- ✓ 男性機能障害と男性不妊は密接に関連しており、生活習慣病や神経疾患が原因となることがあります。
- ✓ ED、男性不妊、男性更年期障害、性感染症など、多岐にわたる男性特有の健康問題について解説します。
- ✓ 早期の医療機関受診と適切な治療が、これらの問題の改善に繋がる可能性があります。
ED(勃起障害)とは?

ED(Erectile Dysfunction:勃起障害)とは、性交時に十分な勃起が得られない、または維持できないために、満足な性行為が行えない状態が続くことを指します。これは男性機能障害の代表的な症状の一つであり、多くの男性が経験しうる問題です。
EDの原因は多岐にわたりますが、大きく分けて器質性、心因性、混合性の3つに分類されます。器質性EDは、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病による血管障害や神経障害が主な原因となります[1]。例えば、動脈硬化が進行すると陰茎への血流が悪くなり、勃起が困難になります。臨床の現場では、初診時に「最近、勃起が硬くならない」「途中で萎えてしまう」と相談される患者さんも少なくなく、問診を進めると生活習慣病の既往があるケースをよく経験します。また、神経疾患もEDの原因となることが報告されています[4]。心因性EDは、ストレス、不安、うつ病などが原因で、精神的な要因が勃起に影響を与えるものです。混合性EDは、これら両方の要因が絡み合っている状態を指します。
EDの診断と治療法
EDの診断は、問診、身体診察、血液検査、必要に応じて勃起機能検査などによって行われます。問診では、勃起の状況や性生活に関する詳細な情報をお伺いし、国際勃起機能スコア(IIEF-5)などの質問票も活用されます。血液検査では、男性ホルモン値や血糖値、コレステロール値などを確認し、隠れた疾患がないかを調べます。
治療法としては、主に以下の選択肢があります。
- PDE5阻害薬(内服薬): 陰茎への血流を改善し、勃起をサポートする薬剤です。シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルなどがあり、医療現場でも多くの患者さんがこの治療から始められます。服用後30分から1時間程度で効果が現れ、性行為の前に服用します。
- 陰茎注射: 内服薬で効果が不十分な場合や、内服薬が使用できない場合に検討されます。陰茎に直接薬剤を注射することで、強制的に勃起を誘発します。
- 生活習慣の改善: 肥満の解消、適度な運動、禁煙、節酒など、生活習慣の見直しはEDの改善だけでなく、全身の健康維持にも重要です。特に、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)も男性の性機能障害や不妊症と関連があることが指摘されており、生活習慣の改善は多角的なメリットをもたらします[3]。
- 心理療法: 心因性EDの場合、カウンセリングや心理療法が有効な場合があります。
治療は患者さん一人ひとりの状態や原因に合わせてオーダーメイドで行われます。諦めずに専門医にご相談いただくことが大切です。
男性不妊とは?その原因と検査方法は?
男性不妊とは、避妊せずに性生活を送っているにもかかわらず、1年以上妊娠に至らない場合に男性側に原因がある状態を指します。不妊症全体の約半数に男性側の因子が関与しているとされており、決して女性だけの問題ではありません[2]。
男性不妊の原因は多岐にわたりますが、最も多いのは精子の量や質に問題がある場合です。具体的な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 精索静脈瘤: 精巣の周りの静脈が拡張し、精巣の温度が上昇したり、血流が悪くなったりすることで、精子の形成に悪影響を及ぼします。男性不妊の原因として最も頻度が高い疾患の一つです。
- 造精機能障害: 精巣で精子が正常に作られない状態です。ホルモン異常、遺伝的要因、過去の精巣炎や外傷、薬剤の影響などが考えられます。
- 精路通過障害: 精巣で作られた精子が、精管などの通り道で詰まってしまい、体外に排出されない状態です。感染症や手術、先天的な異常が原因となることがあります。
- 性機能障害: ED(勃起障害)や射精障害など、性行為が正常に行えないことが原因で妊娠に至らないケースです。性機能障害と男性不妊は密接に関連していることが報告されています[1]。
- その他: 免疫学的要因(抗精子抗体)、生活習慣(喫煙、過度の飲酒、肥満、ストレスなど)、環境要因なども影響を与える可能性があります。
診察の中で、不妊で悩むカップルの約半数に男性側の因子があることを実感しており、男性も積極的に検査を受けることの重要性を常に患者さんにお伝えしています。
男性不妊の検査方法
男性不妊の検査は、主に以下のステップで行われます。
- 問診: 既往歴、生活習慣、性生活の状況などを詳しくお伺いします。
- 身体診察: 精巣の大きさや硬さ、精索静脈瘤の有無などを確認します。
- 精液検査: 精子の濃度、運動率、正常形態率などを評価する最も基本的な検査です。複数回実施し、精液の状態を正確に把握します。
- 血液検査: ホルモン値(FSH、LH、テストステロンなど)や染色体異常の有無などを調べます。
- 超音波検査: 精巣や精路の状態、精索静脈瘤の有無などを確認します。
これらの検査結果に基づいて、適切な治療方針が決定されます。治療には、薬物療法、手術(精索静脈瘤手術など)、または体外受精などの生殖補助医療が選択されることがあります。早期に原因を特定し、適切な治療を開始することが妊娠への近道となります。
男性更年期障害(LOH症候群)とは?その症状と対策

男性更年期障害、正式にはLOH症候群(Late-onset Hypogonadism)とは、加齢に伴い男性ホルモンであるテストステロンの分泌が低下することで、心身に様々な不調が現れる状態を指します。女性の更年期障害と同様に、男性にもホルモンバランスの変化による影響があることが知られています。
テストステロンは、性欲や勃起機能だけでなく、筋肉量、骨密度、精神状態、認知機能など、男性の全身の健康に深く関わっています。そのため、テストステロンが低下すると多岐にわたる症状が出現します。臨床現場では「疲れやすい」「やる気が出ない」「イライラする」といった漠然とした不調を訴える患者さんが多くいらっしゃいますが、検査の結果、LOH症候群と診断されるケースも少なくありません。
男性更年期障害の主な症状
LOH症候群の症状は個人差が大きいですが、一般的に以下のようなものが挙げられます。
- 精神神経症状: 意欲の低下、集中力の低下、記憶力の低下、不眠、イライラ、不安感、うつ状態など。
- 身体症状: 疲労感、倦怠感、発汗、ほてり、頭痛、めまい、肩こり、関節痛、筋肉量の減少、筋力低下、内臓脂肪の増加など。
- 性機能症状: 性欲の低下、ED(勃起障害)、射精障害など。EDは男性更年期障害の代表的な症状の一つであり、ED(勃起障害)との関連も深いと言えます。
診断と治療
診断は、問診で症状を詳しくお伺いし、血液検査で血中の遊離テストステロン値を測定することで行われます。遊離テストステロン値が一定以下の場合、LOH症候群と診断される可能性があります。
治療の主な柱は、テストステロン補充療法です。これは、低下したテストステロンを補充することで症状の改善を目指すものです。補充方法には、注射、塗り薬(ジェル)、貼り薬などがあります。治療を始めて数ヶ月ほどで「疲れにくくなった」「気分が前向きになった」とおっしゃる方が多いです。ただし、テストステロン補充療法は、前立腺がんや睡眠時無呼吸症候群などの疾患がある場合には慎重な検討が必要なため、必ず専門医の指導のもとで行う必要があります。
テストステロン補充療法は、前立腺がんのリスクがある方や、すでに前立腺がんを患っている方には禁忌となる場合があります。治療開始前には必ず前立腺がんのスクリーニング検査が必要です。
また、生活習慣の改善も重要です。バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレスマネジメントなどは、テストステロン分泌の維持に役立ちます。
性感染症(STI)とは?男性への影響と予防策
性感染症(STI: Sexually Transmitted Infections)とは、性行為を介して人から人へ感染する病気の総称です。かつては性病と呼ばれていましたが、性行為だけでなく、オーラルセックスやアナルセックスなど、性的な接触全般で感染が広がることから、現在では性感染症という名称が用いられています。男性においても、STIは様々な健康問題を引き起こし、時には不妊症の原因となることもあります。
実際の診療では、自覚症状が乏しいまま感染が進行しているケースをよく経験します。特に若年層では、複数のSTIに同時感染していることも珍しくありません。
男性に多い性感染症の種類と症状
男性に多い主な性感染症とその症状は以下の通りです。
- クラミジア感染症: 最も頻度の高いSTIの一つです。尿道炎を引き起こし、排尿時の痛みや尿道からの分泌物が見られることがあります。しかし、無症状のことも多く、放置すると精巣上体炎や前立腺炎を引き起こし、男性不妊の原因となる可能性があります。
- 淋菌感染症: クラミジアと同様に尿道炎が主な症状ですが、クラミジアよりも症状が強く、膿のような分泌物や強い排尿痛を伴うことが多いです。放置すると精巣上体炎などを引き起こし、不妊の原因となることがあります。
- 性器ヘルペス: 陰部に水ぶくれや潰瘍ができ、強い痛みを伴います。再発を繰り返す特徴があります。
- 尖圭コンジローマ: 陰茎や肛門周辺にイボができる病気です。ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因で、放置すると大きくなったり数が増えたりすることがあります。
- 梅毒: 感染初期には痛みのないしこり(硬性下疳)ができますが、自然に消えるため見過ごされがちです。放置すると全身に発疹が現れたり、内臓や神経に重篤な合併症を引き起こしたりする可能性があります。
- HIV感染症: 免疫不全を引き起こし、エイズ(AIDS)へと進行する可能性があります。
予防と早期発見の重要性
STIの予防には、以下の対策が重要です。
- コンドームの正しい使用: STI予防に最も効果的な方法の一つです。
- 定期的な検査: 特に複数のパートナーがいる場合や、新しいパートナーとの関係が始まった際には、定期的な検査が推奨されます。
- パートナーとのコミュニケーション: お互いの性感染症の検査状況や性歴について話し合うことが大切です。
- ワクチン接種: HPVワクチンは尖圭コンジローマや一部のがん(肛門がんなど)の予防に有効です。
症状がある場合はもちろん、無症状でも感染している可能性があるので、不安な場合はすぐに医療機関を受診し、検査を受けることが重要です。早期発見・早期治療が、重症化やパートナーへの感染拡大を防ぐ上で非常に重要なポイントになります。
最新コラム:男性機能の維持と向上に役立つ情報

男性機能の維持と向上は、単に性生活の質の向上だけでなく、全身の健康状態と密接に関わっています。最新の研究や臨床経験に基づき、男性機能に関するコラムとして、日々の生活で実践できることや、新たな知見をご紹介します。
男性機能の低下は、生活習慣病のサインであることも少なくありません。例えば、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)は、男性の性機能障害や不妊症と共通の病態生理学的メカニズムを持つことが示唆されており、これらの問題が同時に発生する「共通の問題」として認識され始めています[3]。つまり、男性機能の改善は、全身の健康改善にも繋がるということです。臨床の現場では、男性機能の相談をきっかけに、糖尿病や高血圧の早期発見に至るケースも多く、男性機能は健康のバロメーターであると実感しています。
男性機能維持のための生活習慣
男性機能を良好に保つためには、日々の生活習慣が非常に重要です。
- バランスの取れた食事: 亜鉛やセレンなどのミネラル、ビタミンEなどの抗酸化物質は、精子の質や男性ホルモンの生成に関与すると言われています。野菜、果物、全粒穀物、良質なタンパク質を積極的に摂りましょう。
- 適度な運動: 肥満は男性ホルモンの低下やEDのリスクを高めます。定期的な有酸素運動や筋力トレーニングは、血流改善やホルモンバランスの維持に役立ちます。週に150分以上の中強度の運動が推奨されています。
- 十分な睡眠: 睡眠不足はストレスホルモンを増加させ、テストステロン分泌を抑制する可能性があります。7~8時間の質の良い睡眠を心がけましょう。
- ストレスマネジメント: 過度なストレスは自律神経の乱れを引き起こし、EDや性欲低下に繋がることがあります。趣味やリラックスできる時間を持つことが大切です。
- 禁煙・節酒: 喫煙は血管を収縮させ、血流を悪化させるためEDの大きなリスク因子です。過度な飲酒も男性ホルモンに悪影響を及ぼす可能性があります。
男性機能に関する新たな知見
近年、男性機能と全身疾患との関連性がより深く理解されるようになってきました。例えば、男性の性機能障害と不妊症は、糖尿病、高血圧、心血管疾患、肥満、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病と密接に関連していることが多くの研究で示されています[1]。これらの疾患は、血管内皮機能の障害やホルモンバランスの乱れを引き起こし、結果として勃起機能や精子の質に影響を与えると考えられています。
また、神経疾患も男性の性機能障害や不妊症に影響を与えることが報告されており、脊髄損傷や多発性硬化症などがその例として挙げられます[4]。これらの知見から、男性機能の問題は単独で捉えるのではなく、全身の健康状態の一部として総合的に評価し、治療することが重要であると言えます。
男性機能に関する悩みは、一人で抱え込まずに専門医に相談することが、早期解決への第一歩です。実臨床では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最適な治療法をご提案し、健康的な生活をサポートいたします。
まとめ
男性機能や男性不妊に関する問題は、多くの男性が直面しうるデリケートな健康課題です。ED(勃起障害)、男性不妊、男性更年期障害(LOH症候群)、性感染症(STI)など、その種類は多岐にわたり、それぞれに特有の原因と症状、そして適切な治療法が存在します。
これらの問題は、生活習慣病、ホルモンバランスの乱れ、感染症、精神的ストレスなど、様々な要因が絡み合って発生することが多く、単一の原因で片付けられるものではありません。また、男性機能の低下が、糖尿病や心血管疾患といった全身の健康問題のサインであることも少なくありません。そのため、男性機能に関する悩みを抱えている場合は、決して一人で抱え込まず、専門の医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが非常に重要です。
早期に医療機関を受診することで、原因を特定し、効果的な治療を開始できるだけでなく、潜在的な全身疾患の早期発見にも繋がり、より健康的な生活を取り戻すことが期待できます。専門医は、患者さん一人ひとりの状況に合わせた最適な治療計画を提案し、デリケートな問題に対してきめ細やかなサポートを提供します。男性機能の維持と向上は、充実した人生を送る上で不可欠な要素であり、積極的に医療と向き合うことが大切です。
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- Francesco Lotti, Mario Maggi. Sexual dysfunction and male infertility.. Nature reviews. Urology. 2019. PMID: 29532805. DOI: 10.1038/nrurol.2018.20
- Andrej Starc, Manca Trampuš, Doroteja Pavan Jukić et al.. INFERTILITY AND SEXUAL DYSFUNCTIONS: A SYSTEMATIC LITERATURE REVIEW.. Acta clinica Croatica. 2020. PMID: 31969764. DOI: 10.20471/acc.2019.58.03.15
- Dorota J Hawksworth, Arthur L Burnett. Nonalcoholic Fatty Liver Disease, Male Sexual Dysfunction, and Infertility: Common Links, Common Problems.. Sexual medicine reviews. 2021. PMID: 30898592. DOI: 10.1016/j.sxmr.2019.01.002
- Mikkel Fode, Sheila Krogh-Jespersen, Nancy L Brackett et al.. Male sexual dysfunction and infertility associated with neurological disorders.. Asian journal of andrology. 2012. PMID: 22138899. DOI: 10.1038/aja.2011.70
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