【血尿の原因と病院受診の目安を医師が解説】

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血尿の原因と病院受診の目安を医師が解説
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 血尿には目で見てわかる肉眼的血尿と、検査でわかる顕微鏡的血尿がある
  • ✓ 血尿の原因は多岐にわたり、泌尿器科疾患から腎臓病、全身疾患まで幅広く考えられる
  • ✓ 血尿を指摘された場合は、症状の有無にかかわらず、早期に医療機関を受診し精密検査を受けることが重要である
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
血尿は、尿に血液が混じる状態を指し、その原因は多岐にわたります。目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)と、見た目ではわからず検査で初めて判明する血尿(顕微鏡的血尿)があり、どちらも放置せずに医療機関を受診することが重要です。特に、肉眼的血尿は、膀胱がんなどの重篤な疾患のサインである可能性も指摘されており[1]、早期の診断と治療が求められます。この記事では、血尿の主な原因、対処法、そして何科を受診すべきかについて、専門医の立場から詳しく解説します。

目で見てわかる血尿(肉眼的血尿)の原因とは?

目で見てわかる肉眼的血尿を引き起こす膀胱炎や尿路結石の主な原因
肉眼的血尿の原因を示す

肉眼的血尿とは、尿の色が赤や茶色、ピンク色に変色し、肉眼で血液の混入が確認できる状態を指します。尿中の赤血球濃度が1ミリリットルあたり1万個以上になると肉眼で確認できるとされています。このタイプの血尿は、患者さん自身が異常に気づきやすいため、早期受診につながりやすい特徴があります。

肉眼的血尿の主な原因

肉眼的血尿の原因は、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)のどこかからの出血が考えられます。特に、高齢者における肉眼的血尿は、悪性腫瘍(がん)の可能性が高いため、詳細な検査が不可欠です[1]。日常診療では、「急に尿が真っ赤になった」と驚いて受診される方が少なくありません。中には、痛みを伴わない血尿で、数日で自然に止まったため放置していたという方もいらっしゃいますが、痛みがなくても重篤な疾患が隠れていることがあるため注意が必要です。

  • 尿路結石: 尿路に結石ができることで、粘膜を傷つけ出血を引き起こします。激しい腰や脇腹の痛みを伴うことが多いですが、結石の場所や大きさによっては痛みが少ないこともあります。
  • 膀胱炎・腎盂腎炎: 細菌感染により膀胱や腎臓に炎症が起こり、出血することがあります。頻尿、排尿時痛、残尿感、発熱などの症状を伴うことが一般的です。特に女性に多く見られます。
  • 尿路悪性腫瘍(がん): 膀胱がん、腎臓がん、尿管がんなど、尿路に発生するがんは肉眼的血尿の重要な原因です。特に膀胱がんは、無症候性の肉眼的血尿として発見されることが多く、痛みを伴わないため見過ごされがちです[1]
  • 前立腺肥大症: 男性特有の疾患で、前立腺が肥大することで尿道が圧迫され、血管が破れて出血することがあります。排尿困難や頻尿などの症状を伴います。
  • 腎臓病(腎炎など): 糸球体腎炎などの腎臓の病気でも肉眼的血尿が出ることがあります。この場合、尿の色はコーラのように黒っぽい色になることもあります。
  • 外傷: 事故や打撲などにより、腎臓や膀胱などの尿路が損傷した場合にも血尿が見られます。
  • 薬剤性: 一部の薬剤(抗凝固薬など)の副作用として出血傾向が高まり、血尿が出ることがあります。

これらの原因は単独で起こることもあれば、複数同時に存在することもあります。特に、高齢の患者さんで肉眼的血尿が見られた場合、悪性腫瘍の可能性を念頭に置き、速やかに精密検査を進めることが臨床現場では非常に重要です[1]

⚠️ 注意点

肉眼的血尿は、症状が一時的に治まっても、その原因が解決したわけではありません。特に痛みがない血尿は、がんなどの重篤な病気のサインである可能性もあるため、必ず医療機関を受診してください。

検査で見つかる血尿(顕微鏡的血尿)の原因とは?

顕微鏡で確認される血尿の主な原因となる腎臓病や尿路系の疾患
顕微鏡的血尿の原因を解説

顕微鏡的血尿とは、肉眼では尿の色の変化がわからないものの、尿検査で顕微鏡的に赤血球が検出される状態を指します。具体的には、尿沈渣(ちんさ)検査で1視野あたり5個以上の赤血球が認められる場合に顕微鏡的血尿と診断されます。このタイプの血尿は、健康診断などで偶然発見されることが多く、自覚症状がない場合も少なくありません[2]

顕微鏡的血尿の主な原因

顕微鏡的血尿の原因も肉眼的血尿と同様に多岐にわたりますが、自覚症状がないため、より広範な疾患の可能性を考慮する必要があります。日々の診療では、「健康診断で血尿を指摘されたが、全く自覚症状がないので心配ないと思っていた」と相談される方が少なくありません。しかし、無症状であっても、その背景には治療を要する疾患が隠れている可能性があるため、精密検査は非常に重要です[4]

  • 腎臓病(糸球体腎炎など): 腎臓の糸球体というフィルターに炎症が起こることで、赤血球が尿中に漏れ出します。IgA腎症や膜性腎症など、様々な種類の腎炎があります。タンパク尿を伴うことも多く、腎機能の低下につながる可能性もあります。
  • 尿路結石症: 小さな結石が尿路を移動する際に粘膜を傷つけ、顕微鏡的な出血を引き起こすことがあります。
  • 尿路悪性腫瘍: 膀胱がんや腎臓がん、尿管がんの初期段階では、自覚症状のない顕微鏡的血尿として発見されることがあります[1]。特に高齢者では、この可能性を常に考慮して検査を進めます。
  • 前立腺肥大症: 前立腺の肥大により、血管が脆弱になり、顕微鏡的な出血が見られることがあります。
  • 激しい運動後: 過度な運動により、腎臓や膀胱に一時的なストレスがかかり、一時的に顕微鏡的血尿が出ることがあります。通常は数日で自然に消失します。
  • 薬剤性: 抗凝固薬や一部の鎮痛剤など、出血傾向を高める薬剤を服用している場合に顕微鏡的血尿が見られることがあります。
  • その他: 感染症、外傷、月経による混入(女性の場合)、まれに全身疾患(鎌状赤血球症など)が原因となることもあります[2]

顕微鏡的血尿の検査と診断

顕微鏡的血尿が指摘された場合、まずは本当に血尿であるか、そしてその原因がどこにあるのかを特定するための検査が行われます[4]。尿検査で赤血球の形態を調べることで、腎臓由来か尿路由来かをある程度推測できます。例えば、変形赤血球が多く認められる場合は、腎臓の糸球体からの出血が疑われます。

尿沈渣検査
尿を遠心分離して得られた沈殿物を顕微鏡で観察する検査です。赤血球、白血球、上皮細胞、円柱、結晶など、尿中の様々な成分を詳細に調べることができます。顕微鏡的血尿の診断に不可欠な検査です。

顕微鏡的血尿は、肉眼的血尿と比較して緊急性は低いと捉えられがちですが、特に高齢者や喫煙歴がある方では、悪性腫瘍のリスクも考慮し、定期的な経過観察や精密検査が推奨されます[1]。臨床経験上、無症状の顕微鏡的血尿で経過観察中に、数年後に膀胱がんが発見されたケースも経験しており、定期的なフォローアップの重要性を患者さんには必ずお伝えしています。

血尿の応急処置・受診先・検査は何をすべき?

血尿に気づいた際、どのように対処し、どの医療機関を受診すべきか、そしてどのような検査が行われるのかは、多くの患者さんが抱く疑問です。血尿は放置せず、適切な対応と早期の受診が非常に重要です。

血尿に気づいたらまず何をすべき?(応急処置)

血尿に気づいた場合、ご自身でできる応急処置は限られていますが、以下の点に注意してください。実臨床では、「どうしたらいいかわからなくて、とりあえず水をたくさん飲んだ」という患者さんもいらっしゃいますが、原因によっては水分摂取が逆効果になることもあるため、自己判断は避けましょう。

  • 慌てずに状況を観察する: 尿の色(鮮血か、茶色か、ピンク色か)、血尿が出始めた時期、排尿時の痛みや頻尿、発熱などの随伴症状の有無を確認してください。
  • 水分摂取: 尿路結石による血尿の場合、水分を多めに摂ることで結石の排出を促す効果が期待できることもありますが、腎臓病などで水分制限が必要な場合もあるため、過度な摂取は避け、医療機関で指示を仰ぐのが賢明です。
  • 安静にする: 激しい運動や重労働は避け、体を休めるようにしてください。
  • 医療機関を受診する: 最も重要なのは、自己判断せずに速やかに医療機関を受診することです。特に肉眼的血尿の場合は、緊急性が高いこともあります。

血尿は何科を受診すべき?

血尿を認めた場合、まず受診すべきは泌尿器科です。泌尿器科は、腎臓、尿管、膀胱、尿道といった尿路全般の疾患を専門としており、血尿の原因の多くはこれらの臓器に由来します[2]。女性の場合、婦人科疾患が原因で出血し、尿道から出た血液と混同されるケースもありますが、まずは泌尿器科を受診し、必要に応じて他科へ紹介されるのが一般的です。

小児の血尿の場合は、小児科または小児泌尿器科を受診します[3]

血尿の検査と診断の流れ

医療機関では、問診、身体診察に加え、以下のような検査が行われます。診察の場では、「いつから血尿が出ましたか?」「痛みはありますか?」「最近、何か薬を飲み始めましたか?」といった具体的な質問を通じて、原因の手がかりを探します。

  1. 尿検査: 尿中の赤血球の有無、白血球、細菌、タンパク質などを調べます。尿沈渣検査で赤血球の形態を評価し、腎臓由来か尿路由来かを鑑別する重要な手がかりとなります[4]
  2. 尿細胞診: 尿中にがん細胞が混じっていないかを調べる検査です。特に膀胱がんなどの尿路悪性腫瘍のスクリーニングに有用です[4]
  3. 血液検査: 腎機能(クレアチニン、eGFR)、炎症反応(CRP)、貧血の有無などを評価します。
  4. 画像検査:
    • 腹部超音波検査(エコー): 腎臓、膀胱、前立腺などの形態を非侵襲的に評価できます。結石や腫瘍の有無を確認するのに役立ちます。
    • CT検査: 腎臓、尿管、膀胱のより詳細な情報が得られ、小さな結石や腫瘍の発見に優れています。造影剤を使用することで、血管や病変の状態をより明確に把握できます。
    • MRI検査: CT検査と同様に詳細な情報が得られますが、放射線被ばくがないという利点があります。
  5. 膀胱鏡検査: 尿道から細い内視鏡を挿入し、膀胱の内部を直接観察する検査です。膀胱内の出血源や腫瘍の有無を直接確認できるため、肉眼的血尿の原因究明には非常に重要な検査です[1]

これらの検査を組み合わせて、血尿の原因を特定し、適切な治療方針を決定します。実際の診療では、肉眼的血尿の患者さんには、まず超音波検査と尿検査を行い、必要に応じてCT検査や膀胱鏡検査に進むことが多いです。特に膀胱鏡検査は、患者さんにとって心理的な負担が大きい検査ですが、膀胱がんの早期発見には欠かせないため、丁寧な説明と同意を得て実施しています。

症状の掛け合わせ(血尿+〇〇)で疑われる疾患は?

血尿に加えて発熱や排尿痛など他の症状がある場合に疑われる疾患
血尿と合併症状で疑う病気

血尿は単独で現れることもありますが、他の症状を伴うことで、より具体的な疾患を絞り込む手がかりとなります。ここでは、血尿に加えて特定の症状がある場合に疑われる主な疾患について解説します。臨床現場では、患者さんの訴える症状を総合的に判断し、効率的に診断を進めることが重要になります。

組み合わせる症状疑われる主な疾患特徴・補足
血尿+排尿時痛・頻尿・残尿感膀胱炎、尿道炎細菌感染による炎症。女性に多い。
血尿+腰痛・脇腹の激痛尿路結石症結石が尿路を塞ぐことで激しい痛みを伴う。
血尿+発熱・悪寒・全身倦怠感腎盂腎炎、重症膀胱炎腎臓や尿路の細菌感染が全身に波及した状態。
血尿+むくみ・高血圧・タンパク尿腎臓病(糸球体腎炎など)腎臓の機能障害を示唆する。腎臓内科での精査が必要。
血尿+排尿困難・尿勢低下(男性)前立腺肥大症前立腺の肥大により尿道が圧迫される。
血尿(特に肉眼的)+無症状尿路悪性腫瘍(膀胱がん、腎臓がんなど)痛みを伴わない血尿は特に注意が必要[1]

各症状の組み合わせと臨床上の注意点

  • 血尿+排尿時痛・頻尿・残尿感: これらの症状は典型的な膀胱炎の症状です。特に女性に多く見られ、細菌感染が原因です。抗生剤による治療で比較的速やかに改善することが期待できます。しかし、症状が改善しない場合や繰り返す場合は、他の原因(間質性膀胱炎、膀胱がんなど)も考慮し、精密検査が必要です。
  • 血尿+腰痛・脇腹の激痛: 尿路結石の可能性が非常に高い組み合わせです。結石が尿管を通過する際に激しい痛みを引き起こし、血尿を伴います。痛みは間欠的で、七転八倒するような激痛が特徴です。画像検査(超音波、CT)で結石の有無や位置を確認し、鎮痛剤や排石促進剤で治療を行います。
  • 血尿+発熱・悪寒・全身倦怠感: 尿路感染症が腎臓まで波及した腎盂腎炎や、重症化した膀胱炎が疑われます。発熱を伴う場合は、感染が全身に広がる敗血症のリスクもあるため、緊急性が高い状態です。入院して点滴による抗生剤治療が必要となることもあります。
  • 血尿+むくみ・高血圧・タンパク尿: これらの症状は、腎臓の糸球体に異常がある「腎臓病(糸球体腎炎など)」を示唆します。腎臓内科での専門的な検査(腎生検など)が必要となることが多く、長期的な管理が求められる疾患です。
  • 血尿(特に肉眼的)+無症状: 最も注意が必要な組み合わせの一つです。痛みなどの自覚症状がないため放置されがちですが、膀胱がんや腎臓がんなどの尿路悪性腫瘍の初期症状である可能性が指摘されています[1]。特に高齢者や喫煙歴のある方はリスクが高いため、症状の有無にかかわらず、速やかに泌尿器科を受診し、精密検査を受けることが重要です。筆者の臨床経験では、無症状の肉眼的血尿で受診された患者さんのうち、約20%に膀胱がんが発見されたケースもあり、決して軽視できない症状です。

これらの症状の組み合わせは、診断の手がかりにはなりますが、あくまで目安です。最終的な診断は、医師による詳細な問診、身体診察、そして各種検査の結果を総合的に判断して行われます。自己判断せずに、必ず医療機関を受診してください。

まとめ

血尿は、尿に血液が混じる状態を指し、肉眼で確認できる「肉眼的血尿」と、検査で判明する「顕微鏡的血尿」の2種類があります。どちらの血尿も、尿路結石症、膀胱炎、腎盂腎炎といった良性疾患から、膀胱がん、腎臓がんなどの悪性腫瘍、さらには腎臓病や全身疾患まで、非常に多岐にわたる原因によって引き起こされる可能性があります[2]

特に肉眼的血尿は、高齢者において悪性腫瘍の可能性が高く、痛みを伴わない場合でも決して軽視してはいけません[1]。顕微鏡的血尿も、自覚症状がなくても、その背景に重要な疾患が隠れていることがあるため、健康診断などで指摘された場合は、必ず精密検査を受けることが推奨されます[4]

血尿に気づいた際は、慌てずに尿の状態や随伴症状を確認し、速やかに泌尿器科を受診することが最も重要です。医療機関では、尿検査、血液検査、画像検査(超音波、CTなど)、必要に応じて膀胱鏡検査などを実施し、血尿の原因を特定します。原因に応じた適切な治療を早期に開始することで、重篤な疾患の進行を防ぎ、健康な生活を取り戻すことにつながります。

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よくある質問(FAQ)

血尿が出たら、すぐに病院に行くべきですか?
はい、血尿が出た場合は、症状の有無にかかわらず、できるだけ早く医療機関(特に泌尿器科)を受診することをお勧めします。特に肉眼的血尿は、膀胱がんなどの重篤な疾患のサインである可能性も指摘されており[1]、早期の診断と治療が非常に重要です。
痛みがない血尿でも心配いりませんか?
いいえ、痛みがない血尿でも決して軽視してはいけません。特に肉眼的血尿で痛みを伴わない場合、膀胱がんなどの尿路悪性腫瘍の初期症状である可能性が指摘されています[1]。自覚症状がないからといって放置せず、必ず医療機関を受診し、精密検査を受けてください。
健康診断で「潜血陽性」と言われました。どうすればいいですか?
健康診断での潜血陽性は、顕微鏡的血尿を示唆しています。肉眼では血尿が確認できなくても、尿中に微量の赤血球が混じっている状態です。自覚症状がなくても、尿路結石や腎臓病、まれに悪性腫瘍が隠れている可能性もあります[2]。必ず泌尿器科を受診し、精密検査(尿沈渣、画像検査など)を受けて原因を特定することが重要です[4]
この記事の監修
👨‍⚕️
高他大暉
泌尿器科医
👨‍⚕️
吉田春生
泌尿器科医
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