【甲状腺疾患のすべて】|バセドウ病・橋本病・甲状腺がんを医師が解説

甲状腺疾患のすべて(バセドウ病・橋本病・甲状腺がん)
甲状腺疾患のすべて|バセドウ病・橋本病・甲状腺がんを医師が解説
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 甲状腺疾患は機能異常(亢進症・低下症)と形態異常(腫瘍)に大別され、それぞれ適切な診断と治療が必要です。
  • ✓ バセドウ病、橋本病、甲状腺がんは代表的な甲状腺疾患であり、症状や治療法が大きく異なります。
  • ✓ 早期発見と継続的なフォローアップが、甲状腺疾患の管理において非常に重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

甲状腺疾患は、私たちの体の代謝を司る重要な臓器である甲状腺に異常が生じる病気の総称です。その種類は多岐にわたり、バセドウ病や橋本病といった機能異常から、甲状腺がんのような腫瘍性疾患まで含まれます。これらの疾患は、全身のさまざまな症状を引き起こし、生活の質に大きく影響を及ぼすことがあります。この記事では、甲状腺疾患の基本的な知識から、代表的な病気であるバセドウ病、橋本病、甲状腺がんについて、専門医の視点から詳しく解説します。

甲状腺の基本とは?その役割と機能

喉元にある蝶の形をした甲状腺の構造とホルモン分泌の仕組み
甲状腺の解剖学的構造と機能

甲状腺の基本とは、喉仏の下に位置する蝶々のような形をした内分泌器官であり、全身の代謝を調節する甲状腺ホルモンを産生・分泌する重要な役割を担っています。甲状腺ホルモンは、成長や発達、エネルギー代謝、体温調節、心臓の働きなど、生命活動のほぼ全てのプロセスに関与しています。

甲状腺の構造とホルモンの種類

甲状腺は、左右の葉とそれをつなぐ峡部から構成され、内部には甲状腺ホルモンを貯蔵する濾胞と呼ばれる構造が多数存在します。主に分泌される甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の2種類があります。T4は体内でT3に変換され、T3が実際に細胞に作用して代謝を促進します。これらのホルモンの分泌は、脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって厳密にコントロールされています。TSHは、甲状腺ホルモンが不足すると分泌が増加し、過剰になると減少することで、体内のホルモンバランスを保っています。

甲状腺機能検査の重要性

甲状腺の機能を評価するためには、血液検査が非常に重要です。主な検査項目としては、TSH、フリーT3(FT3)、フリーT4(FT4)があります。TSHは甲状腺ホルモンの分泌を調整するホルモンであり、この値が異常であれば甲状腺機能に問題がある可能性を示唆します。FT3とFT4は、血液中で活性型として存在する甲状腺ホルモンの量を直接的に示す指標です。これらの値の組み合わせによって、甲状腺機能亢進症(ホルモン過剰)や甲状腺機能低下症(ホルモン不足)などの診断が下されます。日常診療では、倦怠感や体重の変化、動悸、発汗異常など、非特異的な症状を訴えて受診される患者さんが増えており、問診で甲状腺疾患の可能性が疑われる場合には、これらの血液検査を積極的に行い、早期診断に繋げています。

甲状腺ホルモン
甲状腺から分泌されるホルモンで、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)がある。全身の代謝を促進し、成長、発達、エネルギー消費などを調節する。
甲状腺刺激ホルモン(TSH)
脳下垂体から分泌されるホルモンで、甲状腺に作用して甲状腺ホルモンの合成と分泌を促進する。甲状腺ホルモンが過剰になるとTSHは低下し、不足するとTSHは上昇する。

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは?その症状と治療法

バセドウ病(甲状腺機能亢進症)とは、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される自己免疫疾患の一つです。甲状腺を刺激する自己抗体(TSH受容体抗体:TRAb)が産生され、甲状腺が常に刺激されることで、ホルモンが過剰に作られてしまいます。この過剰な甲状腺ホルモンが全身の代謝を異常に高め、様々な症状を引き起こします。

バセドウ病の主な症状

バセドウ病の症状は多岐にわたりますが、代表的なものとしては以下が挙げられます。

  • 動悸、頻脈、不整脈
  • 体重減少(食欲亢進にもかかわらず)
  • 発汗過多、暑がり
  • 手の震え(振戦)
  • イライラ、不眠、集中力低下
  • 眼球突出(バセドウ病眼症)
  • 甲状腺の腫れ(甲状腺腫)

実臨床では、「最近、心臓がドキドキして眠れない」「いくら食べても痩せてしまう」といった訴えで受診される方が多く見られます。特に若い女性に多く見られる疾患ですが、どの年代でも発症する可能性があります。また、妊娠中の甲状腺機能亢進症は、母体と胎児の両方に影響を及ぼす可能性があるため、慎重な管理が求められます[1]

バセドウ病の治療選択肢

バセドウ病の治療法には、主に薬物療法、放射性ヨウ素内服療法、手術療法の3つがあります。

  • 薬物療法(抗甲状腺薬): 甲状腺ホルモンの合成を抑える薬(メルカゾール、プロパジールなど)を内服します。副作用として肝機能障害や白血球減少などがあるため、定期的な血液検査が必要です。筆者の臨床経験では、治療開始後1〜2ヶ月で症状の改善を実感される方が多いですが、薬の減量や中止には慎重な判断が求められます。
  • 放射性ヨウ素内服療法: 放射性ヨウ素を内服し、甲状腺に取り込ませて甲状腺細胞を破壊することで、ホルモンの分泌を抑えます。効果は確実ですが、甲状腺機能低下症になる可能性があり、その場合は甲状腺ホルモン剤の補充が必要になります。
  • 手術療法: 甲状腺の一部または全体を切除することで、ホルモン分泌を抑制します。甲状腺腫が大きい場合や、薬物療法・放射性ヨウ素療法が困難な場合に選択されます。

どの治療法を選択するかは、患者さんの年齢、症状の程度、甲状腺の大きさ、合併症の有無、妊娠の希望などを考慮して決定されます。日常診療では、患者さんのライフスタイルや価値観を丁寧に伺いながら、最適な治療方針を一緒に考えていくことを重視しています。

橋本病(慢性甲状腺炎)と甲状腺機能低下症とは?

橋本病による甲状腺の腫れと機能低下のメカニズムを解説する図
橋本病と甲状腺機能低下症

橋本病(慢性甲状腺炎)とは、甲状腺が自己免疫によって炎症を起こし、甲状腺ホルモンの産生能力が低下する自己免疫疾患です。甲状腺機能低下症は、この橋本病が原因で甲状腺ホルモンが不足した状態を指すことが最も多いですが、他の原因によっても引き起こされます。甲状腺機能低下症は、全身の代謝が低下するため、様々な症状が現れます。

橋本病のメカニズムと甲状腺機能低下症の症状

橋本病では、リンパ球が甲状腺を攻撃し、甲状腺細胞が徐々に破壊されていきます。この過程で、抗サイログロブリン抗体(TgAb)や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)といった自己抗体が検出されることが特徴です[4]。初期には症状がないことも多いですが、病状が進行して甲状腺ホルモンが不足すると、以下のような甲状腺機能低下症の症状が現れます。

  • 倦怠感、疲労感
  • 寒がり、体温低下
  • 体重増加(食欲不振にもかかわらず)
  • 皮膚の乾燥、むくみ(特に顔や手足)
  • 便秘
  • 記憶力低下、集中力低下
  • 声がれ、脱毛

診察の場では、「『体がだるくて朝起きられない』『顔がむくんで別人のようだ』と質問される患者さんも多いです」という声を聞くことがあります。これらの症状は加齢によるものと間違われやすく、診断が遅れるケースも少なくありません。特に女性に多く、妊娠を希望する女性にとっては、適切な甲状腺機能の維持が重要となります[1]

甲状腺機能低下症の治療と管理

甲状腺機能低下症の治療は、不足している甲状腺ホルモンを補充する薬物療法(甲状腺ホルモン剤の内服)が中心となります。一般的には、レボチロキシンナトリウムという合成甲状腺ホルモン製剤を毎日内服します。この治療は、一度開始すると生涯にわたって継続する必要があることが多いですが、適切にホルモンを補充することで、症状は劇的に改善し、日常生活に支障なく過ごせるようになります。実際の診療では、治療開始後数週間から数ヶ月で、倦怠感やむくみが改善し、活力が戻ってきたと報告される患者さんがほとんどです。

⚠️ 注意点

甲状腺ホルモン剤は、自己判断で服用を中止したり、量を変更したりすることは危険です。必ず医師の指示に従い、定期的な血液検査でホルモン値をチェックしながら、適切な量を維持することが重要です。

近年では、腸内細菌叢と甲状腺機能の関連性も注目されており、腸内環境の改善が甲状腺疾患の管理に寄与する可能性も示唆されています[2][3]。しかし、これらはまだ研究段階であり、確立された治療法ではありません。

甲状腺腫瘍(良性・悪性)とは?その診断と治療

甲状腺腫瘍(良性・悪性)とは、甲状腺に発生するしこり(結節)のことで、良性腫瘍と悪性腫瘍(甲状腺がん)に分類されます。甲状腺のしこりは比較的よく見られ、ほとんどは良性ですが、一部に悪性腫瘍が含まれるため、適切な診断が重要です。

甲状腺腫瘍の主な種類と特徴

甲状腺腫瘍は、その組織学的特徴によって様々な種類に分けられます。

  • 良性腫瘍: 腺腫様甲状腺腫、濾胞腺腫、嚢胞など。これらはがんではないため、通常は経過観察が中心となりますが、大きくなったり、症状を引き起こしたりする場合には手術が検討されます。
  • 悪性腫瘍(甲状腺がん):
    • 乳頭がん: 最も頻度が高く、甲状腺がんの約90%を占めます。進行が比較的遅く、予後が良いとされています。
    • 濾胞がん: 乳頭がんに次いで多く、約5%を占めます。血行性に転移しやすい特徴があります。
    • 髄様がん: 甲状腺のC細胞から発生し、約1〜2%と稀です。遺伝性のものもあります。
    • 未分化がん: 非常に稀ですが、進行が早く悪性度が高いがんです。

実際の診療では、健康診断や他の病気の検査で偶然甲状腺のしこりが見つかる「偶発腫瘍」の患者さまも少なくありません。首の触診でしこりが触れたり、飲み込みにくさを感じたりして受診される方もいらっしゃいます。

診断方法と治療の選択肢

甲状腺腫瘍の診断には、以下の検査が用いられます。

  • 触診: 首のしこりの有無や性状を確認します。
  • 超音波検査(エコー): 甲状腺のしこりの大きさ、形、内部構造、血流などを詳細に評価し、良性・悪性の鑑別に役立ちます。
  • 穿刺吸引細胞診: 超音波ガイド下で細い針をしこりに刺し、細胞を採取して顕微鏡で調べることで、良性か悪性かを確定診断します。
  • CT/MRI検査: がんの広がりやリンパ節転移の有無を確認するために行われることがあります。

甲状腺がんの治療は、主に手術が中心となります。がんの種類や進行度によって、甲状腺の全摘出や一部切除、リンパ節郭清などが行われます。手術後には、必要に応じて放射性ヨウ素内服療法や甲状腺ホルモン補充療法が実施されます。臨床現場では、甲状腺がんの診断を受けた患者さんに対して、病状や治療の選択肢、術後の生活について丁寧に説明し、不安を軽減できるよう努めています。特に乳頭がんや濾胞がんは、早期に発見されれば良好な予後が期待できるがんの一つです。

その他の甲状腺疾患にはどのようなものがある?

その他の甲状腺疾患には、バセドウ病や橋本病、甲状腺がん以外にも、様々な病態が存在します。これらは比較的稀なものや、特定の状況下で発症するものなど、多岐にわたります。

亜急性甲状腺炎と無痛性甲状腺炎

  • 亜急性甲状腺炎: ウイルス感染などが原因と考えられており、甲状腺に炎症が起こる病気です。特徴的な症状は、首の痛み(特に甲状腺部)、発熱、倦怠感です。初期には甲状腺ホルモンが一時的に過剰になり、動悸や発汗などの症状が出ますが、その後ホルモンが枯渇して機能低下状態になり、最終的には正常に戻ることが多いです。治療は炎症を抑えるためにステロイドや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が用いられます。
  • 無痛性甲状腺炎: 橋本病に似た自己免疫的な機序が関与していると考えられていますが、痛みがないのが特徴です。亜急性甲状腺炎と同様に、一過性の甲状腺機能亢進状態から機能低下状態を経て、正常に戻ることがほとんどです。症状が軽度であれば経過観察となりますが、動悸などの症状が強い場合は対症療法が行われます。

日常診療では、「風邪をひいた後に首が痛くなった」「出産後に一時的に動悸がするようになった」といったケースでこれらの疾患を疑い、適切な診断と経過観察を行っています。多くの場合、自然に治癒しますが、症状の緩和のために対症療法が必要となることがあります。

妊娠と甲状腺疾患

妊娠中は、甲状腺の機能が大きく変化するため、甲状腺疾患の診断や管理がより複雑になります。妊娠初期には、hCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンがTSHに似た作用を持つため、一時的に甲状腺ホルモンが上昇し、TSHが低下することがあります。また、妊娠中にバセドウ病が悪化したり、橋本病による甲状腺機能低下症が顕在化したりすることもあります。妊娠中の甲状腺疾患は、流産、早産、妊娠高血圧症候群などのリスクを高める可能性があるため、専門医による厳重な管理が不可欠です[1]。筆者の臨床経験では、妊娠を希望される方には、妊娠前から甲状腺機能の評価を行うことを推奨しており、妊娠中も定期的な血液検査でホルモン値をチェックし、必要に応じて薬の量を調整しています。

先天性甲状腺機能低下症

先天性甲状腺機能低下症は、生まれつき甲状腺ホルモンが不足している状態です。新生児期に発見されず放置されると、精神発達遅滞や身体発育の遅れを引き起こす可能性があります。そのため、日本では新生児マススクリーニング検査として、全ての赤ちゃんに対して甲状腺機能の検査が行われています。早期に発見し、甲状腺ホルモン剤を補充することで、健常な発育が期待できます。

最新コラム・症例報告:甲状腺疾患と腸内環境の関連性

甲状腺疾患と腸内環境の密接な関連性を示すフローチャート
甲状腺疾患と腸内環境の関連

最新のコラムや症例報告では、甲状腺疾患の病態解明や治療法の進歩に関する様々な知見が発表されています。特に近年注目されているのが、甲状腺疾患と腸内環境(腸内細菌叢)の関連性です。ヒトの腸内には多種多様な細菌が生息しており、そのバランスが免疫機能や代謝に大きく影響を与えることが分かっています。

腸内細菌叢と自己免疫性甲状腺疾患

バセドウ病や橋本病といった自己免疫性甲状腺疾患は、免疫系の異常が原因で発症します。最近の研究では、腸内細菌叢の乱れ(ディスバイオーシス)が、自己免疫疾患の発症や進行に関与している可能性が指摘されています[2]。例えば、特定の腸内細菌が免疫細胞の活性化を促したり、炎症性サイトカインの産生を誘導したりすることで、甲状腺に対する自己免疫反応を増強する可能性が考えられています。また、腸のバリア機能が低下する「リーキーガット」と呼ばれる状態も、自己免疫疾患の引き金になるという仮説もあります[3]

臨床現場での考察と今後の展望

現時点では、腸内環境を改善することが甲状腺疾患の治療に直接的に結びつくという明確なエビデンスは確立されていません。しかし、日々の診療では、「便秘がちで体調が悪い」「食生活の乱れが気になる」と相談される患者さまも少なくありません。このような場合、私は、腸内環境を整えるための生活習慣(バランスの取れた食事、食物繊維の摂取、適度な運動など)のアドバイスも合わせて行うことがあります。例えば、発酵食品の積極的な摂取や、プロバイオティクスの利用について情報提供することもありますが、あくまで補助的なアプローチとして位置づけています。

今後の研究によって、腸内細菌叢の具体的な役割がさらに解明されれば、甲状腺疾患に対する新たな予防法や治療法の開発に繋がる可能性があります。例えば、特定の腸内細菌を標的としたプロバイオティクスやプレバイオティクス、あるいは糞便移植などが、将来的に治療選択肢の一つとなることも期待されます。臨床経験上、患者さんの全身状態や生活習慣全体を考慮したアプローチが、疾患の管理において重要なポイントになると感じています。

疾患名主な特徴治療の基本
バセドウ病甲状腺機能亢進症、自己抗体(TRAb)陽性、動悸・体重減少など薬物療法、放射性ヨウ素療法、手術
橋本病慢性甲状腺炎、自己抗体(TgAb, TPOAb)陽性、甲状腺機能低下症を伴うことも甲状腺ホルモン補充療法(機能低下時)
甲状腺がん甲状腺の悪性腫瘍、乳頭がんが最多、しこりとして触知されることも手術、放射性ヨウ素療法、薬物療法

甲状腺疾患の早期発見と継続的なケアの重要性

甲状腺疾患は、その症状が非特異的であるため、他の病気と間違われたり、見過ごされたりすることが少なくありません。しかし、早期に発見し、適切な治療と継続的なケアを行うことで、ほとんどの患者さんは症状をコントロールし、健常な生活を送ることが可能です。特に、甲状腺ホルモンは全身の臓器に影響を及ぼすため、機能異常が長期間放置されると、心臓病や骨粗しょう症、不妊症などの合併症を引き起こすリスクが高まります。

どのような場合に医療機関を受診すべきか?

以下のような症状に心当たりがある場合は、甲状腺疾患の可能性も考慮し、内科や内分泌内科を受診することをお勧めします。

  • 首の腫れやしこりがある
  • 動悸、息切れ、手の震えが続く
  • 体重が急に増減した(食欲の変化に関わらず)
  • 極端な暑がり、または寒がりになった
  • 倦怠感が強く、やる気が出ない
  • 肌の乾燥、むくみ、脱毛が気になる
  • イライラしやすくなった、集中力が続かない

特に女性は男性に比べて甲状腺疾患の発症率が高く、妊娠・出産を経験する年代ではホルモンバランスの変化も大きいため、注意が必要です。実際の診療では、これらの症状が複数重なっている場合や、家族に甲状腺疾患の既往がある場合には、積極的に検査を検討します。

継続的なフォローアップの重要性

甲状腺疾患の治療は、多くの場合、長期にわたる継続的な管理が必要です。薬物療法を受けている場合は、定期的な血液検査で甲状腺ホルモン値をチェックし、薬の量を適切に調整することが不可欠です。甲状腺がんの手術後も、再発や転移の有無を確認するための定期的な検査が求められます。筆者の臨床経験では、治療効果の安定だけでなく、副作用の有無や患者さんの生活の質の変化についても、フォローアップで確認する重要な項目としています。患者さん自身が自分の病気について理解し、積極的に治療に参加することが、良好な経過を維持するための鍵となります。

まとめ

甲状腺疾患は、バセドウ病、橋本病、甲状腺がんなど多岐にわたり、それぞれ異なる症状と治療法を持ちます。甲状腺ホルモンの機能異常は全身の代謝に影響を与え、倦怠感、体重変化、動悸、むくみなど様々な症状を引き起こします。甲状腺のしこりは良性の場合が多いですが、甲状腺がんの可能性もあるため、超音波検査や細胞診による精密な診断が重要です。妊娠中の甲状腺疾患は母子に影響を及ぼす可能性があり、厳重な管理が必要です。近年では、腸内環境と甲状腺機能の関連性も注目されており、今後の研究が期待されます。症状に心当たりがある場合は、早期に医療機関を受診し、適切な診断と継続的な治療を受けることで、健康な生活を維持することができます。

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よくある質問(FAQ)

甲状腺疾患は遺伝しますか?
甲状腺疾患の中には、遺伝的要因が関与するものもあります。特にバセドウ病や橋本病といった自己免疫性甲状腺疾患は、家族内で発症する傾向が見られます。ただし、必ずしも遺伝するわけではなく、複数の遺伝子と環境要因が複雑に絡み合って発症すると考えられています。家族に甲状腺疾患の既往がある場合は、定期的な健康診断や症状に注意し、必要に応じて医師に相談することが推奨されます。
甲状腺疾患の食事で気をつけることはありますか?
甲状腺疾患の種類によって注意点が異なります。バセドウ病の場合、甲状腺ホルモンの材料となるヨウ素を過剰に摂取すると病状が悪化する可能性があるため、昆布やワカメなどの海藻類の過剰摂取は控えるよう指導されることがあります。橋本病の場合も、ヨウ素の過剰摂取は甲状腺機能低下を悪化させる可能性があるため注意が必要です。ただし、極端な制限は不要で、バランスの取れた食生活が基本です。甲状腺機能低下症で甲状腺ホルモン剤を服用している場合は、特定の食品(大豆製品、食物繊維の多い食品など)が薬の吸収に影響を与える可能性もあるため、服用時間と食事のタイミングについて医師や薬剤師に確認すると良いでしょう。
甲状腺のしこりが見つかったら、必ずがんの検査が必要ですか?
甲状腺のしこりの多くは良性ですが、悪性(がん)の可能性もあるため、精密検査が推奨されます。まずは超音波検査でしこりの性状(大きさ、形、内部構造など)を詳しく評価し、がんが疑われる所見があれば、穿刺吸引細胞診という検査で細胞を採取し、良性か悪性かを確定診断します。すべてのしこりがすぐにがんの検査を必要とするわけではありませんが、専門医の判断で適切な検査を受けることが重要です。
この記事の監修医
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倉田照久
医療法人御照会 理事長・渋谷文化村通り皮膚科 院長
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