前立腺肥大症の手術・低侵襲治療の選び方
手術名の新しさではなく、前立腺の形・容積と重視する結果から選びます。
前立腺肥大症の手術は、尿閉、感染、膀胱結石、腎機能への影響、繰り返す血尿、薬で改善しない強い症状などで検討します。TURP・HoLEP・PVP・UroLift・Rezūmは、症状改善、出血、カテーテル、性機能、再治療、適する前立腺の形・大きさが異なります。
尿閉・感染・結石・腎機能への影響は重要な手術理由
救急を検討
尿がまったく出ず下腹部が強く張る、急な脚の脱力や会陰部のしびれ、意識の変化。
当日中に相談
発熱・悪寒と排尿痛、血の塊を伴う血尿、強いわき腹痛、カテーテルが出なくなった。
泌尿器科へ予約
勢い低下、夜間頻尿、残尿感が続き、睡眠・外出・仕事に支障がある。
繰り返す、または解消しない尿閉、尿が残って漏れる状態、繰り返す尿路感染、膀胱結石、前立腺からの血尿、上部尿路の拡張や腎機能への影響がある時は、手術を検討します。薬を十分試しても生活への支障が大きい場合も対象です。[1][2]

手術を急ぐ度合いは、残尿、感染、腎機能、全身状態で異なります。症状が強いだけでなく、手術で改善を期待できる原因かを検査で確認します。
TURPは切除、HoLEPは肥大部をレーザーで核出する
経尿道的前立腺切除術
尿道から内視鏡を入れ、前立腺組織を削り取ります。長く用いられる標準的治療で、症状と尿流の改善が期待できます。
ホルミウムレーザー前立腺核出術
肥大した腺腫を核出し、膀胱内で細切して回収します。大きい前立腺にも対応しやすい術式です。
RCTのメタ解析では、HoLEPはTURPより手術時間が長い傾向がある一方、カテーテル留置や入院期間、出血関連の指標で利点が示されています。実際の成績は前立腺容積、抗血栓薬、施設・術者の経験でも変わります。[3]
PVPはレーザーで前立腺組織を蒸散する
PVP(光選択的前立腺蒸散術)はレーザーで肥大組織を蒸散し、尿道を広げます。出血リスクを考慮する人で選ばれることがあります。前立腺容積、抗血栓薬、組織を病理検査へ提出できるか、再治療の可能性を確認します。[1][2]
どの術式でも、術後の一時的な排尿痛、頻尿、血尿、尿路感染、尿閉、尿道狭窄、尿失禁などが起こり得ます。頻度と回復時期を施設の説明で確認します。
UroLiftとRezūmは適応を限定した低侵襲治療
射精機能を保ちやすい可能性や侵襲の小ささが利点ですが、全員に適するわけではありません。前立腺の形・容積、尿閉、麻酔リスク、カテーテル期間、症状改善の大きさ、再治療を比較します。[2][4][5][6]
「よく出る」以外に、出血・性機能・回復・再治療を比べる
勢い、残尿、夜間、尿閉リスクのうち何を改善したいか。
麻酔、出血、カテーテル、入院、仕事復帰、抗血栓薬。
逆行性射精・射精量低下、勃起機能への影響を術式ごとに確認。
再治療、尿道狭窄、尿失禁、通院と検査の予定。
「一番新しい治療」を探すより、前立腺の形・大きさと、射精機能、入院期間、再治療のどれを重視するかを先に決めると比較しやすくなります。希望と適応が合わない時は、理由を画像や数値で説明してもらいましょう。
術後の血尿・排尿痛は経過を見つつ、尿閉・発熱・強い出血は連絡
術後は一時的に頻尿、急な尿意、排尿痛、少量の血尿がみられることがあります。水分、入浴、運動、飲酒、性行為、仕事復帰は術式と経過に応じた退院指示を優先します。
尿が出ない、発熱・悪寒、血の塊が増えて排尿できない、強い痛み、息苦しさ、ふくらはぎの腫れ。カテーテルの流れが止まった時も連絡します。
候補となる術式ごとに、期待する症状改善、麻酔、手術時間、輸血・出血、カテーテル、入院、仕事復帰、射精機能、尿失禁、尿道狭窄、再治療を一枚に並べます。自分に当てはまる頻度を施設へ確認してください。
抗血栓薬を使う人は、自己判断で中止しません。処方した医師と手術担当医が、出血と血栓の両方の危険を考えて継続・休薬・再開を決めます。
前立腺がんの評価が未完了の場合や、摘出組織の病理検査が治療計画に関わる場合は、組織を回収できる術式かも確認します。低侵襲という言葉だけで選ばず、診断上必要な情報も比較します。
術後に勢いが改善しても、長く続いた頻尿や急な尿意はすぐ消えないことがあります。膀胱が落ち着くまでの見込みと、追加の膀胱治療が必要になる可能性を聞いておきます。
セカンドオピニオンを希望する場合は、超音波画像、前立腺容積、尿流・残尿、PSA、服薬歴、尿閉や感染の記録を準備します。候補術式が違う理由を比較すると、自分の優先順位を整理しやすくなります。
退院後の相談先と夜間・休日の連絡方法も確認します。血尿の程度を伝える時は、色だけでなく血の塊、尿の出やすさ、発熱、痛み、飲水と尿量を一緒に伝えます。
よくある質問
前立腺肥大症はどの大きさから手術ですか?
容積だけで決めません。尿閉、感染、結石、腎機能、残尿、症状、薬の効果、前立腺の形と本人の希望を合わせます。
TURPとHoLEPはどちらがよいですか?
前立腺容積、出血リスク、併用薬、施設・術者の経験などで選びます。期待する改善と合併症、回復期間を比較してください。
UroLiftやRezūmなら性機能に影響しませんか?
射精機能を保ちやすい可能性はありますが、影響がゼロとは言い切れません。適応、症状改善、カテーテル、再治療も含めて選びます。
手術後も薬は必要ですか?
多くは減量・中止を検討できますが、過活動膀胱など別の原因があれば薬が続くことがあります。自己中止せず術後評価で相談します。
参考文献
- 日本泌尿器科学会編.男性下部尿路症状・前立腺肥大症診療ガイドライン.2017.
- European Association of Urology. Management of Non-neurogenic Male LUTS: Disease Management. 2026.
- Chen J, et al. HoLEP versus TURP in BPH: systematic review and meta-analysis. J Int Med Res. 2023. PMID: 37561537.
- Franco JVA, et al. Minimally invasive treatments for LUTS in men with BPH: network meta-analysis. Cochrane Database Syst Rev. 2022. PMID: 36964042.
- Babar M, et al. Water vapor thermal therapy for LUTS secondary to BPH: systematic review. Turk J Urol. 2022. PMID: 35233955.
- Xiang P, et al. Prostatic urethral lift for BPH: systematic review and meta-analysis. Eur Urol Open Sci. 2020. PMID: 34337448.
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