シミの種類と
見分け方
老人性色素斑、肝斑、そばかす、ADM、炎症後色素沈着の違いを、分布・色・経過から整理します。自己診断の限界と、早めに皮膚科へ相談したい変化も確認できます。
シミの種類を考えるときは、左右対称か、境界がはっきりしているか、盛り上がりやざらつきがあるか、炎症の後か、短期間で変化したかを順に確認します。ただし、同じ顔に複数の病変が重なることもあり、見た目だけでは確定できません。急な拡大、左右非対称、不規則な境界や色、出血・ただれがあれば、美容施術より皮膚科での診断を優先してください。[1]
シミを見分ける前に確認する4項目
「茶色い」「濃い」だけでは判断できません。照明の違いもあるため、色以外の情報を一緒に記録します。
頬に左右対称に広がるか、日光に当たりやすい場所へ点在するか、炎症の跡に一致するかを見ます。
触れたときの厚み、ざらつき、かさぶた、鱗のような表面変化は、平坦な色素斑と別の病変を考える手がかりです。
幼少期からか、紫外線を長く受けた後か、妊娠・服薬・ニキビ・湿疹・施術の後かを確認します。
大きさ、形、色、症状の変化は重要です。以前の写真と比べ、短期間の変化があれば受診時に伝えます。

診察室では、患者さんが一つの「シミ」と考えている頬を、点状の色、面状に広がる色、盛り上がった部分に分けて見ます。たとえば、左右対称の肝斑に、境界のはっきりした老人性色素斑が重なることがあります。同じ顔でも部分ごとに診断と治療順序が異なるため、顔全体を一律に扱わないことが大切です。
代表的なシミ・色素性病変を比較する
以下は受診前に情報を整理するための目安です。典型像に当てはまらないことや、複数が混在することがあります。
老人性色素斑
日光に当たりやすい顔や手に、境界が比較的はっきりした褐色斑として見られます。慢性的な紫外線曝露との関連が強い病変です。[5]
治療と注意点を見る肝斑
頬・額などに左右対称の面状の色が出やすい一方、分布や色調には個人差があります。紫外線、妊娠・ホルモン、遺伝など複数の要因が関わります。[6]
肝斑の治療を見るそばかす・雀卵斑
幼少期から鼻・頬を中心に小さな斑点が散在し、紫外線で濃くなりやすいタイプです。大人になってから急に現れた不規則な斑点は別に評価します。
そばかすの治療を見る後天性真皮メラノサイトーシス
頬骨部、こめかみ、まぶたなどに灰青色〜褐色の小斑が左右に現れることがあります。真皮のメラノサイトによる病変で、肝斑などとの鑑別が必要です。[8]
ADMを詳しく見る炎症後色素沈着
ニキビ、湿疹、かぶれ、やけど、施術など、炎症が起きた場所に一致して褐色が残ります。原因の炎症が続いていないかを先に確認します。[7]
炎症後色素沈着を見るシミに見える別の病変
脂漏性角化症、色素性母斑、色素性日光角化症、悪性黒色腫なども茶〜黒色に見えることがあります。表面の変化や経過を含め、施術前の診断が必要です。[3]
先に受診したい変化を見る美容施術より先に受診したい変化
日本皮膚科学会のガイドラインでは、メラノーマの肉眼所見をABCDE(左右非対称、境界不整、色調の多様性、直径、変化)で整理しつつ、当てはまりにくい病型もあるため、急速な変化を慎重に評価するとしています。[1]
数週間〜数か月で目立って拡大する、厚みが増す。
片側だけ形が違う、輪郭がギザギザ・ぼやける。
茶・黒・青・赤・白などが一つの病変に不均一に見える。
自然に出血する、繰り返し傷になる、表面が壊れる。
多数のほくろ・シミの中で、一つだけ見た目や変化が異なる。
新しい黒い斑や線が広がる場合は、早めに皮膚科へ相談する。
皮膚科の診察で確認すること
診断は「色」だけでなく、時間軸、触った所見、全体の分布、拡大観察を組み合わせて行います。
発症時期、変化、家族歴、妊娠・服薬、炎症、日焼け、化粧品・施術歴を確認します。
左右差、境界、色調、分布に加え、盛り上がり、硬さ、ざらつき、鱗屑や炎症を確認します。
肉眼とダーモスコピーで悪性を否定できない場合などに、組織を採取して確認します。[1]

受診までにできる4つの準備
- 同じ条件で写真を残す
自然光に近い同じ場所・角度で撮影し、急な変化がないかを確認します。写真は診断ではなく、経過を伝える補助です。
- 炎症・施術・薬の時系列を書く
ニキビ、湿疹、日焼け、妊娠、服薬、レーザー、ピーリング、化粧品変更の時期をメモします。
- 紫外線と摩擦を減らす
日焼け止めを表示どおりに使い、帽子や日傘も組み合わせます。洗顔やマッサージで同じ場所を繰り返しこすらないようにします。[9]
- 診断前の強い処置を避ける
急な変化がある病変を、市販の除去剤、削る行為、強いピーリング、レーザーで先に処置しないでください。
知りたい内容に合わせて詳しい解説へ
治療法より先に見分け方を深めるか、診断後に種類別治療を確認するかで、読むページを選べます。
よくある質問
写真だけでシミの種類を見分けられますか?
分布や左右差は参考になりますが、写真だけで確定はできません。照明や撮影条件で色が変わり、盛り上がりや表面の変化も評価しにくいためです。急な変化や不規則な形がある場合、また施術を検討する場合は皮膚科で確認してください。
肝斑と老人性色素斑は同じ顔にできますか?
同じ顔に重なることがあります。左右対称にもやっと広がる部分と、境界が比較的はっきりした点状の部分が混在することもあり、同じ機器を顔全体へ一律に当てる方法が適さない場合があります。
色が濃くなったシミは、すぐレーザーを受けてもよいですか?
短期間で大きくなる、左右非対称、境界が不規則、複数の色が混じる、出血や治りにくいただれがある場合は、レーザーより診断を優先してください。良性と確認できてから治療方法を比較します。
皮膚科ではシミをどのように調べますか?
発症時期と変化、炎症や施術の履歴、分布、色、境界、表面の状態を確認します。必要に応じてダーモスコピーで色や構造を観察し、腫瘍を否定できない場合には生検・病理検査を検討します。
参考文献
- 日本皮膚科学会:皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン2025
- Dinnes J, et al. Dermoscopy, with and without visual inspection, for diagnosing melanoma in adults. Cochrane Database Syst Rev. 2018. PMID: 30521682
- Gouda G, et al. Pigmented Macules on the Head and Neck: A Systematic Review of Dermoscopy Features. Dermatol Pract Concept. 2022. PMID: 36534577
- Krueger L, et al. Dermoscopy of acquired pigmentary disorders: a comprehensive review. Int J Dermatol. 2022. PMID: 34235719
- Mardani G, et al. Treatment of Solar Lentigines: A Systematic Review of Clinical Trials. J Cosmet Dermatol. 2025. PMID: 40145274
- Neagu N, et al. Melasma treatment: a systematic review. J Dermatolog Treat. 2022. PMID: 33849384
- Kashetsky N, et al. Post-inflammatory hyperpigmentation: A systematic review of treatment outcomes. J Eur Acad Dermatol Venereol. 2024. PMID: 37843491
- Hori Y, et al. Acquired, bilateral nevus of Ota-like macules. J Am Acad Dermatol. 1984. PMID: 6736340
- 環境省:紫外線環境保健マニュアル2020
参考にした研究結果は集団の平均であり、個々の病変、肌質、治療歴、観察方法によって当てはまり方が異なります。診断や治療選択は、論文の結果だけでなく診察所見と合わせて判断します。
TOCグループ
医療法人御照会を中心に、対面診療・オンライン診療・医療情報・医療機関支援を行うグループです。

