子どもの肝炎・肝臓の病気
症状・検査と受診の目安
白目や便の色が気になるとき、検査で異常を指摘されたとき。急ぐサインを確かめてから、今知りたい説明を選べる案内です。
子どもの肝臓の病気は、食欲や元気の低下、黄疸、尿・便の色の変化で気づくことがあります。反応が弱い・けいれん・呼吸の異常は119番へ。白目が黄色い、便が白いなどは当日中に小児科へ相談します。原因はウイルスだけではなく、血液検査と年齢・経過を合わせて診断し、治療や通院を決めます。[1][2]
病名より先に、今の様子を確認
呼びかけても起きにくい、意識がはっきりしない、けいれん、呼吸が明らかに苦しい、大量の出血など。記事を読むより救急対応を優先します。
白目が黄色い、尿が茶色い、便が白っぽい、繰り返し吐いて飲めない、急に元気がなくなった。赤ちゃんの白い便は健診まで待たず相談します。
検査で肝臓の異常を指摘された、B型肝炎で通院中など。症状がないだけで通院をやめず、再検査の日と早く受診する変化を確認します。
肝臓以外の病気でも同じ症状が出ます。家庭で原因を決めず、症状の変化を伝えてください。記録や持ち物をそろえるために受診を遅らせません。
気になる症状・病名から確認できます
今具合が悪い場合は、上の受診目安を先に確認してください。すでに診断を受けた方、予防接種や検査結果が気になる方は、次の説明から必要なところを選べます。病名を予想して読むことと、医療機関で診断を受けることは別です。
ウイルスのうつり方、検査、治療、ワクチンを比べます。B型肝炎では、通常の定期接種と出生直後からの母子感染予防を分けて説明します。
A型・B型肝炎の違いと予防を読む食事や反応の変化、急ぐサイン、病院の検査と治療を説明します。肝炎のすべてが急性肝不全になるわけではありません。
急性肝不全の受診目安と治療を読む赤ちゃんの白い便や長引く黄疸、健診などで指摘された肝機能の異常は、これら2つの病気だけで説明できるとは限りません。まず小児科に相談し、年齢や検査の内容に応じて専門医へつないでもらいましょう。[2]
「普段との違い」と色の変化を伝えて
食欲がない、だるい、吐く、発熱するなどの症状は、肝臓以外の病気でも起こります。白目や皮膚が黄色くなる黄疸や、茶色い尿、白っぽい便が加わった場合は、肝臓や胆汁の流れに関わる病気も調べます。写真や市販の検査だけで原因を判断しないでください。[1]
| 年齢の目安 | 変化 | 伝えること |
|---|---|---|
| 赤ちゃん | 飲む量・あやした反応・便の色が普段と違う | 生まれてからの経過、母子健康手帳、便色カードとの違い |
| 幼児 | 遊ばない、食べない、繰り返し吐く | いつから、飲める量、尿が出ているか |
| 学童・思春期 | 強いだるさ、吐き気、白目や尿の変化 | 症状の経過、薬・健康食品、これまでの検査 |
赤ちゃんの白い便は、健診まで待たず相談
胆道閉鎖症など、肝臓から腸へ胆汁が流れにくくなる病気があります。母子健康手帳の便色カードを使い、白い・薄い色が気になる場合は早く医療機関へ連絡してください。画面や写真では色の見え方が変わるため、ネット上の色見本だけで安心しないことが大切です。[2]
よく眠っているように見えても、起こしても反応が弱い、視線や会話が合わない、けいれんなどがあれば119番へ連絡します。急性肝不全では、小児は意識の変化が分かりにくいこともあります。黄疸や意識障害がはっきりするまで受診を待つ、という意味ではありません。[1][6]
肝臓の病気は、感染症だけではありません
肝臓は、食事から得た栄養を利用したり、不要な物質を処理したり、血液を固めるための成分を作ったりしています。「肝炎」は肝臓に炎症がある状態、「肝不全」は肝臓の働きが大きく低下した状態を指します。同じ意味の言葉ではありません。[5]
原因には、ウイルス感染のほか、胆汁の流れの問題、薬の影響、免疫や代謝の病気などがあります。代謝とは、体の中で栄養や物質を作り替え、利用する仕組みです。原因がすぐ分からない場合もあり、年齢と経過に合わせて検査を選びます。[2][5]
B型肝炎は血液や体液を介して感染し、出生時の母子感染もあります。特に乳幼児期の感染は長く続くことがあるため、元気でも継続した確認が必要です。一方、肝臓の検査値が高いからといって、必ずB型肝炎であるわけではありません。[3]
「感染する病気なのか」「家族も検査が必要なのか」は、原因が分かってから主治医に確認します。原因を確かめずに家族の生活を大きく制限したり、誰かを責めたりする必要はありません。治療に必要な情報を一緒に整理していきましょう。
検査結果は、役割と変化に分けて聞きましょう
| 検査の例 | 分かること | 見方の注意 |
|---|---|---|
| AST・ALT | 肝臓の細胞の傷みなど | 高い数字1つだけでは原因や入院の必要性は決められない |
| ビリルビン | 黄疸に関わる物質 | ほかの検査や症状と合わせて考える |
| PT・INRなど | 血液を固める働き | 肝臓の働きの低下を判断する重要な項目 |
| ウイルス関連の検査など | 原因や感染の経過 | 抗原・抗体など、項目ごとに意味が違う |
採血のほか、超音波などで肝臓や胆道の様子を調べることがあります。小児では年齢や成長によって検査値の見方が変わるため、大人の健診結果の説明をそのまま当てはめないでください。過去の結果と今回の変化を一緒に確認します。[1][5]
急性肝不全の評価では、意識の変化だけでなく、血液を固める働きの低下も重視します。小児の系統的レビューに基づく基準は、意識障害が目立たない場合も含めて評価するものです。家庭で検査値を見て救急受診を待つための基準ではありません。[6]
原因が分かったのか、まだ調べているのかを確認します。
再検査の日、薬の使い方、必要な紹介先を確認します。
黄疸、嘔吐、飲めない、反応の変化など、個別の注意点を聞きます。
結果の説明が難しい場合は「今すぐ治療が必要ですか」「次の受診まで何に気をつけますか」と尋ねて構いません。検査用紙を保管し、別の医療機関でもこれまでの経過を伝えられるようにしておくと役立ちます。
治療と予防は、原因・年齢に合わせます
肝臓の病気に共通する万能の薬や食事はありません。水分・栄養を支えて回復を待つ場合、原因に応じた薬が必要な場合、入院して全身状態を管理する場合があります。急性肝不全では、集中治療や肝移植に対応できる施設との早い連携が重要です。[5]
慢性B型肝炎でも、全員がすぐに薬を始めるわけではありません。炎症の程度やウイルス量、年齢を見て判断します。海外には小児の抗ウイルス薬の無作為化比較試験がありますが、対象となった子の条件と、日本の承認・使用条件は同じとは限りません。小児の専門医と相談し、家族の薬を流用しないでください。[3][8]
B型肝炎の定期接種は原則1歳未満を対象に、標準的には生後2か月から3回行います。母子感染予防の対象となる赤ちゃんは、出生直後からのワクチン・免疫グロブリンと、その後の検査を含む別の計画が必要です。通常の定期接種の開始時期まで待つものではありません。[4]
A型肝炎のワクチンは、渡航などの状況に応じて相談します。海外の小児接種事業をまとめた系統的レビューでは発症が減っていますが、製剤、回数、流行状況に違いがあります。海外の接種回数をそのまま日本の予定に置き換えず、医療機関で確認します。[7]
すでに肝臓の病気で通院している子は、予防接種の時期も主治医と相談しましょう。予防接種歴は記憶だけで判断せず、母子健康手帳や記録を確認します。ワクチンは予防の手段であり、起きている肝炎を治すための薬ではありません。
受診で伝えることを、短くまとめておく
「いつから」「何が普段と違うか」「使った薬」の3つからで十分です。飲んだ量や尿の回数、便・尿の色、吐いた回数、眠り方など、分かる範囲で記録します。時刻や量を正確に思い出せなくても、そのために受診を遅らせる必要はありません。
小児の診察では、検査値だけでなく「いつものように遊ぶか」「飲めるか」「体重はどう増えてきたか」を、年齢に合わせて伺います。ご家族が気づいた便や尿の色の変化も、症状の経過を考える手がかりです。全部を記録しようとせず、一番気になる変化から教えてください。

処方薬だけでなく、市販薬やサプリメントも伝えてください。肝臓によいという広告を見て健康食品を追加したり、処方薬を自己判断で中断したりせず、薬剤師や主治医に確認します。家族が別々に薬を飲ませる場合は、重複しないよう担当と記録を共有します。
園・学校には、病名の情報を必要な範囲で共有し、活動や食事でどのような配慮が必要かを相談します。一律に運動や食事を制限するのではなく、今の状態に合った指示を確認してください。通院が続く場合は、本人にも年齢に合う言葉で、検査や治療の目的を説明していきましょう。
今日、持ち帰りたい3つの確認
①次に受診する日、②待たずに連絡する症状、③薬・食事・活動で必要な注意。この3つが分からなければ、診察の最後にもう一度聞いてください。
よくある質問
肝機能の数値が高いと言われたら、必ず入院ですか?
必ず入院するとは限りません。数値の種類、症状、年齢、経過などを合わせて判断します。再検査や紹介の予定と、早く相談する症状を確認してください。
白い便が出ても、元気なら様子を見てよいですか?
特に赤ちゃんでは、元気に見えても胆汁の流れに問題がある場合があります。母子健康手帳の便色カードを確認し、健診を待たず医療機関へ相談してください。
子どもの肝臓の病気は、すべて人にうつりますか?
すべてが感染症ではありません。感染症でも種類によって感染経路や必要な対策が異なります。原因を確かめ、家族や園・学校で必要な対応を主治医と相談します。
症状がなくなれば、通院をやめられますか?
症状がなくても、肝臓や感染の状態を継続して確認する必要がある場合があります。自分で終了を決めず、次の検査・受診の時期を主治医に確認してください。
参考文献
- 国立成育医療研究センター:急性肝不全。症状・検査・治療。
- 国立成育医療研究センター:胆道閉鎖症早期発見のために(便色カード)。
- 国立健康危機管理研究機構 肝炎情報センター:B型肝炎。2026年6月改訂。
- 厚生労働省:B型肝炎ワクチン。定期接種と母子感染予防の違い。
- Squires JE, et al. NASPGHAN:小児急性肝不全の診断・管理に関するポジションペーパー. J Pediatr Gastroenterol Nutr. 2022;74:138–158. PMID: 34347674.
- Squires JE, et al. 重症小児の急性肝機能障害:系統的レビューに基づくPODIUMコンセンサス. Pediatrics. 2022;149:S59–S65. PMID: 34970684.
- Andani A, et al. 小児のA型肝炎ワクチン1回・2回接種事業に関する系統的レビュー. Vaccine. 2022;40:196–205. PMID: 33526283.
- Jonas MM, et al. 小児のHBe抗原陽性慢性B型肝炎に対するエンテカビルの無作為化比較試験. Hepatology. 2016;63:377–387. PMID: 26223345.
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