- ✓ フラクショナルレーザーは、微細なレーザー照射で皮膚の再生を促し、毛穴の目立ちを改善する治療法です。
- ✓ 治療効果には個人差があり、複数回の施術で徐々に改善が見られることが一般的です。
- ✓ ダウンタイムや副作用を理解し、適切なアフターケアを行うことが重要です。
フラクショナルレーザーとは?そのメカニズムを解説

- フラクショナルレーザー
- レーザー光を微細な点状に分割して照射することで、皮膚の深部に熱刺激を与え、周囲の正常な組織を残しつつ、肌の再生を促す治療法です。ダウンタイムを抑えながら、肌質改善や毛穴の引き締め効果が期待できます。
レーザーが照射された微細な領域(マイクロゾーン)では、古い皮膚組織が除去され、周囲の健康な皮膚細胞が活性化されます。この活性化された細胞が、新しいコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力やハリを保つ成分の生成を促進します。結果として、肌のターンオーバーが促され、毛穴の開きが改善されるとともに、肌全体のキメが整い、滑らかな質感へと導かれます。
フラクショナルレーザーには、アブレーティブ(蒸散型)とノンアブレーティブ(非蒸散型)の2種類があります。アブレーティブは皮膚の表面を蒸散させることでより高い効果が期待できる一方、ダウンタイムが長くなる傾向があります。ノンアブレーティブは皮膚表面を傷つけずに深部に熱を届けるため、ダウンタイムが短いという特徴があります。毛穴治療においては、どちらのタイプも用いられますが、患者さんの肌質や求める効果、ダウンタイムの許容度に応じて選択されます。
毛穴の開きはなぜ起こる?その原因とは?
毛穴の開きは、多くの方が悩む肌トラブルの一つです。その原因は一つではなく、複数の要因が絡み合って生じることがほとんどです。皮脂の過剰分泌
最も一般的な原因の一つが、皮脂の過剰分泌です。皮脂腺から分泌される皮脂は、肌の潤いを保つ上で重要ですが、過剰に分泌されると毛穴に詰まりやすくなります。詰まった皮脂が酸化したり、アクネ菌などの細菌が繁殖したりすることで、毛穴が押し広げられ、目立つようになります。特にTゾーン(額から鼻にかけて)は皮脂腺が多く、毛穴が開きやすい傾向があります。
加齢による肌のたるみ
年齢を重ねると、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンが減少し、肌全体がたるんできます。このたるみによって毛穴が楕円形に引き伸ばされ、より目立つようになることがあります。いわゆる「たるみ毛穴」と呼ばれる状態で、頬などに多く見られます。実際の診療では、「以前はこんなに毛穴が目立たなかったのに、最近急に気になり始めた」と相談される方が少なくありません。これは加齢による肌の変化が大きく影響していると考えられます。
乾燥と角質肥厚
肌が乾燥すると、肌のバリア機能が低下し、外部からの刺激に対して敏感になります。この状態を補おうとして、肌は角質を厚くすることがあります(角質肥厚)。厚くなった角質が毛穴の出口を塞ぎ、皮脂がスムーズに排出されなくなり、毛穴が詰まりやすくなります。また、乾燥によって肌のキメが乱れることも、毛穴が目立つ原因となります。
紫外線ダメージ
紫外線は、肌のコラーゲンやエラスチンを破壊し、肌の弾力性を低下させます。これにより、肌のたるみが進行し、毛穴の開きを悪化させる要因となります。また、紫外線は皮脂の酸化を促進し、毛穴の黒ずみにもつながることがあります。
フラクショナルレーザーによる毛穴治療の効果は?

開いた毛穴の引き締め
フラクショナルレーザーの最も主要な効果は、開いた毛穴の引き締めです。レーザー照射によって皮膚の真皮層に熱エネルギーが伝わり、コラーゲンやエラスチンの生成が促進されます。これにより、肌内部からハリと弾力が回復し、物理的に毛穴が引き締まります。韓国の患者を対象とした研究では、低エネルギーレベルのフラクショナル炭酸ガスレーザーが、顔の毛穴縮小に有効であることが示されています[2]。筆者の臨床経験では、治療開始から2〜3ヶ月ほどで毛穴の目立ちが軽減したと実感される方が多いです。
肌のキメ・質感の改善
レーザーによる微細な損傷と再生のプロセスは、肌のターンオーバーを促進します。これにより、古い角質が除去され、新しい細胞が生成されることで、肌全体のキメが細かくなり、滑らかな質感へと改善されます。2013年の研究では、低エネルギーのノンアブレーティブフラクショナルレーザーが、毛穴や肌の質感の改善に有効であることが報告されています[3]。
ニキビ跡・小じわの改善
毛穴治療だけでなく、フラクショナルレーザーはニキビ跡の凹凸(クレーター)や、ちりめんじわのような小じわの改善にも効果を発揮します。コラーゲン生成が促進されることで、肌の凹凸がなだらかになり、全体的な肌の若返り効果も期待できます。日常診療では、「毛穴だけでなく、長年悩んでいたニキビ跡も目立たなくなった」と喜ばれるケースをよく経験します。
肌のトーンアップ
肌のターンオーバーが促進され、古い角質や色素沈着が排出されることで、肌全体のトーンが明るくなる効果も期待できます。特に毛穴の黒ずみが気になる方にとっては、毛穴の引き締めと同時にトーンアップ効果も得られるため、満足度が高い傾向にあります。
| 治療効果 | 期待できる変化 | メカニズム |
|---|---|---|
| 毛穴の引き締め | 毛穴が目立ちにくくなる | コラーゲン・エラスチン生成促進による肌のハリ回復 |
| 肌のキメ・質感改善 | 肌がなめらかになる | ターンオーバー促進、古い角質除去 |
| ニキビ跡・小じわ改善 | 凹凸やシワが目立ちにくくなる | コラーゲン再構築、肌の弾力回復 |
| 肌のトーンアップ | 肌色が明るくなる | ターンオーバー促進による色素排出 |
治療の流れとダウンタイム、副作用について
フラクショナルレーザー治療は、効果的な一方で、適切な治療計画とアフターケアが重要です。治療の流れ、予測されるダウンタイム、そして起こりうる副作用について理解しておきましょう。一般的な治療の流れ
- カウンセリング・診察: まず、医師が患者さんの肌の状態、毛穴のタイプ、既往歴などを詳しく確認し、フラクショナルレーザーが適しているか判断します。治療の目的や期待できる効果、リスク、費用などについて説明し、疑問点を解消します。
- 麻酔: 治療部位に麻酔クリームを塗布し、30分〜1時間程度置いて麻酔が効くのを待ちます。これにより、レーザー照射時の痛みを軽減します。
- レーザー照射: 麻酔が効いたことを確認し、医師が設定した出力でレーザーを照射します。照射時間は顔全体で15分〜30分程度が目安です。
- クーリング・鎮静: 照射後、肌の熱感を抑えるために冷却パックなどでクーリングを行います。必要に応じて、炎症を抑える軟膏や保湿剤を塗布します。
- アフターケアの説明: 治療後のスキンケアや注意点について詳しく説明を受けます。特に紫外線対策と保湿は非常に重要です。
実際の診療では、問診の際に「以前にレーザー治療を受けたことはありますか?」「日焼けはしていますか?」といった質問を通じて、患者さんの肌の状態を細かく確認し、最適なレーザーの種類や出力、回数を判断するようにしています。
ダウンタイムとは?
ダウンタイムとは、治療後に肌が回復するまでの期間を指します。フラクショナルレーザーの種類や出力によって異なりますが、一般的には数日〜1週間程度です。
- 直後: 照射部位に赤み、腫れ、熱感が生じます。日焼け後のようなヒリヒリ感を感じることがあります。
- 数日後: 赤みが落ち着き、小さなかさぶた(マイクロクラスト)が多数形成されます。肌がザラザラした感触になり、乾燥しやすくなります。このかさぶたは、無理に剥がさず自然に剥がれ落ちるのを待つことが重要です。
- 1週間程度: かさぶたが剥がれ落ち、新しい皮膚が再生されます。この時期は特に肌が敏感になっているため、徹底した保湿と紫外線対策が必要です。
起こりうる副作用
フラクショナルレーザーは比較的安全な治療ですが、以下のような副作用が起こる可能性があります。
- 赤み・腫れ・熱感: 治療直後から数日間続くことがあります。
- 色素沈着: 炎症後色素沈着(PIH)と呼ばれる、一時的な茶色いシミができることがあります。特に肌の色が濃い方や、紫外線対策を怠った場合にリスクが高まります。通常は数ヶ月で自然に薄くなりますが、治療が必要な場合もあります。
- 感染: 稀ですが、適切なアフターケアを怠ると細菌感染やヘルペスウイルス感染を起こす可能性があります。
- 乾燥・かさつき: 治療後の肌は非常に乾燥しやすいため、徹底した保湿が不可欠です。
- 瘢痕(はんこん): 非常に稀ですが、体質や不適切な治療によって瘢痕が残る可能性があります。
治療後の肌は非常にデリケートです。医師の指示に従い、保湿と紫外線対策を徹底してください。かさぶたを無理に剥がしたり、刺激の強いスキンケア製品を使用したりすることは避けてください。
効果を最大限に引き出すためのポイントとは?

適切な治療回数と間隔
フラクショナルレーザーは1回の治療で劇的な効果が得られるわけではなく、複数回の治療を継続することで徐々に効果が現れるのが一般的です。通常、3〜5回程度の治療が推奨され、治療間隔は肌の回復期間を考慮して3〜4週間程度空けることが多いです。韓国の研究では、1410nmのフラクショナルエルビウムドープファイバーレーザーを用いた治療を3回行った結果、毛穴の改善が見られたと報告されています[4]。日常診療では、患者さんには「1回の治療で全てが解決するわけではなく、根気強く続けることが大切です」と説明し、治療計画を立てるようにしています。
徹底した保湿ケア
レーザー照射後の肌は、バリア機能が一時的に低下し、非常に乾燥しやすくなります。乾燥は肌トラブルの原因となるだけでなく、治療効果を低下させる可能性もあります。そのため、治療後は保湿力の高い化粧水や乳液、クリームなどをたっぷり使用し、肌を十分に潤すことが重要です。特に、セラミドやヒアルロン酸などの保湿成分が配合された製品がおすすめです。
厳重な紫外線対策
治療後の肌は、紫外線に対して非常に敏感になっています。紫外線を浴びると、色素沈着(炎症後色素沈着)のリスクが高まるだけでなく、肌の回復を遅らせる原因にもなります。外出時はもちろん、室内でも日焼け止めを塗布し、帽子や日傘などを活用して徹底した紫外線対策を行いましょう。SPF30以上、PA+++以上の日焼け止めを毎日使用することが推奨されます。
刺激を避けたスキンケア
治療期間中は、肌に刺激を与えるようなスキンケアは避けるべきです。具体的には、ピーリング剤やスクラブ洗顔、レチノールなどの刺激の強い成分が配合された製品の使用は控えてください。洗顔時は、肌をゴシゴシ擦らず、泡で優しく洗うように心がけましょう。また、治療直後はメイクを控えるか、肌に負担の少ないミネラルファンデーションなどを使用することをおすすめします。
医師との密なコミュニケーション
治療中に何か気になる症状や肌の変化があった場合は、すぐに医師に相談することが重要です。ダウンタイム中の肌の状態や、アフターケアの方法について不明な点があれば、遠慮なく質問しましょう。臨床現場では、患者さんが「この赤みは大丈夫ですか?」「いつからメイクできますか?」といった疑問を抱かれることが多いため、診察時に丁寧に説明し、不安を解消するように努めています。
フラクショナルレーザー以外の毛穴治療の選択肢
毛穴治療にはフラクショナルレーザー以外にも様々な選択肢があります。患者さんの毛穴のタイプ、肌質、予算、ダウンタイムの許容度などに応じて、最適な治療法を選択することが重要です。ケミカルピーリング
ケミカルピーリングは、酸性の薬剤を肌に塗布することで、古い角質を除去し、肌のターンオーバーを促進する治療法です。毛穴の詰まりを改善し、開いた毛穴を目立たなくする効果が期待できます。特に、皮脂の過剰分泌による毛穴の開きや黒ずみに有効です。ダウンタイムは比較的短く、赤みや軽い皮むけ程度で済むことが多いです。
ダーマペン・マイクロニードルRF
ダーマペンは、極細の針で肌に微細な穴を開け、肌の自然治癒力を利用してコラーゲン生成を促す治療です。毛穴の引き締めやニキビ跡の改善に効果的です。マイクロニードルRFは、ダーマペンと同様に微細な針を肌に挿入し、その先端から高周波(RF)エネルギーを照射することで、より深部のコラーゲン生成を強力に促進します。最近の研究では、フラクショナルRFレーザーとマイクロニードルの効果を比較した結果、両者ともに毛穴の改善に有効であることが示されています[1]。実臨床では、毛穴の開きだけでなく、肌全体のハリや弾力も改善したいという患者さんにダーマペンやマイクロニードルRFを提案することが多く見られます。
光治療(IPL)
光治療(IPL: Intense Pulsed Light)は、様々な波長の光を肌に照射することで、シミ、そばかす、赤み、そして毛穴の開きなど、複数の肌トラブルを同時に改善する治療法です。毛穴に対しては、肌のターンオーバーを促進し、コラーゲン生成をわずかに促すことで、肌のキメを整え、毛穴を目立たなくする効果が期待できます。ダウンタイムがほとんどなく、比較的気軽に受けられるのが特徴です。
内服薬・外用薬
毛穴の開きが皮脂の過剰分泌やニキビに起因する場合は、内服薬や外用薬による治療も有効な選択肢となります。例えば、ビタミンB群の内服薬は皮脂分泌を抑制する効果が期待でき、ディフェリンゲルやアダパレンなどの外用薬は毛穴の詰まりを改善し、ニキビの発生を抑える効果があります。これらの治療は、レーザー治療と併用することで、より高い効果が期待できる場合もあります。
まとめ
フラクショナルレーザーは、微細なレーザー照射によって肌の再生を促し、開いた毛穴の引き締め、肌のキメ・質感の改善、ニキビ跡や小じわの軽減に有効な治療法です。治療効果を最大限に引き出すためには、複数回の治療を適切な間隔で受けること、そして治療後の徹底した保湿と紫外線対策が不可欠です。ダウンタイムや副作用のリスクも理解し、医師と密にコミュニケーションを取りながら治療を進めることが重要です。毛穴の開きには様々な原因と治療法があるため、ご自身の肌の状態や悩みに合わせて最適な治療法を選択するためにも、まずは専門医に相談することをおすすめします。よくある質問(FAQ)
- Mina Mamizadeh, Samaneh Tahmasebi Ghorabi, Mohammad Jamali et al.. Comparison the Effect of Fractional RF Laser with Microneedling on Facial Skin Rejuvenation, Open Pores and Skin Lightening: A Non-Randomized Controlled Clinical Trial.. World journal of plastic surgery. 2024. PMID: 38742037. DOI: 10.61186/wjps.13.1.16
- Hyuck Hoon Kwon, Sun Chul Choi, Won-Yong Lee et al.. Clinical and Histological Evaluations of Enlarged Facial Skin Pores After Low Energy Level Treatments With Fractional Carbon Dioxide Laser in Korean Patients.. Dermatologic surgery : official publication for American Society for Dermatologic Surgery [et al.]. 2018. PMID: 28902036. DOI: 10.1097/DSS.0000000000001313
- Nazanin Saedi, Kathleen Petrell, Kenneth Arndt et al.. Evaluating facial pores and skin texture after low-energy nonablative fractional 1440-nm laser treatments.. Journal of the American Academy of Dermatology. 2013. PMID: 23098639. DOI: 10.1016/j.jaad.2012.08.041
- Dong-Hye Suh, Ka-Yeun Chang, Sang-Jun Lee et al.. Treatment of dilated pores with 1410-nm fractional erbium-doped fiber laser.. Lasers in medical science. 2015. PMID: 25647394. DOI: 10.1007/s10103-015-1719-4
- アルツディスポ(ヒアルロン)添付文書(JAPIC)

