【腹痛 原因 治し方】腹痛 原因・治し方|場所と種類でわかる対処法

腹痛 原因 治し方
最終更新日: 2026-04-09
📋 この記事のポイント
  • ✓ 腹痛は痛む場所や種類によって原因が異なり、適切な対処法も変わります。
  • ✓ 市販薬で対応できる場合と、速やかに医療機関を受診すべき危険なサインがあります。
  • ✓ 他の症状との組み合わせによって、より深刻な病気が隠れている可能性もあります。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

腹痛は、誰もが一度は経験する身近な症状ですが、その原因は多岐にわたり、軽度なものから緊急性を要するものまで様々です。この記事では、腹痛の主な原因から、痛む場所や痛みの種類による病気の特定、適切な対処法、そして市販薬の選び方や医療機関を受診すべき目安について、薬剤師の視点から詳しく解説します。

痛む場所でわかる腹痛の原因とは?

お腹の部位と関連する臓器、腹痛の原因を特定する図解
腹痛の部位と原因

腹痛は、その痛む場所によって原因となる臓器や病気が推定されることがあります。お腹を9つの領域に分けて考えることで、より具体的な原因を探る手がかりになります。

お腹の痛む場所によって原因を探ることは、問診の際にも非常に重要な情報となります。調剤の現場では、患者さんから「お腹が痛い」と漠然とした訴えがあった場合でも、「どこが痛みますか?」「差し込むような痛みですか?」など、具体的に痛みの特徴を伺うことで、より適切なアドバイスや受診勧奨に繋げることができます。

腹部9領域と関連する主な臓器・疾患

腹部は、上腹部、中腹部、下腹部に大きく分けられ、さらに左右に分けることで9つの領域に分類されます。それぞれの領域に存在する臓器や、関連する疾患を理解することは、腹痛の原因を特定する上で役立ちます[1]

腹部9領域
腹部を仮想的に9つの区画に分けることで、痛みの発生源を特定しやすくするための医学的な区分方法です。これにより、医師は患者の訴える痛みの位置から、どの臓器に異常がある可能性が高いかを推測します。
痛む場所関連する主な臓器考えられる疾患
心窩部(みぞおち)胃、十二指腸、膵臓、胆嚢、心臓胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、急性膵炎、胆石症、心筋梗塞
右季肋部(右上腹部)肝臓、胆嚢、十二指腸、右腎臓胆石症、胆嚢炎、肝炎、腎盂腎炎
左季肋部(左上腹部)脾臓、胃、膵臓、左腎臓胃炎、急性膵炎、脾臓の疾患、腎盂腎炎
臍部(へその周り)小腸、大腸急性胃腸炎、便秘、過敏性腸症候群、虫垂炎初期
右側腹部上行結腸、右腎臓、尿管虫垂炎、憩室炎、尿路結石、腎盂腎炎
左側腹部下行結腸、左腎臓、尿管憩室炎、尿路結石、腎盂腎炎、便秘
下腹部(全体)大腸、膀胱、生殖器膀胱炎、便秘、過敏性腸症候群、子宮内膜症(女性)
右下腹部虫垂、回盲部、卵巣(女性)、精巣(男性)虫垂炎、卵巣嚢腫茎捻転、異所性妊娠、尿路結石
左下腹部S状結腸、卵巣(女性)、精巣(男性)憩室炎、過敏性腸症候群、卵巣嚢腫茎捻転、異所性妊娠

例えば、みぞおちの痛みは胃や十二指腸の疾患が疑われやすいですが、心筋梗塞がみぞおちの痛みを引き起こすこともあります。特に高齢者や糖尿病患者では、典型的な胸痛ではなく、みぞおちの痛みとして現れることがあるため注意が必要です。また、右下腹部の痛みは虫垂炎を強く疑いますが、女性の場合は婦人科系の疾患も考慮する必要があります[2]

腹痛の主な原因となる疾患

腹痛を引き起こす疾患は非常に多岐にわたりますが、ここでは特に頻度の高いものをいくつかご紹介します。

  • 急性胃腸炎: ウイルスや細菌感染により、腹痛、下痢、嘔吐、発熱などを伴います。
  • 便秘: 便が腸内に滞留することで、腹部の張りや痛みが生じます。
  • 過敏性腸症候群(IBS): ストレスなどが原因で、腹痛、下痢、便秘を繰り返す慢性的な疾患です。
  • 胃潰瘍・十二指腸潰瘍: 胃酸によって消化管の粘膜が傷つき、みぞおちの痛みが生じます。食後に痛むことが多いのが胃潰瘍、空腹時に痛むことが多いのが十二指腸潰瘍の特徴です。
  • 胆石症・胆嚢炎: 胆嚢にできた石が原因で、右上腹部に激しい痛みが起こります。
  • 虫垂炎: 右下腹部に痛みが移動し、発熱や吐き気を伴うことがあります。初期はみぞおちやへその周りが痛むこともあります。
  • 尿路結石: 尿管に石が詰まることで、脇腹から下腹部にかけて激しい痛みが起こります。
  • 婦人科系疾患: 子宮内膜症、卵巣嚢腫、異所性妊娠など、女性特有の疾患が下腹部痛の原因となることがあります。

これらの疾患は、痛む場所だけでなく、痛みの性質や他の症状と合わせて総合的に判断することが重要です。薬局での経験上、特に女性の患者さんからは、下腹部痛について「生理痛だと思っていたら実は別の病気だった」という相談を受けることも少なくありません。自己判断せずに、症状が続く場合は医療機関を受診することが大切です。

痛みの種類と危険なサインとは?

腹痛の診断において、痛む場所と同様に重要なのが「痛みの種類」です。痛みの性質を把握することで、緊急性の高い疾患を見分け、適切な行動をとることができます。

服薬指導の際に「どんな痛みですか?」と質問される患者さんが多くいらっしゃいます。痛みは主観的なものですが、その表現から緊急度を判断する手がかりを得ることができます。例えば、「今まで経験したことのない激痛」という言葉は、医療従事者にとって非常に重要なサインとなります。

腹痛の主な種類と特徴

腹痛は大きく分けて、内臓痛と体性痛の2種類があり、それぞれ特徴が異なります[3]

  • 内臓痛: 消化管などの内臓が刺激されることで起こる痛みです。漠然としていて、どこが痛いか特定しにくいのが特徴です。
    • キリキリする痛み: 胃炎や胃潰瘍、胆石症などで見られます。
    • シクシクする痛み: 慢性的な炎症や機能性ディスペプシアなどで見られます。
    • 差し込むような痛み(疝痛): 腸の蠕動運動の異常や、尿路結石などで見られる激しい痛みが特徴です。痛みが強くなったり弱くなったりを繰り返します。
    • 鈍い痛み: 便秘や過敏性腸症候群などで見られ、持続的な不快感を伴うことが多いです。
  • 体性痛: 腹膜や腹壁など、体性神経が分布する部分が刺激されることで起こる痛みです。痛む場所がはっきりしており、鋭い痛みが特徴です。
    • ズキズキする痛み: 炎症が腹膜に及んだ場合(腹膜炎)などで見られます。
    • 鋭い痛み: 虫垂炎が進行した場合や、臓器の破裂などで見られます。

緊急性の高い腹痛の危険なサイン

以下の症状が腹痛と同時に現れた場合、緊急性が高く、速やかに医療機関を受診する必要があります[4]

  • 激しい痛み、突然の痛み: 今まで経験したことのないような激痛や、突然始まった痛みは、臓器の破裂や閉塞、急性心筋梗塞など、命に関わる疾患の可能性があります。
  • 痛みが徐々に強くなる、広がる: 炎症が進行している可能性があり、特に腹膜炎では痛みが広がる傾向があります。
  • 高熱(38℃以上)を伴う: 感染症や炎症が強く疑われます。
  • 嘔吐が止まらない、血を吐く: 脱水や消化管出血の可能性があります。
  • 血便・タール便、黒い便: 消化管出血のサインです。
  • 意識障害や呼吸困難: 重篤な状態を示唆します。
  • お腹が硬い、板状硬: 腹膜炎の典型的な症状で、緊急手術が必要な場合があります。
  • 冷や汗、顔面蒼白、脈が速い: ショック状態の可能性があります。
  • 妊婦の腹痛: 流産や異所性妊娠など、特別な注意が必要です。
⚠️ 注意点

上記のような危険なサインが見られる場合は、迷わず救急車を呼ぶか、すぐに医療機関を受診してください。自己判断で市販薬を使用することは避け、専門医の診断を仰ぐことが最優先です。

これらのサインは、体の内部で深刻な問題が起こっている可能性を示しています。実際の処方パターンとして、これらの症状が見られる場合は、市販薬ではなく、医療機関で精密検査を受け、適切な治療を開始することが一般的です。

腹痛の応急処置・市販薬・受診先は?

腹痛を和らげるための応急処置、市販薬、医療機関受診の判断基準
腹痛の対処法と市販薬

腹痛の症状が比較的軽度で、危険なサインが見られない場合、まずは自宅での応急処置や市販薬での対応を検討することができます。しかし、症状によっては医療機関の受診が必要です。

薬局での経験上、市販薬を求めて来局される患者さんには、まず症状の確認と危険なサインの有無を伺います。特に、市販薬で様子を見ても良いケースと、すぐに病院に行くべきケースの判断は非常に重要です。

自宅でできる応急処置

軽度な腹痛の場合、以下の応急処置を試すことで症状が和らぐことがあります。

  • 安静にする: 横になり、体を休ませることが大切です。
  • 体を温める: 腹部を温めることで、血行が促進され、痛みが和らぐことがあります。温かいタオルやカイロを当てるのが効果的です。ただし、虫垂炎など炎症性の腹痛の場合、温めると悪化することもあるため注意が必要です。
  • 水分補給: 脱水を防ぐために、経口補水液やスポーツドリンクなどで水分と電解質を補給しましょう。特に下痢や嘔吐を伴う場合は重要です。
  • 消化に良い食事: 刺激の少ない、消化しやすい食事(おかゆ、うどんなど)を少量摂るようにしましょう。
  • ストレスの軽減: ストレスが腹痛の原因となることもあります。リラックスできる環境を整えましょう。

市販薬の選び方と注意点

市販薬は、症状に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。薬剤師に相談し、自身の症状に合った薬を選びましょう。

  • 胃の痛み・もたれ: 胃酸を抑えるH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬(一部市販)、胃粘膜保護成分、消化酵素配合薬などが有効です。
    • 例: ガスター10(H2ブロッカー)、パンシロン、太田胃散など。
  • 差し込むような痛み・痙攣性の痛み: 鎮痙剤(ちんけいざい)が効果的です。腸の過剰な動きを抑えることで痛みを和らげます。
    • 例: ブスコパンA錠(ブチルスコポラミン臭化物配合)。
  • 下痢を伴う腹痛: 止瀉薬(ししゃやく)や整腸剤が適しています。
    • 例: ストッパ下痢止めEX(ロートエキス、タンニン酸ベルベリン配合)、ビオフェルミンなど。
  • 便秘による腹痛: 便秘薬(緩下剤)を使用します。
    • 例: コーラック、ビューラックなど。
⚠️ 市販薬使用の注意点

市販薬は一時的な症状緩和を目的としています。数日使用しても症状が改善しない場合や、悪化する場合は、必ず医療機関を受診してください。特に、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は胃に負担をかけることがあるため、胃痛がある場合は避けるか、胃薬と併用するなど注意が必要です。

医療機関を受診すべき目安と受診先

前述の「危険なサイン」が見られる場合はもちろんですが、以下のような場合も医療機関を受診しましょう。

  • 市販薬を服用しても痛みが改善しない、または悪化する。
  • 痛みが数日以上続く。
  • 繰り返す腹痛がある。
  • 体重減少、食欲不振を伴う。
  • 高齢者や乳幼児の腹痛は、重症化しやすいため特に注意が必要です。

受診先: まずは内科、消化器内科を受診するのが一般的です。女性の場合は婦人科、泌尿器科系の症状を伴う場合は泌尿器科も検討します。小児の場合は小児科を受診しましょう。

症状の掛け合わせ(腹痛+〇〇)でわかることは?

腹痛は単独で現れることもありますが、他の症状と組み合わさることで、より具体的な原因疾患を絞り込むことができます。複数の症状を総合的に判断することが、正確な診断への第一歩となります。

添付文書の記載と実臨床では、患者さんの訴える症状の複雑さという点で違いが見られます。薬局では、腹痛だけでなく、発熱、吐き気、下痢など、複数の症状を同時に訴える患者さんが多く、これらの組み合わせから適切な医療機関への受診を促すことが重要となります。

腹痛と発熱

腹痛に発熱が加わる場合、体内で炎症や感染が起こっている可能性が高いです[5]

  • 急性胃腸炎: 腹痛、下痢、嘔吐に加えて発熱を伴うことが多いです。
  • 虫垂炎: 右下腹部痛と発熱は典型的な症状です。
  • 憩室炎: 大腸の憩室に炎症が起こり、腹痛と発熱が見られます。
  • 胆嚢炎: 右上腹部痛、発熱、黄疸を伴うことがあります。
  • 腎盂腎炎: 脇腹から背中にかけての痛み、高熱、排尿時の痛みを伴います。

腹痛と下痢・嘔吐

これらの症状は消化器系の不調を示すことが多いです。

  • 急性胃腸炎: 最も一般的な原因で、ウイルス性や細菌性があります。
  • 食中毒: 特定の飲食物を摂取後、数時間から数日以内に発症します。
  • 過敏性腸症候群(IBS): 腹痛とともに下痢や便秘が慢性的に繰り返されます。
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病: 炎症性腸疾患で、腹痛、下痢(血便を伴うことも)、体重減少などが見られます。

腹痛と便秘

便秘が腹痛の原因となることはよくあります。

  • 機能性便秘: 食物繊維不足や水分不足、運動不足などが原因で、腹部の張りや鈍痛が生じます。
  • 器質性便秘: 腸の病気(腫瘍など)が原因で便が詰まる場合があり、注意が必要です。
  • 過敏性腸症候群(便秘型): 腹痛を伴う便秘を繰り返します。

腹痛と血便・タール便

血便やタール便(黒い便)は、消化管からの出血を示唆する重要なサインです。速やかな医療機関受診が必要です。

  • 鮮血便: 大腸からの出血が考えられ、痔、大腸炎、大腸ポリープ、大腸がんなどが原因となります。
  • タール便(黒色便): 胃や十二指腸など、上部消化管からの出血が考えられます。胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道静脈瘤破裂などが原因となります。
⚠️ 血便・タール便は緊急性が高い

血便やタール便は、体内で出血が起こっていることを示しており、放置すると重篤な状態に陥る可能性があります。これらの症状が見られた場合は、直ちに医療機関を受診してください。

これらの症状の組み合わせは、患者さんの健康状態を評価する上で非常に重要です。薬剤師として、患者さんの訴えを丁寧に聞き取り、必要に応じて専門医への受診を促すことは、適切な医療へと繋げるための大切な役割だと考えています。

まとめ

腹痛の原因、対処法、市販薬に関する重要な情報の要点
腹痛ガイドのまとめ

腹痛は、その原因が多岐にわたるため、痛む場所、痛みの種類、そして他の症状との組み合わせから総合的に判断することが重要です。軽度な腹痛であれば、自宅での応急処置や市販薬で対応できることもありますが、激しい痛みや高熱、嘔吐、血便などの危険なサインが見られる場合は、迷わず医療機関を受診する必要があります。

この記事で解説した情報を参考に、ご自身の腹痛の症状を注意深く観察し、適切な対処法を選択してください。自己判断が難しい場合や、症状が改善しない場合は、専門家である医師や薬剤師に相談することが、早期回復と重症化予防に繋がります。

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よくある質問(FAQ)

Q1: ストレスが原因で腹痛が起こることはありますか?
A1: はい、ストレスは腹痛の大きな原因となることがあります。特に過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスが引き金となって腹痛、下痢、便秘などの症状を繰り返す疾患です。ストレスを軽減するためのリラックス法や、生活習慣の改善が症状緩和に繋がることがあります。
Q2: 腹痛の際に避けるべき食べ物や飲み物はありますか?
A2: 腹痛がある時は、胃腸に負担をかける刺激物や消化しにくい食品は避けるのが賢明です。具体的には、香辛料の多い辛いもの、脂っこいもの、冷たい飲み物、アルコール、カフェイン、炭酸飲料などは控えるようにしましょう。おかゆ、うどん、白身魚、鶏むね肉など、消化の良いものを少量ずつ摂ることをおすすめします。
Q3: 市販の痛み止め(解熱鎮痛剤)は腹痛に効きますか?
A3: 腹痛の種類によっては効果がある場合もありますが、注意が必要です。非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、胃腸に負担をかけ、胃痛を悪化させる可能性があります。特に胃炎や胃潰瘍が疑われる場合は避けるべきです。腸の痙攣による痛みには、鎮痙作用のある市販薬(ブスコパンなど)が適しています。不明な場合は薬剤師に相談してください。
Q4: 子供の腹痛で注意すべき点はありますか?
A4: 子供の腹痛は、大人よりも重症化しやすい場合があるため、特に注意が必要です。激しい痛み、嘔吐、下痢、発熱、ぐったりしている、顔色が悪いなどの症状が見られる場合は、速やかに小児科を受診してください。また、子供は痛みを正確に伝えられないことがあるため、保護者の方が注意深く様子を観察することが大切です。
この記事の監修
👨‍⚕️
樋口泰亮
消化器内科医