ORTHOPEDICS · PATIENT GUIDE

手首の骨折:ギプスと手術、固定中の注意

手をついて転んだあとに起こる橈骨遠位端骨折。治療の違い、ギプス中のしびれ、仕事や家事へ戻るまでに確認したいことを解説します。

受診を急ぐ症状を先に確認する →
監修日:2026年9月26日更新日:
診察骨のずれと指先を確認
選択早期回復と長期の機能
固定中しびれ・色・冷たさに注意
最初に押さえたいこと

橈骨遠位端骨折は、手首に近い腕の骨の骨折です。ずれを整えた位置が保てるか、関節への影響や生活上の必要性を考え、ギプスや手術を選びます。固定後に指先が冷たい・白い、しびれや痛みが急に強まる場合は、次の予約を待たず受診してください。

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転倒後・固定後に受診を急ぐサイン

指先の冷たさ・色の変化、増えるしびれ

手首の強い変形、骨が見える傷、指先が白い・冷たい、強いしびれや痛みがある場合は救急受診してください。ギプスをしたあとに起きた場合も、次の予約日を待たず医療機関へ連絡します。

手をついて転び、手首が腫れて痛む、力が入らない場合は、骨折を疑って早めに整形外科を受診します。骨折に伴い神経が圧迫されて指がしびれることもあるため、指先の感覚の変化も伝えてください。[1]

「動くから大丈夫」と使い続けたり、見た目の変形を自分で戻したりしないでください。受診まで無理に使わず楽な位置で支えます。大きなけがで移動できない、意識の変化がある場合は119番へ連絡します。

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橈骨遠位端骨折とは? 診察で分かること

橈骨(とうこつ)は前腕にある2本の骨のうち、親指側の骨です。その手首に近い部分が折れるのが「橈骨遠位端骨折」です。骨のずれる方向によってコレス骨折・スミス骨折などと呼ばれることもあります。[1]

X線で、骨のずれ、細かく割れている程度、関節の表面に骨折が及ぶかなどを調べます。ずれた骨を医療者が整える処置を「整復」といいます。痛みへの処置を行って整復し、保てる位置かを確認したうえで固定や手術を検討します。[1]

今回の説明は成人を対象としています。子どもでは成長する部分への影響などが異なります。また、同じ手首でも舟状骨の骨折では検査や固定の考え方が違うため、親指側の手首に痛みが残るときの舟状骨骨折の説明も参照してください。

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ギプスと手術の選択で大切なこと

選択肢を比較

ギプスなどで固定

対象
整えた骨の位置を保てる場合など
根拠・役割
手術を避けて保護し、通院で位置と骨のつき方を確認します。
注意・限界
途中で再びずれることがあり、画像と症状によって治療を見直します。
選択肢を比較

プレートなどで手術

対象
不安定な骨折や、生活上の必要性などを踏まえて検討
根拠・役割
骨を支えて位置を保ち、早い時期の機能回復を目指す場合があります。
注意・限界
感染、腱や神経への影響、金属の問題など、手術の負担を確認します。

米国の診療ガイドラインでは、高齢者では手術が長期の患者さんの機能を必ずしも改善しないとされています。研究上の年齢区分は一つの目安であり、実際には活動量や生活で必要な動きを考慮します。年齢だけで治療を決めるわけではありません。[2]

60歳以上を対象としたCROSSFIRE試験では、プレート手術と整復後のギプスを比べ、1年後の手首の痛みや機能に大きな差は確認されませんでした。ただし、治療への満足など、機能の点数とは異なる結果もありました。[3]

一方、複数の試験をまとめると、プレート手術には早い時期の機能回復の利点がありましたが、長期の差は明確ではありません。早く必要な作業へ戻ることをどの程度重視するかも、治療選択の相談材料になります。[4]

これらは「手術は必要ない」という意味ではありません。強いずれや不安定性、神経への影響、関節面の状態などにより判断が変わります。ご自身の場合の理由と、別の選択肢を取った場合の見通しを確認してください。

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ギプス中は、指先と皮膚の変化を確認

固定の範囲と期間は、骨折の状態に合わせます。濡らさない、内側へ物を差し込まないなど、受けた説明を守ってください。きつく感じる、皮膚に強く当たる、固定が壊れた場合は、医療機関へ連絡して対応を確認します。[5]

固定後の腫れへの対応や腕の支え方、指を動かす範囲は、その場で確認しておきます。自分でギプスを切る・外す・締め直すといった調整はしないでください。指先の冷たさや色の変化、しびれが増える場合は早急な診察が必要です。

  • どの指・関節を動かしてよいか、具体的に確認する
  • 物を持つこと、手をつくことの制限を確認する
  • 洗髪・入浴時に固定を濡らさない方法を確認する
  • 夜間や休日に変化があった場合の連絡先を控える

痛み止めを飲んでも強い痛みが続くときは、自己判断で量を増やさず相談してください。持病や飲み合わせで使い方が変わるため、市販薬を追加する場合もお薬手帳を使って確認します。

診察室から

手首の骨折では、「指を動かしてよい」と「重い物を握って持ってよい」が同じ意味に受け取られないよう、動作を分けて確認する視点が大切です。食事、洗濯、通勤など具体的な作業を聞き、説明につなげます。

固定した手首をクッションで支え、指先の状態を医師に見せる説明用イラスト
固定後に指先の状態を確認する場面です。固定範囲や姿勢は担当医の指示に従ってください。実在人物の写真ではないAI生成画像です。
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固定が外れたあとの生活とリハビリ

固定が外れても、手首の動かしにくさや握力の低下が残ることがあります。骨がついている程度と症状を確認しながら、手首の動きや力を段階的に戻します。強くひねる・腕に体重をかける・重い荷物を持つ動作は、許可を受けてから行います。

運動は、担当者から教わった内容で進めます。「指の運動」「手首の運動」「重さをかける練習」は区別してください。手術後も制限がなくなるわけではありません。何をどこまでしてよいか曖昧な場合は、実際の動作を説明して確認します。

復職の相談では、パソコン操作、運搬、工具の使用、運転など、必要な作業を具体的に伝えます。短い時間の軽い作業から戻せるか、片手で代替できるかなど、職場と調整するための情報を診察で集めましょう。

再診を重ねても強い痛みが続く、しびれが悪化する、親指やほかの指が動かしにくくなった場合は、早めに医療機関へ連絡します。単に筋力が落ちただけと決めつけず、状態を確認することが大切です。

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治療を選ぶ前・再診で聞きたいこと

  • 骨の位置は固定で保てる見込みがあるか
  • 手術で期待するのは、どの時期のどの動作の改善か
  • 通院で何を確認し、どの変化があれば治療を見直すか
  • 利き手の作業、家事や介護に必要な支援は何か

ご家族に支援を頼む場合は、困る動作を一つずつ共有します。食器を運ぶ、容器を開ける、洗濯物をしぼるといった動作にも手首の力が必要です。生活の中で思い出した質問はメモし、次の診察で相談してください。

ほかの骨折との違いや、受診から回復までの流れは、肩・腕・手首の骨折の案内で整理できます。

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よくある質問

高齢なら手術をしない方がよいですか。

年齢だけで決めません。骨折の安定性、関節や神経への影響、普段の活動、早期回復の希望と手術の負担を合わせて相談します。

ギプス中に指がしびれています。様子をみてよいですか。

新しいしびれや悪化するしびれ、指先の冷たさ・色の変化、強い痛みは早急に医療機関へ連絡してください。次の予約日まで待たないことが大切です。

手術後はすぐに重い物を持てますか。

すぐに持てるとは限りません。金属で固定していても骨の回復には時間がかかります。持てる重さ、手をつく動作、運動の範囲を担当医に確認します。

仕事へ戻る時期はどう決めますか。

治療経過と作業の負担で決めます。パソコン、運搬、工具、運転などを分けて伝え、通勤を含めて安全に行える内容を相談してください。

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参考文献

本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状、既往歴、服薬、妊娠などによって適切な対応は異なります。骨が見える傷、指先の冷たさや色の変化、新たな強いしびれがある場合は通常の予約を待たず救急受診してください。意識の変化、息苦しさ、安全に移動できない状態では119番へ連絡してください。