腎臓病の検査ガイド|専門医が解説する診断のポイント
最終更新日: 2026-05-13
📋 この記事のポイント
- ✓ 腎臓病の診断には尿検査、血液検査、画像検査、そして必要に応じて腎生検が重要です。
- ✓ 各検査にはそれぞれ特徴があり、患者さんの状態や病態に応じて最適な検査が選択されます。
- ✓ 早期発見・早期治療が腎臓病の進行抑制には不可欠であり、定期的な健康診断が推奨されます。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
腎臓病の診断には、様々な検査を組み合わせて腎臓の機能や構造、病態を総合的に評価することが不可欠です。早期に腎臓病を発見し、適切な治療を開始することは、病気の進行を遅らせ、合併症を防ぐ上で極めて重要となります。ここでは、腎臓病の診断に用いられる主要な検査について、専門医の視点から詳しく解説します。
📑 目次
尿検査とは?腎臓病診断の第一歩

- 尿蛋白: 腎臓のフィルター機能が障害されると、通常は尿中に漏れないはずの蛋白が検出されます。特に、微量アルブミン尿は糖尿病性腎症の早期発見に役立ちます。
- 尿潜血: 尿中に血液が混じる状態です。腎炎や尿路結石、腫瘍など様々な原因が考えられます。
- 尿糖: 血糖値が高い場合に検出され、糖尿病の可能性を示唆します。
- 尿沈渣: 尿中の細胞成分(赤血球、白血球、上皮細胞など)や円柱、結晶などを顕微鏡で観察し、炎症や腎臓の障害の程度を評価します。
尿検査の具体的な評価項目
尿検査は、大きく分けて定性検査と定量検査があります。- 定性検査: 試験紙を用いて、尿中の蛋白、糖、潜血などの有無を簡便に判定します。健康診断などで広く用いられます。
- 定量検査: 24時間蓄尿や随時尿を用いて、尿中の蛋白やクレアチニンなどの量を正確に測定します。特に、尿蛋白/クレアチニン比は、腎臓病の重症度評価や治療効果判定に有用です。
血液検査とは?腎機能評価の要
血液検査は、腎臓の機能がどの程度保たれているかを客観的に評価するために不可欠な検査です。特に、腎臓が老廃物をろ過する能力を示す指標は、慢性腎臓病の診断と病期分類に広く用いられます。 主な評価項目は以下の通りです。- 血清クレアチニン値: 筋肉の代謝産物で、腎臓から排泄されます。腎機能が低下すると血中に蓄積するため、腎機能の指標となります。
- eGFR(推算糸球体ろ過量): 血清クレアチニン値や年齢、性別などから計算される腎機能の指標です。腎臓が1分間にどのくらいの血液をろ過できるかを示し、慢性腎臓病の病期分類に用いられます[3]。
- 尿素窒素(BUN): 蛋白代謝産物で、腎機能が低下すると血中に蓄積します。
- 電解質(Na, K, Cl): 腎臓は体内の電解質バランスを調整する役割があるため、腎機能障害があると異常をきたすことがあります。特にカリウム値の上昇は重篤な不整脈につながる可能性があるため注意が必要です。
- シスタチンC: クレアチニンと同様に腎機能の指標となる物質で、特に高齢者や筋肉量の少ない方において、より正確な腎機能評価に役立つとされています。
- eGFR(推算糸球体ろ過量)
- 腎臓が1分間にどの程度の血液をろ過できるかを示す指標で、血清クレアチニン値、年齢、性別などを用いて計算されます。慢性腎臓病の診断基準や重症度分類に用いられる国際的な指標です。
画像検査とは?腎臓の形や構造を視覚化する

腎臓病診断に用いられる主な画像検査
- 超音波検査(エコー): 簡便で非侵襲的であり、放射線被曝がないため、初期スクリーニングや定期的な経過観察に広く用いられます。腎臓の大きさ、水腎症の有無、嚢胞、結石などを評価できます。
- CT検査: 腎臓のより詳細な形態情報や、腎血管の状態、周囲臓器との関係などを評価できます。造影剤を使用することで、血流や腫瘍の性状をより詳しく調べることが可能です。
- MRI検査: CT検査と同様に詳細な情報が得られますが、放射線被曝がなく、造影剤を使わずに血管を評価できるMRA(MRアンギオグラフィー)も可能です。腎機能が低下している患者さんで造影剤の使用が懸念される場合に選択されることがあります。
- 腎シンチグラフィー: 放射性同位元素を用いて、左右の腎臓それぞれの機能や尿の排泄能力を評価します。腎血管性高血圧の診断や、腎移植後の機能評価にも用いられます。
⚠️ 注意点
CTやMRI検査で造影剤を使用する場合、腎機能が著しく低下している患者さんでは、造影剤腎症のリスクがあるため、事前の腎機能評価と慎重な検討が必要です。
腎生検とは?確定診断のための最終手段
腎生検は、腎臓病の病理組織学的診断を確定するために行われる侵襲的な検査です。他の検査では診断が困難な場合や、治療方針の決定に病理診断が不可欠な場合に実施されます。腎臓の組織を採取し、顕微鏡で詳細に観察することで、腎臓病の種類、活動性、慢性化の程度などを正確に把握できます。腎生検の目的と手順
腎生検の主な目的は以下の通りです。- 正確な診断: 腎炎の種類(IgA腎症、膜性腎症など)や、全身性疾患による腎障害(ループス腎炎など)の確定診断。
- 病態の評価: 病気の活動性や慢性化の程度を評価し、予後予測や治療法の選択に役立てます。
- 治療効果の判定: 治療後の再評価として行われることもあります。
最新コラム・症例報告から学ぶ腎臓病の検査の進歩

腎臓病検査の最新動向
- 新しいバイオマーカー: 従来のクレアチニンや尿蛋白だけでなく、腎臓の損傷をより早期に検出できるような新しいバイオマーカー(例: NGAL, KIM-1, L-FABPなど)の研究が進められています。これらは、特に急性腎障害(AKI)の早期診断や予後予測に有用性が期待されています[1]。
- 非侵襲的画像診断の進化: MRIや超音波エラストグラフィーなど、腎臓の線維化の程度を非侵襲的に評価できる技術の開発も進んでいます。これにより、腎生検のリスクを回避しつつ、腎臓病の進行度を評価できるようになる可能性があります。
- 遺伝子検査: 多発性嚢胞腎などの遺伝性腎疾患では、遺伝子検査が診断の確定や家族スクリーニングに用いられています[4]。近年では、より広範な腎疾患において遺伝子異常が関与していることが明らかになりつつあり、遺伝子検査の適用範囲が拡大しています。
| 検査項目 | 主な評価内容 | 特徴 |
|---|---|---|
| 尿検査 | 尿蛋白、尿潜血、尿糖、尿沈渣 | 簡便、非侵襲的、スクリーニングに最適 |
| 血液検査 | クレアチニン、eGFR、BUN、電解質 | 腎機能の客観的評価、病期分類 |
| 画像検査 | 腎臓の形態、構造、血流(超音波、CT、MRI) | 形態異常の検出、原因特定 |
| 腎生検 | 腎組織の病理学的診断 | 確定診断、治療方針決定、侵襲的 |
まとめ
腎臓病の診断には、尿検査、血液検査、画像検査、そして必要に応じて腎生検といった多角的なアプローチが不可欠です。これらの検査を適切に組み合わせることで、腎臓病の種類、重症度、進行度を正確に評価し、最適な治療へとつなげることができます。特に、尿検査や血液検査は健康診断で手軽に受けられるため、定期的なチェックを通じて早期発見に努めることが、腎臓病の進行を抑制し、健康な生活を維持するための鍵となります。腎臓病は自覚症状が出にくいことが多いため、異常を指摘された場合は放置せず、速やかに専門医を受診することが重要です。📱 【スマホで完結】お薬のオンライン処方なら東京オンラインクリニック
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📖 参考文献
- Iain Keir, John A Kellum. Acute kidney injury in severe sepsis: pathophysiology, diagnosis, and treatment recommendations.. Journal of veterinary emergency and critical care (San Antonio, Tex. : 2001). 2016. PMID: 25845505. DOI: 10.1111/vec.12297
- Jonathan J Hogan, Michaela Mocanu, Jeffrey S Berns. The Native Kidney Biopsy: Update and Evidence for Best Practice.. Clinical journal of the American Society of Nephrology : CJASN. 2017. PMID: 26339068. DOI: 10.2215/CJN.05750515
- Lesley A Inker, Brad C Astor, Chester H Fox et al.. KDOQI US commentary on the 2012 KDIGO clinical practice guideline for the evaluation and management of CKD.. American journal of kidney diseases : the official journal of the National Kidney Foundation. 2014. PMID: 24647050. DOI: 10.1053/j.ajkd.2014.01.416
- Dechao Xu, Changlin Mei. [Clinical practice guidelines for polycystic kidney diseases].. Zhonghua yi xue yi chuan xue za zhi = Zhonghua yixue yichuanxue zazhi = Chinese journal of medical genetics. 2020. PMID: 32128744. DOI: 10.3760/cma.j.issn.1003-9406.2020.03.009
この記事の監修
👨⚕️
小倉初音
腎臓内科医

