Gastroenterology / Peptic ulcer disease

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の薬・治療期間と治癒確認

薬を飲む目的と、治療を終える条件を確認します。症状の改善・潰瘍の治癒・除菌成功は、それぞれ別に確かめます。

最終更新 2026.09.18医学レビュー 2026.09.18
出血・激痛まず救急へ相談
治療期間全員一律ではない
治療後治癒と予防を確認
結論から

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の治療は、胃酸を抑える薬に、ピロリ菌の除菌や原因薬の調整を組み合わせることが基本です。薬の期間は製剤や病状で異なり、ボノプラザンでは通常、胃潰瘍8週間まで・十二指腸潰瘍6週間までが目安です。痛みが消えても自己中止せず、治り方と再発予防を相談します。出血や穿孔がある場合は緊急対応が優先です。

01

吐血・突然の激痛は、胃薬を増やして待たない

吐血、コーヒーかす状の嘔吐、突然の激しい腹痛は、通常の再診日を待たず119番へ連絡します。黒くタール状の便も当日中に連絡が必要です。冷汗・ふらつき・意識の変化や息苦しさがある、動けない場合は119番へ。すでに胃薬を飲んでいることは、出血や穿孔を否定する理由になりません。

出血性潰瘍では全身状態を評価し、内視鏡による止血と胃酸を抑える治療などを行います。止血後も再出血に注意し、必要なら追加の内視鏡、血管内治療、手術などを検討します。穿孔や通過障害がある場合も、その状態への対応が優先されます。家庭で薬の量を増やして代用しません。[4][1]

02

胃酸を抑える力だけで、薬の優劣を決めない

胃酸は傷の治癒を妨げるため、その分泌を抑える薬を使います。PPI(プロトンポンプ阻害薬)と、P-CABという種類のボノプラザンが主な選択肢です。2026年版ガイドラインの英語原文ではボノプラザンの位置づけが更新されましたが、治療する状況によって推奨薬や根拠は異なります。[1]

胃潰瘍の治療中の患者が診察室で薬と次の受診予定を医師へ相談する生成イメージ
薬の飲み方と治療後の確認予定を相談する場面の生成イメージです。実在の監修医・患者や、特定の製品を示した写真ではありません。
PPI
胃酸の分泌を抑える薬です。出血性潰瘍の内視鏡止血後にも推奨されています。
P-CAB(ボノプラザン)
別の仕組みで胃酸分泌を抑える薬です。適応や飲み合わせを確認して使用します。
ほかの胃薬
H2受容体拮抗薬や粘膜保護薬などがあります。初期治療・維持治療などの目的と病状に応じて選びます。

出血後のガイドラインは、止血後のPPIを強く推奨し、ボノプラザンは弱い推奨としています。通常の外来治療での位置づけを、出血後の処方へそのまま置き換えないことが大切です。研究で用いられた高用量を、患者さんが自分で再現することは避けてください。[1]

2017年の比較試験では、ボノプラザンは胃潰瘍の治癒でランソプラゾールに対する非劣性(効果が一定の範囲で劣らないこと)が示されましたが、同報告の十二指腸潰瘍試験では統計学的な非劣性は確認されませんでした。単一の試験から、すべての潰瘍で一方が必ず優れると結論づけることはできません。現在の推奨、適応、持病や併用薬を合わせて選びます。[5]

03

除菌と痛み止めの調整を別々に考える

ピロリ菌感染が確認された場合は、除菌治療を検討します。胃酸を抑える薬と抗菌薬を組み合わせ、治療後に成功判定を行います。除菌薬が終わっても、潰瘍に対する胃薬や再検査が続くことがあります。詳しい服薬と副作用の対応はピロリ菌の除菌治療で確認できます。[3]

NSAIDsが関係する潰瘍では、原因薬を中止・変更できるか処方医と相談し、胃酸を抑える治療を行います。中止できない場合も、必要性を再評価しながら潰瘍への治療と予防を組み合わせます。痛み止めの種類だけでなく、量や使用期間、ほかの市販薬との重複も確認します。[1]

心臓や脳の予防薬を自己判断で止めない低用量アスピリンなどは中止による血栓の危険も考慮します。出血があればまず救急へ連絡し、その後の中止・継続・再開は関係する診療科で判断します。鎮痛目的の薬と同じ扱いで、一律に休薬しないでください。[1]

菌とNSAIDsが見当たらない場合も、検査条件や薬歴、別の原因を見直して治療します。特発性潰瘍の治療や再発予防には不確実な点もあるため、薬の効き方と内視鏡所見を確認し、必要なら専門的な評価につなげます。[1]

04

通常の投与期間と、治ったかの判断は別です

ボノプラザンの電子添文では、通常、胃潰瘍は8週間まで、十二指腸潰瘍は6週間まで投与するとされています。この期間はその薬の用法に基づくもので、すべての胃薬に共通の期間ではありません。また、同じ週数で全員の傷が治ることや、以後の予防薬が不要になることを意味しません。[2]

症状が先に軽くなった
その時点で傷が治ったとは限りません。処方の目的と終了条件を診察で確認します。
予定の期間で改善しない
服用状況、原因薬、感染の評価、診断や傷の状態を再確認します。自己増量や残薬の追加は避けます。
予防として続ける
潰瘍歴や出血歴、NSAIDs・アスピリンの継続などを踏まえて別に判断します。

治癒が遅い場合は、内視鏡や必要な生検で別の病変がないか確かめることがあります。「薬が弱いだけ」と考えて薬を増やし続けるのではなく、治りにくい理由を検討します。服用できなかった日や副作用があった場合も、治療の見直しに役立つので伝えてください。[6]

診察室から

治療中の診察では、痛みが減ったかに加えて、薬を実際に飲めているか、副作用や新たに使った市販薬がないかを整理することが大切です。飲み忘れや通院の難しさも、治療計画を調整するための情報になります。「胃薬を終える条件」「潰瘍が治ったかの確認」「除菌成功の判定」を別々に尋ねてください。症状の改善だけで、これらがすべて済んだとは判断できません。[1][6]

05

薬の目的と、困ったときの連絡先を確認する

処方時に、薬名、回数、飲む時刻、いつまでか、飲み忘れた場合の対応を確認します。薬によって飲み合わせの制限があり、腎臓や肝臓の病気、妊娠・授乳、アレルギー歴も考慮が必要です。家族の薬や以前の残薬で置き換えたり、複数の胃薬を自己判断で重ねたりしないでください。[2]

下痢や便秘などが続く場合は処方元へ相談します。呼吸が苦しい、顔や喉の腫れ、広い範囲の発疹など、強いアレルギー反応を疑う変化があれば急いで受診してください。副作用か潰瘍の悪化かを家庭で断定せず、服用した薬と時刻、症状の経過を伝えます。[2]

潰瘍を治すための特別な食品や、全員に必要な厳しい食事制限は確立していません。つらくなる食べ物は調整し、食事量が落ちている場合は早めに相談します。禁煙の支援も受けられます。生活調整だけで除菌や薬の治療を置き換えず、食事や水分が取れないときは連絡してください。[7]

06

三つの確認を分けて、次回予定を決める

症状の改善
胃痛や吐き気がどう変わったかを確認します。これだけで治癒や除菌成功とは決めません。
潰瘍の治癒
部位、内視鏡や病理所見、経過に応じて傷の治り方を確認します。
除菌の成功
治療後に適切な時期と条件で感染の検査を行います。胃カメラの所見とは別の評価です。

治療後の胃カメラの必要性や時期は、胃潰瘍か十二指腸潰瘍か、最初の所見、生検結果、出血、症状の経過などで判断します。全員に同じ間隔を当てはめず、今回の検査が何を確認するためか聞いてください。潰瘍が治った後も、感染後の胃粘膜や別の病気に応じた管理が必要な場合があります。[6][3]

NSAIDsを続ける方、以前に出血した方、原因が特定できない方などは再発予防を相談します。予防薬を長期に使う場合も目的と必要性を定期的に確認し、開始・中止を自己判断しません。痛み止め使用時の予防と薬の相談も参考に、次回の受診日と悪化時の連絡方法を残しましょう。[1]

07

よくある質問

痛みがなくなったので薬をやめてもよいですか?

症状の改善は治癒の証明ではありません。処方の目的と予定期間、必要な再検査を確認してから、主治医と終了を決めます。

胃潰瘍は必ず8週間で治りますか?

必ずではありません。8週間はボノプラザンなどの通常の投与期間に関する目安で、治癒や治療終了は薬と病状、検査所見で判断します。

除菌薬を飲み終えたら胃の治療も終了ですか?

除菌成功の判定と潰瘍の治癒確認は別です。胃薬の継続、感染検査、内視鏡などの予定を処方元へ確認してください。

治療中に再び黒い便が出ました。次の診察まで待てますか?

待たずに当日中に医療機関へ連絡してください。冷汗、ふらつき、意識の変化などを伴う場合は救急へ連絡し、重い症状は119番を利用します。

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参考文献