僧帽弁閉鎖不全症の治療|弁形成術・弁置換術・カテーテル治療

心臓模型を使い僧帽弁の手術とカテーテル治療を患者家族へ説明する医療チーム
循環器内科|僧帽弁の治療

僧帽弁閉鎖不全症の治療の選び方

同じ逆流でも原因が違えば、薬・手術・カテーテル治療の順序は変わります。

最終更新 2026.09.20監修日 2026.09.20
原因弁か心筋か
比較効果・負担・再治療
確認本人の目標
結論から

治療は「逆流が重いから一律に手術」ではありません。弁そのものが原因の一次性では、修復可能なら弁形成術が中心です。心不全に伴う二次性では、まず心不全治療を整えます。手術リスクが高く弁の形が適する場合などにTEERを検討し、専門チームで比較します。

このページで分かること
  • 薬だけで治療できる?
  • 形成術と置換術の違いは?
  • カテーテル治療の対象は?
最初に知っておきたい言葉
弁形成術
自分の僧帽弁を残して、閉じ方を修復する手術です。
弁置換術
傷んだ弁を人工弁に置き換える手術です。
TEER
カテーテルで弁尖を留め、逆流を減らす治療です。
ハートチーム
循環器内科、心臓血管外科、画像・麻酔などの専門家が治療を検討する体制です。
01

一次性と二次性を分け、症状と心臓への負担を確認する

  1. 病型を確認

    弁の異常か、心室・心房の拡大に伴う逆流かを分けます。

  2. 薬物治療を整える

    二次性では心不全薬や必要なデバイス治療を優先します。

  3. 介入時期を検討

    症状、心機能、心室径、肺高血圧、心房細動を確認します。

  4. 方法を比較

    形成術、置換術、TEERの実現性と長期計画を比べます。

緊急症状がある場合は選択肢比較より先に救急評価が必要です。[1][2][3]

02

一次性の重症逆流では、可能なら弁形成術を検討する

弁形成術は自分の弁を残せる一方、逆流の原因と施設経験によって修復の見込みが変わります。長期耐久性、再手術の可能性、同時に必要な他の手術を確認します。[1][2][8]

03

形成が難しい場合は弁置換術と人工弁を検討する

機械弁
耐久性が期待されますが、原則として継続的な抗凝固管理が必要です。
生体弁
抗凝固の期間を短くできる場合がありますが、将来の劣化と再治療を考えます。
共通確認
出血リスク、年齢、妊娠希望、服薬管理、再治療の選択肢を確認します。

人工弁の選択は年齢だけで決めず、価値観と長期計画を共有します。[1][3]

04

TEERは低侵襲でも、対象と解剖が限られる

対象

手術リスク、症状、病型、心不全治療後の状態を確認します。

画像

弁尖を安全につかめるか、狭窄を起こさないかを確認します。

限界

逆流が残る可能性と、将来の手術・再治療への影響があります。

国内適応

承認条件と施設基準をPMDA資料と専門施設で確認します。

COAPTとRESHAPE-HF2は、選ばれた二次性MR患者で薬物治療へTEERを追加する利益を示しましたが、全ての逆流へ一般化できません。[5][6][7]

心臓模型を使い僧帽弁の手術とカテーテル治療を患者家族へ説明する医療チーム
図|治療法は原因・手術リスク・弁の形・本人の希望から選ぶ 弁形成術、弁置換術、カテーテル治療の候補を専門チームで比較します。
05

治療の負担だけでなく、残る逆流と将来の治療まで比べる

弁形成術
自己弁を残せる可能性。修復可能性と施設経験が重要です。
弁置換術
確実な逆流制御を狙える一方、人工弁管理が必要です。
TEER
胸を開かない治療ですが、解剖と適応が限られ、逆流が残ることがあります。
治療しない選択
軽症や介入利益が乏しい場合は、薬と定期評価を続けます。
診察室から

日々の循環器内科診療では、治療名を決める前に、息切れで困る場面、入院歴、服薬の継続、歩行や介護の状況、治療後に戻りたい生活を確認します。低侵襲という言葉だけで決めず、残存逆流と再治療まで説明します。

06

研究結果は病型・選択基準・施設経験で変わる

一次性と二次性MRでは根拠を分けて読みます。観察研究の早期手術結果には選択の偏りがあり、TEER試験も心不全治療と解剖条件を満たす患者が対象です。[4][5][6][8]

個別の適応は、最新画像とハートチーム評価で決まります。薬や抗凝固薬を自己中止しないでください。

07

よくある質問

薬で僧帽弁の逆流はなくなりますか?

薬で弁そのものを元に戻すことはできませんが、二次性では心不全治療により逆流や症状が軽くなることがあります。

MitraClipとTEERは同じですか?

TEERは治療方法の総称で、MitraClipはそのために使う機器の一つです。国内承認と適応を専門施設で確認します。

低侵襲ならTEERを先に選べますか?

負担が小さいことだけでは決めません。病型、弁の形、手術リスク、期待できる逆流軽減と将来の治療を比較します。

治療後も心エコーは必要ですか?

必要です。残る逆流や狭窄、心機能、人工弁・修復部の状態を定期的に確認します。

08

参考文献