- ✓ 血尿には肉眼的血尿と顕微鏡的血尿があり、それぞれ原因が異なります。
- ✓ 血尿の原因は、尿路結石、膀胱炎、腎炎、がんなど多岐にわたるため、早期の医療機関受診が重要です。
- ✓ 血尿が見られた場合は、泌尿器科または腎臓内科を受診し、適切な検査と診断を受けることが大切です。
血尿は、尿に血液が混じる状態を指し、その見た目によって「肉眼的血尿」と「顕微鏡的血尿」の2種類に大別されます。尿の色が赤や茶色に変色している場合は肉眼的血尿であり、目で見て異常がわかるため、多くの方が自覚して医療機関を受診します。一方、顕微鏡的血尿は、肉眼では尿の色の変化に気づかず、健康診断などの尿検査で初めて指摘されるケースがほとんどです。血尿は、腎臓から尿道までの尿路のどこかに異常があることを示すサインであり、放置すると重篤な疾患を見逃す可能性があるため、早期の診断と適切な対処が重要です[2]。
目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)の原因とは?

肉眼的血尿とは、尿の色が赤色や茶色、あるいはピンク色に変色し、肉眼で血液の混入が確認できる状態を指します。実臨床では、突然の肉眼的血尿に驚き、救急で来院される患者さんが多くいらっしゃいます。このタイプの血尿は、尿中に多量の赤血球が含まれていることを示唆しており、その原因は多岐にわたります。
尿路結石
尿路結石は、腎臓、尿管、膀胱、尿道のいずれかの部位に結石が形成される疾患です。結石が尿路を移動する際に粘膜を傷つけ、出血を引き起こすことで肉眼的血尿が生じることがあります。特に、尿管結石では、結石が尿管を通過する際に激しい腰背部痛や側腹部痛(疝痛発作)を伴うことが特徴です。結石のサイズや位置によっては、尿の流れが妨げられ、水腎症(腎臓に尿がたまる状態)を引き起こす可能性もあります[3]。臨床の現場では、血尿と同時に激しい痛みを訴える患者さんの多くが尿路結石と診断されます。
膀胱炎・腎盂腎炎
細菌感染によって膀胱に炎症が起こる膀胱炎は、肉眼的血尿の一般的な原因の一つです。膀胱の粘膜が炎症を起こし、毛細血管が破れて出血することで血尿が生じます。頻尿、排尿時の痛み(排尿痛)、残尿感、下腹部痛などの症状を伴うことが多く、女性に多く見られます。腎盂腎炎は、細菌が尿路を逆行して腎臓にまで達し、腎盂(じんう)や腎臓実質に炎症が起こる疾患です。高熱、悪寒、腰や背中の痛み、吐き気、嘔吐などの全身症状に加え、肉眼的血尿が見られることもあります。これらの感染症は、適切な抗菌薬治療によって改善が期待できますが、重症化すると腎機能に影響を及ぼす可能性もあるため、早期の治療が重要です。
尿路のがん
腎臓がん、尿管がん、膀胱がん、前立腺がんなどの尿路系のがんは、肉眼的血尿の重要な原因の一つです。特に、膀胱がんは、痛みなどの自覚症状を伴わない肉眼的血尿(無症候性肉眼的血尿)として発見されることが少なくありません。初診時に「痛みがないのに急に血尿が出た」と相談される患者さんの場合、がんの可能性も念頭に置いて精密検査を進める必要があります。がんによる出血は、腫瘍が大きくなるにつれて尿路の血管を侵食したり、表面がもろくなったりすることで生じます。早期発見・早期治療が予後を大きく左右するため、肉眼的血尿が見られた場合は、たとえ一度きりであっても、必ず医療機関を受診することが強く推奨されます[2]。
その他の肉眼的血尿の原因
- 外傷:交通事故や転倒などによる腹部や骨盤への強い衝撃によって、腎臓や膀胱が損傷し、出血することがあります。
- 薬剤性:一部の抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)や抗がん剤などが、出血傾向を高め、肉眼的血尿を引き起こすことがあります。
- 運動後血尿:激しい運動の後に一時的に血尿が見られることがありますが、これは腎臓への血流変化や膀胱への機械的刺激が原因と考えられています。通常は自然に消失しますが、念のため医療機関での確認が望ましいです。
- 腎疾患:糸球体腎炎などの腎臓の病気でも肉眼的血尿が見られることがあります。
検査で見つかる血尿(顕微鏡的血尿)の原因と注意点

顕微鏡的血尿とは、肉眼では尿の色に異常がないものの、尿検査で顕微鏡下に赤血球が確認される状態を指します。健康診断などで偶発的に発見されることが多く、自覚症状がないため見過ごされがちですが、その背景には重要な疾患が隠れている可能性もあります。臨床の現場では、顕微鏡的血尿の患者さんに対して、自覚症状の有無にかかわらず、その原因を慎重に特定するよう努めています。
腎臓の病気(糸球体腎炎など)
顕微鏡的血尿の主な原因の一つに、腎臓の糸球体(血液をろ過する部分)に炎症が起こる「糸球体腎炎」があります。糸球体腎炎は、免疫異常などが原因で腎臓のフィルター機能が障害され、赤血球が尿中に漏れ出すことで血尿が生じます。多くの場合、自覚症状は乏しく、健康診断での尿検査で初めて指摘されることがほとんどです。しかし、放置すると腎機能が徐々に低下し、慢性腎臓病へと進行するリスクがあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。特に、小児における血尿の原因として糸球体腎炎は考慮すべき疾患の一つとして挙げられています[1]。日常診療では、顕微鏡的血尿が続く患者さんには、腎臓専門医への紹介を検討し、より詳細な検査をお勧めしています。
尿路結石・尿路のがん(早期)
肉眼的血尿の原因としても挙げられる尿路結石や尿路のがんは、初期段階では顕微鏡的血尿として現れることがあります。特に、膀胱がんの初期段階では、痛みなどの症状がないまま顕微鏡的血尿が唯一のサインであることも少なくありません。そのため、顕微鏡的血尿が指摘された場合でも、これらの重篤な疾患の可能性を考慮し、精密検査を行うことが非常に重要です[2]。実際の診療では、顕微鏡的血尿が指摘された後、超音波検査やCT検査で早期の尿路がんが発見されるケースも経験します。
前立腺肥大症
男性の場合、加齢とともに前立腺が肥大する前立腺肥大症も顕微鏡的血尿の原因となることがあります。肥大した前立腺の表面にある血管がうっ血したり、排尿時に刺激を受けたりすることで出血が生じます。頻尿、排尿困難、残尿感などの排尿症状を伴うことが一般的ですが、血尿が唯一の症状であることもあります。前立腺がんとの鑑別も重要であるため、専門医による診察が必要です。
その他の顕微鏡的血尿の原因
- 激しい運動:肉眼的血尿と同様に、激しい運動後に一時的に顕微鏡的血尿が見られることがあります。
- 薬剤性:抗凝固薬などの影響で、顕微鏡レベルでの出血が増加することがあります。
- 月経血の混入:女性の場合、月経中に尿検査を行うと、月経血が尿に混入して血尿と判定されることがあります。これは病的な血尿ではないため、再検査で確認することが重要です。
顕微鏡的血尿は自覚症状がないことが多いため、健康診断などで指摘された場合は、症状がなくても必ず医療機関を受診し、原因を特定するための精密検査を受けるようにしてください。特に、高齢者や喫煙歴のある方は、尿路がんのリスクが高まるため、より慎重な検査が必要です。
血尿の応急処置・受診先・検査について
血尿に気づいた際、どのように対処し、どの医療機関を受診すべきか、またどのような検査が行われるのかは、患者さんにとって大きな関心事です。実際の診療では、血尿の程度や随伴症状によって緊急性が異なるため、適切な判断が求められます。
血尿が見られた際の応急処置と注意点
血尿が見られた場合、まず落ち着いて状況を把握することが重要です。応急処置としては、以下の点に注意してください。
- 水分補給:特に、尿路結石や膀胱炎が疑われる場合は、積極的に水分を摂取し、尿量を増やすことで、結石の排出を促したり、細菌を洗い流したりする効果が期待できます。ただし、心臓や腎臓に疾患がある場合は、医師の指示に従ってください。
- 安静にする:激しい運動は避け、体を休めるようにしましょう。
- 排尿状況の観察:血尿の程度、色、排尿時の痛み、頻尿、残尿感などの症状の有無や変化を記録しておくと、診察時に役立ちます。
ただし、激しい腹痛や腰痛、高熱、意識障害、尿が出ないなどの症状を伴う場合は、緊急性が高いため、速やかに医療機関を受診してください[4]。
何科を受診すべきか?
血尿の主な受診先は、泌尿器科または腎臓内科です。どちらを受診すべきか迷う場合は、以下の目安を参考にしてください。
- 泌尿器科
- 尿路結石、膀胱炎、尿路がん(腎臓、尿管、膀胱、尿道、前立腺)、前立腺肥大症など、腎臓以外の尿路系の疾患が疑われる場合に適しています。肉眼的血尿の場合は、まず泌尿器科を受診することが一般的です。
- 腎臓内科
- 糸球体腎炎など、腎臓そのものの病気が疑われる場合に適しています。特に、蛋白尿を伴う顕微鏡的血尿や、腎機能の低下が見られる場合は、腎臓内科の専門医による診察が望ましいです。
どちらの科を受診すべきか判断に迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、総合病院の総合内科を受診し、適切な専門科への紹介を受けることも可能です。実際の診療では、血尿の原因が多岐にわたるため、泌尿器科と腎臓内科が連携して治療にあたることも少なくありません。
血尿の検査方法
血尿の原因を特定するためには、様々な検査が行われます。主な検査は以下の通りです。
- 尿検査:尿中の赤血球の有無や量、白血球、細菌、蛋白、糖などを調べます。尿沈渣(ちんさ)検査では、顕微鏡で尿中の細胞や結晶を詳しく観察し、腎臓由来か尿路由来かをある程度判別することが可能です。
- 血液検査:腎機能(クレアチニン、eGFR)、炎症反応(CRP)、貧血の有無などを確認します。
- 画像検査:
- 超音波検査(エコー):腎臓や膀胱の形、結石の有無、腫瘍の有無などを非侵襲的に調べることができます。
- CT検査:尿路結石の確定診断や、腎臓がん、膀胱がんなどの詳細な評価に用いられます。造影剤を使用することで、より詳細な情報が得られます。
- MRI検査:CT検査が難しい場合や、特定の病変の評価に用いられることがあります。
- 膀胱鏡検査:尿道から細い内視鏡を挿入し、膀胱の内部を直接観察する検査です。膀胱がんの診断や、原因不明の血尿の精査に非常に有用です。
- 尿細胞診:尿中にがん細胞が含まれていないかを顕微鏡で調べる検査です。
これらの検査を組み合わせて、血尿の正確な原因を突き止め、適切な治療方針を決定します。実際の診療では、問診や身体診察の結果から、どの検査を優先するかを判断していきます。
症状の掛け合わせ(血尿+〇〇)で考えられる疾患は?

血尿は単独で現れることもありますが、他の症状と併発することで、より具体的な疾患が絞り込まれることがあります。日々の診療では、患者さんの訴える症状を総合的に判断し、効率的に原因疾患を特定するよう努めています。
血尿+痛み
血尿に痛みが伴う場合、その痛みの種類や部位によって原因疾患が大きく異なります。臨床の現場では、痛みの性状を詳しく聞くことが診断の重要な手がかりとなります。
- 排尿時の痛み(排尿痛)+頻尿+残尿感:これらの症状が揃う場合、細菌性膀胱炎が最も疑われます。女性に多く、尿道が短いため細菌が侵入しやすいことが原因です。
- 激しい腰背部痛または側腹部痛(疝痛発作):尿路結石が尿管を移動する際に生じる典型的な症状です。痛みは非常に強く、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。
- 腰や背中の鈍い痛み+高熱:腎盂腎炎の可能性が高いです。細菌感染が腎臓にまで及んだ状態で、全身症状を伴います。
血尿+発熱
血尿に発熱が伴う場合、感染症の可能性を強く示唆します。発熱の高さや他の症状によって、感染部位を推測することができます。
- 高熱(38℃以上)+悪寒+腰痛:腎盂腎炎が最も疑われます。重症化すると敗血症に移行するリスクもあるため、早急な治療が必要です。
- 微熱〜中等度の発熱+排尿痛:膀胱炎や尿道炎などの下部尿路感染症の可能性があります。
血尿+むくみ(浮腫)+蛋白尿
これらの症状が同時に現れる場合、腎臓の病気、特に糸球体腎炎の可能性が高いです。むくみは、腎臓の機能が低下し、体内の水分や塩分が適切に排出されなくなることで生じます。蛋白尿は、腎臓のフィルター機能が障害され、血液中のタンパク質が尿中に漏れ出すことで起こります。治療を始めて数ヶ月ほどで「むくみが取れて体が楽になった」とおっしゃる方が多いです。このような症状が見られる場合は、腎臓内科の専門医による精密検査と治療が不可欠です。
| 症状の組み合わせ | 考えられる主な疾患 | 受診すべき科 |
|---|---|---|
| 血尿のみ(無症状) | 尿路がん、糸球体腎炎、尿路結石(初期) | 泌尿器科、腎臓内科 |
| 血尿+排尿痛+頻尿 | 膀胱炎、尿道炎 | 泌尿器科 |
| 血尿+激しい腰痛/側腹部痛 | 尿路結石 | 泌尿器科 |
| 血尿+高熱+腰痛 | 腎盂腎炎 | 泌尿器科、内科 |
| 血尿+むくみ+蛋白尿 | 糸球体腎炎 | 腎臓内科 |
まとめ
血尿は、肉眼で確認できる肉眼的血尿と、検査で発見される顕微鏡的血尿に分けられます。その原因は、尿路結石、膀胱炎、腎盂腎炎といった感染症、腎臓の病気(糸球体腎炎など)、さらには尿路系のがんまで多岐にわたります。特に、痛みなどの自覚症状を伴わない血尿であっても、尿路がんのサインである可能性があり、早期発見が非常に重要です。
血尿に気づいた場合は、慌てずに泌尿器科または腎臓内科を受診し、適切な検査を受けることが大切です。問診、尿検査、血液検査、超音波検査、CT検査、膀胱鏡検査などを通じて、血尿の正確な原因を特定し、それぞれの原因に応じた治療を開始します。症状の組み合わせによって疑われる疾患も異なるため、ご自身の症状を正確に医師に伝えることが、早期診断への第一歩となります。血尿は体のSOSサインの一つであり、決して軽視せず、専門医の診察を受けるようにしてください。
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- Orsolya Horváth, Attila József Szabó, Ildikó Várkonyi et al.. [Causes of hematuria in childhood – current diagnosis and management].. Orvosi hetilap. 2024. PMID: 39008367. DOI: 10.1556/650.2024.33073
- Christian Bolenz, Bernd Schröppel, Andreas Eisenhardt et al.. The Investigation of Hematuria.. Deutsches Arzteblatt international. 2019. PMID: 30642428. DOI: 10.3238/arztebl.2018.0801
- Leah M Peterson, Henry S Reed. Hematuria.. Primary care. 2019. PMID: 31030828. DOI: 10.1016/j.pop.2019.02.008
- M C Sokolosky. Hematuria.. Emergency medicine clinics of North America. 2001. PMID: 11554278. DOI: 10.1016/s0733-8627(05)70206-6
