膝が急に腫れたときの受診判断
「いつもの膝の痛み」と決めず、腫れ方、熱、歩けるか、全身の状態を確かめます。
膝が急に強く腫れた、赤く熱い、体重をかけられない場合は、感染や骨折などを含めて評価する必要があります。発熱がなくても安心とは限らず、当日中に医療機関へ連絡してください。意識の変化や息苦しさ、大きなけが、足先が冷たく白いなどの症状があれば、救急要請を含めて急いで対応します。
まず、救急車を呼ぶ状態かを確認する
反応がおかしい、息苦しい、冷汗を伴ってぐったりしている、大きな事故で強くけがをした、足先が急に白く冷たくなったなどの場合は、119へ連絡してください。
膝の見た目だけで緊急性を決めず、全身の状態も確認します。自力での移動が危険な場合は、無理に歩かせたり本人が運転したりしないでください。救急車が必要か迷う場合は、実施地域の救急安心センター「#7119」などへ相談できます。明らかな緊急症状があるときは、相談電話を先に挟まず119です。[1]
電話では、所在地、年齢、起きたこと、意識や呼吸、歩けるかを伝えます。転倒などの直後は、周囲の安全を確保し、変形した膝を無理に戻さず、通信指令員の案内に従います。
当日中に医療機関へ連絡したい症状
- 膝が急に強く腫れ、赤みや熱感がある。
- 発熱や悪寒、強いだるさを伴う膝の痛み。
- けがの後に体重をかけられない、膝が伸びず動きが止まる。
- 注射や手術の後に、腫れ・熱感・痛みが強くなっている。
- 人工関節が入っている膝に、新しい腫れや熱感、痛みが出た。
感染による関節炎では、治療の遅れを避けることが重要です。発熱がない場合もあり、見た目や一つの検査結果だけで完全に否定することはできません。痛み止めで少し軽くなったことも、重い原因がない証拠にはなりません。[2]
診療時間内なら整形外科、夜間や休日は地域の救急相談や救急外来へ連絡します。「今日診てもらう必要があるか」を、症状と経過を伝えて確認してください。予約の空きがない場合も、強い腫れや歩行困難を伝えず数日後まで待つことは避けます。

急な腫れには、いくつかの原因がある
感染性の関節炎
- 対象
- 細菌などによる感染を疑う、熱い腫れや強い痛み。
- 根拠・役割
- 早い評価と、必要に応じた関節液検査や治療が重要です。
- 注意・限界
- 熱がない場合もあります。自宅で見分けて除外することはできません。
結晶による炎症など
- 対象
- 痛風・偽痛風などで、急に強く腫れる場合。
- 根拠・役割
- 症状や関節液などを調べ、原因に応じて治療します。
- 注意・限界
- 以前に同じ病気を指摘されていても、今回は別の原因の可能性があります。
けがや関節内の出血
- 対象
- ひねった、転んだ、ぶつけた後の痛みや腫れ。
- 根拠・役割
- 骨折、半月板・靱帯損傷などを、診察と必要な検査で確認します。
- 注意・限界
- 歩けるかだけでは全ての損傷を判断できません。血液を固まりにくくする薬も申告します。
膝関節症で水がたまることもありますが、急な変化をすべて関節症で説明できるとは限りません。関節液で結晶が見つかっても、感染が同時にある可能性を完全には否定できません。[5][2]
急に腫れた膝の診察では、以前に膝関節症と言われた人でも、その診断だけで説明しないようにします。腫れ始めた時刻、発熱や全身のだるさ、注射やけがの直後かを確認することが大切です。熱がないという一項目より、症状の組み合わせと変化の速さを重視します。
病院では、何を調べるのか
医師は、腫れた時期、けがの経緯、発熱、皮膚の傷、最近の注射や手術、服薬、持病を確認します。膝の動きだけでなく、足先の血流や感覚、全身状態も評価します。人工関節が入っている場合は、必ず最初に伝えてください。
骨折を疑うときはX線などを検討します。外傷後のX線の必要性を考える臨床ルールには研究がありますが、自己チェックで骨折を否定するためのものではありません。痛みで十分に動かせない、経過が悪いなどの場合は再評価が必要です。[3]
感染などを疑うときは、採血や関節液を調べることがあります。液の細菌検査などは結果に時間がかかる場合があり、症状が強ければ最終結果を待つ間にも治療を判断します。検査待ちの連絡方法と、悪化した場合の対応を確認してください。[2]
けがの後に膝が物理的に伸びなくなる場合は、ずれた半月板などが関係することがあります。無理に曲げ伸ばしを試さず、早めの専門医の評価につなげます。[4]
受診までにできること・避けたいこと
痛む脚に無理に体重をかけず、楽な姿勢で待ちます。付き添いや移動手段を確保し、転倒しそうな状態で一人で歩かないでください。強くもむ、無理なストレッチ、痛みを確かめるため何度も屈伸することは避けます。
けが後の冷却を行う場合は、保冷剤を直接皮膚に当てず布で包み、皮膚の感覚や色に注意します。足先が冷たい、しびれるなど血流や感覚の異常があるときは、冷却を続けて様子をみず急いで連絡します。きつい固定や圧迫を自分で追加しないでください。[6]
余っている抗菌薬を自己判断で飲み始めたり、関節の水を自分で抜こうとしたりしません。定期薬を止めるか迷った場合は医療機関へ確認します。薬を使用した場合は名前、量、時刻を記録して伝えてください。
短くてもよいので、時刻と変化を伝える
- いつから、どちらの膝が、どれほど急に腫れたか。
- 転倒やひねり、傷、注射、手術などのきっかけ。
- 熱を測った時刻と体温、悪寒やだるさの有無。
- 体重をかけられるか、膝を伸ばせるか、足先に変化があるか。
- 人工関節、糖尿病などの持病、免疫を抑える薬や抗凝固薬など。
お薬手帳、最近受けた処置の説明書、手術の情報などを持参します。痛みが強く説明しにくいときは、家族などが経過をメモしておくと役立ちます。写真があっても、受診の代わりにはしないでください。
医療機関では、帰宅してよいかだけでなく、次の診察までに何を避けるか、どの変化で再度連絡するかを聞きます。連絡先と受付時間を確認し、夜間に悪くなったときの行き先も把握しておきます。
緊急の原因を確認した後も、変化をみる
初診で重い原因の可能性が低いと判断されても、腫れや痛みが増える、発熱する、歩けなくなるなどの変化があれば再度連絡します。検査はその時点の情報であり、後から所見がはっきりすることもあります。
症状が落ち着いてから、膝の痛みの原因と治療の進め方や膝の検査で分かることを確認できます。急な腫れがある間は、記事を読み終えることより必要な受診を優先してください。
よくある質問
電話で、歩けるか試してから伝えるべきですか?
強い痛みやけががある状態で、無理に立って試す必要はありません。直前まで歩けたか、今は痛くて立てそうにないかなど、分かる範囲を伝え、案内に従います。
#7119がつながらない地域ではどうしますか?
自治体が案内する救急相談や救急医療機関へ連絡します。意識や呼吸の異常、大きなけがなど明らかに緊急の場合は、相談先を探し続けず119です。
本人がうまく説明できないときは?
そばにいる人が、腫れ始めた時刻、けが、発熱、普段との違い、持病や薬を分かる範囲で伝えます。情報がそろわなくても、緊急症状があれば連絡を遅らせないでください。
夜に診てもらった後、翌朝も腫れていたら?
帰宅時に指示された再診予定に従い、悪化、新たな発熱、歩行困難があれば早めに再連絡します。指示が分からない場合は、診察した医療機関へ確認してください。
参考文献
- 総務省消防庁.救急安心センター事業(#7119).
日本の公的資料 - Ravn C et al. Guideline for management of septic arthritis in native joints (SANJO). Journal of bone and joint infection. 2023. PMID: 36756304.
国際診療ガイドライン - Kazemi SM et al. Diagnostic Accuracy of Ottawa Knee Rule for Diagnosis of Fracture in Patients with Knee Trauma; a Systematic Review and Meta-analysis. Archives of academic emergency medicine. 2023. PMID: 37215241.
診断精度の系統的レビュー・メタ解析 - AAOS. Management of Acute Isolated Meniscal Pathology. 2024.
海外の診療ガイドライン - 日本整形外科学会.変形性膝関節症.
学会の患者向け資料 - AAOS OrthoInfo. Common Knee Injuries.
学会の患者向け資料
本記事は一般的な医療情報であり、個別の診断・治療に代わるものではありません。症状、既往歴、服薬、妊娠などによって適切な対応は異なります。急な強い腫れ・熱感、けが後の歩行困難、強い全身症状は予約を待たず医療機関へ連絡してください。
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