【便秘 原因 解消法】便秘の原因と解消法|市販薬・受診先まで薬剤師が解説

便秘 原因 解消法
最終更新日: 2026-04-09
📋 この記事のポイント
  • ✓ 便秘には生活習慣が原因の機能性便秘と、病気が原因の器質性便秘があります。
  • ✓ 食物繊維や水分摂取、適度な運動など、生活習慣の改善が便秘解消の第一歩です。
  • ✓ 市販薬の選択や医療機関の受診は、便秘の種類や症状の重さに応じて適切に判断することが重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

便秘は、排便回数が少ない、排便が困難、便が硬い、残便感があるといった状態が続くことを指します。多くの人が経験する一般的な症状ですが、その原因は多岐にわたります。便秘は、大きく分けて「機能性便秘」と「器質性便秘」の2種類に分類されます[2]。適切な対処法を見つけるためには、まずご自身の便秘がどちらのタイプに当てはまるのかを理解することが重要です。

日常的な便秘とは?機能性便秘の主な原因と対策

便秘の原因となる食生活や運動不足、ストレスを解説する図
便秘の主な原因と対策

機能性便秘は、大腸や直腸の機能異常によって起こる便秘で、特定の病気が原因ではないものを指します。日常生活における習慣が大きく影響するため、生活習慣の改善が解消の鍵となります。

機能性便秘の種類と症状は?

機能性便秘は、さらに以下の3つのタイプに分けられます[4]

  • 弛緩性便秘(しかんせいべんぴ):大腸のぜん動運動が低下し、便を押し出す力が弱くなることで起こります。便が長時間腸内に留まり、水分が過剰に吸収されて硬くなります。高齢者や運動不足の人に多く見られます。
  • 痙攣性便秘(けいれんせいべんぴ):ストレスや自律神経の乱れにより、大腸が過剰に収縮し、便の通りが悪くなることで起こります。便意があるのに出ない、コロコロとした便が出る、便秘と下痢を繰り返すなどの特徴があります。
  • 直腸性便秘(ちょくちょうせいべんぴ):便が直腸に達しても便意を感じにくくなったり、排便反射が鈍くなったりすることで起こります。我慢を繰り返すことや、排便時にいきむ習慣が原因となることがあります。

調剤の現場では、「毎日出ているのにすっきりしない」「お腹が張って苦しい」といった相談を受けることが多く、これらは直腸性便秘や弛緩性便秘の症状であることが少なくありません。

機能性便秘の主な原因は何ですか?

機能性便秘の主な原因は、以下の生活習慣に関連しています[1]

  • 食物繊維の不足:食物繊維は便の量を増やし、腸の動きを活発にする働きがあります。不足すると便が硬くなり、排便が困難になります。
  • 水分摂取量の不足:便の約80%は水分で構成されています。水分が不足すると便が硬くなり、スムーズな排便を妨げます。
  • 運動不足:運動不足は腹筋の低下を招き、排便に必要な腹圧をかけにくくします。また、全身の血行不良も腸の動きを鈍らせる原因となります。
  • 不規則な生活習慣:食事時間や睡眠時間が不規則だと、自律神経のバランスが乱れ、腸の働きに悪影響を及ぼすことがあります。
  • ストレス:ストレスは自律神経の乱れを引き起こし、腸のぜん動運動を過剰にしたり、逆に抑制したりすることがあります。
  • 排便を我慢する習慣:便意を我慢すると、直腸の感覚が鈍くなり、排便反射が弱まることがあります。

機能性便秘の解消法とは?

機能性便秘の解消には、以下の生活習慣の改善が推奨されます。

  • バランスの取れた食事:特に水溶性・不溶性の両方の食物繊維をバランス良く摂取することが重要です。野菜、果物、海藻、きのこ類、穀物などを積極的に取り入れましょう。
  • 十分な水分摂取:1日あたり1.5~2リットルの水分(水やお茶など)を目安に、こまめに摂取しましょう。特に起床時にコップ1杯の水を飲むことは、腸の動きを刺激するのに効果的です。
  • 適度な運動:ウォーキングや軽いジョギング、ヨガなど、腹筋を鍛える運動や全身運動を取り入れましょう。
  • 規則正しい排便習慣:毎朝決まった時間にトイレに行く習慣をつけ、便意を感じたら我慢せずに排便しましょう。
  • ストレス管理:十分な睡眠、リラックスできる時間を持つ、趣味に没頭するなど、ストレスを軽減する方法を見つけましょう。

薬局での経験上、生活習慣の改善は継続が難しいと感じる患者さんも多くいらっしゃいますが、少しずつでも取り組むことが大切です。特に、朝食をしっかり摂り、その後にトイレに行く習慣をつけることは、自然な排便リズムを取り戻す上で非常に効果的です。

病気が原因の便秘とは?器質性便秘の解消法

器質性便秘は、大腸や肛門などの消化器系に明らかな病変があるために起こる便秘です。このタイプの便秘は、原因となる病気の治療が最優先となります。

器質性便秘の主な原因は何ですか?

器質性便秘の原因となる病気には、以下のようなものがあります。

  • 大腸がん:大腸内に腫瘍ができると、便の通り道が狭くなり、便秘や便が細くなるなどの症状が現れることがあります。
  • 腸閉塞(イレウス):腸管が物理的に閉塞し、便やガスが流れなくなる状態です。激しい腹痛や嘔吐を伴うことが多く、緊急性の高い病態です。
  • 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病など):腸に炎症が起こる病気で、便秘と下痢を繰り返すことがあります。
  • 痔:痔があると排便時の痛みを避けるために便意を我慢しがちになり、便秘が悪化することがあります。
  • 神経疾患:パーキンソン病や糖尿病性神経障害など、自律神経に影響を与える病気は、腸の動きを鈍らせ便秘を引き起こすことがあります。
  • 薬剤性の便秘:一部の薬(抗うつ薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬、鉄剤など)の副作用として便秘が起こることがあります。

服薬指導の際に「この薬を飲み始めてから便秘になった気がする」と質問される患者さんが多くいらっしゃいます。特に、高齢の患者さんでは複数の薬を服用していることが多く、薬剤性の便秘の可能性も考慮に入れる必要があります。

器質性便秘の解消法と治療は?

器質性便秘の場合、自己判断で市販薬を使用するのではなく、速やかに医療機関を受診し、原因となっている病気の診断と治療を受けることが最も重要です。医師は、問診や身体診察に加え、必要に応じて以下の検査を行います。

  • 血液検査:炎症反応や貧血の有無、甲状腺機能などを確認します。
  • 腹部X線検査:便の貯留状況や腸管のガス貯留などを確認します。
  • 大腸内視鏡検査:大腸の内部を直接観察し、ポリープや腫瘍、炎症の有無などを確認します。
  • CT検査・MRI検査:腸管の形態異常や周囲の臓器との関係を詳細に調べます。

原因となる病気が特定されれば、その病気に対する適切な治療が行われます。例えば、大腸がんが見つかれば手術や化学療法、炎症性腸疾患であれば薬物療法などが検討されます。薬剤性の便秘であれば、原因薬剤の変更や減量、あるいは便秘薬の併用が考慮されます。

⚠️ 注意点

便秘が急に始まった、激しい腹痛や吐き気を伴う、血便がある、体重減少が見られるなどの場合は、器質性便秘の可能性も考えられるため、速やかに医療機関を受診してください。

便秘の応急処置・市販薬・受診先はどこ?

便秘の応急処置として用いられる市販薬や医療機関の選択肢
便秘の応急処置と市販薬

便秘の症状が辛い場合、応急処置として市販薬を活用することもできますが、その選択には注意が必要です。また、症状によっては医療機関の受診を検討すべきです。

便秘の応急処置として何ができますか?

一時的な便秘で、すぐに排便したい場合の応急処置としては、以下のような方法が考えられます。

  • 浣腸:直腸に直接薬剤を注入し、便を軟らかくして排便を促します。即効性がありますが、常用は避けるべきです。
  • 坐薬:直腸を刺激し、排便を促します。浣腸と同様に即効性があります。
  • 腹部マッサージ:おへそを中心に「の」の字を描くように優しくマッサージすることで、腸の動きを刺激します。
  • 温かい飲み物:白湯や温かいお茶などを飲むことで、腸を温め、動きを活発にすることが期待できます。

これらの方法は一時的な対処であり、根本的な解決にはなりません。常用すると排便反射が鈍くなる可能性もあるため、注意が必要です。

市販薬(OTC医薬品)にはどのような種類がありますか?

市販されている便秘薬には、主に以下の種類があります。

種類主な成分作用機序特徴・注意点
膨潤性下剤食物繊維(プランタゴ・オバタなど)水分を吸収して便の容積を増やし、腸を刺激自然な排便を促す。水分を多めに摂る必要あり。
塩類下剤酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム腸管内の水分を増やし、便を軟らかくする比較的穏やかな作用。腎機能障害のある人は注意。
刺激性下剤ビサコジル、ピコスルファートナトリウム、センナ、ダイオウ大腸を直接刺激し、ぜん動運動を活発にする即効性があるが、連用すると効果が弱まることがある。腹痛を伴う場合も。
浸透圧性下剤ポリエチレングリコール(医療用)腸管内の水分を保持し、便を軟らかくする医療用では慢性便秘に広く使われる。

市販薬を選ぶ際は、薬剤師や登録販売者に相談し、ご自身の便秘のタイプや体質に合ったものを選ぶことが大切です。特に刺激性下剤は、連用すると腸の機能が低下する「下剤性大腸症」を引き起こす可能性もあるため、注意が必要です。

下剤性大腸症とは
刺激性下剤の長期連用により、大腸の粘膜や神経が損傷し、大腸の機能が低下して便秘がさらに悪化する状態を指します。腸の色素沈着(メラノーシス・コリ)が見られることもあります。

便秘で受診すべき医療機関はどこですか?

以下の症状や状況に当てはまる場合は、医療機関の受診を検討しましょう。

  • 生活習慣の改善や市販薬で効果が見られない場合
  • 便秘が急に始まった、または症状が悪化している場合
  • 激しい腹痛、吐き気、嘔吐、発熱などを伴う場合
  • 血便、黒い便、便が細くなるなどの変化が見られる場合
  • 体重減少が伴う場合
  • 持病がある、または他の薬を服用していて便秘になった場合

受診先としては、消化器内科が専門です。女性の場合は、婦人科系の病気が原因で便秘になることもあるため、婦人科も選択肢の一つです。小児の場合は小児科、高齢者の場合はかかりつけ医に相談しましょう。実際の処方パターンとして、慢性的な便秘に対しては、浸透圧性下剤や上皮機能変容薬などが選択されることが一般的です[3]

症状の掛け合わせ:便秘+〇〇の注意点

便秘は単独で発生するだけでなく、他の症状と併発することで、より複雑な病態を示したり、特定の疾患を示唆したりすることがあります。便秘に加えてどのような症状があるかによって、対処法や受診の必要性が変わってきます。

便秘と腹痛・吐き気を伴う場合は?

便秘に腹痛や吐き気を伴う場合、いくつかの可能性が考えられます。

  • 腸閉塞(イレウス):腸管が詰まって便やガスが通過できなくなる状態です。激しい腹痛、吐き気、嘔吐、腹部膨満感を伴い、緊急性の高い病態です。迅速な医療処置が必要です。
  • 急性腹症:虫垂炎や憩室炎など、消化器系の急性炎症でも便秘と腹痛が同時に起こることがあります。
  • 過敏性腸症候群(IBS):ストレスなどが原因で、便秘型IBSでは腹痛を伴う便秘が特徴的です。

これらの症状が急に現れたり、痛みが強い場合は、自己判断せずに直ちに医療機関を受診してください。特に、薬局での経験上、高齢の患者さんが「急にお腹が痛くなって便が出ない」と訴える場合、腸閉塞の可能性も考慮し、早急な受診を促すようにしています。

便秘と血便・下血がある場合は?

便秘に加えて血便や下血が見られる場合は、より注意が必要です。これは消化管からの出血を示唆しており、原因は多岐にわたります。

  • 痔:便が硬いことで排便時に肛門が切れ、鮮血が付着することがあります。痔は比較的良性の原因ですが、出血量が多い場合は受診が必要です。
  • 大腸ポリープ・大腸がん:大腸の腫瘍からの出血は、便に混じって見えたり、便の表面に付着したりすることがあります。早期発見・早期治療が重要です。
  • 憩室出血:大腸の壁にできた小さな袋(憩室)からの出血です。
  • 炎症性腸疾患:潰瘍性大腸炎やクローン病では、炎症により出血が起こることがあります。

出血の色によって原因部位をある程度推測できます。鮮血であれば肛門付近からの出血、黒っぽいタール便であれば胃や十二指腸など上部消化管からの出血の可能性があります。いずれの場合も、自己判断せずに医療機関を受診し、適切な診断を受けることが不可欠です。

便秘と体重減少が同時に起こる場合は?

便秘と同時に意図しない体重減少が見られる場合も、注意が必要なサインです。

  • 悪性腫瘍(がん):大腸がんなどの悪性腫瘍が進行すると、便秘や体重減少、貧血などの症状が現れることがあります。
  • 甲状腺機能亢進症:甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると、代謝が活発になり体重が減少することがありますが、便秘ではなく下痢を伴うことが多いです。ただし、甲状腺機能低下症では便秘と体重増加が見られることがあります。

便秘と体重減少が同時に見られる場合は、重大な病気が隠れている可能性も考慮し、速やかに医療機関を受診することが強く推奨されます。問診の際には、いつから症状があるのか、どのくらいの期間でどのくらい体重が減ったのかなど、具体的な情報を医師に伝えるようにしましょう。

まとめ

便秘解消法や原因、市販薬に関する情報が網羅されたまとめ
便秘の完全ガイドまとめ

便秘は多くの人が経験する症状ですが、その原因は生活習慣による「機能性便秘」と、病気が原因の「器質性便秘」に大別されます。機能性便秘の解消には、食物繊維や水分摂取、適度な運動、規則正しい排便習慣などの生活習慣の改善が重要です。一方、器質性便秘の場合は、大腸がんや腸閉塞など、原因となる病気の治療が最優先となります。便秘に腹痛、吐き気、血便、体重減少などの症状が伴う場合は、速やかに医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが大切です。市販薬を使用する際は、薬剤師や登録販売者に相談し、症状に合ったものを選択し、長期連用は避けるようにしましょう。

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よくある質問(FAQ)

Q1: 毎日排便がないと便秘ですか?
A1: 必ずしも毎日排便がなければ便秘というわけではありません。一般的には、週に3回未満の排便頻度、または排便が困難である、残便感があるといった症状が続く場合に便秘と診断されます。排便の頻度よりも、排便時の苦痛や不快感があるかどうかが重要です。
Q2: 便秘薬は癖になりますか?
A2: 刺激性下剤と呼ばれるタイプの便秘薬は、長期にわたって使用すると腸が刺激に慣れてしまい、効果が弱まることがあります。これを「下剤性大腸症」と呼び、さらに強い薬を求める悪循環に陥る可能性があります。そのため、刺激性下剤の連用は避け、必要に応じて医師や薬剤師に相談し、適切な便秘薬を選択することが重要です。
Q3: 便秘解消のために食生活で特に意識すべきことは何ですか?
A3: 食物繊維と水分を十分に摂ることが非常に重要です。食物繊維には、便の量を増やして腸を刺激する不溶性食物繊維(穀物、豆類、根菜など)と、便を軟らかくする水溶性食物繊維(海藻、果物、こんにゃくなど)があります。これらをバランス良く摂取し、さらに1日1.5〜2リットルの水分をこまめに摂ることを心がけましょう。
この記事の監修
👨‍⚕️
樋口泰亮
消化器内科医