ORTHOPEDICS · PATIENT GUIDE

人工股関節手術と術後の生活

痛みの改善だけでなく、合併症と回復期の生活まで考えて選びます。相談から退院後まで、確認したいことを順に整理します。

監修日:2026年9月24日更新日:
手術名だけで選ばない適応と方法の理由を聞く
長期成績は保証ではない再手術の可能性も確認
術後の動作は個別に担当チームの指示を優先
最初に押さえたいこと

人工股関節手術は、傷んだ関節を人工の部品に置き換え、痛みと動きの改善を目指す治療です。生活への支障が大きく、手術をしない治療で十分に対応できない場合などに検討します。感染・脱臼・血栓などのリスクと、入院や退院後に必要な支援を確認し、適応と時期を担当医と相談してください。

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手術の相談は、生活への支障が続くときに

人工股関節全置換術は、骨盤側と太ももの骨側の傷んだ関節面を人工の部品に置き換える手術です。THAと略されることがあります。主に、ここでは変形性股関節症に対して計画的に行う手術を説明します。骨折に対する緊急手術とは、適応や進め方が異なります。[1]

歩行、睡眠、家事などへの影響が大きく、生活調整・運動・薬などで十分に改善しない、またはそれらが適さない場合に検討します。年齢や画像の段階だけで決めず、希望する生活、持病、手術に伴う負担を合わせて判断します。[2]

若い人などで関節の状態や骨盤の形によっては、骨を切って向きを調整し、自分の関節を残す手術が候補になることもあります。人工股関節だけが選択肢か、手術をしない場合にどう過ごすかも説明を受けましょう。[1]

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期待できる改善と、研究が当てはまる範囲

手術の適応がある重い変形性股関節症の50歳以上の人を対象とした2024年の比較試験では、人工股関節手術は筋力トレーニングより、6か月後の痛みと機能の改善が大きい結果でした。[4]

この結果は、すべての股関節の痛みや、軽い変形がある人にも手術が必要という意味ではありません。原因、診察、画像が一致し、手術による利益が負担を上回るかを個別に検討します。手術後も痛みが残る可能性があり、腰や膝など別の問題が生活に影響することもあります。

説明を聞くときは「痛みが減る見込み」だけでなく、「自分が困る動作のどれが改善しそうか」「残る可能性がある問題は何か」を確認してください。回復にはリハビリや生活の調整が必要で、退院日を機能が完全に戻る日と考えないことも大切です。[6]

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前方・後方などの方法や部品は、理由を聞いて選ぶ

人工股関節には、手術で関節に近づく方向、部品の材質や形、骨への固定方法などの違いがあります。前方・後方などの方法にはそれぞれ利益とリスクがあり、一つの方法が全員に最もよいとは言えません。[3]

傷の小ささや方法の名称だけで選ばず、骨の形・骨の丈夫さ・過去の手術・担当チームの経験を踏まえて、なぜその方法を提案するか聞いてください。術後に避ける動作や、体重をかける時期も合わせて確認します。

「この方法なら脱臼しない」「すぐ普通の生活に戻れる」といった保証はできません。別の方法を選んだ場合の利点と欠点、施設でのリハビリ体制、退院後の相談先まで含めて考えます。

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感染・脱臼・血栓などのリスクも同じ重さで確認する

感染人工関節や傷の感染

追加の処置や再手術が必要になる場合があります。術後の発熱、傷の赤み・腫れ・排液は担当医へ連絡します。

脱臼・骨折関節が外れる・周囲の骨が折れる

急な強い痛みや動かせない状態では無理に戻したり歩いたりせず、医療機関へ連絡します。

血栓など血のかたまり・出血・神経の問題

予防と観察が必要です。急な息苦しさや胸痛は救急対応が必要で、片脚の新しい腫れや痛みも速やかに相談します。

ほかに脚の長さの違和感、部品の摩耗や緩み、痛みが残ることなどがあります。リスクの大きさは病状や持病、手術の条件で変わるため、自分に関係するものと、その予防・対応を聞きましょう。[6][3]

糖尿病の管理、喫煙、栄養、皮膚や歯などの感染の有無、服薬の調整も手術前の確認事項になります。抗血栓薬などを自己判断で止めず、手術施設と普段の主治医で指示を合わせてもらいます。[3]

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人工股関節は何年もつか、再手術と痛みを分けて考える

人工股関節は長期に使える例が多い一方、摩耗、緩み、感染などで入れ替えや再手術が必要になる場合があります。年齢、活動、部品、骨の状態などで経過は変わり、個人について年数を保証することはできません。

2026年の研究では、現在使われる種類の部品について、臨床研究と複数国の登録データをまとめ、20年時点の再手術を受けていない割合を評価しています。25年・30年の値は、得られたデータを延長して推定した予測であり、全員を30年間追跡した結果ではありません。[5]

また、「再手術を受けていない」は「痛みがなく、何でもできる」と同じ意味ではありません。長く使うための活動の相談、定期確認の間隔、受診が必要な変化を担当医に確認し、具合がよくても決めた受診計画を共有しておきます。

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入院前に、仕事・家事・自宅での支援を準備する

  • 退院後に寝る場所、トイレ、浴室、階段までの移動経路
  • 食事、買い物、掃除、家族の介護を誰が支えるか
  • 杖や歩行器、椅子など必要な道具と使い方
  • 仕事の内容、通勤方法、運転を再開する条件
  • 入院・通院の予定、費用の見積もり、利用できる支援制度
  • 夜間・休日を含め、術後に困ったときの連絡先

入院日数や仕事へ戻る時期は、手術方法だけでなく、回復、仕事の負荷、自宅環境でも変わります。何週間と一律に決めず、座り仕事か、立ち仕事か、重い物を扱うかを具体的に伝えて予定を立てます。[6]

医療費は保険の負担割合、入院期間、部屋代などで変わります。高額療養費制度などの利用を含め、加入する保険や医療機関の窓口で個別に確認してください。手術当日の費用だけでなく、退院後の通院や支援も見込んで相談します。

診察室から

手術を相談する診察では、痛みの程度と同じくらい、退院後に誰が買い物を手伝えるか、自宅に階段があるかを確認します。手術で関節の状態が変わっても、生活の支えが整わないと困りごとが残るためです。回復の速さは一人ずつ違うので、他の患者さんの日数をそのまま目標にはしません。

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術後は、安全な動作を確認して活動を広げる

手術後は全身状態を確かめながら、担当チームの指示で起きる・立つ・歩く練習を進めます。体重をかけてよい時期、曲げる角度やひねる動作の制限は個別に確認し、他の人の動画をそのまままねしないでください。[6]

退院後は、指導された自宅運動が適する場合も、外来での支援が必要な場合もあります。練習の目的、実施方法、困ったときの連絡先を明確にします。股関節の運動と生活動作の考え方も、術後の指示を優先して読んでください。[3]

傷の赤みや熱、新しい腫れ、急な強い痛み、動かせない状態が出たら、予定の再診まで待たず連絡します。息苦しさ・胸痛・意識の変化があれば119番へ。治療中の薬を飲めなかった場合も、まとめて飲まず担当者へ確認します。

歩行器の内側に両足を置いて立ち、理学療法士の支えを受ける男性の説明用イラスト
術後の立位練習を支援する場面のイメージです。体重をかける時期と歩行器の使い方は、担当チームの指示に従います。
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よくある質問

何歳から人工股関節を考えますか?

年齢だけで決まるものではありません。生活への影響、手術をしない治療の効果、持病、骨や関節の状態、本人の希望を合わせて検討します。

前方からの手術なら脱臼しませんか?

どの方法でもリスクをゼロにはできません。方法ごとの利点と注意点、選ぶ理由、術後の動作の指示を担当医に確認してください。

人工股関節は30年もつと考えてよいですか?

一律に保証できません。2026年の研究にある30年の値は、登録データから計算した予測を含みます。再手術がないことと、痛みや不自由がないことも分けて考えます。

退院したらすぐ運転や仕事を再開できますか?

退院と活動再開の時期は同じではありません。痛み、筋力、薬、仕事内容、車の操作を安全に行えるかを確認し、担当チームの指示に合わせて判断します。

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参考文献

本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状、既往歴、服薬、妊娠などによって適切な対応は異なります。転倒後に立てない・歩けない、急に強い痛みや熱が出た場合は通常の予約を待たず医療機関へ連絡してください。意識の変化、息苦しさ、安全に移動できない状態では119番へ連絡してください。