【関節痛の原因・治し方】|専門医が完全ガイド

関節痛 原因 治し方
関節痛の原因・治し方|専門医が完全ガイド
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 関節痛は変形性関節症、関節リウマチ、外傷など多様な原因で発生し、適切な診断が重要です。
  • ✓ 大きな関節の痛みは生活習慣の見直しや運動療法、薬物療法で管理し、手指や全身の痛みは自己免疫疾患の可能性も考慮します。
  • ✓ 市販薬は一時的な対処に留め、症状が続く場合は専門医の診察を受けることが早期改善への鍵となります。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

関節痛は、日常生活に大きな影響を及ぼす一般的な症状であり、その原因は多岐にわたります。年齢とともに増加する傾向にありますが、若い世代でもスポーツ外傷や特定の疾患によって生じることがあります。この記事では、関節痛の主な原因から、ご自身でできる対処法、市販薬の選び方、そして医療機関を受診すべき目安まで、専門医の立場から詳しく解説します。

関節痛とは
関節痛とは、関節に生じる痛みの総称です。関節は骨と骨を繋ぎ、体の動きを滑らかにする役割を担っていますが、その構造(軟骨、滑膜、靭帯、関節包など)のいずれかに異常が生じることで痛みが発生します。

膝・股関節・肩などの大きな関節の痛みとは?

膝、股関節、肩といった主要な関節に生じる痛みの原因と対処法
主要な関節の痛みの部位

膝、股関節、肩といった大きな関節の痛みは、体重負荷や繰り返しの動作が原因で生じやすく、日常生活に与える影響も大きいのが特徴です。

変形性関節症による痛みとは?

変形性関節症は、関節の軟骨がすり減り、骨が変形することで痛みが生じる疾患です。特に膝関節や股関節に多く見られ、加齢や肥満、過度な運動などがリスク因子となります。初期には動作開始時の痛みやこわばりが主ですが、進行すると安静時にも痛みが現れ、関節の動きが制限されるようになります。膝関節の変形性関節症に関する研究も進められています[1]

実臨床では、「歩き始めや階段の昇り降りがつらい」「正座ができない」と訴えて受診される高齢の患者さんが多く見られます。問診では、痛みの部位や発生状況、既往歴などを詳しく確認し、レントゲン検査で関節の隙間の狭小化や骨棘形成の有無を評価します。

関節の使いすぎや外傷による痛みとは?

スポーツや肉体労働などで関節を酷使したり、転倒や事故による外傷も大きな関節痛の原因となります。例えば、肩関節では腱板損傷や石灰沈着性腱板炎、股関節では股関節唇損傷などが挙げられます。これらの痛みは、特定の動作で悪化することが多く、炎症を伴う場合は熱感や腫れが見られることもあります。

肩関節の痛みと可動域制限を伴う疾患の一つに、凍結肩(五十肩)があります。これは関節包が癒着することで生じるもので、適切なリハビリテーションが重要とされています[3]。日常診療では、「腕が上がらない」「夜中にズキズキ痛む」と訴える患者さんに対して、痛みの程度や可動域を評価し、炎症を抑える薬やリハビリテーションを組み合わせた治療計画を立てることがよくあります。

大きな関節の痛みの対処法と治療選択肢

大きな関節の痛みに対する対処法は、原因や症状の程度によって異なります。

  • 保存療法:
    • 薬物療法: 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の内服薬や外用薬、ヒアルロン酸の関節内注射などが用いられます。
    • 運動療法・リハビリテーション: 筋力強化、柔軟性向上、関節可動域の改善を目指します。専門の理学療法士の指導のもとで行うことが推奨されます。
    • 生活習慣の改善: 肥満がある場合は減量、関節に負担をかけない動作の習得、適切な装具(サポーターなど)の使用も有効です。
  • 手術療法: 保存療法で改善が見られない場合や、関節の変形が著しい場合には、関節鏡手術や人工関節置換術などが検討されます。

臨床現場では、患者さんの年齢、活動レベル、痛みの程度、関節の損傷具合などを総合的に判断し、最適な治療法を提案します。特に運動療法は、痛みが軽減した後の再発予防にも非常に重要であり、継続的な取り組みが求められます。

手指・全身の複数の関節の痛みとは?

手指や全身の複数の関節に広がる痛みの症状と治し方
手指・全身の関節の痛み

手指や全身の複数の関節に痛みが生じる場合、単なる使いすぎだけでなく、全身性の疾患が背景にある可能性があります。

関節リウマチによる痛みとは?

関節リウマチは、自己免疫疾患の一つで、免疫システムが誤って自身の関節を攻撃し、炎症を引き起こす病気です。手指や足指の小さな関節から始まり、左右対称に複数の関節に痛みや腫れが生じることが特徴です。朝のこわばり(朝起きてから30分以上関節が動かしにくい状態)も特徴的な症状の一つです。

日々の診療では、「朝、手がこわばってボタンがかけられない」「指の関節が腫れて痛い」と相談される方が少なくありません。早期に診断し、適切な治療を開始することが、関節の破壊を防ぎ、機能維持のために非常に重要です。血液検査でリウマチ因子や抗CCP抗体などを確認し、必要に応じて関節エコーやMRI検査で炎症の程度を評価します。

その他の全身性疾患による関節痛とは?

関節リウマチ以外にも、全身の複数の関節に痛みをもたらす疾患は多数存在します。

  • 乾癬性関節炎: 皮膚疾患である乾癬に合併して関節炎が生じる病気です。
  • 全身性エリテマトーデス(SLE): 全身の様々な臓器に炎症を起こす自己免疫疾患で、関節痛もよく見られます。
  • 線維筋痛症: 全身の広範囲に慢性的な痛みが生じる病気で、関節痛と誤解されることもあります。
  • 痛風: 尿酸値が高いことで関節に尿酸結晶が沈着し、激しい炎症と痛みが生じます。足の親指の付け根に多いですが、他の関節にも起こり得ます。
  • アロマターゼ阻害薬関連筋骨格症候群 (AIMSS): 乳がん治療などで用いられるアロマターゼ阻害薬の副作用として、関節痛や筋肉痛が生じることが報告されています[4]

外来診療では、関節痛に加えて発熱、皮疹、倦怠感、体重減少などの全身症状がある場合は、これらの全身性疾患を疑い、詳細な問診と検査を進めます。患者さんから「ただの関節痛だと思っていたら、実は別の病気だった」という声を聞くこともあり、安易な自己判断は避けるべきです。

手指・全身の複数の関節痛の対処法と治療選択肢

手指や全身の複数の関節痛の治療は、原因となる疾患によって大きく異なります。

  • 関節リウマチの場合: 疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)や生物学的製剤、JAK阻害薬などが用いられ、早期に炎症を抑え、関節破壊の進行を抑制することが目標となります。
  • 痛風の場合: 痛風発作時にはNSAIDsやコルヒチンで炎症を抑え、発作が落ち着いてからは尿酸降下薬で尿酸値を管理します。
  • その他の自己免疫疾患: それぞれの疾患に特異的な免疫抑制剤やステロイドなどが使用されます。

実際の診療では、患者さんの症状、検査データ、ライフスタイルなどを考慮し、最も適切な治療法をオーダーメイドで選択します。特に自己免疫疾患の治療は長期にわたることが多く、患者さんとの信頼関係を築き、丁寧に説明しながら治療を進めることが重要です。

関節痛の応急処置・市販薬・受診先とは?

関節痛が生じた際に、まずご自身でできる応急処置や市販薬の選び方、そして専門医を受診するタイミングについて解説します。

自宅でできる応急処置とセルフケア

急な関節痛に対しては、以下の応急処置が有効な場合があります。

  • RICE処置:
    • Rest (安静): 痛む関節を無理に動かさず、安静にします。
    • Ice (冷却): 炎症や腫れがある場合は、冷湿布や氷嚢で冷やします(15〜20分程度)。
    • Compression (圧迫): 弾性包帯などで適度に圧迫し、腫れを抑えます。
    • Elevation (挙上): 患部を心臓より高い位置に保ち、血流を促し腫れを軽減します。
  • 温める・冷やすの使い分け: 炎症が強く熱感がある場合は冷却が基本ですが、慢性的な痛みや血行不良による痛みには温めることが有効な場合もあります。
  • 適度な運動: 痛みが強い時期は避けるべきですが、痛みが落ち着いたら、関節に負担の少ない運動(水泳、ウォーキングなど)で関節周囲の筋力を維持・強化することが大切です。

臨床経験上、特に急性の痛みや腫れに対しては、早期の冷却と安静が症状の悪化を防ぐ上で非常に有効です。「少し痛むだけだから」と無理をして悪化させてしまうケースも少なくありません。

市販薬の選び方と注意点

市販薬は、一時的な痛みの緩和に役立ちますが、根本的な治療にはなりません。症状が続く場合は医療機関を受診しましょう。

  • 内服薬:
    • 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs): イブプロフェン、ロキソプロフェンなどが含まれます。痛みと炎症を抑える効果が期待できますが、胃腸障害などの副作用に注意が必要です。
    • アセトアミノフェン: 鎮痛作用はありますが、抗炎症作用はほとんどありません。NSAIDsが使えない場合に選択肢となります。
  • 外用薬:
    • 湿布、塗り薬: ロキソプロフェンやインドメタシンなどのNSAIDs成分が含まれているものが多く、局所の炎症や痛みを和らげます。
⚠️ 注意点

市販薬を使用する際は、用法・用量を守り、持病や服用中の薬がある場合は薬剤師に相談してください。特に、複数の市販薬を併用すると成分が重複し、過剰摂取となるリスクがあります。

どの診療科を受診すべき?

関節痛の症状や原因によって、適切な診療科が異なります。

  • 整形外科: 変形性関節症、外傷(骨折、捻挫)、腱板損傷など、骨や関節、筋肉、靭帯の構造的な問題による痛み。
  • リウマチ科: 関節リウマチ、乾癬性関節炎、全身性エリテマトーデスなど、自己免疫疾患による関節痛。
  • 内科: 痛風(高尿酸血症の管理)、感染症による関節炎など。

判断に迷う場合は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて専門医を紹介してもらうのが良いでしょう。診察の場では、「いつから痛いのか」「どこが痛いのか」「どのような時に痛むのか」「他の症状はあるか」といった情報を具体的に伝えることで、スムーズな診断につながります。

症状の掛け合わせ(関節痛+〇〇)で考えるべきことは?

関節痛に加えて発熱や腫れなど他の症状がある場合の対処法
関節痛と併発する症状

関節痛が他の症状と同時に現れる場合、その組み合わせによって疑われる疾患が絞り込まれ、より迅速な診断につながることがあります。

関節痛と発熱・倦怠感を伴う場合、何が考えられる?

関節痛に加えて発熱や倦怠感が続く場合、全身性の炎症や感染症が強く疑われます。

  • 関節リウマチ: 発熱は微熱程度が多いですが、倦怠感は初期から見られることがあります。
  • 全身性エリテマトーデス(SLE): 関節痛、発熱、全身倦怠感、皮疹(蝶形紅斑など)が特徴的です。
  • 感染性関節炎: 細菌感染などにより関節に炎症が起こるもので、高熱や強い痛みを伴い、緊急の治療が必要です。
  • ウイルス感染後関節炎: 風疹やパルボウイルスB19などのウイルス感染後に一時的に関節痛が生じることがあります。

日常診療では、「風邪のような症状の後に全身の関節が痛くなった」という患者さんに対し、ウイルス感染後の関節炎を考慮しつつ、他の全身性疾患の可能性も念頭に置いて検査を進めます。特に感染性関節炎は、放置すると関節が破壊されるリスクがあるため、迅速な診断と治療が求められます。

関節痛と皮膚症状(皮疹・腫れ)を伴う場合、何が考えられる?

関節痛に加えて皮膚症状が見られる場合も、特定の全身性疾患の可能性が高まります。

  • 乾癬性関節炎: 乾癬という皮膚疾患(銀白色の鱗屑を伴う紅斑)に合併して関節炎が生じます。爪の変形を伴うこともあります。
  • 全身性エリテマトーデス(SLE): 顔面の蝶形紅斑や日光過敏症などの皮膚症状と関節痛が同時に現れることがあります。
  • 血管炎: 血管の炎症により、皮膚に紫斑や結節、潰瘍などが生じ、関節痛を伴うことがあります。

診察の場では、「関節が痛いだけでなく、皮膚に赤い発疹が出ている」と質問される患者さんも多く、皮膚症状の有無や性状は診断において非常に重要な情報となります。皮膚科医との連携が必要となるケースも少なくありません。

関節痛と消化器症状(腹痛・下痢)を伴う場合、何が考えられる?

関節痛と消化器症状が同時に現れる場合、炎症性腸疾患(IBD)関連関節炎などが考えられます。

  • 炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎)関連関節炎: 腸の炎症に合併して関節炎が生じることがあります。脊椎炎や末梢関節炎など様々なタイプがあります。
  • 反応性関節炎: 腸管感染症(サルモネラ菌、赤痢菌など)や尿路性器感染症の後に、無菌性の関節炎が生じることがあります。

実際の診療では、「お腹の調子が悪い時期に関節も痛くなる」という訴えがあった場合、消化器内科医と連携し、炎症性腸疾患の有無を精査することがあります。食事内容と関節痛の関連性について聞かれることもあり、抗炎症作用が期待される食事(例:オメガ3脂肪酸の摂取など)が関節リウマチの痛みに影響を与える可能性も報告されています[2]

症状の組み合わせ疑われる主な疾患受診の目安
関節痛 + 発熱・倦怠感関節リウマチ、SLE、感染性関節炎早急に医療機関を受診
関節痛 + 皮膚症状(皮疹・腫れ)乾癬性関節炎、SLE、血管炎皮膚症状が進行する前に受診
関節痛 + 消化器症状(腹痛・下痢)炎症性腸疾患関連関節炎、反応性関節炎消化器症状と合わせて相談

まとめ

関節痛は、変形性関節症や関節リウマチなどの疾患、外傷、全身性疾患など、その原因は非常に多岐にわたります。膝や股関節、肩などの大きな関節の痛みは、加齢や使いすぎによる変形性関節症が主な原因となることが多い一方、手指や全身の複数の関節に痛みが生じる場合は、関節リウマチや他の自己免疫疾患の可能性も考慮する必要があります。

急な痛みに対してはRICE処置などの応急処置や市販薬で一時的に対処することも可能ですが、症状が改善しない場合や、発熱、皮疹、倦怠感などの他の症状を伴う場合は、早めに整形外科やリウマチ科などの専門医を受診することが重要です。早期に正確な診断を受け、適切な治療を開始することが、症状の悪化を防ぎ、関節機能を維持するための鍵となります。ご自身の症状に合わせた適切な対応を心がけましょう。

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よくある質問(FAQ)

関節痛は自然に治るものですか?
一時的な関節の使いすぎや軽度の炎症による痛みであれば、安静にすることで自然に改善することもあります。しかし、変形性関節症のように軟骨の変性が進行する病気や、関節リウマチのような自己免疫疾患の場合、放置すると症状が悪化し、関節の破壊や機能障害につながる可能性があります。症状が長引く場合や悪化する場合は、医療機関を受診することをお勧めします。
関節痛の予防法はありますか?
関節痛の予防には、適正体重の維持、適度な運動による関節周囲の筋力強化と柔軟性の維持、関節に負担をかけない生活習慣が重要です。特に、膝や股関節への負担を減らすために体重管理は非常に有効です。また、スポーツをする際は適切な準備運動とクールダウンを行い、無理のない範囲で活動することが大切です。
市販のサプリメントは関節痛に効果がありますか?
グルコサミンやコンドロイチンなどのサプリメントが関節痛に良いという話を聞くことがあるかもしれません。しかし、現在のところ、これらのサプリメントが変形性関節症の痛みを軽減したり、軟骨の再生を促したりするという確実な科学的根拠は十分ではありません。効果には個人差が大きく、医療機関で処方される医薬品とは異なることを理解しておく必要があります。サプリメントの使用を検討する場合は、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。
この記事の監修医
👨‍⚕️
今本多計臣
👨‍⚕️
木内瑛大
整形外科医
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