急性心膜炎とは|胸痛の特徴・検査・治療と受診目安|循環器内科

前かがみで胸痛を訴える患者を聴診する循環器内科医
循環器内科|心膜疾患

急性心膜炎の症状・検査・治療と受診目安

姿勢や深呼吸で変わる胸痛は心膜炎の手掛かりですが、危険な胸痛を先に除外することが大切です。

最終更新 2026.10.08監修日 2026.10.08
記録痛む姿勢と始まった時刻
確認心筋障害と心嚢液
相談薬の適応・副作用・再診日
結論から

急性心膜炎は、心臓を包む膜に炎症が起こる病気です。深呼吸や仰向けで痛み、前かがみで軽くなる胸痛が典型ですが、冷汗、失神、強い息苦しさ、圧迫される痛みがあるときは自己判断せず119番を考えます。

このページで分かること
  • どんな胸痛なら119番?
  • 心膜炎はどう診断する?
  • 薬と生活上の注意は?
最初に知っておきたい言葉
心膜
心臓の表面を包む二重の膜です。膜の間には少量の液体があります。
急性心膜炎
心膜に急な炎症が起こり、胸痛などを生じる病気です。
心嚢液
心膜の間にある液体です。炎症などで増えることがあります。
心筋心膜炎
心膜だけでなく心臓の筋肉にも炎症が及んだ状態です。
01

胸痛に冷汗・失神・強い息苦しさが伴うなら119番を考える

記事を読み続けず助けを求める症状

突然の強い胸痛、胸を締め付ける痛み、冷汗、意識が遠のく、安静でも強い息苦しさ、顔色不良、片側の麻痺や言葉の異常がある場合です。

急性心膜炎の胸痛は心筋梗塞、大動脈解離、肺血栓塞栓症などと似ることがあります。姿勢で軽くなっても安全とは限りません。本人が運転せず、迷うときは119番や地域の救急相談を利用してください。[1][2]

02

深呼吸・せき・仰向けで強まり、座って前かがみで軽くなることがある

胸の中央から左側に鋭い痛みが出て、深呼吸、せき、飲み込み、仰向けで強くなり、座って前かがみになると軽くなることがあります。発熱、だるさ、動悸を伴う場合もあります。ただし、典型的でない痛みもあり、症状だけで確定はできません。

前かがみで胸痛を訴える患者を聴診する循環器内科医
図|姿勢で変わる胸痛は手掛かりだが、危険な胸痛を先に除外する 発症時刻、呼吸・姿勢との関係、冷汗や息苦しさを伝えます。

原因はウイルス感染に続くものが多い一方、自己免疫疾患、腎不全、がん、結核、心臓手術やカテーテル治療後、薬などが関わることがあります。原因を一律に決めつけず、経過と検査で絞り込みます。[1][2]

03

症状、診察、心電図、採血、心エコーを組み合わせて診断する

診察では痛みの始まり方、姿勢や呼吸との関係、発熱、感染症状、既往歴、薬を確認します。心電図のST部分(心室が興奮した後を示す区間)の変化などを見て、採血で炎症反応と心筋障害の指標を測り、心エコーで心嚢液と心臓の動きを調べます。

  1. 危険な胸痛を除外

    症状と心電図、採血、画像から心筋梗塞などを先に評価します。

  2. 心膜炎の所見を確認

    特徴的な胸痛、心膜摩擦音、心電図変化、心嚢液を総合します。

  3. 心筋への広がりを確認

    心筋が傷むと増えるトロポニン、心エコー、必要に応じて心臓MRIを使います。

  4. 原因と重症度を判断

    大きな心嚢液、高熱、免疫低下、外傷、抗凝固薬などを確認します。

一つの検査が正常でも否定できない場合があります。症状が続く、悪化する、再発する場合は再評価が必要です。[1][2]

04

炎症を抑える治療と再発予防を、持病・併用薬に合わせて選ぶ

特発性・ウイルス性が疑われる急性心膜炎では、医師の管理下でアスピリンまたは非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を使い、コルヒチンを併用することがあります。コルヒチンはランダム化比較試験や統合解析で症状持続・再発を減らすことが示されていますが、下痢などの副作用、腎・肝機能、薬の相互作用を確認します。[1][3][4][5]

日本での薬の扱い

PMDAのコルヒチン添付文書には心膜炎の効能・効果が記載されていません(2026年10月確認)。使用の適否、保険診療上の扱い、用量は医療機関で個別に確認してください。自己購入や自己調整は避けます。[6]

ステロイドは必要な病態がありますが、感染症の除外や再発との関係を考え、第一選択にしないことがあります。妊娠可能性、胃潰瘍、腎疾患、抗凝固薬の使用は必ず伝えてください。[1][2]

05

痛みだけでなく炎症と心筋障害の改善を確認して活動を戻す

発熱や胸痛がある間は激しい運動を避けます。症状、炎症反応、心電図、心機能が落ち着いたことを確認し、運動や仕事へ段階的に戻します。心筋炎を伴う場合は運動制限が長くなることがあります。

再発は治療中止後などに起こることがあります。薬は自己判断で急にやめず、減量の時期、再診日、悪化時の連絡先を確認します。胸痛が戻ったときも、前回と同じ病気と決めつけないでください。[1][2][3][5]

06

受診前に痛みの始まり・姿勢・呼吸・発熱・薬を一つにまとめる

診察室から

日々の循環器内科診療では、胸痛の場所だけでなく、突然か徐々か、深呼吸や仰向けで変わるか、発熱や風邪症状が先にあったかを確認します。痛む姿勢と時刻、お薬手帳、過去の心電図を同時に確認できると、緊急性と追加検査を整理しやすくなります。

診察では、症状が落ち着いたように見えても血圧低下や心嚢液の増加がないかを確認します。体温、脈拍、血圧、痛みの強さ、息苦しさを無理なく記録し、変化を持参してください。

医師には、危険な原因をどこまで除外したか、心筋炎を伴うか、薬の目的と副作用、運動再開の条件、再発時の連絡先を確認します。帰宅後に悪化した場合、どの症状なら119番、どの変化なら当日中の連絡かを具体的に聞いておきます。

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よくある質問

前かがみで楽なら心膜炎ですか?

手掛かりの一つですが確定できません。心筋梗塞など危険な胸痛の評価が先です。

胸痛が治まれば薬をやめてよいですか?

自己中止で再発することがあります。炎症や心筋障害の改善と減量計画を担当医に確認してください。

コルヒチンは誰でも使えますか?

腎・肝機能、併用薬、妊娠可能性などで注意が必要です。日本での適応も含め医師が判断します。

運動はいつ再開できますか?

症状、炎症反応、心電図、心機能の回復を確認し、心筋炎の有無に応じて段階的に戻します。

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参考文献