【代表的な皮膚感染症ガイド】|専門医が解説

代表的な皮膚感染症ガイド
代表的な皮膚感染症ガイド|専門医が解説
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 皮膚感染症は、原因菌や症状によって適切な診断と治療が必要です。
  • ✓ 水虫、帯状疱疹、とびひ、イボなど、代表的な皮膚感染症について専門医が詳しく解説します。
  • ✓ 早期発見と適切な治療、そして予防策を講じることが症状悪化を防ぐ鍵となります。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

皮膚感染症は、細菌、真菌(カビ)、ウイルス、寄生虫などが皮膚に侵入し、炎症や様々な症状を引き起こす病気の総称です。日常生活で誰もが経験しうる疾患であり、適切な診断と治療が重要となります。この記事では、代表的な皮膚感染症について、それぞれの特徴、原因、治療法、予防策を専門医の視点から詳しく解説します。

水虫(足白癬)とは?その原因と効果的な対策

足の指の間に発症した水虫の症状、赤みと皮膚の剥がれが特徴
足の指間の水虫の症状

水虫(足白癬)は、白癬菌というカビの一種が足の皮膚に感染して起こる皮膚感染症です。足の指の間や足裏に、かゆみ、水ぶくれ、皮むけ、赤みなどの症状が現れます。

水虫(足白癬)の症状と診断

水虫の症状は多様であり、主に以下の3つのタイプに分けられます。

  • 趾間型(しかんがた):足の指の間がジュクジュクしたり、皮がむけたりします。最も一般的なタイプです。
  • 小水疱型(しょうすいほうがた):足の裏や側面に小さな水ぶくれができ、強いかゆみを伴うことがあります。
  • 角質増殖型(かくしつぞうしょくがた):足の裏やかかとが乾燥し、角質が厚く硬くなります。かゆみは少ないことが多いですが、ひび割れを起こすこともあります。

診断は、患部の皮膚の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌の有無を確認する「直接鏡検」によって行われます。これにより、湿疹など他の疾患との鑑別が可能です。日常診療では、「かゆみはないけれど、足の裏がカサカサしてひび割れる」と相談される方が少なくありません。このような場合でも、角質増殖型の水虫である可能性があり、顕微鏡検査で白癬菌が検出されることがよくあります。

水虫(足白癬)の治療法と注意点

水虫の治療は、主に抗真菌薬の外用薬(塗り薬)が用いられます。症状が広範囲に及ぶ場合や、爪水虫(爪白癬)を併発している場合には、内服薬が検討されることもあります。外用薬は、症状が改善しても、再発を防ぐために医師の指示に従って数ヶ月間は継続して使用することが重要です。筆者の臨床経験では、治療開始2〜3ヶ月ほどで症状の改善を実感される方が多いですが、自己判断で中断すると再発のリスクが高まります。また、家族内感染を防ぐために、バスマットやスリッパの共有を避ける、足を清潔に保ち乾燥させるなどの生活習慣の改善も大切です。

⚠️ 注意点

市販薬で一時的に症状が改善しても、白癬菌が完全に死滅していない場合が多く、再発しやすい傾向があります。自己判断での治療は避け、専門医の診断と指導のもとで適切な治療を受けることを推奨します。

帯状疱疹とは?早期発見と治療の重要性

帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスによって引き起こされる神経と皮膚の疾患です。過去に水ぼうそうにかかった人が、免疫力の低下などをきっかけに体内に潜伏していたウイルスが再活性化することで発症します。

帯状疱疹の症状と経過

帯状疱疹の典型的な症状は、体の片側に帯状に現れる痛みと、それに続いて出現する水ぶくれを伴う赤い発疹です。痛みはピリピリ、チクチク、ズキズキするなど様々で、発疹が現れる数日前から始まることもあります。発疹は通常、体の左右どちらか一方に限定され、神経の走行に沿って帯状に広がるのが特徴です。顔面、特に目の周りに発症すると、視力低下などの重篤な合併症を引き起こす可能性があり、注意が必要です。実臨床では、「最初は肩こりかと思って整形外科を受診したけど、湿疹が出てきて皮膚科に来た」という患者さんが多く見られます。痛みから始まることが多いため、診断が遅れるケースも少なくありません。

帯状疱疹の治療法と合併症

帯状疱疹の治療は、抗ウイルス薬の内服が中心となります。抗ウイルス薬は、ウイルスの増殖を抑え、症状の悪化や合併症のリスクを軽減する効果が期待できます。発症から72時間以内に治療を開始することが、効果を高める上で重要とされています[1]。痛みが強い場合には、鎮痛薬も併用されます。

主な合併症として、発疹が治った後も痛みが続く「帯状疱疹後神経痛」があります。これは特に高齢者で起こりやすく、数ヶ月から数年にわたって痛みが続くことがあります。予防策として、50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。ワクチン接種により、発症リスクを低減し、発症した場合でも重症化や帯状疱疹後神経痛への移行を抑制する効果が報告されています[1]

帯状疱疹後神経痛(PHN)
帯状疱疹の発疹が治癒した後も、数ヶ月から数年にわたり持続する神経痛。特に高齢者で発生しやすく、生活の質を著しく低下させる可能性があります。

診察の場では、「ワクチンを打つべきか」と質問される患者さんも多いです。年齢や基礎疾患、費用などを考慮し、患者さんの状況に合わせた最適な選択肢を提案するようにしています。

とびひ(伝染性膿痂疹)とは?子供に多い皮膚感染症

子供の顔にできたとびひ、黄色いかさぶたを伴う赤い発疹
子供の顔に広がる、とびひ

とびひ(伝染性膿痂疹)は、細菌感染によって引き起こされる皮膚の病気で、特に夏場に子どもに多く見られます。掻きむしった場所から病変が「飛び火」するように広がることから、この名がつけられました。

とびひの主な原因菌と症状

とびひの主な原因菌は、黄色ブドウ球菌とA群β溶血性レンサ球菌です。これらの細菌が、虫刺されや湿疹、小さな傷などから皮膚に侵入し、感染を引き起こします。症状は大きく分けて以下の2つのタイプがあります。

  • 水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん):透明な水ぶくれができ、それが破れてびらん(ただれ)になり、かさぶたになります。主に黄色ブドウ球菌が原因で、乳幼児に多く見られます。
  • 痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん):厚いかさぶたができ、周りが赤く腫れることが多いです。A群β溶血性レンサ球菌が原因で、やや年長の子どもや大人にも見られます。

日常診療では、アトピー性皮膚炎の患者さんが、掻きむしった部位から二次感染として「とびひ」を発症するケースをよく経験します。特に夏場は汗をかきやすく、皮膚のバリア機能が低下しやすいため、注意が必要です。

とびひの治療と予防策

とびひの治療は、抗菌薬の内服と外用薬の併用が基本です。水疱性膿痂疹では、主にセフェム系の抗菌薬が用いられることが多いです。痂皮性膿痂疹では、A群β溶血性レンサ球菌に有効な抗菌薬が選択されます。症状が改善するまで、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。また、患部を清潔に保ち、掻きむしらないようにすることも大切です。特に子どもでは、爪を短く切る、ガーゼで覆うなどの対策が有効です。集団生活を送る子どもがとびひになった場合、病変部が乾燥してかさぶたになり、広がる心配がなくなるまでは、登園・登校を控えることが推奨されます。

予防策としては、皮膚を清潔に保ち、小さな傷や虫刺されでも早めに手当てをすることが挙げられます。特に夏場は、シャワーをこまめに浴び、汗を洗い流すことが重要です。Surgical Infection Societyのガイドラインでも、皮膚軟部組織感染症の管理において、適切な抗菌薬の選択と感染源のコントロールが強調されています[2]

イボ(尋常性疣贅)とは?効果的な治療法と予防

イボ(尋常性疣贅)は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって皮膚にできる良性の腫瘍です。手指、足の裏、顔など、体の様々な部位に発生します。

イボの種類と感染経路

イボは、その見た目や発生部位によっていくつかの種類に分けられますが、一般的に「イボ」として認識されるのは尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)です。表面がザラザラしており、色は皮膚の色に近いか、やや褐色を帯びています。足の裏にできるものは「足底疣贅(そくていゆうぜい)」と呼ばれ、体重がかかることで表面が平らになり、魚の目と間違われることもあります。

HPVは、皮膚の小さな傷から侵入し、感染します。直接的な接触だけでなく、タオルやスリッパの共有、公衆浴場などで間接的に感染することもあります。特に、免疫力が低下している人や、アトピー性皮膚炎などで皮膚のバリア機能が低下している人は感染しやすい傾向があります。臨床現場では、手の指にできたイボを無意識に触り、他の指や顔に広げてしまうケースをよく見ます。特に子どもの患者さんでは、爪を噛む癖がある場合に口の周りにイボが多発することもあります。

イボの治療法と再発防止

イボの治療法は多岐にわたり、イボの大きさ、数、部位、患者さんの年齢などを考慮して選択されます。

治療法概要特徴
液体窒素療法液体窒素でイボを凍結させ、壊死させる方法。最も一般的。複数回の治療が必要。痛みや水ぶくれを伴うことがある。
サリチル酸外用療法サリチル酸が含まれた薬剤を塗布し、角質を軟化・剥離させる方法。自宅で継続可能。効果が出るまでに時間がかかる場合がある。
炭酸ガスレーザー治療レーザーでイボを焼灼・蒸散させる方法。比較的小さなイボや、他の治療で効果がなかった場合に検討。保険適用外の場合もある。
内服療法(ヨクイニン)ハトムギ由来の生薬を内服し、免疫力を高めてイボの自然治癒を促す。効果が出るまでに時間がかかる。他の治療と併用されることが多い。

液体窒素療法は最も一般的で、多くの場合で効果が期待できますが、複数回の治療が必要となることが多いです。治療中は、イボを触らない、タオルや履物を共有しないなど、感染拡大を防ぐための注意が必要です。治療後も再発することがあるため、定期的な経過観察が重要となります。実際の診療では、足の裏のイボで「魚の目だと思って市販薬を使い続けていたけど治らない」と受診される方が増えています。自己判断で治療を続けると、かえって悪化させたり、診断が遅れたりするリスクがあるため、早めに専門医に相談することが大切です。

最新コラム・症例報告:皮膚感染症の多様な側面

多様な皮膚感染症の症例をまとめた医療専門誌の表紙
皮膚感染症の症例報告

皮膚感染症は、上記で紹介した代表的な疾患以外にも多岐にわたります。ここでは、皮膚感染症に関する最新の知見や、臨床現場で遭遇する興味深い症例についてご紹介します。

疥癬(かいせん)の診断と治療の進歩

疥癬は、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生することで起こる強いかゆみを伴う皮膚感染症です。近年、高齢者施設などでの集団発生が報告されることがあり、診断と治療の重要性が再認識されています。特徴的な症状は、夜間に強くなるかゆみと、手首、指の間、脇の下、股間などにできる赤いブツブツや線状の皮疹(疥癬トンネル)です。診断には、皮膚の一部を採取して顕微鏡でダニやその卵を確認することが不可欠です。最近のガイドラインでは、疥癬の診断と治療に関する詳細な推奨が示されており、イベルメクチンなどの内服薬や、ペルメトリンなどの外用薬が効果的な治療選択肢として挙げられています[4]。外来診療では、「家族全員がかゆがっている」「夜になるとかゆみがひどくなる」と訴えて受診される患者さんが増えています。このような場合、疥癬を疑い、早期に診断・治療を開始することで、家族内や施設内での感染拡大を防ぐことができます。

薬剤耐性菌による皮膚感染症への対応

近年、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの薬剤耐性菌による皮膚感染症が増加傾向にあります。これらの菌による感染症は、通常の抗菌薬が効きにくく、治療が難航することがあります。特に、重症の蜂窩織炎(ほうかしきえん)や壊死性筋膜炎などの深部皮膚軟部組織感染症では、適切な抗菌薬の選択と外科的処置が生命予後を左右することもあります[2]。感染症学会のガイドラインでは、皮膚軟部組織感染症の診断と管理に関する詳細な推奨が示されており、適切な抗菌薬の選択や、感染源のコントロールの重要性が強調されています[1]。臨床現場では、初期治療に反応しない感染症患者さんに対して、細菌培養検査を行い、薬剤感受性を確認することが重要なポイントになります。これにより、より効果的な抗菌薬へ変更し、治療効果を高めることが期待できます。

皮膚感染症は、その原因や症状が多岐にわたるため、自己判断せずに専門医の診断を受けることが最も重要です。早期に適切な治療を開始することで、症状の悪化や合併症を防ぎ、速やかな回復へとつながります。日々の皮膚ケアと異常を感じた際の早期受診を心がけましょう。

まとめ

皮膚感染症は、細菌、真菌、ウイルス、寄生虫など様々な病原体によって引き起こされ、日常生活で誰もが経験しうる疾患です。水虫、帯状疱疹、とびひ、イボといった代表的な皮膚感染症は、それぞれ異なる原因と症状を持ち、適切な診断と治療が不可欠です。水虫は白癬菌による感染で、抗真菌薬の外用や内服で治療します。帯状疱疹は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化によるもので、早期の抗ウイルス薬投与が重要です。とびひは細菌感染によるもので、抗菌薬の内服・外用で治療し、特に子どもに多く見られます。イボはヒトパピローマウイルス感染による良性腫瘍で、液体窒素療法などが一般的です。どの皮膚感染症においても、自己判断せず、早期に専門医を受診し、適切な治療と予防策を講じることが、症状の悪化を防ぎ、健康な皮膚を保つために最も重要です。

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よくある質問(FAQ)

Q1: 皮膚感染症は自然に治ることはありますか?
A1: 軽度な皮膚炎であれば自然に治癒することもありますが、多くの皮膚感染症は自然治癒が難しいか、悪化するリスクがあります。特に細菌感染症や真菌感染症は、放置すると症状が広がり、重症化する可能性もあります。帯状疱疹のように神経痛などの合併症を残すリスクもあるため、自己判断せずに早期に医療機関を受診することをお勧めします。
Q2: 皮膚感染症の予防には何が効果的ですか?
A2: 皮膚感染症の予防には、まず皮膚を清潔に保つことが基本です。手洗いや入浴をこまめに行い、汗をかいたら洗い流し、皮膚を乾燥させることが重要です。また、皮膚に小さな傷や湿疹がある場合は、そこから細菌などが侵入しやすくなるため、早めに手当てをしましょう。免疫力を高めるために、バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動も心がけることが大切です。帯状疱疹のようにワクチンで予防できる感染症もあります。
Q3: 皮膚感染症の治療期間はどのくらいですか?
A3: 治療期間は、感染症の種類、重症度、使用する薬剤によって大きく異なります。例えば、軽度の細菌感染症であれば数日から1週間程度で改善が見られることが多いですが、水虫のように真菌が原因の場合は数ヶ月間の治療が必要となることもあります。イボの治療も複数回にわたることが一般的です。症状が改善したからといって自己判断で治療を中断せず、医師の指示に従って最後まで治療を継続することが再発防止のために重要です。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
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