- ✓ 尿路結石は激しい痛みや血尿を引き起こし、再発率が高い疾患です。
- ✓ 適切な診断と治療、そして生活習慣の改善による予防が重要となります。
- ✓ 水分摂取や食生活の見直し、定期的な検査が再発防止に役立ちます。
尿路結石は、腎臓から尿道までの尿路に結石が生じる病気で、激しい痛みや血尿などの症状を引き起こします。適切な理解と対策が重要です。
尿路結石の基礎知識

尿路結石は、尿の成分が結晶化し、固形物となって尿路内に形成される疾患です。腎臓、尿管、膀胱、尿道のいずれかの部位に発生します。
尿路結石とは?その定義と種類
尿路結石は、尿中に含まれるカルシウム、シュウ酸、尿酸などの物質が過剰になったり、尿量が減少したりすることで、これらが飽和状態となり結晶化し、結石として沈着することで発症します[1]。結石の主な種類としては、シュウ酸カルシウム結石が最も多く、全体の約80%を占めると言われています。その他にはリン酸カルシウム結石、尿酸結石、感染結石(リン酸マグネシウムアンモニウム結石)、シスチン結石などがあります[1]。臨床の現場では、初診時に「突然の激しい腰の痛みで救急車を呼んだ」と相談される患者さんも少なくありません。この激痛は、結石が尿管に詰まり、尿の流れが妨げられることで腎臓が腫れる(水腎症)ために起こることが多いです。
- シュウ酸カルシウム結石
- 尿路結石の約80%を占める最も一般的なタイプ。シュウ酸とカルシウムが結合して形成されます。ほうれん草やチョコレートなどシュウ酸を多く含む食品の過剰摂取、脱水などがリスク要因とされます。
- 尿酸結石
- 尿酸値が高い状態(高尿酸血症)や酸性尿が原因で形成されます。痛風患者に多く見られます。
尿路結石の主な症状とは?
尿路結石の症状は、結石の大きさ、位置、移動の有無によって大きく異なります。最も特徴的な症状は、突然発症する激しい痛み(疝痛)です。この痛みは、腎臓や尿管が結石によって閉塞され、尿の流れが滞ることで生じます。痛みは脇腹から下腹部、鼠径部にかけて広がり、吐き気や嘔吐を伴うことも少なくありません。また、血尿(肉眼的血尿または顕微鏡的血尿)、頻尿、残尿感、排尿時痛などの膀胱刺激症状も現れることがあります。特に、結石が尿路感染症を併発すると、発熱や悪寒を伴うこともあります。実臨床では、痛みのあまり顔面蒼白で来院される患者さんも多くいらっしゃいます。痛みは間欠的に起こることが多く、痛みが引いている間は比較的落ち着いているため、受診が遅れるケースも見られますが、早めの受診が重要です。
尿路結石の発生頻度とリスク要因
尿路結石は比較的頻度の高い疾患であり、男性に多く、女性の約2倍の発生率とされています。生涯で一度は尿路結石を経験する人の割合は、男性で約10~15%、女性で約3~5%と報告されています。一度結石ができた場合、5年以内に約50%の確率で再発すると言われており、再発予防が非常に重要です[2]。リスク要因としては、以下のようなものが挙げられます。
- 水分摂取量の不足: 尿が濃縮され、結石成分が結晶化しやすくなります。
- 食生活: 動物性タンパク質、塩分、シュウ酸の過剰摂取、カルシウム不足などが関連します。
- 肥満: BMIが高いほどリスクが増加するとされています。
- 遺伝的要因: 家族に尿路結石の既往がある場合、リスクが高まります。
- 特定の疾患: 痛風、副甲状腺機能亢進症、尿路感染症、炎症性腸疾患などがリスクを高めます。
- 薬剤: 一部の薬剤が結石形成を促進する可能性があります。
小児における尿路結石の発生も報告されており、特に代謝性疾患や解剖学的異常が背景にある場合があります。小児の場合、症状が非典型的であることも多いため、注意深い観察が必要です[3]。
尿路結石の検査と診断
尿路結石の正確な診断には、患者さんの症状の聴取、身体診察、そして画像検査や尿検査などの多角的なアプローチが必要です。
どのような検査が行われるのか?
尿路結石の診断には、主に以下の検査が用いられます。臨床の現場では、患者さんの痛みの程度や既往歴、緊急性に応じて最適な検査を選択しています。
- 尿検査: 血尿の有無、尿路感染症の兆候、尿のpH、結晶の種類などを調べます。結石の種類を推定する上で重要な情報となります。
- 血液検査: 腎機能の評価(クレアチニン、尿素窒素など)、炎症の有無(CRP)、電解質異常、尿酸値、カルシウム値などを確認します。
- 画像検査:
- 腹部X線検査(KUB): 比較的安価で手軽に行えますが、小さい結石や透光性の結石(尿酸結石など)は見つけにくい場合があります。
- 超音波検査: 腎臓の結石や水腎症の有無を確認するのに有用です。放射線被曝がないため、妊婦や小児にも安全に行えます。
- CT検査: 結石の位置、大きさ、数、尿路の閉塞の程度を最も正確に評価できます。特に、非造影CTは尿路結石診断のゴールドスタンダードとされています[4]。
結石の種類を特定する重要性とは?
結石の種類を特定することは、再発予防や治療方針を決定する上で極めて重要です。結石の成分によって、その形成メカニズムや再発リスク、そして予防策が異なるためです。例えば、尿酸結石であれば尿をアルカリ化する薬物療法が有効である一方、シュウ酸カルシウム結石では水分摂取の増加や食事内容の見直しが中心となります。結石が自然排出された場合や手術で摘出された場合は、その結石を分析することで正確な種類を特定できます。実際の診療では、結石が排泄された際に「これ、結石ですか?」と持参される患者さんもいらっしゃいます。このような場合、結石分析を行うことで、その後の再発予防指導に役立てることができます。
尿路結石と他の疾患との鑑別
尿路結石の症状は、他の腹部疾患や泌尿器疾患と類似することがあります。そのため、正確な診断のためには鑑別診断が重要です。
- 急性虫垂炎: 右下腹部痛が共通しますが、尿路結石では痛みが移動することが多く、発熱や白血球増加が少ない傾向があります。
- 腎盂腎炎: 発熱、悪寒、腰痛が特徴ですが、尿路結石と異なり排尿痛や頻尿がより顕著な場合があります。尿検査で細菌尿が認められます。
- 卵巣嚢腫茎捻転(女性): 突然の激しい下腹部痛が特徴ですが、婦人科的な診察や超音波検査で鑑別します。
- 腹部大動脈瘤破裂: 激しい腰背部痛を伴うことがあり、緊急性が高いため、迅速な鑑別が必要です。
これらの疾患との鑑別には、詳細な問診、身体診察、そして適切な画像診断が不可欠です。診察の中で、患者さんの痛みの性状や随伴症状から、尿路結石の可能性を強く実感することがよくあります。
尿路結石の治療

尿路結石の治療は、結石の大きさ、位置、症状の有無、患者さんの全身状態によって多岐にわたります。主な治療法は、自然排石を促す保存的治療と、積極的な結石除去治療に分けられます。
尿路結石の治療法にはどのような種類がある?
尿路結石の治療法は、結石の状況に応じて選択されます。実際の診療では、患者さんのライフスタイルや希望も考慮し、最適な治療法を提案しています。
- 保存的治療(自然排石促進):
- 積極的結石除去治療:
- 体外衝撃波結石破砕術(ESWL): 体外から衝撃波を当てて結石を細かく砕き、自然排石を促す治療法です。非侵襲的であり、入院期間が短いという利点があります。
- 経尿道的尿管結石砕石術(TUL): 尿道から内視鏡を挿入し、レーザーなどで結石を砕き、摘出する手術です。ESWLで破砕しにくい硬い結石や、大きい結石に適用されます。
- 経皮的腎結石砕石術(PCNL): 背中から腎臓に直接小さな穴を開け、内視鏡を挿入して結石を砕き摘出する手術です。特に大きな腎結石(サンゴ状結石など)に有効です。
- 腹腔鏡下・開腹手術: 他の治療法で対応できない非常に大きく複雑な結石や、解剖学的異常がある場合に検討されますが、近年は減少傾向にあります。
各治療法のメリット・デメリットを比較
治療法を選択する際には、それぞれのメリットとデメリットを理解することが重要です。日常診療では、患者さん一人ひとりの状態に合わせて、最適な治療法をご提案できるよう努めています。
| 治療法 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 保存的治療 | 非侵襲的、身体への負担が少ない | 排石に時間がかかる、痛みが続く可能性、排石されない場合がある |
| ESWL | 非侵襲的、入院期間が短い | 複数回の治療が必要な場合がある、破砕できない結石もある、痛みや血尿、発熱の可能性 |
| TUL | 結石除去率が高い、硬い結石にも対応可能 | 侵襲的、麻酔が必要、尿路損傷や感染のリスク |
| PCNL | 大きな結石に有効、高い結石除去率 | 侵襲的、出血や感染、腎損傷のリスク |
治療後の経過と注意点
治療後も、結石の再発予防が非常に重要です。特に、ESWLやTUL後には、残存結石の排出を促すために十分な水分摂取が推奨されます。また、治療後数週間から数ヶ月は、定期的な画像検査(X線や超音波)で結石の状況や水腎症の改善を確認します。治療を始めて数ヶ月ほどで「痛みはなくなったけど、また結石ができるのが心配」とおっしゃる方が多いです。そのため、医療現場では治療後の生活習慣指導や定期的なフォローアップを重視しています。再発予防のためには、結石の種類に応じた食事指導や、必要に応じて薬物療法を継続することがあります。
尿路結石の予防
尿路結石は再発率が高い疾患であるため、治療後の予防策が非常に重要です。日々の生活習慣を見直すことで、再発リスクを大幅に減らすことが期待できます。
尿路結石の再発を防ぐには?
尿路結石の再発予防の基本は、水分摂取と食事の見直しです。これらの対策を継続することで、結石の再形成を抑制することが期待できます。実際の診療では、患者さんの食生活や生活習慣を詳しく伺い、個別にアドバイスを行っています。
- 十分な水分摂取: 1日2リットル以上の水分(水やお茶)を摂取し、尿量を増やすことが最も重要です。尿が薄まることで、結石成分の濃度が低下し、結晶化しにくくなります。特に夏場や運動時は、より多くの水分摂取が必要です。
- バランスの取れた食事:
- 塩分制限: 塩分の過剰摂取は尿中カルシウム排泄を増加させるため、控えめにします。
- 動物性タンパク質の制限: 肉類などの動物性タンパク質は尿酸やシュウ酸の排泄を増加させるため、適量を心がけます。
- シュウ酸の摂取量に注意: シュウ酸を多く含む食品(ほうれん草、チョコレート、紅茶、ナッツ類など)を過剰に摂取しないよう注意します。特に、シュウ酸を多く含む食品を摂る際は、同時にカルシウムを多く含む食品(牛乳など)を摂ることで、腸内でシュウ酸とカルシウムが結合し、吸収されずに便として排出されやすくなると言われています。
- カルシウム摂取: 極端なカルシウム制限はかえって結石リスクを高める可能性があるため、適切な量のカルシウムを摂取することが推奨されます。
- 適度な運動と体重管理: 肥満は尿路結石のリスク因子であるため、適度な運動と健康的な体重を維持することが大切です。
食事療法と生活習慣の改善ポイント
結石の種類によって、特に注意すべき食事内容が異なります。例えば、尿酸結石の場合はプリン体を多く含む食品(レバー、魚卵など)の摂取を控え、尿をアルカリ化する野菜や海藻類を積極的に摂ることが推奨されます。シュウ酸カルシウム結石の場合は、シュウ酸の摂取量を意識しつつ、カルシウムを適切に摂ることが重要です[2]。実際の診療では、患者さんに具体的な食品例を挙げながら、無理なく続けられる食事指導を心がけています。例えば、「ほうれん草を食べる時は、おひたしにしてかつお節をかけると、シュウ酸の吸収を抑えつつカルシウムも摂れますよ」といったアドバイスをすることもあります。
定期的な健康診断と早期発見の重要性
尿路結石は、無症状で経過することもありますが、放置すると腎機能障害や重篤な感染症を引き起こす可能性があります。そのため、特に過去に結石を経験したことのある方は、定期的な健康診断や泌尿器科での検査が重要です。超音波検査や尿検査で、結石の有無や再発の兆候を早期に発見し、適切な対策を講じることが、重症化を防ぐ上で極めて重要になります。診察の中で、定期的に検査を受けている患者さんは、結石が小さいうちに発見され、比較的簡単な治療で済むケースが多いことを実感しています。
最新コラム(尿路結石)

尿路結石の治療や予防に関する研究は日々進歩しており、新たな知見や技術が導入されています。ここでは、尿路結石に関する最新の話題や、患者さんが知っておくべき情報についてご紹介します。
AIを活用した診断・治療の進歩とは?
近年、医療分野における人工知能(AI)の活用が進んでおり、尿路結石の診断や治療においてもその可能性が注目されています。例えば、CT画像から結石を自動で検出し、その大きさや位置、種類をAIが解析することで、診断の精度向上や医師の負担軽減が期待されています。また、AIが過去の患者データを学習し、個々の患者さんに最適な治療法や再発予防策を提案するシステムの開発も進められています[4]。これにより、よりパーソナライズされた医療の提供が可能になるかもしれません。臨床の現場では、AIによる画像診断支援が、特に緊急性の高い症例において診断時間の短縮に貢献する可能性を感じています。
新しい治療薬や治療法の開発状況
尿路結石の治療法は、ESWLや内視鏡手術が主流ですが、より低侵襲で効果的な治療法の開発も進められています。例えば、結石を溶解させる薬や、排石を促進する新たな作用機序を持つ薬剤の研究も行われています。また、内視鏡機器の小型化や高機能化により、より安全で精密な手術が可能になっています。特に、フレキシブル尿管鏡の進化は、腎臓内の複雑な結石にも到達しやすくなり、治療成績の向上に寄与しています。これらの新しい技術や薬剤が実用化されれば、患者さんの負担をさらに軽減し、治療効果を高めることが期待されます。
尿路結石と気候変動・環境要因の関係性
尿路結石の発生には、気候変動や環境要因も影響を与える可能性が指摘されています。例えば、地球温暖化による気温上昇は、脱水状態を招きやすく、尿が濃縮されることで結石形成のリスクを高める可能性があります。実際に、夏季に尿路結石の発症が増加する傾向は、多くの地域で報告されています。また、特定の地域における水質や土壌に含まれるミネラル成分が、結石形成に影響を与える可能性も研究されています。これらの環境要因を考慮した予防策の検討も、今後の重要な課題と言えるでしょう。診察の中で、特に暑い時期に「最近、水分をあまり摂れていなくて…」と話される患者さんが、結石を発症するケースをよく経験します。
まとめ
尿路結石は、激しい痛みや血尿を伴うことが多く、再発率も高いため、適切な診断と治療、そして予防が非常に重要な疾患です。水分摂取の習慣化、バランスの取れた食事、適度な運動といった生活習慣の改善が再発防止の鍵となります。また、症状が現れた際には早期に医療機関を受診し、適切な検査と治療を受けることが、合併症の予防や健康維持につながります。定期的な健康診断を通じて、結石の早期発見・早期対応を心がけましょう。
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- Joseph W Bartges, Amanda J Callens. Urolithiasis.. The Veterinary clinics of North America. Small animal practice. 2016. PMID: 26002797. DOI: 10.1016/j.cvsm.2015.03.001
- Yann Queau. Nutritional Management of Urolithiasis.. The Veterinary clinics of North America. Small animal practice. 2019. PMID: 30583809. DOI: 10.1016/j.cvsm.2018.10.004
- Valerie Panzarino. Urolithiasis in Children.. Advances in pediatrics. 2021. PMID: 32591054. DOI: 10.1016/j.yapd.2020.03.004
- Dean G Assimos. Urolithiasis/Endourology.. The Journal of urology. 2023. PMID: 37199091. DOI: 10.1097/JU.0000000000003538
- タムスロシン塩酸塩(タムスロシン)添付文書(JAPIC)
- シロドシン(シロドシン)添付文書(JAPIC)

