ORTHOPEDICS · PATIENT GUIDE

股関節の運動・リハビリと生活の工夫

回数をこなすことより、必要な動作を無理なく続けることを目標に。痛みと生活の変化を見ながら調整します。

監修日:2026年9月24日更新日:
我慢を目標にしない痛みが増すなら見直す
目標は具体的に生活動作の変化を記録
術後は別の指示方法と制限を担当者へ確認
最初に押さえたいこと

股関節の運動は、痛みの原因と動かしてよい範囲を確認してから始めます。変形性股関節症では運動が勧められますが、平均的な改善は小さめで、全員に同じ効果があるとは限りません。生活動作と翌日の痛みを見ながら量を調整し、急な強い痛みや歩けない状態では運動より受診を優先してください。

01

急な痛みやけががあるときは、運動を始める前に相談

転倒後に立てない・歩けない場合は運動を中止

骨折などの確認を先にします。けががなくても急に強く痛む、熱感や発熱がある場合は通常の予約を待たず医療機関へ連絡してください。

股関節の痛みには、変形性股関節症のほか、筋肉や腱、腰からの影響など、さまざまな原因があります。ここでは主に、診察を受けた成人の変形性股関節症に対する生活調整と運動の考え方を説明します。診断前の急な痛みや術後の運動メニューを一律に示す記事ではありません。[1]

始める前に、動かしてよい範囲、体重をかけてよいか、避ける動作、見直す時期を確認します。持病、息切れ、ふらつき、転倒歴がある場合は、運動の種類を選ぶうえでも担当者に伝えてください。

02

運動で何を目指せるか、効果の限界も知る

変形性股関節症のガイドラインは、本人の状態に合う筋力トレーニングや有酸素運動などを勧めています。目的は痛みや動きの制限を調整し、活動を支えることです。軟骨が元通りになる、必ず手術を避けられるという治療ではありません。[2][3]

2026年の研究のまとめでは、通常のケアや限られた説明だけの場合と比べ、運動による痛みと機能の改善は平均的に小さく、本人がはっきり感じるほどではない可能性が示されました。別の治療に運動を追加した場合の上乗せ効果も、明確とは言えませんでした。[4]

一方で、研究の平均だけで一人ひとりに役立つかは決まりません。短い距離の外出や立ち上がりなどの目標を設定し、実際に変化があるかを確認します。改善しない場合に、回数を増やし続けるのではなく、負荷と治療方針を見直します。

この研究のまとめは、手術の前後に行う専用の運動プログラムを対象から外しています。人工股関節手術後のリハビリの効果や必要性を、この結果だけで判断しないでください。[4]

03

運動の種類・量・中止の目安を担当者と決める

  1. 生活の目標を一つ決める

    店までの移動や椅子からの立ち上がりなど、必要な動作を選びます。

  2. 安全な方法を教わる

    筋力、関節の動き、転倒の危険を確認し、支えの要否も相談します。

  3. 少ない負荷から確認する

    回数や時間は担当者と決め、痛みを我慢して一度に増やしません。

  4. 変化を持って再相談する

    運動中・運動後・翌日の症状と生活動作を伝え、量や方法を修正します。

運動には、関節を無理のない範囲で動かす練習、筋力を保つ練習、体力に合う活動などがあります。どれを選ぶか、どこまで曲げるかは診察結果で変わります。動画と同じ回数ができないことを失敗と考える必要はありません。[2]

運動中の鋭い痛み、急な痛みの増加、いつもと違う歩きにくさがあれば中断して相談します。翌日まで痛みが増す、日常の動作が難しくなる場合も負荷を見直します。胸痛、息苦しさ、ふらつきなどは股関節の痛みとは別に対応が必要です。

04

靴下・椅子・家事は、深く曲げる負担を減らす

着替え長い靴べらや補助具を検討

足に手を届かせようと無理に深く曲げる代わりに、座って使える補助具を相談します。

座る・立つ足がつき、立ちやすい椅子を選ぶ

低く沈む椅子からの立ち上がりがつらいときは、安定した椅子や肘掛けの使い方を確認します。

家事まとめて行わず、作業を分ける

長く立つ作業を区切り、よく使う物を取りやすい位置へ。休む場所も用意します。

これらは負担を減らすための工夫で、すべての人に禁止動作を決めるものではありません。靴べらなどの補助具も、姿勢を崩さず安全に使えるか確認します。無理な前かがみや片脚立ちで着替えるより、支えのある環境を整えることが大切です。[1][2]

床の物やめくれた敷物を片付け、夜の移動経路を明るくしておくことも考えます。痛む脚をかばって段差を越えることが難しい場合は、生活の場所を一時的に変えるなど、家族や医療・介護の担当者と相談してください。

椅子に座った女性が長い靴べらを使い、担当者がそばで見守る説明用イラスト
深く前かがみになる負担を減らす工夫の一例です。補助具や椅子は、身体の状態と使いやすさに合わせて選びます。
05

歩く量と杖は、歩き方と生活に合わせる

痛みのある日に歩数だけを達成しようとすると、歩き方が崩れたり、翌日の生活に支障が出たりすることがあります。平らで休める経路、短い時間への分割などを相談し、距離や時間の増やし方を決めます。

杖や歩行器は、移動を支える選択肢です。見た目への抵抗感や、荷物を持てない心配がある場合も率直に伝えてください。道具の種類、高さ、持つ側、段差での使い方は、身体の状態と環境に合わせて指導を受けます。[2]

体重の管理が勧められた場合も、痛みに耐えて長時間歩く方法に限りません。栄養と体力を保ちながら実行できる生活の変更を相談します。杖を使うことや休憩を入れることは、運動が失敗したという意味ではありません。

06

痛みの点数だけでなく、翌日の生活を記録する

  • どんな運動・活動を、どのくらい行ったか
  • 途中で痛む場所や歩き方が変わったか
  • その日の夜と翌日の痛み・疲れはどうか
  • 靴下、立ち上がり、外出など目標の動作が変わったか
  • 薬の変更、転倒、別の病気など、症状に影響しそうな出来事

記録は一言ずつで十分です。「運動はできたが夕方の買い物を休んだ」「同じ距離で休む回数が減った」など、生活に結び付く言葉が役立ちます。記録のために痛みを繰り返し試す必要はありません。

症状が続く場合は、方法が合っているかだけでなく、診断や薬など他の対応も確認します。変形性股関節症の治療全体を参考に、運動だけで抱え込まず次の選択肢を相談してください。

診察室から

運動を続けている方には、回数だけでなく「その日の夜や翌日の買い物はどうでしたか」と伺います。実施中に我慢できても、その後の生活が難しくなるなら量の調整が必要だからです。反対に痛みが少し軽くなっても、診察で確認した制限を越えて急に負荷を増やさないよう相談します。

07

人工股関節手術後は、担当チームの指示に合わせる

術後に体重をかける時期、杖を使う期間、曲げたりひねったりしてよい範囲は、手術の方法や骨の状態、回復により異なります。一般的な運動記事から制限を自己判断せず、退院時に具体的な動作を確認してください。[5]

退院後は、指導を受けた自宅での運動が適する場合も、通院での支援が必要な場合もあります。自宅練習の目標、相談先、予定どおり回復しない場合の連絡方法を確認します。支援の多さだけで治療の良し悪しが決まるわけではありません。[3][5]

手術前に確認することや術後の変化は人工股関節手術と退院後の生活で説明しています。急な強い痛み、傷の赤みや熱、息苦しさなどが出たときは、運動を続けて解決しようとしないでください。

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よくある質問

毎日決まった歩数を歩いた方がよいですか?

全員に共通する歩数の目標はありません。痛み、体力、歩き方、翌日の生活への影響から調整します。医師・理学療法士と続けられる量を決めてください。

ストレッチで痛くても、伸ばし続けてよいですか?

強い痛みを我慢して伸ばすことは避けます。急な痛みやけがの後は先に診察を受け、動かせる範囲と方法を確認してください。

杖を使うと筋力が落ちてしまいますか?

杖の使用だけで筋力の変化は決まりません。移動を安全に支えながら、必要な活動や運動を続ける方法を相談できます。種類、高さ、使い方は指導を受けましょう。

手術後もこの記事と同じ運動でよいですか?

術後は手術方法や回復に合わせた指示が優先です。荷重や動作の制限、自宅練習の内容を担当チームに確認し、一般的な情報から回数や範囲を増やさないでください。

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参考文献

本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状、既往歴、服薬、妊娠などによって適切な対応は異なります。転倒後に立てない・歩けない、急に強い痛みや熱が出た場合は通常の予約を待たず医療機関へ連絡してください。意識の変化、息苦しさ、安全に移動できない状態では119番へ連絡してください。