談してください。医師の指示に従い、適切な治療やケアを受けることが重要です。
この記事の監修
💼
井上祐希
救急科医