OTOLARYNGOLOGY / SYMPTOM GUIDE
鼻水・鼻づまり、急な聞こえの低下、耳鳴り、のどの痛み、声のかすれ、飲み込みにくさ、めまい、いびきは、耳鼻咽喉科で扱う代表的な症状です。ただし同じ症状でも、経過を見られる状態から救急対応が必要な状態まであります。症状を安全に整理し、受診先・検査・セルフケアを判断する順番をまとめます。
最初に要点
セルフチェックの目的は病名を当てることではなく、「今すぐ救急」「当日中に相談」「早めに予約」「記録しながら経過を見る」のどれかを判断することです。息ができない、唾液も飲み込めない、意識や手足の動きがおかしい場合は119番を優先します。片耳の聞こえが急に落ちた、顔が急に動かしにくい、強い痛みや発熱を伴う場合も、自己治療で待たず当日中に医療機関へ相談してください。
会話ができないほどの呼吸困難、唇が青い、意識がぼんやりする、唾液を飲めず流れ出る、急な顔や手足のまひ・ろれつの回りにくさ、突然の激しい頭痛を伴うめまい、大量で止まりにくい出血は救急です。判断に迷うときは地域の救急相談または消防庁の全国版救急受診アプリ「Q助」を使います[公1]。
セルフチェックで分かること・分からないこと
自宅で確認できるのは、症状が始まった時刻、左右差、強さの変化、発熱、出血、息苦しさ、食事や歩行への影響などです。一方、耳の奥、鼻の奥、声帯、飲み込みの動き、聴力の種類、眼振や神経所見は、診察や検査なしには評価できません。スマートフォンの聴力・いびき・めまいアプリも、変化を記録する補助にはなりますが、病名の確定や安全性の保証には使えません。
病名より「赤旗」と生活への影響を見る
「鼻炎だと思う」「耳あかのせい」「寝不足のめまい」と病名を決める前に、急に始まったか、片側だけか、悪化しているか、呼吸・意識・神経症状を伴うかを確認します。食事が取れない、転びそうで歩けない、会話や仕事に支障がある、眠気で運転が危ないなど、生活への影響も受診時期を決める重要な情報です。
子ども・高齢者・妊娠中・持病がある人は早めに相談
乳幼児は症状を言葉にしにくく、高齢者は脱水や転倒の影響が大きくなります。妊娠中、免疫を抑える治療中、抗凝固薬を使用中、重い心肺疾患がある場合は、市販薬や待機の安全性が一般成人と異なります。本人の元気がない、尿が少ない、呼びかけへの反応が鈍い場合は症状名にかかわらず早めに相談します。
緊急度を4段階で分ける
呼吸困難、チアノーゼ、意識障害、唾液も飲めない、急な片側のまひ・言葉の異常、突然の激しい頭痛、大量出血。
片耳の急な聞こえの低下、急な顔面の動かしにくさ、強い耳痛と発熱、転倒しそうなめまい、鼻やのどの異物。
続く片側の鼻づまり・出血、声のかすれ、飲み込みにくさ、耳だれ、反復するめまい、睡眠中の無呼吸。
軽く改善傾向があり、赤旗がなく、水分・食事・睡眠が保てる症状。悪化時は段階を上げます。
「急に聞こえにくい」は痛みがなくても急ぐ
片耳の聞こえが突然落ちた、耳が詰まる、耳鳴りが始まったときは、耳あかや中耳炎だけでなく突発性難聴など感音難聴の可能性があります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会は早期受診を勧め、ガイドラインも聴力検査をできるだけ早く行うことを重視しています[1][公2][公3]。
鼻水・鼻づまり・くしゃみ・鼻血
透明な鼻水とくしゃみ:アレルギーか感染症か
透明な鼻水、くしゃみ、鼻や目のかゆみが反復し、季節や環境で変わる場合はアレルギー性鼻炎が候補です。発熱、のどの痛み、だるさを伴えばウイルス感染症も考えます。症状だけで原因を確定せず、始まった時期、屋内外での差、目の症状、家族や周囲の流行を記録します。息苦しさや顔の腫れを伴う急なアレルギー症状は救急判断が必要です[公4]。
黄色い鼻水・頬の痛み・嗅覚低下
粘りのある鼻水、鼻づまり、頬や目の周りの痛み、においの低下は副鼻腔炎でみられます。ただし鼻水の色だけで細菌感染や抗菌薬の必要性は決まりません。強い頭痛、目の腫れ、見えにくさ、高熱、首の硬さがあれば急いで受診します。長引く場合は内視鏡や画像検査を含め、ポリープや歯の病気なども確認します[公5]。
鼻血と片側だけの症状
鼻血は座って少し前かがみになり、小鼻の柔らかい部分を左右から連続して圧迫します。上を向いたり、血液を飲み込んだり、途中で何度も手を離したりしません。止まらない、多量、ふらつく、抗凝固薬を使っている、外傷後の場合は医療機関へ相談します。片側だけの鼻づまりや血の混じる鼻水が続く場合も、早めに耳鼻咽喉科で確認します。
難聴・耳鳴り・耳痛・耳だれ
聞こえの低下は左右と速度を確認
聞こえにくさには、耳あか、外耳炎、中耳炎、鼓膜の問題など音が伝わりにくい伝音難聴と、内耳や聴神経に関わる感音難聴があります。片耳か両耳か、突然か徐々か、耳鳴り・耳閉感・めまいを伴うかを確認します。テレビ音量、会話、電話、車の接近音への影響は診察で有用ですが、家庭の音だけで聴力を数値化することはできません。
耳痛・耳だれ・かゆみ
耳を触ると痛い、耳だれ、かゆみは外耳炎などでみられ、風邪の後の耳痛や発熱は中耳炎でも起こります。強い痛み、耳の後ろの腫れ、顔の動かしにくさ、糖尿病や免疫低下がある場合は早めに受診します。耳だれがあるときは市販の点耳薬を自己判断で入れず、鼓膜の状態を確認してもらいます。
耳鳴りだけでも片側・拍動性・神経症状は共有
耳鳴りは難聴と伴うことが多く、疲労や静かな環境で目立つ場合があります。突然始まった片側の耳鳴り、脈に一致する音、急な難聴、めまい、顔のしびれを伴う場合は受診を急ぎます。耳鳴りの音色だけで原因は判断できません。聞こえの検査と診察を受け、睡眠や不安への影響も伝えてください。
のどの痛み・声のかすれ・飲み込みにくさ
呼吸と唾液が保てるかを最初に確認
のどの痛みでは、呼吸が苦しくないか、唾液や水分を飲めるか、口が開くか、首が急に腫れていないかを先に確認します。息を吸うときに高い音がする、唾液が流れ出る、声が急に出しにくい、首の腫れが急速に広がる場合は救急です。軽い風邪に見えても短時間で悪化することがあるため、呼吸状態を優先します。
声のかすれが続くとき
声の使い過ぎや喉頭炎で一時的にかすれることがありますが、長引く場合は声帯の結節、ポリープ、声帯まひ、腫瘍などを確認します。喫煙歴、首のしこり、血痰、飲み込みにくさ、呼吸音の異常を伴う場合は早めに喉頭を観察する必要があります。画像検査だけを先に行うのではなく、耳鼻咽喉科で喉頭内視鏡などによる観察が基本です[2][公11]。
むせ・飲み込みにくさ・食べ物がつかえる
水でむせる、食事に時間がかかる、飲み込んだ後に声が濁る、体重が減る、肺炎を繰り返す場合は嚥下機能を評価します。食べ物が完全につかえた、唾液も飲めない、呼吸が苦しい場合は救急です。無理に水や大きな食塊を飲ませず、姿勢や食形態は評価後の指示に合わせます[公9][公12]。
めまい・ふらつき・顔の動かしにくさ
めまいは「回るか」だけで安全性を決めない
周囲が回る、体が揺れる、立つとふらつくなど表現はさまざまです。耳の病気による末梢性めまいのほか、脳卒中、血圧低下、不整脈、薬剤、貧血などでも起こります。突然の激しい頭痛、ろれつが回らない、片側の手足が動かしにくい、物が二重に見える、自力で立てない場合は救急要請を検討します。
安全を確保して、発作の情報を残す
発作中は座るか横になり、階段・浴室・高所を避け、運転しません。始まった時刻、持続時間、頭の向きとの関係、聞こえや耳鳴り、頭痛、しびれ、服薬を記録します。症状が治まっても神経症状があった場合は受診してください。顔の片側が急に動かしにくい場合も、脳卒中との区別を含め当日中に評価します[公8]。
いびき・睡眠中の無呼吸・日中の眠気
家族が気づく情報と本人の症状を合わせる
大きないびき、呼吸が止まる、あえぐように再開する、何度も目が覚める、起床時の頭痛、日中の強い眠気は睡眠時無呼吸でみられます。鼻づまり、扁桃や顎の形、体重、飲酒、睡眠薬、心血管疾患なども評価します。子どもではいびきだけでなく、口呼吸、落ち着きのなさ、成長や学習への影響が手がかりになることがあります[公7][公13]。
質問票や録音だけで診断しない
スマートフォンの録音や家族の観察は受診の手がかりですが、無呼吸の有無や重症度を確定できません。成人の診断では、適切な睡眠評価とともに終夜睡眠ポリグラフ検査または条件に合う簡易検査を用います。簡易検査が陰性でも疑いが強い場合は精密検査を検討します[3]。
どこを受診するか・いつ受診するか
耳鼻咽喉科が向く症状
耳痛、耳だれ、難聴、耳鳴り、鼻づまり、鼻血、嗅覚低下、のどの痛み、声のかすれ、飲み込みにくさ、首のしこり、いびきは耳鼻咽喉科が主な窓口です。眼振や聴力を伴うめまいも耳鼻咽喉科で評価します。かかりつけ医から必要な診療科へ紹介してもらう方法でも構いません。
救急・脳神経・内科を優先する場面
呼吸困難、意識障害、脳卒中を疑う神経症状、止まらない大量出血は救急です。突然の神経症状を伴うめまいは脳神経内科・脳神経外科の評価が必要です。胸痛、動悸、失神を伴うふらつきは循環器を含む内科的評価が必要です。診療科を迷うことを理由に受診を遅らせず、救急相談や医療機関へ症状を伝えて案内を受けます。
受診を先延ばしにしないサイン
片側だけの症状が続く、症状が進む、出血を繰り返す、首のしこり、体重減少、発熱が続く、仕事や食事・睡眠に支障がある場合は予約を早めます。声のかすれや飲み込みにくさは、痛みがなくても評価が必要なことがあります。検診結果で精密検査を勧められた場合も、自覚症状がないことを理由に放置しません。
耳鼻咽喉科で行う主な検査
| 症状 | 主な診察・検査 | 分かること |
|---|---|---|
| 耳痛・難聴・耳鳴り | 耳鏡、顕微鏡、純音聴力、語音聴力、ティンパノメトリー | 外耳・鼓膜・中耳の状態、聞こえの程度と種類 |
| 鼻水・鼻づまり・鼻血 | 鼻鏡、鼻内視鏡、アレルギー検査、必要時CT | 粘膜、出血部位、ポリープ、副鼻腔やアレルギーの関与 |
| 声・のど・嚥下 | 喉頭内視鏡、音声評価、嚥下内視鏡・造影検査 | 声帯の動き、炎症・病変、誤嚥や食形態の安全性 |
| めまい・ふらつき | 眼振、体平衡、聴力、頭位検査、必要時画像・採血 | 末梢性と中枢性の手がかり、循環・代謝要因 |
| いびき・無呼吸 | 鼻・咽頭の診察、簡易検査、終夜睡眠ポリグラフ | 気道の狭さ、呼吸イベント、酸素・睡眠への影響 |
検査は症状と危険度に合わせて選ぶ
全員にすべての検査をするわけではありません。問診と診察で緊急度を確認し、必要な検査を組み合わせます。妊娠の可能性、抗凝固薬、アレルギー、閉所への不安、補聴器や体内機器、以前の検査結果を伝えます。過去の聴力検査や画像がある場合は比較に役立ちます。
受診までにできる安全なセルフケア
鼻・のど:乾燥と刺激を避ける
水分制限がなければ少量ずつ水分を取り、室内の過度な乾燥、喫煙・受動喫煙、強い香料を避けます。声がかすれるときは大声を控えますが、ささやき声も声帯へ負担になることがあるため、楽に出せる小さな声で短く話します。鼻洗浄を行う場合は製品説明に従い、安全な水と清潔な器具を使い、強い痛みや耳症状があるときは中止します。
耳:水と刺激物を入れない
耳痛や耳だれがあるときは耳を乾いた状態に保ち、綿棒や耳かきで奥を触りません。急な難聴に気づいたら、大音量で聞こえを試し続けたり、自己判断の点耳薬を入れたりせず、受診先を探します。ヘッドホンは長時間・大音量を避け、周囲の音が聞こえる範囲にします。
めまい・睡眠:事故を防ぐ
めまいがあるときは運転、自転車、高所作業、入浴中の一人行動を避け、起き上がりをゆっくりにします。いびきがある人は飲酒で悪化することがあるため、特に就寝前の飲酒を控えます。横向きで軽くなる場合もありますが、姿勢だけで無呼吸が安全になったとは判断しません。強い日中の眠気がある間は運転しないでください。
避けたい行動
- 急な片耳難聴を「耳あか」と決め、数日待つ
- 綿棒・耳かき・ピンセットを耳や鼻の奥へ入れる
- 鼻血で上を向く、鼻を強くかむ、圧迫を途中で何度も外す
- 息苦しさや唾液も飲めない状態で飲食物を無理に飲ませる
- めまい中に運転、階段、高所作業、単独入浴を続ける
- 処方済みでない抗菌薬・ステロイド・点耳薬を自己判断で使う
- 鼻づまり用の市販薬を説明書の期間を超えて連用する
- 録音アプリや質問票の結果だけで睡眠時無呼吸を否定する
診察で役立つ症状記録
開始時刻、突然か徐々か、持続時間、反復、悪化・改善のきっかけ。
右・左・両側、耳・鼻・のど・首、痛みやしびれが広がる範囲。
発熱、出血、息苦しさ、耳鳴り、聞こえ、頭痛、神経症状、体重変化。
食事、水分、睡眠、会話、歩行、仕事、運転、学校への具体的な支障。
服薬一覧、アレルギー、持病、妊娠の可能性、過去の耳鼻咽喉科検査を持参します。症状の写真や家族が記録した睡眠時の音声は補助情報になりますが、個人情報が含まれるため共有範囲に注意します。市販薬を使った場合は商品名だけでなく、使った量・回数・最終使用時刻も伝えます。学校や勤務先で受けた聴力検査、発熱の経過、症状がない時の普段の状態が分かる記録も比較に役立ちます。診察では「緊急性」「考えられる原因」「必要な検査」「悪化時の連絡基準」「次に受診する時期」を確認します。説明が分かりにくい場合は、病名が確定しているのか、候補を調べている段階なのかを分けて聞くと整理しやすくなります。
耳鼻咽喉科の症状を理解するテーママップ
元のMedWP計画にある個別テーマは未公開です。存在しないURLや仮リンクは作らず、公開まではこのピラー記事内で判断の全体像を確認できます。
耳鼻咽喉科の症状に関するよくある質問(FAQ)
片耳が急に聞こえにくくなりました。明日まで待ってもよいですか?
黄色い鼻水なら抗菌薬が必要ですか?
声のかすれは何日続いたら受診すべきですか?
めまいが治まれば受診しなくても大丈夫ですか?
いびき録音アプリで正常なら睡眠時無呼吸ではありませんか?
耳鼻咽喉科と内科のどちらへ行けばよいですか?
参考文献
- Chandrasekhar SS, et al. Clinical Practice Guideline: Sudden Hearing Loss (Update). Otolaryngol Head Neck Surg. 2019.
- Stachler RJ, et al. Clinical Practice Guideline: Hoarseness (Dysphonia) (Update). Otolaryngol Head Neck Surg. 2018.
- Kapur VK, et al. Clinical Practice Guideline for Diagnostic Testing for Adult Obstructive Sleep Apnea. J Clin Sleep Med. 2017.
ガイドライン・公的資料
- 総務省消防庁「全国版救急受診アプリ(Q助)」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の症状」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「耳の病気」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の症状」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「鼻の病気」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「頭・顔面・頸部の症状」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「口腔・咽頭の病気」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「めまい・顔面神経の病気」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「音声・言語・嚥下の病気」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「軽度・中等度難聴の診療の手引き」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「喉頭がんについて」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「食事と生活」
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会「小児の睡眠時無呼吸症候群」
この記事の監修
本記事は一般的な判断材料を提供するもので、個別の診断や治療を代替しません。呼吸困難、意識の変化、急な神経症状、急な聞こえの低下などは、記事のセルフチェックで待たず医療機関へご相談ください。

