子どものアレルギー性鼻炎
症状・検査・薬を知る
繰り返す鼻水や鼻づまりは、熱がなくても相談できます。検査の数字だけにとらわれず、眠りや学校生活が楽になる治療を考えましょう。
子どものアレルギー性鼻炎では、くしゃみ・水っぽい鼻水・鼻づまりを繰り返します。検査が陽性でも、その物質が症状の原因かは経過と合わせて判断します。治療では年齢に合う飲み薬や点鼻薬などを選びます。口呼吸や眠りにくさ、日中の集中しづらさも受診時に伝えてください。[1]
鼻水だけでなく、呼吸や全身の様子も確認
息が苦しく話せない・飲めない、唇が青紫、反応が鈍い。鼻炎と思って待たず、救急対応を優先します。
目の周りが腫れて痛む、強い顔の痛みや高い熱がある、片側から臭い鼻水が続くなど、いつもと違う症状がある。
鼻づまりで眠りにくい、口呼吸・いびきが続く、授業や遊びに集中しづらい。熱がなくても受診して構いません。
呼吸が楽で元気なら、症状の出る時期と使った薬をメモして受診へ。強い症状では記録より受診を優先してください。夜間に迷う場合は子ども医療電話相談 #8000も利用できます。
鼻水のほかに、口呼吸や鼻をこする様子も
アレルギー性鼻炎の主な症状は、繰り返すくしゃみ、水のような鼻水、鼻づまりです。子どもでは「鼻がつまっている」とうまく伝えられず、口を開けて息をする、鼻をこする、鼻をすすり続ける様子が手がかりになることがあります。花粉が原因のときは、目のかゆみや充血も一緒に出ることがあります。[1][2]
| 様子 | 確認したい経過 | 伝えること |
|---|---|---|
| 鼻水・くしゃみ | 同じ季節・場所で繰り返すか | 始まった時期、目のかゆみ、家と外の違い |
| 鼻づまり・口呼吸 | 夜間や日中の支障があるか | 眠り、いびき、食事や授業への影響 |
| いつもと違う症状 | 発熱、痛み、片側だけの症状か | 鼻炎と決めつけず、変化を具体的に伝える |
風邪の初めにも透明な鼻水は出ます。反対に、鼻水に色が付いたことだけで細菌感染や抗菌薬の必要性は決まりません。症状がどれくらい続き、途中でよくなったか、熱や痛みがあるかも含めて診察します。鼻の中に物を入れた後や片側だけ臭い鼻水が続く場合は、そのことを必ず伝えてください。

検査結果は、症状の出方と組み合わせます
診察では鼻の中の状態や症状の経過を確認し、必要に応じて血液中の特異的IgEや皮膚の反応を調べます。特異的IgEは、特定の物質に対するアレルギー反応の起こりやすさを知る手がかりです。検査にはそれぞれ分かることと限界があり、結果だけを見て病名や原因を決めるものではありません。[3]
たとえば、ある花粉への反応が陽性でも、その花粉が飛ぶ時期に症状があるかを確かめます。反応の強さを示す数字が高いことと、日常の症状が強いことも同じではありません。結果に書かれた物をすべて避けたり、鼻炎の検査結果だけを理由に食事を除いたりしないでください。必要な対策を主治医と絞り込みます。
検査は治療の選択にも役立ちますが、毎回同じ項目を測るとは限りません。すでに受けた検査結果があれば持参し、「今の症状と関係するのはどれですか」「追加の検査で何が変わりますか」と尋ねてみましょう。小さい子では、検査の負担や協力できる範囲も考えて進めます。
年齢に合う薬を、実際に使える方法で
飲み薬の抗ヒスタミン薬、鼻に噴霧するステロイド薬などが使われます。鼻水・くしゃみと鼻づまりでは、困る症状に合わせて治療を調整します。薬の種類によって使える年齢や回数が違うため、きょうだいの処方や大人の市販薬を流用せず、その子への指示を確認してください。[1][2]
小児の試験をまとめた研究では、鼻噴霧用ステロイド薬による症状改善が示されています。ただし、すべての製品が同じ年齢で使えるわけではなく、研究結果から「副作用はない」とは言えません。鼻血や刺激感、長く使う際の心配も含め、適切な量と使い方を相談します。[4]
薬の名前、対象の年齢、使う回数、使い続ける期間を確認します。
点鼻薬が苦手なら容器を持参し、顔の向きや噴霧の仕方を教わります。
眠気、鼻血、鼻の痛みなどがあれば、起きた時期と薬を伝えます。
風邪薬やほかの鼻炎薬との成分の重複を、医師・薬剤師と確認します。
「すぐ通る点鼻薬」を使い続けない
市販の鼻づまり用点鼻薬には、血管を縮める成分を含むものがあります。繰り返し使うことで鼻づまりが悪化する場合があるため、成分と使用期間を確認してください。処方された鼻噴霧用ステロイド薬とは種類が異なります。[5]
薬を嫌がるときは、叱って続けさせる前に「味が苦い」「鼻が痛い」「学校で眠くなる」など、何が困るかを聞いてみます。別の剤形や使う時間を相談できることがあります。無理なまま使い続けるより、実際にできていることを伝える方が、治療を調整しやすくなります。
原因に合わせて、負担の少ない工夫から
花粉が関係する場合は、飛散情報を見て活動を調整し、帰宅時に衣服の花粉を払うなどの工夫をします。マスクや眼鏡は、年齢と安全性を考え、本人が無理なく使えるものを選びます。息苦しい、扱いが難しいときは無理に着けさせず、ほかの方法を相談してください。[6]
ダニが関係する場合は、寝具の手入れや掃除を見直します。原因と関係の薄い対策を一度に増やすと、家族の負担だけが大きくなることもあります。「まず寝具から」など、取り組む場所を絞る相談をしましょう。空気清浄機などを購入しても、処方薬や診察の代わりになるわけではありません。
鼻をかめる子には、片側ずつ無理なくかむよう声をかけます。強く繰り返しかんで痛がる、鼻血が出る場合は加減します。鼻洗浄などを試したいときは、年齢や協力できるかを含めて医師に相談し、適した製品と手順を確認してください。家庭で何かを始めることより、まず楽に眠れているかを見ます。
眠りや学校での困りごとも、治療の相談に
鼻づまりがあると、寝つきや眠りに影響することがあります。子どもの鼻炎といびき・睡眠中の呼吸の問題には関連が報告されていますが、研究にはばらつきがあり、鼻炎が原因と断定するものではありません。毎晩の大きないびきや呼吸が止まるような様子は、ほかの原因も含めて診察で評価します。[7]
診察では「鼻水が減ったか」に加えて、眠りやすくなったか、授業中に困っていないかを聞きます。薬の眠気が心配なときは、薬を飲む前から眠そうだったか、飲んだ後に変わったかも確認し、鼻症状と薬の影響を分けて考えます。
園や学校には、症状の出る季節と治療内容を共有します。授業中に何度も鼻をかむ、屋外活動でつらくなる場合は、必要な配慮を具体的に相談しましょう。薬を飲んでも症状が強いときは、本人の頑張り不足として扱わず、治療を見直すきっかけにします。
よくならないときは、薬を増やす前に相談
処方どおり使っても症状が続く場合は、どの症状が残っているか、何日使ったか、使えなかった理由があるかを伝えます。薬が合わない場合だけでなく、使い方や原因の見立て、ほかの病気が関係する場合もあります。量や回数を自己判断で増やさず、見直しの時期を確認してください。
片側だけの症状、強い痛み、目の周りの腫れ、発熱を伴う悪化は、いつもの鼻炎と決めつけず早めに相談します。急な強い息苦しさや顔色・反応の変化があるときは、この記事の治療説明を読み進めるより救急対応を優先してください。
長く続く鼻炎では、その都度の症状を抑える治療に加えて、舌下免疫療法などを検討することがあります。対象や継続の条件があるため、検査の数字だけで始めることはありません。今の治療でどこまで楽になっているかを振り返ってから、次の選択肢を相談しましょう。
舌下免疫療法を始める前の条件・効果・副作用を読むよくある質問
アレルギー検査は毎年必要ですか?
毎年必ず行うものではありません。症状の変化、前の検査結果、治療を見直す目的などから必要性を判断します。過去の結果を持参して相談してください。
点鼻薬にステロイドと書いてあり、心配です。
鼻の炎症を抑える薬ですが、使える年齢や量は製品で異なります。鼻血や刺激感などにも注意しながら使います。自己判断で増減せず、不安な点と実際の使い方を医師・薬剤師に確認しましょう。
薬を飲むと授業中に眠くなります。
眠気は薬の種類や個人差で出ることがあります。鼻づまりによる睡眠不足なども関わるため、眠くなる時期と服薬時間を伝えてください。薬の変更や使い方は医師に相談します。
熱がない鼻づまりでも、受診してよいですか?
受診して構いません。眠りにくい、口呼吸やいびきが続く、食事や授業に支障があることも相談の理由になります。
参考文献
- 国立成育医療研究センター:アレルギー性鼻炎
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会:子どものアレルギー性鼻炎
- 日本アレルギー学会・アレルギーポータル:アレルギーの検査について
- Li Y, et al. Efficacy and safety of various corticosteroids in the treatment of children with allergic rhinitis: A systematic review and network meta-analysis. J Evid Based Med. 2024. PMID: 39313999
- 日本アレルギー学会・アレルギーポータル:アレルギー性鼻炎
- 日本アレルギー学会・アレルギーポータル:花粉症
- Li Q, et al. Allergic rhinitis in children in relation to sleep breathing disorders: a meta-analysis. Int J Pediatr Otorhinolaryngol. 2026. PMID: 42302637
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