- ✓ 耳鳴りは高音性・低音性など様々な種類があり、それぞれ異なる原因が考えられます。
- ✓ 耳鳴りの原因は多岐にわたり、聴覚器の問題だけでなく全身疾患やストレスも関連します。
- ✓ 症状が続く場合は、専門医による正確な診断と適切な治療が重要です。
耳鳴りは、実際には音が鳴っていないのに、耳の中で「キーン」「ピー」「ゴー」「ザー」といった音が聞こえる状態を指します。これは多くの方が経験する症状であり、その原因や感じ方は人それぞれです。この記事では、耳鳴りの種類、考えられる原因、そして適切な対処法や受診すべき診療科について詳しく解説します。
キーン・ピーという高音の耳鳴りとは?

高音性の耳鳴りは、一般的に「キーン」「ピー」「ジー」といった高い周波数の音として認識される耳鳴りです。この種の耳鳴りは、聴覚系の神経細胞の過剰な活動によって生じることが多いとされています。
高音性耳鳴りの主な原因は何ですか?
高音性の耳鳴りは、主に内耳や聴神経の障害に関連していることが多いです。臨床の現場では、突発性難聴や老人性難聴の患者さんから「キーンという耳鳴りが突然始まった」という相談をよく受けます。
- 突発性難聴:突然片耳に難聴が起こり、同時に高音性の耳鳴りを伴うことがあります。原因不明とされることが多いですが、早期の治療が重要です[1]。
- 老人性難聴:加齢に伴い聴力が低下する過程で、高音域から聞こえにくくなることが多く、それに伴って高音性の耳鳴りが発生しやすくなります。
- メニエール病:めまい、難聴、耳鳴りの3つの症状が同時に起こる病気で、耳鳴りは「キーン」という高音性であることが多いです。内耳のリンパ液の過剰な貯留(内リンパ水腫)が原因と考えられています。
- 騒音性難聴:大きな音に長時間さらされることで、内耳の有毛細胞が損傷し、高音性の耳鳴りや難聴を引き起こすことがあります。ヘッドホンでの大音量視聴や、工場での作業などがリスク因子となります。
- 音響外傷:花火やライブ会場での爆音など、一度の非常に大きな音によって内耳が損傷し、高音性の耳鳴りが残ることがあります。
- 薬剤性耳鳴り:一部の薬剤(アスピリンの大量服用、特定の抗生物質など)が内耳に影響を与え、耳鳴りを引き起こすことがあります。
これらの原因による高音性耳鳴りは、聴力検査で特定の周波数帯の聴力低下が認められることが多く、聴覚器の機能低下と密接に関連していると考えられます。実臨床では、突発性難聴の患者さんに対しては、発症からできるだけ早くステロイド治療を開始することが、聴力回復と耳鳴り軽減に繋がる可能性があることを説明しています。
ゴー・ザーという低音・その他の耳鳴りとは?
低音性の耳鳴りは、「ゴー」「ザー」「ブーン」「ボー」といった低い周波数の音として感じられる耳鳴りです。高音性の耳鳴りとは異なり、内耳のリンパ液の変動や血管系の問題が関与していることがあります。
低音性耳鳴りの原因や特徴は何ですか?
低音性の耳鳴りは、高音性の耳鳴りとは異なる病態や原因が考えられます。診察の中で、低音性の耳鳴りを訴える患者さんは、耳の閉塞感や圧迫感を伴うことが多いと実感しています。
- メニエール病:高音性耳鳴りだけでなく、低音性の耳鳴りを伴うこともあります。内耳のリンパ液の異常が原因で、めまいや難聴と同時に発生します。
- 耳管開放症・耳管狭窄症:耳管(耳と鼻の奥をつなぐ管)の機能異常によって、耳の閉塞感や自声強調(自分の声が響く)とともに、低音性の耳鳴りが生じることがあります。
- 中耳炎:急性中耳炎や滲出性中耳炎では、中耳に炎症や液体が貯留することで、耳の閉塞感や低音性の耳鳴りが起こることがあります。
- 顎関節症:顎関節の異常が耳鳴りを引き起こすことがあります。特に「ザー」という拍動性の耳鳴りや、顎を動かすと変化する耳鳴りは、顎関節症との関連が指摘されています[2]。
- 血管性耳鳴り(拍動性耳鳴り):心臓の拍動に合わせて「ドクンドクン」「シューシュー」と聞こえる耳鳴りです。これは、耳の近くを通る血管の異常(動脈硬化、高血圧、血管腫など)によって生じることがあり、客観的耳鳴り(他者にも聞こえる耳鳴り)である可能性もあります[3]。
その他の耳鳴りの種類とは?
耳鳴りは音の高さだけでなく、聞こえ方によっても分類されます。
- 自覚的耳鳴り:本人にしか聞こえない耳鳴りで、耳鳴りのほとんどがこれに該当します[4]。
- 他覚的耳鳴り:医師が聴診器などで患者の耳の近くを聴くと、耳鳴りの音が聞こえることがあります。血管性耳鳴りや、耳の筋肉の痙攣によるものがこれにあたります。
実際の診療では、患者さんがどのような音として耳鳴りを感じているか、またその音がどのように変化するかを詳しく問診することが、原因特定の重要なポイントになります。例えば、拍動性の耳鳴りの場合は、血管系の検査を検討することもあります。
耳鳴りの対処法・市販薬・受診先について

耳鳴りは、その原因や症状の程度によって対処法が異なります。自己判断で対処する前に、まずは専門医に相談することが重要です。
耳鳴りの効果的な対処法はありますか?
耳鳴りの対処法は、原因の特定と症状の軽減を目指します。日常診療では、耳鳴りに悩む患者さんに対して、薬物療法だけでなく、生活習慣の改善や心理的アプローチも組み合わせた治療を提案しています。
- 薬物療法:耳鳴りの原因となっている疾患(突発性難聴、メニエール病など)に対する治療薬が処方されます。また、耳鳴り自体を軽減するために、循環改善薬、ビタミン剤、抗不安薬などが用いられることもあります[1]。
- 音響療法(サウンドジェネレーター):耳鳴りの音に似た、または心地よい音(ホワイトノイズ、自然音など)を流すことで、耳鳴りへの意識をそらし、慣れさせることを目指します。耳鳴り治療のガイドラインでも推奨されることがあります[4]。
- 補聴器:難聴を伴う耳鳴りの場合、補聴器を使用することで周囲の音が聞こえやすくなり、相対的に耳鳴りが気にならなくなることがあります。一部の補聴器には、耳鳴りマスク機能が搭載されているものもあります。
- カウンセリング・認知行動療法:耳鳴りによるストレスや不安が大きい場合に、耳鳴りとの付き合い方や考え方を変えることで、苦痛を軽減するアプローチです。
- 生活習慣の改善:ストレスの軽減、十分な睡眠、バランスの取れた食事、適度な運動は、耳鳴りの症状を和らげる可能性があります。カフェインやアルコールの過剰摂取は避けるよう指導されることもあります。
市販薬で耳鳴りは治せますか?
市販薬の中には、耳鳴り改善を謳う漢方薬やサプリメントが存在しますが、これらが全ての耳鳴りに効果があるという科学的根拠は確立されていません。特に、突発性難聴やメニエール病のように早期の専門治療が必要な疾患が原因である場合、市販薬での自己判断は症状の悪化や治療の遅れにつながる可能性があります。耳鳴りの症状が続く場合は、必ず医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。
市販薬やサプリメントの使用は、必ず医師や薬剤師に相談し、適切な指示に従ってください。特に持病がある方や他の薬を服用している方は注意が必要です。
耳鳴りで何科を受診すべきですか?
耳鳴りの症状がある場合、まずは耳鼻咽喉科を受診することが最も適切です。耳鼻咽喉科では、聴力検査や内耳の検査などを行い、耳鳴りの原因を特定するための専門的な診断が可能です。日々の診療では、初診時に「耳鳴りが気になって夜も眠れない」と相談される患者さんも少なくありません。早期に原因を突き止め、適切な治療を開始することが、症状の緩和に繋がります。
耳鼻咽喉科での検査の結果、耳鳴りが他の疾患(例えば、高血圧、糖尿病、顎関節症、精神的な問題など)に関連していると判断された場合は、内科、歯科口腔外科、心療内科など、適切な専門医への紹介が行われることもあります。
症状の掛け合わせ(耳鳴り+〇〇)とは?
耳鳴りは単独で発生するだけでなく、他の症状と組み合わさって現れることが少なくありません。これらの併発症状は、耳鳴りの原因を特定する上で重要な手がかりとなります。
耳鳴り以外の症状も伴う場合、どのような病気が考えられますか?
耳鳴りに加えて他の症状がある場合、特定の疾患の可能性が高まります。臨床の現場では、耳鳴りだけでなく「めまいもする」「頭痛もひどい」といった複数の症状を訴える患者さんが多くいらっしゃいます。
- 耳鳴り+難聴:
- 突発性難聴:突然の難聴と耳鳴りが特徴です。
- 老人性難聴:加齢による聴力低下と耳鳴りです。
- メニエール病:難聴、めまい、耳鳴りの三主徴です。
- 騒音性難聴:騒音曝露による難聴と耳鳴りです。
- 耳鳴り+めまい:
- メニエール病:回転性のめまいを伴うことが多いです。
- 聴神経腫瘍:稀ですが、片側の難聴、耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺などを引き起こすことがあります。
- 耳鳴り+耳の閉塞感:
- 耳管開放症・耳管狭窄症:耳管の機能異常が原因です。
- 滲出性中耳炎:中耳に液体が貯留することで起こります。
- 耳鳴り+頭痛・肩こり:
- 顎関節症:顎関節の不調が耳鳴りや頭痛、肩こりを引き起こすことがあります[2]。
- 緊張型頭痛:ストレスや姿勢の悪さからくる頭痛が耳鳴りを伴うことがあります。
- 耳鳴り+精神的な症状(不安・不眠):
- ストレス・うつ病:耳鳴りがストレスや精神的な不調によって悪化したり、引き起こされたりすることがあります[4]。
これらの症状の組み合わせは、耳鳴りの根本的な原因を特定し、適切な治療方針を立てる上で非常に重要です。例えば、耳鳴りとめまいを繰り返す患者さんの場合、メニエール病を強く疑い、内耳の検査や薬物治療を検討します。外来診療では、患者さんの訴えを丁寧に聞き取り、全身の状態を総合的に評価することで、最適な治療へと繋げています。
- 突発性難聴
- 突然、片耳に高度な感音難聴が生じる疾患で、原因は不明とされることが多いですが、早期のステロイド治療が有効とされる場合があります。耳鳴りを伴うことがよくあります。
- メニエール病
- 内耳のリンパ液の過剰な貯留(内リンパ水腫)が原因と考えられ、回転性のめまい、難聴、耳鳴りの3つの症状が同時に起こることを特徴とします。
耳鳴りの診断では、問診で症状の具体的な内容(音の種類、頻度、持続時間、悪化因子、併発症状など)を詳しく聞き取ることが非常に重要です。その上で、純音聴力検査、ティンパノメトリー、耳鳴り検査などの客観的な検査を組み合わせ、総合的に診断を下します。
| 症状の組み合わせ | 考えられる主な疾患 | 受診すべき診療科 |
|---|---|---|
| 耳鳴り+突然の難聴 | 突発性難聴、メニエール病 | 耳鼻咽喉科 |
| 耳鳴り+めまい | メニエール病、聴神経腫瘍 | 耳鼻咽喉科 |
| 耳鳴り+耳の閉塞感 | 耳管開放症・狭窄症、滲出性中耳炎 | 耳鼻咽喉科 |
| 耳鳴り+顎の痛み・頭痛 | 顎関節症、緊張型頭痛 | 耳鼻咽喉科、歯科口腔外科、脳神経外科 |
| 耳鳴り+不眠・不安 | ストレス、うつ病、自律神経失調症 | 耳鼻咽喉科、心療内科、精神科 |
まとめ

耳鳴りは、高音性や低音性など様々な種類があり、その原因も内耳の障害、血管系の問題、顎関節症、ストレスなど多岐にわたります。症状が一時的なものであれば心配ないこともありますが、持続する場合や他の症状(難聴、めまい、頭痛など)を伴う場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診し、正確な診断を受けることが重要です。適切な診断に基づいた治療や対処法によって、耳鳴りの苦痛を軽減し、生活の質の向上が期待できます。
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- Sarah N Dalrymple, Sarah H Lewis, Samantha Philman. Tinnitus: Diagnosis and Management.. American family physician. 2021. PMID: 34060792
- Pablo Delgado de la Serna, Gustavo Plaza-Manzano, Joshua Cleland et al.. Effects of Cervico-Mandibular Manual Therapy in Patients with Temporomandibular Pain Disorders and Associated Somatic Tinnitus: A Randomized Clinical Trial.. Pain medicine (Malden, Mass.). 2021. PMID: 31665507. DOI: 10.1093/pm/pnz278
- M S Marion, M J Cevette. Tinnitus.. Mayo Clinic proceedings. 1991. PMID: 2046400. DOI: 10.1016/s0025-6196(12)60521-7
- Carol A Bauer. Tinnitus.. The New England journal of medicine. 2018. PMID: 29601255. DOI: 10.1056/NEJMcp1506631
- アスピリン(アスピリン)添付文書(JAPIC)
- メチコバール(カウンセリン)添付文書(JAPIC)









