前立腺炎とは|急性・慢性の違い、症状・検査・治療を泌尿器科医が解説

前立腺炎の症状と受診時の記録を泌尿器科医へ相談する場面
UROLOGY / PROSTATITIS

前立腺炎の症状・検査・治療ガイド

発熱を伴う感染症と、長く続く骨盤痛を分け、急ぐ症状と相談できる治療を整理します。

最終更新 2026.09.30監修日 2026.09.30
DISTINGUISH急性と慢性を分ける
ASSESS感染の根拠と痛みを評価
TREAT原因と困りごとに合わせる
結論から

前立腺炎には、高熱や排尿痛が急に現れる急性細菌性前立腺炎と、骨盤周辺の痛みが続くchronic prostatitis/chronic pelvic pain syndrome(慢性前立腺炎/慢性骨盤痛症候群、CP/CPPS)などがあります。発症の速さ、発熱、尿検査・培養、痛みの期間を確認して治療を分けます。

知りたい内容から選ぶ急性細菌性と慢性骨盤痛を詳しく確認する
01

高熱・悪寒・尿閉・意識変化は、記事より受診を優先する

救急を検討

高熱や悪寒、意識がぼんやりする、息苦しい、尿がまったく出ない、ぐったりして水分が取れない。

当日中に相談

発熱を伴う排尿痛、急な会陰部・下腹部痛、血尿、症状の急速な悪化。泌尿器科または救急へ連絡します。

泌尿器科へ予約

骨盤周辺の痛み、排尿の違和感、射精時痛が続く・繰り返す、生活や睡眠に支障がある。

急性細菌性前立腺炎は、尿路から前立腺へ細菌が入り、全身に感染が広がることがあります。高熱、強い悪寒、頻脈、血圧低下、意識の変化は敗血症の可能性があります。尿が出ない状態も早い処置が必要です。夜間や休日でも医療機関へ連絡し、自分で前立腺を強く押したり、市販薬だけで様子を見たりしないでください。[1][3]

02

「前立腺炎」は一つではなく、感染の有無と経過で分ける

急性細菌性前立腺炎
数時間〜数日で発熱、悪寒、排尿痛、頻尿、会陰部痛などが現れます。尿・血液培養を採取し、抗菌薬を速やかに開始します。
慢性細菌性前立腺炎
同じ細菌による尿路感染を繰り返す状態です。症状が軽い時期があっても、培養結果に沿って治療します。
CP/CPPS
骨盤周辺の痛みが主で、感染を証明できないことが多い病態です。痛み、排尿、性機能、骨盤底、睡眠、心理社会面を組み合わせて評価します。
前立腺炎の症状と受診時の記録を泌尿器科医へ相談する場面
図|発症時期、発熱、痛む場所、排尿・射精との関係、過去の検査と薬を時系列で整理します。

CP/CPPSは「気のせい」ではありません。一方で、細菌が見つからない慢性症状に抗菌薬を繰り返しても、期待できる利益が小さく、副作用や耐性菌の不利益が増えることがあります。[2][5][7]

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発症の速さ、発熱、痛む場所、排尿・性機能症状を一緒に見る

急性では、発熱、悪寒、だるさに加え、排尿痛、頻尿、尿の出にくさ、会陰部・下腹部・腰の痛みがみられます。慢性では、会陰、陰茎、陰嚢、恥骨上、肛門周囲などの痛み、排尿時・射精時の痛み、頻尿や残尿感が波を伴って続きます。

痛みの場所だけで診断は決まりません。尿路感染、尿路結石、前立腺肥大症、膀胱の病気、神経・筋骨格の問題など、似た症状の病気を除外します。血尿、体重減少、神経症状がある時は別の評価が必要です。[1][2][4]

診察室から

診察では「痛いです」だけで終わらせず、いつ始まり、どこが、どの動作・排尿・射精で強くなり、何分・何時間続くかを伺います。発熱、尿の出方、過去の培養結果、抗菌薬の名前と期間まで時系列にすると、急性の感染と慢性の痛みを分けやすくなります。実際の掲載内容は担当監修医の確認後に確定します。

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急な発熱があるか、長く続く骨盤痛かで詳しい情報を選ぶ

症状の経過に合うページから読んでください。判断に迷い、高熱や尿閉がある場合は記事を読み進めず受診を優先します。

発熱がなくても、血尿、急に強くなった痛み、精巣の腫れ、脚の脱力や会陰部のしびれがあれば別の病気を先に調べる必要があります。「慢性だと思うから」と自己判断せず、変化した症状を医療者へ伝えてください。

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尿検査・培養を基本に、必要な検査だけを追加する

急性が疑われる時は、抗菌薬開始前に尿検査・尿培養を行い、全身状態に応じて血液検査・血液培養を追加します。前立腺は直腸診で圧痛や腫大を確認することがありますが、強いマッサージは菌を血液中へ広げる懸念があるため行いません。治療に反応しない場合は、前立腺膿瘍や尿路閉塞を画像で調べます。[1][3]

慢性症状では、尿検査・培養、症状質問票、診察を基本に、血尿、残尿、尿流低下、性感染症の可能性などに応じて検査を選びます。PSAは炎症で一時的に上がることがあり、急性期の値だけで前立腺がんを判断しません。[2][4]

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急性は感染を治し、慢性は困りごとを分けて多面的に治療する

急性細菌性前立腺炎では、重症度、培養結果、薬剤耐性、腎機能、アレルギーを踏まえて抗菌薬を選びます。全身状態が悪い、嘔吐で内服できない、尿閉や膿瘍が疑われる場合は入院や処置を検討します。薬は症状が軽くなっても自己判断で中止せず、培養結果により変更することがあります。[1][3]

CP/CPPSでは、排尿症状に対する薬、痛みへの治療、骨盤底筋の過緊張に対する理学療法、睡眠・活動・ストレスへの支援などを組み合わせます。強い骨盤底筋トレーニングが全員に合うわけではなく、緊張が強い人では弛緩と専門評価が先です。治療は一度に増やしすぎず、優先目標と評価時期を決めます。[2][5][6][8]

受診前メモ症状が始まった日、体温、痛む場所と0〜10の強さ、排尿回数・尿の勢い・血尿、射精との関係、使用した抗菌薬、尿培養結果、手術・カテーテル・前立腺生検歴をまとめます。
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よくある質問

前立腺炎は何科を受診しますか?

泌尿器科です。高熱・悪寒、意識変化、尿がまったく出ない場合は、予約を待たず救急外来を含め医療機関へ連絡してください。

前立腺炎はうつりますか?

一般的な前立腺炎そのものが人から人へ直接うつるわけではありません。ただし性感染症が関連する場合があり、状況に応じて検査とパートナー対応を相談します。

抗菌薬で治らないのはなぜですか?

細菌感染が証明されないCP/CPPSでは、筋肉・神経・排尿・睡眠など複数の要因が関わるためです。培養結果と治療反応を見直し、漫然とした反復を避けます。

PSAが高いと前立腺がんですか?

炎症、尿閉、前立腺への操作でも一時的に上がります。急性期を避けて再検する時期や、追加検査の必要性を泌尿器科で判断します。

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参考文献