Pediatrics / Sublingual immunotherapy

子どもの花粉症と
舌下免疫療法

毎年つらい花粉症に、長期的な治療を考えるとき。効果だけでなく、安全に続けられる条件を、親子で確かめましょう。

最終更新 2026.09.25監修日 2026.09.25
効果必ず治るとは限らない
継続毎日の治療と通院が必要
開始主治医と時期を相談
結論から

舌下免疫療法は、原因となる成分を含む薬を舌の下で使い、アレルギー症状を長期的に和らげる治療です。日本ではスギ花粉やダニによる鼻炎が対象になります。原因の確認に加え、正しく服用できることと、副作用への備えが必要です。効果には個人差があり、数年単位の継続を主治医と相談します。[1]

鼻水だけでなく、呼吸や全身の様子も確認

すぐ119番

息が苦しく話せない・飲めない、唇が青紫、反応が鈍い。鼻炎と思って待たず、救急対応を優先します。

今日中に相談・受診

目の周りが腫れて痛む、強い顔の痛みや高い熱がある、片側から臭い鼻水が続くなど、いつもと違う症状がある。

通常の診療で相談

鼻づまりで眠りにくい、口呼吸・いびきが続く、授業や遊びに集中しづらい。熱がなくても受診して構いません。

呼吸が楽で元気なら、症状の出る時期と使った薬をメモして受診へ。強い症状では記録より受診を優先してください。夜間に迷う場合は子ども医療電話相談 #8000も利用できます。

01

毎年のつらさと、今の治療を振り返るところから

花粉の時期に鼻水や目のかゆみが強い、鼻づまりでよく眠れない、薬を使っても学校生活に支障がある。こうした負担があるとき、長期的な治療の選択肢として舌下免疫療法を相談できます。症状を抑える薬が使いにくい場合も、まず何に困っているかを伝えましょう。

子どものアレルギー性鼻炎は増加を示す研究がありますが、研究ごとに国や診断の定義が違います。海外を含む集計を、そのまま日本の花粉症の割合とは考えません。周囲で治療を受ける子が増えていても、お子さん自身の症状や希望、生活に合うかを確認して選びます。[2]

舌下免疫療法は、原因物質に対する反応を和らげることを目指し、少量の成分を含む処方薬を継続して使います。急な鼻づまりをその場で取る薬や、花粉の時期だけ飲む薬とは目的が違います。今の症状を抑える薬を併用することもあり、始めればすぐほかの薬が不要になるわけではありません。[1]

鼻の症状について、子どもと保護者が小児科医に相談しているイメージイラスト
治療を続ける時間や、体調が悪い日の連絡方法も、開始前に親子で確認します。 AIで作成した説明用の挿絵です。(イメージイラスト。実在の患者・医師ではありません)
02

原因と、安全に使える条件を確認します

日本で行う舌下免疫療法では、スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎が対象です。すべての花粉・動物・食物アレルギーを治す治療ではありません。スギ花粉症では、症状の出る時期と検査結果を合わせて診断し、これまでの治療も踏まえて開始を判断します。[1][3]

開始前に確認する条件
確認すること必要な理由相談する点
原因と症状
検査陽性だけでは対象を決められない
症状が出る季節、検査結果、今の治療
服用できるか
決められた方法で舌の下に薬を保持する
本人の理解、保護者の見守り、年齢
体調と持病
喘息などが安全性に関わる
喘息の状態、口内の傷、ほかの薬
継続と備え
日々の服用と副作用時の対応が必要
生活時間、通院、緊急時の連絡先

スギ花粉の舌下錠の電子添文では、5歳未満を対象にした有効性・安全性の臨床試験は行われていないとされています。また、正しく舌下投与できると判断されることが必要です。「5歳になれば誰でも始められる」という意味ではなく、本人が手順を理解し、保護者と取り組めるかを確認します。[3]

重症の喘息など、使えない条件があります。喘息があることを伝えずに鼻炎だけの相談をするのは避け、最近のせきや発作、使っている薬を共有してください。ダニの製剤を検討するときも、製品ごとの条件や注意点を主治医と確認します。ここに書かれたスギ花粉の薬の説明を、そのまますべての製品へ当てはめないでください。

03

症状や薬の負担を減らす効果を期待します

スギ花粉の舌下錠を用いたランダム化比較試験では、治療を続けた群で鼻症状と薬の使用を合わせた評価が改善し、治療終了後の追跡期間にも効果が続くことが示されました。ただし、この研究には子どもだけでなく成人も含まれています。集団の結果は、一人ひとりが同じ程度によくなるという保証ではありません。[4]

小児を対象に、舌下免疫療法と注射で行う免疫療法を比較した研究のまとめもあります。症状への効果や副作用が検討されていますが、原因物質、製品、研究方法はさまざまです。「舌下なら副作用がない」「どの製品でも同じ」という結論にはできません。[5]

「必ず治る」「喘息を必ず防ぐ」とは言えません

治療の反応には個人差があります。鼻や目の症状、ほかの薬の必要性、生活のしやすさを経過の中で確認します。効果が乏しい場合や副作用で困る場合は、継続するかも含めて主治医と見直します。

治療前に何がいちばんつらいかを決めておくと、変化を振り返りやすくなります。「朝のくしゃみ」「授業中の鼻水」「夜の鼻づまり」など、ひとつで構いません。花粉の飛ぶ量も年によって変わるため、一日よかった・悪かっただけで効果を判断しないようにしましょう。

04

開始時期と、数年続ける生活を相談する

スギ花粉の舌下錠は、花粉が飛んでいる時期に新しく開始しません。地域や年によって飛散時期が異なるため、具体的な開始日は医療機関で確認します。翌年に向けて検討する場合も、検査や説明、予約の時間を見込み、余裕を持って相談してください。[3]

一般に舌下免疫療法は数年単位で続ける治療で、アレルギーポータルでは3〜5年が勧められています。花粉の時期以外にも毎日続けるため、学校・習い事・入浴の時間に合うかを考えます。効果が出たからと急にやめず、終了の時期は経過を見て相談します。[1]

最初の服用は医師の監督下で行い、服用後に観察する時間が必要です。スギ花粉の舌下錠では少なくとも30分の観察が指示されています。初回の受診は、薬を受け取ってすぐ帰る予定にせず、診察と説明に必要な時間を予約時に確認してください。[3]

費用は診察・検査・薬、通院の頻度、自治体の医療費助成などで変わります。固定の金額で考えず、始める前に通院先で確認しましょう。宿泊行事や長期休暇、転居の予定も共有すると、薬の保管や通院を含めた継続の計画を立てやすくなります。

05

口の違和感と、救急対応が必要な症状を分ける

舌下免疫療法では、口の中のかゆみ・腫れや、のどの違和感などが起こることがあります。軽いと思っても初めての症状や続く症状は記録して連絡し、次の服用をどうするか確認します。症状を隠して続けたり、自分で量を調整したりしないでください。[3]

息苦しさ、のどの腫れ、ぐったりには119番

服用後に強い息苦しさ、声が出しにくい・のどが腫れる、顔色が悪い、反応が鈍いなどがあれば、重いアレルギー反応の可能性があります。次の服用はせず、119番へ連絡し、主治医から受けている緊急時の指示に従ってください。[3]

発熱などで体調が悪い日、喘息が悪化した日、口の中に傷がある日や歯科処置の後は、服用してよいか主治医に確認します。飲み忘れたときや何日か中断した後の再開方法も、あらかじめ聞いておきましょう。遅れを取り戻そうとまとめて服用することは避けます。

服用前後の激しい運動や入浴には注意が必要です。具体的な時間の間隔は、処方された製品の説明と主治医の指示に従います。家庭では見守る人と連絡先を共有し、子どもが「口やのどが変」と感じたらすぐ伝えられるようにしておきます。[3]

06

親子で納得してから、毎日の治療へ

診察室から

診察では、治療の効果だけでなく「毎日いつなら無理なく使えるか」「変な感じがしたときに大人へ伝えられるか」も確認します。始める前に生活の流れを一緒に考え、続けにくさが出たときも早めに相談できるようにします。

期待すること

どの症状を、どれくらい楽にしたいかを親子で話します。

安全の確認

副作用の見分け方、119番の目安、診療時間外の連絡方法を聞きます。

続け方

飲み忘れ、発熱、喘息の悪化、歯科処置、宿泊行事への対応を確認します。

見直す時期

効果の確認、通院間隔、治療を続けるか判断する時期を聞きます。

お子さんが迷っている場合は、急いで開始を決めず、疑問を持ち帰って考えて構いません。日々の薬で症状を整えながら検討する選択肢もあります。本人と家族の両方が理解し、困ったときに相談できることが、治療を続ける土台になります。

飲み薬・点鼻薬と家庭でできる対策を確認する
FAQ

よくある質問

何歳から舌下免疫療法を始められますか?

年齢だけで決めません。スギ花粉の舌下錠では5歳未満の有効性・安全性を調べた臨床試験は実施されておらず、正しく舌下投与できることが必要です。製品の条件、本人の理解、保護者の見守りを主治医と確認します。

花粉症の季節になってから始められますか?

スギ花粉の舌下錠は、スギ花粉が飛んでいる時期に新しく開始しません。地域とその年の飛散状況に合わせ、医療機関で開始時期を相談してください。

花粉の飛ばない時期は休んでよいですか?

基本的に花粉の時期以外も継続する治療です。自己判断で中断せず、体調不良や飲み忘れのときの対応、再開方法を主治医に確認します。

舌下免疫療法をすれば、喘息も治りますか?

この治療の対象や効果を、喘息の治療と同じには考えません。喘息の薬を自己判断でやめず、喘息の状態を主治医に伝えて、鼻炎の治療を安全に行えるか確認してください。

REF

参考文献