【眼科の検査ガイド】専門医が解説する種類と目的

眼科の検査ガイド
最終更新日: 2026-04-07
📋 この記事のポイント
  • ✓ 眼科検査は、視力・眼圧・眼底など多岐にわたり、目の健康維持に不可欠です。
  • ✓ 各検査には特定の目的があり、緑内障や糖尿病網膜症など様々な眼疾患の早期発見・診断に役立ちます。
  • ✓ 定期的な検査と専門医による適切な診断が、目の健康を守る上で最も重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

眼科の検査は、目の健康状態を評価し、様々な眼疾患の早期発見や適切な治療方針の決定に不可欠です。視覚は日常生活において非常に重要な役割を担っており、定期的な検査を通じて目の異常を早期に発見することは、視力維持や生活の質の向上に直結します。この記事では、眼科で行われる主な検査の種類とその目的について、専門的な知見を交えながら詳しく解説します。

基本的な眼科検査とは?

視力検査、眼圧測定、細隙灯顕微鏡検査など基本的な眼科検査の様子
基本的な眼科検査の様子

基本的な眼科検査は、患者さんの目の状態を総合的に把握するために最初に行われる一連の検査です。これらの検査は、視力の低下や目の不快感など、様々な症状の原因を探る上で重要な手がかりを提供します。

視力検査の目的と方法

視力検査は、目の基本的な機能である「見る力」を数値化する検査です。裸眼視力と矯正視力(眼鏡やコンタクトレンズ使用時)の両方を測定し、視機能の異常や屈折異常(近視、遠視、乱視など)の有無を評価します。実臨床では、初診時に「最近、遠くが見えにくくなった」「眼鏡が合わなくなった気がする」とおっしゃる方が多くいらっしゃいます。視力検査は、患者さんの訴えを客観的な数値で裏付ける上で欠かせません。

検査は、国際的に標準化されたランドルト環(Cの形をした切れ目のある環)や、スネレン視力表などを用いて行われます。通常、5メートル離れた場所から片目ずつ測定し、最も小さい文字や環の切れ目を識別できる能力を評価します。小児の場合や、文字の識別が難しい患者さんには、絵の視力表や、手動で方向を指し示す方法を用いることもあります。

眼圧検査で何がわかる?

眼圧検査は、目の内部の圧力(眼圧)を測定する検査であり、特に緑内障の診断と経過観察において極めて重要です。緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が障害され、視野が徐々に欠けていく病気であり、早期発見・早期治療が失明を防ぐ鍵となります[3]。臨床の現場では、眼圧が高いにもかかわらず自覚症状がないケースをよく経験します。そのため、定期的な眼圧測定は非常に重要です。

主な測定方法には、空気を吹き付けて測定する非接触型眼圧計(ノンコンタクトトノメーター)と、点眼麻酔後に測定器を直接角膜に接触させるアプラネーション眼圧計(ゴールドマン眼圧計)があります。非接触型はスクリーニングに適しており、アプラネーション型はより正確な測定値が得られるとされています。正常な眼圧は一般的に10~21mmHgとされていますが、眼圧が正常範囲内であっても緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」も存在するため、眼圧だけでなく視神経の状態も総合的に評価することが重要です。

細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査)の重要性

細隙灯顕微鏡検査は、眼科診療において最も基本的かつ重要な検査の一つです。細い光(スリット光)を目に当て、顕微鏡で拡大して観察することで、目の表面から内部まで詳細に観察できます。この検査により、角膜、結膜、水晶体、虹彩、硝子体などの状態を立体的に評価することが可能です。

日常診療では、初診時に「目がゴロゴロする」「かすんで見える」と相談される患者さんも少なくありません。このような症状の原因が、ドライアイ、結膜炎、角膜炎、白内障、ぶどう膜炎など、多岐にわたる眼疾患であるかを鑑別する上で、細隙灯顕微鏡検査は不可欠です。例えば、ぶどう膜炎の診断基準には、細隙灯顕微鏡下での前房(角膜と虹彩の間)の炎症細胞の評価が含まれます[1]。実際の診療では、この検査で得られる情報が、診断の決め手となることが非常に多いです。

細隙灯顕微鏡(スリットランプ)
細い光を眼球に照射し、その光の断面を顕微鏡で拡大して観察することで、眼球の各組織(角膜、前房、虹彩、水晶体、硝子体など)の状態を詳細に評価できる眼科の基本的な検査機器です。

眼底・網膜の検査とは?

眼底カメラや光干渉断層計(OCT)を用いた網膜検査の機器
眼底・網膜検査の専門機器

眼底・網膜の検査は、目の奥にある網膜や視神経の状態を詳しく調べることで、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、緑内障などの重篤な眼疾患の早期発見と病状評価に不可欠です。これらの疾患は、進行すると不可逆的な視力低下につながる可能性があるため、定期的な検査が推奨されます。

眼底検査の重要性と手順

眼底検査は、瞳孔から目の奥にある眼底(網膜、視神経乳頭、網膜血管など)を直接観察する検査です。網膜剥離、網膜出血、視神経の異常、黄斑部の病変など、様々な疾患の診断に役立ちます。特に、糖尿病や高血圧などの全身疾患を持つ患者さんにとっては、眼底検査は全身状態の把握にも繋がる重要な検査です。

検査は、点眼薬で瞳孔を広げた後、検眼鏡や眼底カメラを用いて行われます。瞳孔を広げることで、より広い範囲の眼底を詳細に観察できます。糖尿病網膜症の診断と管理に関するガイドラインでも、定期的な眼底検査の重要性が強調されています[2]。実際の診療では、糖尿病患者さんの眼底に微小な出血や血管の異常を見つけることが多く、全身疾患のコントロールがいかに重要かを実感します。

OCT(光干渉断層計)による網膜の精密検査

OCT(Optical Coherence Tomography:光干渉断層計)は、網膜の断面構造を非侵襲的かつ高解像度で画像化できる画期的な検査機器です。網膜の各層の厚さや形状、異常な構造(浮腫、ドルーゼン、網膜下液など)を詳細に評価できるため、加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、緑内障、網膜中心静脈閉塞症などの診断や治療効果の判定に広く用いられています。

特に、黄斑疾患の診断において、OCTは網膜の微細な変化を捉える上で欠かせません。例えば、加齢黄斑変性では、網膜色素上皮下に蓄積するドルーゼンや、新生血管の有無、網膜浮腫の程度などを正確に評価できます。また、緑内障においては、視神経乳頭周囲の網膜神経線維層の厚さを測定することで、視神経の障害を早期に検出することが可能です[4]。治療を始めて数ヶ月ほどで「OCTの画像がきれいになったと言われた」とおっしゃる方が多く、客観的な改善を確認できる重要な検査です。

蛍光眼底造影検査とは?

蛍光眼底造影検査は、腕の静脈から蛍光色素(フルオレセイン)を注入し、色素が網膜の血管内を流れる様子を特殊なカメラで連続撮影する検査です。この検査により、網膜や脈絡膜の血管の異常(血管閉塞、漏出、新生血管など)を詳細に評価できます。糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、網膜静脈閉塞症など、血管病変を伴う疾患の診断や治療方針の決定に用いられます。

色素を注入するため、アレルギー反応や吐き気などの副作用が起こる可能性もゼロではありませんが、検査の診断的価値は非常に高いです。特に、新生血管の活動性や漏出部位を特定する上で、他の検査では得られない情報を提供します。

視野の検査とは?

視野検査は、見える範囲(視野)を測定する検査であり、特に緑内障や視神経疾患、脳疾患などによる視野の欠損を検出するために重要です。視野の異常は、初期には自覚症状が乏しいことが多く、定期的な検査によって早期に発見することが、視機能維持に繋がります。

静的量的視野検査(ハンフリー視野検査)の役割

静的量的視野検査は、視野検査の中で最も一般的に行われる検査の一つです。患者さんはドーム型の機器の中に顔を固定し、中心を見つめながら、様々な明るさの光がランダムな位置に点滅するのを見つけたらボタンを押します。この検査により、視野のどの部分に感度低下や欠損があるかを詳細にマッピングできます。

特に緑内障の診断と進行評価において、ハンフリー視野検査は非常に重要な役割を担います[3]。緑内障による視野の欠損は、初期には周辺部から始まることが多く、自覚しにくい傾向があります。日々の診療では、緑内障の患者さんには定期的な視野検査を推奨しており、わずかな視野の変化も見逃さないよう慎重に評価しています。実際の診療では、視野検査の結果を見て、病状の進行を客観的に把握し、治療方針を調整する重要な判断材料となります。

動的量的視野検査(ゴールドマン視野検査)の活用

動的量的視野検査は、光の点(視標)を視野の外側から内側へ動かし、視標が見え始めた点を記録することで、視野の境界線(等感度曲線)を測定する検査です。静的量的視野検査が視野の感度低下を詳細に評価するのに対し、動的量的視野検査はより広範囲の視野の形状や、周辺視野の欠損を評価するのに適しています。

この検査は、緑内障の進行期や、網膜色素変性症、脳腫瘍などによる視野狭窄、視野欠損の範囲を把握する際に有用です。外来診療では、患者さんの状態や疑われる疾患に応じて、静的量的視野検査と動的量的視野検査を使い分け、または組み合わせて実施することで、より正確な視野評価を行っています。

その他の専門的な検査とは?

視野検査、色覚検査、電気生理学的検査など専門的な眼科検査
専門的な眼科検査の風景

眼科では、基本的な検査や眼底・視野検査に加えて、特定の疾患の診断や治療計画のために、さらに専門的な検査が行われることがあります。これらの検査は、より詳細な情報を提供し、複雑な眼疾患の解明に貢献します。

角膜形状解析検査の目的と適用疾患

角膜形状解析検査は、角膜の表面のカーブや形状を詳細に測定する検査です。この検査により、角膜の歪みや不規則性を数値化し、地図のように色分けされた画像で可視化できます。臨床現場では、初診時に「コンタクトレンズが合わない」「視力が安定しない」と相談される患者さんにこの検査を行うことがよくあります。

主な適用疾患は、円錐角膜(角膜が薄くなり、前方へ突出してくる病気)、角膜乱視、不正乱視などです。また、レーシックなどの屈折矯正手術の適応判断や術後評価、コンタクトレンズのフィッティングにも不可欠な検査です。角膜のわずかな歪みが視力に大きな影響を与えることもあるため、精密な測定が求められます。

超音波検査(エコー検査)の活用場面

眼科における超音波検査(エコー検査)は、目の内部が混濁して眼底が直接観察できない場合(例:白内障が進行している、硝子体出血があるなど)に、目の内部の状態を評価するために用いられます。超音波が組織に反射する性質を利用して、目の内部の構造を画像化します。

この検査により、網膜剥離の有無、眼内腫瘍の検出、硝子体出血の程度、眼球の長さ(眼軸長)などを評価できます。特に、白内障手術前の眼軸長測定は、挿入する眼内レンズの度数を決定するために必須です。臨床の現場では、外傷などで眼底が見えない患者さんの網膜剥離の有無を判断する際に、エコー検査が非常に有用であることを実感します。

電気生理学的検査(ERG/VEPなど)の役割

電気生理学的検査は、網膜や視神経の電気的な活動を測定することで、視機能の異常を客観的に評価する検査です。主なものに、網膜電図(ERG: Electroretinogram)と視覚誘発電位(VEP: Visual Evoked Potential)があります。

  • 網膜電図(ERG): 光刺激に対する網膜の反応を測定し、網膜色素変性症や夜盲症など、網膜の機能障害を評価します。
  • 視覚誘発電位(VEP): 光刺激が視神経を通じて脳に伝わる際の電気信号を測定し、視神経炎や多発性硬化症など、視神経や視路の異常を評価します。

これらの検査は、患者さんの自覚症状だけでは判断が難しい視機能障害の原因を特定する上で、非常に客観的な情報を提供します。実際の診療では、原因不明の視力低下や視野異常の患者さんに対して、これらの検査を検討し、診断の精度を高めるように努めています。

検査名主な目的主な適用疾患
視力検査視機能の評価近視、遠視、乱視、白内障など
眼圧検査眼内圧の測定緑内障
細隙灯顕微鏡検査目の前部・中部の詳細観察結膜炎、角膜炎、白内障、ぶどう膜炎など
眼底検査網膜・視神経の観察糖尿病網膜症、加齢黄斑変性、緑内障など
OCT網膜・視神経の断層画像加齢黄斑変性、糖尿病黄斑浮腫、緑内障など
視野検査視野の範囲・感度測定緑内障、視神経疾患、脳疾患

まとめ

眼科の検査は、視力測定から眼底の精密な画像診断、視野の評価、さらには電気生理学的検査まで多岐にわたります。これらの検査は、目の健康状態を総合的に評価し、緑内障、糖尿病網膜症、加齢黄斑変性などの重篤な眼疾患を早期に発見し、適切な治療へと繋げるために不可欠です。特に、自覚症状が乏しい初期段階で病気を発見するためには、定期的な眼科検診が極めて重要です。ご自身の目の状態に不安がある場合や、特定の疾患のリスクがある場合は、専門医にご相談の上、適切な検査を受けることをお勧めします。

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よくある質問(FAQ)

Q1: 眼科の定期検診はどのくらいの頻度で受けるべきですか?
A1: 一般的には、40歳を過ぎたら年に1回程度の定期検診が推奨されます。ただし、緑内障や糖尿病網膜症などのリスクがある方、ご家族に眼疾患の既往がある方、または目の症状がある方は、医師の指示に従い、より頻繁な検査が必要となる場合があります。
Q2: 瞳孔を開く点眼薬を使用する検査後、注意すべきことはありますか?
A2: 瞳孔を開く点眼薬を使用すると、数時間から半日程度、まぶしく感じたり、近くが見えにくくなったりすることがあります。検査当日は、ご自身での車の運転や、精密な作業は避けるようにしてください。外出時はサングラスを着用すると、まぶしさを軽減できます。
Q3: 眼科の検査は痛いですか?
A3: ほとんどの眼科検査は痛みを感じることはありません。眼圧検査の一部や細隙灯顕微鏡検査で目に器具が触れることがありますが、点眼麻酔を使用したり、優しく行われたりするため、不快感は最小限に抑えられます。ご心配な場合は、検査前にスタッフにお伝えください。
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修医
👨‍⚕️
實森弓人
眼科医
👨‍⚕️
山田佳奈
眼科医