子どもの脱水症状
見分け方と経口補水液の使い方
尿・涙・口・反応・飲める量を組み合わせて判断し、吐くときにも試しやすい少量頻回の補水を具体的に示します。
子どもの脱水は、尿、涙、口の乾き、目の様子、手足、反応、飲める量を組み合わせて判断します。一つの所見だけで安全とは言えません。意識が保たれ少量を飲める場合は、市販の経口補水液を5mL程度から1〜2分おきに与えます。反応が鈍い、尿が出ない、手足が冷たく顔色が悪い、少量でも全て吐く場合は受診を急ぎます。[1][3]
まず30秒で脱水と緊急度を確認
下痢や嘔吐の回数だけでなく、反応・飲める量・尿・顔色を先に確認します。
呼びかけに反応しにくい、けいれん、立てないほどぐったり、唇や顔色が悪い、吐物や便に多量の血、強い持続性腹痛、お腹が張って緑色の液を吐く。
少量ずつ試しても全て吐く、尿が明らかに減る、口が乾き涙が出にくい、目がくぼむ、手足が冷たい、乳児、発熱・下痢が続く、基礎疾患がある。
少量ずつ飲めて尿が出ており、起こせば普段に近い反応があり、腹痛が持続せず、全体として改善方向にある。
- 尿の減少
- 回数だけでなく、最後に尿が出た時刻と量を確認します。
- 反応の変化
- 遊ばない、目が合いにくい、起こしにくいなど普段との差を見ます。
- 飲める量
- 「飲めた」ではなく、1回量、回数、直後に吐いたかを記録します。
受診時に伝えるメモ:症状の開始時刻、嘔吐・下痢の回数と色、直近に飲めた量、最後の尿、体温、腹痛の場所、周囲の流行、使った薬。緊急時は記録より受診を優先します。
尿・涙・口・反応を組み合わせて見る
脱水は「皮膚をつまむ」「口を見る」だけでは正確に判断できません。普段の尿回数と最後の時刻、泣いた時の涙、口の乾き、目のくぼみ、手足の温度、起こした時の反応を一緒に確認します。
最後に出た時刻、回数、量、おむつの重さの変化。
泣いても涙が少ない、唇や舌が乾く。
目がくぼむ、手足が冷たい、毛細血管再充満が遅い。
遊ばない、目が合いにくい、起こしにくい。
脱水尺度の系統的レビューでは、中等度以上を示唆する助けにはなる一方、陰性だから脱水を完全に除外できるわけではありません。体重変化と複数所見を組み合わせます。[1][2]
日々の皮膚科診療では、口唇の乾燥や皮膚の張り、おむつ部の状態を見る機会がありますが、乾燥肌や室内環境でも似た所見が出ます。脱水の判断では皮膚だけに頼らず、尿、涙、飲水量、反応、手足の循環を優先して確認します。
反応低下・尿が出ない・循環不良は受診を急ぐ
| 目安 | 見え方 | 行動 |
|---|---|---|
| 軽い可能性 | 少量ずつ飲める、尿が出る、反応が普段に近い | 経口補水しながら経過観察 |
| 中等度を疑う | 尿が減る、口が乾く、涙が少ない、目がくぼむ、元気がない | 当日中に医療機関へ相談 |
| 重症を疑う | 反応が鈍い、起こしにくい、尿が出ない、手足が冷たい、顔色不良、呼吸が速い | 救急受診を検討 |
毛細血管再充満や皮膚の張りなどは医療者の評価に役立ちますが、感度にはばらつきがあります。家庭で一つのチェックだけを繰り返して受診を遅らせないでください。[6]
経口補水液は5mL程度から1〜2分おきに
- 市販の経口補水液を選ぶ
水分とナトリウム、糖を吸収しやすい比率で含む製品を選びます。
- スプーンまたは小カップで始める
5mL程度を1〜2分おきに。哺乳瓶で一気に飲ませません。
- 吐いたら5〜10分休む
さらに少量から再開し、保てるなら徐々に増やします。
- 継続損失を補う
下痢や嘔吐のたびに追加し、合計量と尿を記録します。必要量は体重と脱水の程度で変わります。
系統的レビューでは、低浸透圧経口補水液は標準ORSより追加点滴、便量、嘔吐を減らす方向の結果が示されています。また適切な子どもでは、経口補水と点滴の治療失敗率に臨床的な大差はありません。[3][4]
むせる、意識が低下、ショックが疑われる、腹部膨満や緑色嘔吐がある場合は、誤嚥や別疾患の危険があるため家庭で無理に飲ませず救急評価を受けます。
ジュース・スポーツ飲料・自家製の濃い飲料に置き換えない
使いやすい
- 市販の経口補水液
- 乳幼児用として表示されたORS
- 母乳の継続
- 医師から個別に指示された補水
注意が必要
- 糖分の多いジュース・炭酸飲料
- スポーツ飲料だけでの置き換え
- 塩や砂糖を目分量で混ぜる
- 大人用の止瀉薬・吐き気止め
経口補水液は通常の飲み物よりナトリウムを含むため、日常の水分補給として大量に飲み続けるものではありません。腎臓・心臓の病気、代謝疾患がある場合は、種類と量を医師に確認します。
母乳を続け、補水後は食事を早めに戻す
母乳は継続できます。脱水が改善し嘔吐が落ち着いたら、おかゆだけに限定せず、年齢に合う普段の食事を少量から再開します。脂っこい物や糖分の多い飲料は避けます。乳糖で下痢が長引く場合などは個別に調整します。
食べないことより、まず飲めないことと尿が減ることを重視します。食欲が戻らない、下痢が長引く、体重が戻らない場合は再受診してください。
医療機関では体重・循環・電解質を評価する
医療機関では発症前後の体重、心拍、呼吸、血圧、毛細血管再充満、意識、尿、口腔、涙、皮膚所見などを確認します。重症、長引く、基礎疾患がある場合は血糖・電解質・腎機能などを検討します。
- 経口補水
- 飲める場合の第一選択。観察しながら量を調整。
- 経管補水
- 口から十分飲めないが腸管を使える場合に検討。
- 点滴
- ショック、重度脱水、経口・経管補水不成功などで検討。
よくある質問
子どもの皮膚をつまめば脱水が分かりますか?
皮膚の戻りは所見の一つですが、乾燥肌や測り方でも変わります。尿、涙、口、目、反応、飲める量を組み合わせ、悪化時は受診してください。
経口補水液を一度にたくさん飲ませてもよいですか?
一気に飲むと吐きやすいため、5mL程度から1〜2分おきに始めます。吐いたら5〜10分休み、さらに少量から再開します。
スポーツ飲料で代用できますか?
糖と電解質の組成が経口補水液と異なるため、嘔吐・下痢による脱水の補正には市販の経口補水液を優先します。手元にない場合の一時対応は医療機関へ相談してください。
尿が何時間出なければ受診ですか?
年齢や普段の回数で異なるため一律ではありません。明らかな減少に、飲めない、涙が出ない、口が乾く、反応が悪い、手足が冷たいなどが重なる場合は早めに受診します。
参考文献
- Falszewska A, et al. Diagnostic accuracy of three clinical dehydration scales: a systematic review. Arch Dis Child. 2018. PMID: 29089317
- Falszewska A, et al. Diagnostic accuracy of the Clinical Dehydration Scale in children with acute gastroenteritis: systematic review. Clin Pediatr. 2014. PMID: 24917533
- Zubairi MBA, et al. Low-osmolarity oral rehydration solution for childhood diarrhoea: systematic review and meta-analysis. J Glob Health. 2024. PMID: 39641334
- Bellemare S, et al. Oral rehydration versus intravenous therapy for dehydration due to gastroenteritis in children: meta-analysis. BMC Med. 2004. PMID: 15086953
- Fonseca BK, et al. Enteral versus intravenous rehydration therapy for children with gastroenteritis: meta-analysis. Arch Pediatr Adolesc Med. 2004. PMID: 15123483
- Fleming S, et al. Diagnostic value of capillary refill time for detecting serious illness in children: systematic review and meta-analysis. PLoS One. 2015. PMID: 26375953
- NICE guideline CG84: Diarrhoea and vomiting caused by gastroenteritis in under 5s
- Steiner MJ, et al. Is this child dehydrated? Systematic review. JAMA. 2004. PMID: 15187057
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