Gastroenterology / Gastric lesions

胃ポリープ・胃粘膜下腫瘍の検査と治療

胃の「ふくらみ」は、できた場所と組織の種類によって対応が変わります。病名が確定しているのか、これから調べる段階なのかを最初に確認しましょう。

最終更新 2026.09.26監修日 2026.09.26
名前だけでがんとは決めない
判断に必要種類・大きさ・変化
経過観察も次回予定を決める
結論から

胃ポリープは主に粘膜の表面側の隆起、胃粘膜下病変は表面を粘膜に覆われた隆起です。どちらも見つかっただけで、がんや手術が必要と決まるわけではありません。種類、大きさ、形、組織検査の結果から、追加検査・経過観察・切除を選びます。吐血や激しい腹痛などがあれば、結果説明の予約を待たず受診してください。

知りたいことから選ぶポリープの種類・粘膜下腫瘍の検査の詳しい解説へ
01

結果説明の予約より先に、症状を確認する

今すぐ119番へ

吐血、突然の激しい腹痛、意識が遠のく、強い息苦しさ。黒い便と冷汗・ふらつきがある場合も、自分で運転せず救急へ連絡します。

当日中に連絡・受診

原因不明の黒くタール状の便、繰り返す嘔吐、水分が取れない場合は、予約日を待たず医療機関へ連絡します。

結果説明を予約

無症状で健診の指摘だけなら、結果用紙を持ち消化器内科へ。貧血・体重減少・食欲低下があるときは受診時期を早めに相談します。

ポリープや粘膜下病変は無症状で見つかることがあります。一方、出血などが起こる病変もあります。急な症状を「以前のポリープのせい」と決めず、緊急性を先に確認してください。[2][7]

02

表面の病変と、粘膜の下の病変を分ける

「胃にできものがある」という説明だけでは、病変の種類は分かりません。粘膜表面の病変では胃底腺ポリープや過形成性ポリープ、腺腫などを区別します。粘膜下病変には良性のものも、GISTなど専門的な評価が必要なものも含まれます。[1][2]

表面の隆起

ポリープ・腺腫

対象
胃粘膜の表面側にできた病変
根拠
種類と組織、周囲の胃炎を確認する。[1]
注意
すべてを切除するわけではない。
種類別の対応を読む
壁の内側の隆起

粘膜下病変

対象
表面を粘膜に覆われた病変
根拠
EUSや必要な組織採取で性質を調べる。[4]
注意
粘膜下腫瘍という所見だけでGISTとは決まらない。
検査と治療の判断を読む
胃の模型を使い、医師と患者が検査結果を相談する生成イメージ
胃のどの部分に、どの種類の病変があるかを確認する相談場面の生成イメージです。実在の医師・患者や実際の検査結果ではありません。

「粘膜下」は見え方を表す言葉としても使われ、すべてが同じ種類の腫瘍ではありません。胃の外から押されて、ふくらんで見える場合もあります。検査結果には、推定される病名と確定診断を分けて残してもらいましょう。[4]

03

検査結果に書かれた名前から確認する

結果に病変の名前がなく「要精査」とだけ書かれている場合は、検査施設または消化器内科で説明を受けてください。画像を自分で比較して良性・悪性を判定することはできません。

04

生検と超音波内視鏡は、調べる場所が違う

  1. 内視鏡の記録を確認

    病変の位置・大きさ・表面の様子と、過去からの変化を確認します。

  2. 必要な組織を調べる

    生検は組織の一部を採って顕微鏡で調べる検査です。表面の生検だけでは深い病変の正体が分からない場合があります。

  3. 深さや広がりを確認

    粘膜下病変では超音波内視鏡(EUS)や、必要に応じCT・EUSを使った組織採取を検討します。

  4. 結果説明で方針を決める

    分かったこと、未確定なこと、追加検査または次回観察の予定を確認します。

EUSは胃の壁を超音波で観察する検査で、必要なら針などで病変の組織を採取します。すべての方にすべての検査を行うわけではなく、検査結果が対応を変えるか、検査の負担はどうかも考えて選びます。[4]

診察室から

結果用紙の「ポリープ」と「粘膜下腫瘍」は、どちらも「胃のできもの」と受け取られやすい言葉です。説明では、画像で見えている部分と、組織検査で分かった部分を分けて整理すると、追加検査が必要な理由を伝えやすくなります。「次は何の結果を聞くのか」を予約と一緒に確認することが大切です。

05

経過観察は、確認する項目を決めて続ける

胃底腺ポリープ
典型的なものは治療せずに扱うことがあります。非典型的な所見などがあれば個別に検討します。[1]
過形成性ポリープ
ピロリ菌感染の有無を確認し、感染があれば除菌を検討します。大きさや出血、がんを疑う所見によって切除も考えます。[5][1]
胃粘膜下病変
大きさだけでなく増大、表面の潰瘍、組織結果などで判断します。小さくてもGISTと確定した場合は、観察中の未診断病変と同じ扱いにはできません。[3]

経過観察と言われたら、次の検査の時期、何が変わったら早めに連絡するか、どこで結果をまとめるかを確認してください。痛みがないことと、必要な検査を省けることは別です。

06

追加検査・観察・切除、それぞれの目的を比べる

次の方針を選ぶときは、「何もしないか、取るか」だけではなく、今の診断がどこまで確かかを確認します。検査を追加して病変の性質を確かめる段階、変化を見る段階、治療を進める段階では目的が違います。必要な判断材料がまだそろっていない場合は、結果を待つ理由と予定を聞いておきましょう。

追加検査を受ける
病変の種類が分からない、深さや広がりの確認が必要な場合などに検討します。何を調べ、結果によって対応がどう変わるかを確認します。検査でも診断がつかない可能性と、その場合の次の選択肢も聞いておきましょう。[4]
経過観察をする
今すぐ治療する必要性と検査・治療の負担を踏まえ、状態を確認する方針です。次の検査時期が決まっていることが大切です。「症状が出るまで待つ」と同じ意味かどうか、あいまいなときは主治医に確認してください。
切除を検討する
種類や形、組織、出血などから治療が必要と考えられる場合です。胃カメラで表面の病変を切除する方法と、深い病変を手術する方法では準備と負担が異なります。記事だけで方法を選ばず、担当医から具体的な説明を受けましょう。

同じ大きさでも、過去から変わらない病変と増大している病変では評価が変わることがあります。現在の結果用紙だけでなく、以前の検査日と画像が役に立ちます。結果に書かれた数字だけを比較して増大と断定せず、測定方法や観察条件も医師に確認してもらってください。[3]

治療を提案されたときは、期待される利益、主な危険、治療しない場合の見通し、代わりの選択肢を聞きましょう。持病、使用薬、仕事や介護、通院距離なども方針を相談する情報です。理解できなかった部分は、短い言葉や図でもう一度説明してもらって構いません。説明内容をメモにして持ち帰ると、家族とも共有しやすくなります。

費用は「検査」と「治療」を分けて確認健診で見つかった病変の精密検査と、もともとの健診・人間ドックでは費用の扱いが異なる場合があります。検査内容や保険の条件によって自己負担は変わるため、一律の金額は示せません。検査前に予定内容と追加費用、切除する場合の入院の要否を施設へ確認してください。

紹介先で検査を受ける場合には、紹介元で何が分かり、紹介先で何を調べるかを整理します。検査結果をどちらの医療機関で聞くか、経過観察はどちらで続けるかも確認しましょう。受診先が複数あっても、同じ検査を重ねる必要があるかは記録を共有して相談できます。

07

結果用紙・薬・次回予定を一つにまとめる

持参するもの
胃カメラ・病理の結果、過去画像、ピロリ菌の検査・除菌歴、お薬手帳。結果が手元になくても受診できます。
予約時の確認
検査だけか組織採取も予定するか、鎮静の有無、付き添い、結果説明の日時。
費用の確認
胃カメラ、超音波内視鏡、生検、病理検査、切除・入院は別に費用が変わります。保険の扱いと自己負担を実施施設へ確認します。

食事・水分の制限は検査施設の指示に従います。血液を固まりにくくする薬や糖尿病薬などは予約時に申告し、自分で中止・変更しません。鎮静薬を使った日は自動車・バイク・自転車を運転できないため、帰宅方法も先に決めておきましょう。[6]

ピロリ菌の検査や除菌は、ピロリ菌の検査と治療でも解説しています。症状や胃粘膜の炎症については、胃炎の種類と検査を確認できます。

08

よくある質問

説明を聞く日に家族と一緒に行ってもよいですか?

同席を希望する場合は施設へ確認してください。聞きたいことを事前にメモし、ご本人がどの範囲の情報を家族と共有したいかも伝えると相談しやすくなります。

仕事の都合で予約日を変更したいときは?

病変の評価段階によって、延期できる期間は異なります。自分で長く先延ばしせず、検査内容と希望日を施設へ伝え、変更できるか相談してください。

結果を電話で聞けば十分ですか?

電話説明が可能かは、施設と結果の内容によります。追加検査や治療の相談が必要な場合もあるため、指定された説明方法と受診の要否を確認してください。

別の医師にも治療方針を相談できますか?

相談できます。紹介状、内視鏡画像、病理結果など何が必要かを希望先へ確認します。相談の予約中でも、進行中の検査・治療を中断してよいとは限りません。

09

参考文献