【切開法の手術の流れ:カウンセリング〜抜糸までのスケジュール】

切開法の手術の流れ:カウンセリング〜抜糸までのスケジュール
最終更新日: 2026-08-18
📋 この記事のポイント
  • ✓ カウンセリングから抜糸までは通常5〜7日間であり、この期間のセルフケアが仕上がりを左右します。
  • ✓ 術後1〜3日目が腫れや内出血のピークであり、冷やすことと安静を保つことが大切です。
  • ✓ 完全に組織が安定し、傷跡が白く目立たなくなる完成期までは約3〜6ヶ月の経過を要します。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

切開法の手術の流れ:カウンセリングから施術当日までの準備

切開法による二重整形や眼瞼下垂手術を成功に導くためには、最初のステップであるカウンセリングから手術当日までの綿密な準備が極めて重要です。手術に向けた正しい知識を身につけ、万全の体調で当日を迎えることが、術後の経過を良好にする第一歩となります。

丁寧なカウンセリングが理想の仕上がりを左右する

カウンセリングは、単に希望する二重の幅や形を決めるだけの場ではありません。医師が患者さまのまぶたの皮膚の厚み、皮下脂肪や眼窩脂肪(がんかしぼう)の量、眼輪筋(がんりんきん)の強さ、そして腱膜(けんまく)の固定力などを医学的に診察し、適切な術式を決定するための重要なプロセスです[1]。骨格や左右の目の開き方のクセを無視して強引に幅を広げてしまうと、術後に不自然な印象を与えたり、目の開きが悪くなったりするリスクが生じます。

実際の臨床では、「自分のなりたい二重のデザインがうまく医師に伝わらないのではないか」と深く悩まれている患者さまに多くお会いします。そのため実際のカウンセリングでは、単に口頭で希望を聞くだけでなく、実際の症例写真を見比べたり、患者さまが持参された理想のイメージ画像を確認したりしながら、シミュレーション器具(ブジー)をまぶたに当てて1ミリ単位で幅やラインの角度を微調整していきます。事前の入念なイメージ共有こそが、術後の「思っていた仕上がりと違う」というミスマッチを防ぐ最大の鍵です。

施術前日までに準備・中止すべきこと

手術の日程が決まったら、日常生活においていくつか気を付けるべき点があります。まず、内服しているお薬の確認です。血液をサラサラにする抗凝固薬(ワルファリンやバイアスピリンなど)を常用している場合は、手術中の出血が増え、術後の強い腫れや内出血の原因となるため、事前に処方医と相談の上で休薬などの調整が必要となることがあります。また、ビタミンEやDHA・EPAなどのサプリメントも、出血傾向を強める可能性があるため、手術の1週間ほど前から摂取を控えることが推奨されます[1]

さらに、まぶたの皮膚の状態も非常に重要です。日常的にアイプチやアイテープ、二重のりを使用している場合、まぶたの皮膚が慢性的なかぶれや炎症を起こして硬くなっていることがあります。皮膚が硬く肥厚した状態のまま手術を行うと、切開線のコントロールや縫合の精度に悪影響を及ぼすおそれがあるため、手術の少なくとも3日前、可能であれば1週間前からは二重のりの使用を中止し、皮膚を十分に休ませて潤いを保った状態で当日を迎えていただくようお伝えしています。

施術当日の流れと手術のシミュレーション

手術当日は、誰もが緊張を覚えるものです。当日の診療フローと手術のシミュレーションを具体的にイメージしておくことで、余計な恐怖心を取り除き、リラックスした状態で治療を受けることができます。

局所麻酔の工夫と手術中の痛みについて

手術室に入ると、まずは最終的なデザインのマーキング(デザイン線の書き込み)を鏡を見ながら再確認します。この際、座った状態と横になった状態の両方でまぶたの皮膚の動きを確認し、正確な切開線を引いていきます。デザインの確定後、手術部位の消毒を行い、局所麻酔(きょくしょますい)を施します。

日常診療では、手術当日を迎えた患者さまから「注射の痛みがとにかく苦手で恐怖心がある」というご相談を非常によくいただきます。臨床現場ではこのような不安を和らげるために、通常の局所麻酔注射の前に点眼麻酔薬を塗布して感覚を麻痺させ、さらに34G(ゲージ)という髪の毛よりも細い極細の注射針を使用することで、麻酔時のチクッとした痛みを最小限に抑える配慮を行っています。局所麻酔がしっかりと効いてしまえば、手術中にメスが入る痛みや縫合される痛みを感じることはほぼありません。触られている感覚や引っ張られる感覚は残りますが、痛みとしては感じないためご安心ください。

切開・縫合のプロセスと手術時間の目安

麻酔が効いたことを確認した後、いよいよ切開のステップへ進みます。事前にマーキングしたラインに沿って皮膚を切開し、必要に応じて余分な皮膚や、腫れぼったさの原因となる眼窩脂肪、まぶたを閉じる筋肉である眼輪筋の一部を適量除去します[2]。これらを除去することで、すっきりとした持続性の高い二重ラインを作ることができます。

次に、二重を固定するための内部処理を行います。まぶたを持ち上げる筋肉(上眼瞼挙筋)の一部や瞼板(けんばん)と呼ばれる硬い組織と、皮膚の裏側を極細の医療用糸で精密に縫い合わせて連結させます。この連結により、目を開けたときに皮膚が引き込まれて二重が形成される仕組みです。最後に皮膚の表面を非常に細いナイロン糸で細かく縫合(皮膚縫合)して手術は終了します。両目の手術に要する時間は、単純な二重切開法で約45分から60分、眼瞼下垂を伴う場合でも90分程度が一般的な目安となります。手術中に過度な緊張で力んでしまうと、血圧が上昇して出血が多くなり、術後の腫れが強くなってしまう傾向があるため、できるだけ深呼吸をして肩の力を抜いて受けることが術後を楽にするコツです。

手術直後から抜糸(5〜7日目)までの経過と過ごし方

手術が終了した瞬間から、傷が治癒していくプロセス(炎症期)に入ります。特に抜糸を行うまでの最初の約1週間は、見た目にも大きな変化が生じる時期であり、この期間をどのように過ごすかがダウンタイムを短縮するための極めて重要なポイントとなります。

術後1〜3日目のピーク時の腫れとセルフケア

手術当日および翌日(術後1〜2日目)は、体にメスを入れたことによる急激な組織反応が起こるため、腫れや内出血が最も強く現れます。まぶた全体がむくんだように腫れ上がり、目が開きにくく感じられるのもこの時期の特徴です。傷口からはわずかに血の混じった滲出液がにじみ出ることがありますが、これは異常なことではありません。

外来診療では、手術翌日や翌々日に「腫れが想像以上に強く、目の開き方に左右の差がある」と焦ってご連絡をいただくケースにしばしば遭遇します。しかし、手術直後から術後3日目にかけては炎症反応がピークに達する時期であり、左右の腫れ方に一時的な差が生じることは医学的にごく一般的な経過ですので、まずは焦らず頭を高くしてまぶたを冷やし、安静に過ごしていただくことが重要です。具体的なセルフケアとして、術後48時間から72時間の間は、氷嚢や冷えピタ、清潔なガーゼで包んだ保冷剤を使い、まぶたを優しく、こまめに冷やしてください[2]。血管が収縮することで血流が抑えられ、余分な浸出液がまぶたに溜まるのを防ぐことができます。また、寝るときは枕を普段より少し高めに設定し、頭を心臓より高い位置に保つことで、重力の作用により顔のむくみや腫れを抑えることができます。

⚠️ 注意点

術後3日間は、血流を急激に促進させる行為を避けてください。長時間の入浴(湯船に浸かること)、激しい運動、過度な飲酒、サウナ、辛い食べ物の摂取などは血管を拡張させ、一度落ち着きかけた出血や腫れ、内出血を悪化・再発させる直接的な要因となります。シャワーは首から下のみにし、顔は濡れタオルで優しく拭く程度にとどめましょう。

術後4〜7日目の変化と抜糸の重要性

術後4日目を過ぎると、ピークに達していた強い炎症反応が徐々に落ち着き始めます。まぶたのパンパンとした張りが少しずつ和らぎ、濃い赤紫色や青色だった内出血が、黄色っぽい色合いへと変化しながら下方向へと移動していきます。これは皮膚の下に溜まっていた血液成分が分解・吸収され始めている良い兆候です。

そして手術後5〜7日目に、皮膚表面を縫い合わせているナイロン糸を取り除く「抜糸(ばっし)」を行います。抜糸のタイミングがこの時期に設定されているのには、明確な医学的理由があります。皮膚の傷口の表面(上皮)がつながるのに必要な期間がおおむね5〜7日ですが、これより早く抜糸をしてしまうと、まぶたを開閉する力に傷口が耐えきれず、傷が開いてしまう「創離開(そうりかい)」のリスクが高まります。逆に、7日以上糸を残したままにしておくと、糸がまぶたの皮膚に強く食い込んでしまい、将来的に「スレッドマーク」と呼ばれる横方向の細かな白い傷跡がぽつぽつと永久に残ってしまう原因となります。そのため、予定されたスケジュール通りに抜糸を受診していただくことが非常に重要です。

抜糸後の経過と完成(6ヶ月)までのダウンスケジュール

抜糸という大きな関門を越えると、ダウンタイムの後半戦に入ります。ここからは日に日に見た目が自然になっていきますが、皮膚の深い部分での組織修復は数ヶ月にわたって静かに続いています。

抜糸直後から1ヶ月目の腫れの引き方

抜糸が完了すると、それまでまぶたにかかっていた「糸による締め付け感」や「突っ張り感」が一気に解消されます。また、傷口を刺激から守るために控えていたアイメイクや、コンタクトレンズの着用も、抜糸の翌日または数日後から可能となります。メイクができるようになることで、残っているわずかな内出血の黄色みや、傷口の赤みをファンデーションやコンシーラーで綺麗に隠すことができるようになり、外出時の心理的な負担が大幅に軽減されます。

筆者の臨床経験では、抜糸のステップを終えると、それまで不快だった皮膚の突っ張り感が劇的に改善し、そこから数日〜1週間ほどの間に腫れが急ピッチで引いていくと喜ばれる患者さまが多いです。ただし、抜糸直後は傷口が完全に熟成しているわけではなく、一時的に赤みや硬さが目立つ時期(増殖期)に入るため、この段階での見た目の左右差や不自然さについて心配しすぎないよう事前にしっかり説明を行います。術後1ヶ月が経過する頃には、切開法の最大の特徴である大きな腫れの約7〜8割が消失し、日常生活において他人の目を過度に気にすることなく過ごせるレベルに落ち着く方がほとんどです。

3〜6ヶ月目までの完成プロセスと傷跡の赤み

術後1ヶ月から3ヶ月にかけては、傷口が治るプロセスにおける「瘢痕(はんこん)の成熟期」にあたります。この時期は、切開したラインが一時的に硬くなったり(拘縮:こうしゅく)、少し盛り上がったり、赤みが一時的に強くなったりすることがあります。特に、目を閉じたときに切開線が「ピンク色の硬い線」に見えるため不安に感じる方もいますが、これは傷口をより強く結合しようとする体内の一時的な正常反応です。3ヶ月を過ぎる頃から、この硬くなった組織は次第にコラーゲン線維の再編によって柔らかさを取り戻し、赤みも徐々に引いてピンク色から茶色、そして周囲の皮膚と同じ白っぽい線へと変化していきます。

術後6ヶ月を迎える頃には、まぶたの引き込みや食い込みの深さが非常に自然になり、目を開けたときにも閉じ合わされた皮膚が滑らかに動くようになります。この段階をもって、切開法の手術は実質的な「完成」とみなされます。万が一、この完成の段階で左右差や幅の乱れが気になる場合は、組織が十分に柔らかくなって修復が完了している術後6ヶ月以降に、必要に応じて微調整や再手術の検討を行うのが医学的に最も安全です。

切開法と埋没法のスケジュールの違いはある?

二重整形を検討する際、切開法と埋没法(まいぼつほう)のどちらを選ぶかで悩まれる方は非常に多くいらっしゃいます。この2つの術式は、アプローチの方法が根本的に異なるため、手術時間や抜糸の有無、そして何よりも「ダウンタイムのスケジュール」において決定的な違いが存在します。

切開法(全切開・部分切開)
まぶたの皮膚を切開し、余分な脂肪やたるんだ皮膚などの組織を取り除いた上で、二重ラインを内部で直接縫合・固定して半永久的な二重まぶたを形成する手術法。
埋没法
まぶたをメスで切開することなく、医療用の極細の糸を皮膚の裏側から瞼板や挙筋に通し、点状に留めることで二重ラインを作る手術法。抜糸が不要で腫れが少ないのが特徴。
ダウンタイム
手術を受けてから、組織の損傷に伴う腫れ、内出血、痛みなどの諸症状が回復し、外見上の違和感がなくなって日常生活を完全に普段通り送れるようになるまでの治癒期間。

それぞれのスケジュールや特徴を視覚的に比較しやすくするため、以下の表にまとめました。仕事の休暇期間やイベントの予定、ご自身のまぶたの状態に合わせて、適切な選択を行う参考にしてください。

項目切開法(全切開)埋没法
手術時間約45分 〜 90分約10分 〜 20分
抜糸の必要性あり(術後5〜7日目)なし
強い腫れの期間約1 〜 2週間(術後3日がピーク)約2 〜 3日間(むくみ程度)
メイク開始時期抜糸の翌日から(術後6〜8日目)術後翌日 〜 3日後から
ほぼ自然になる時期術後1ヶ月程度術後1 〜 2週間程度
最終完成の目安術後3 〜 6ヶ月術後1ヶ月程度
持続期間半永久的(元に戻りにくい)数年程度(外れるリスクあり)

このように、埋没法はダウンタイムが圧倒的に短く、週末の休みなどを利用して手軽に受けることができる大きなメリットがあります。一方で切開法は、抜糸までの約1週間は糸がついているため、人前に出る仕事をされている方は長期の休み(最低でも5〜7日程度)を確保する必要があります。しかし、切開法で得られる「二重ラインの圧倒的な持続性と、余分な脂肪・たるみを同時にスッキリ解消できる」というメリットは、埋没法では得られない極めて大きな利点です。生活スケジュールと仕上がりのニーズを天秤にかけ、医師と十分に相談することが何よりも大切です。

まとめ

切開法による二重・眼瞼下垂手術は、カウンセリングから始まり、手術当日の麻酔と施術、術後1週間の抜糸、そして3〜6ヶ月をかける長期の組織修復を経て、最終的な美しい仕上がりへと到達する一連の医療プロセスです。特に手術直後の3日間のケアや、術後5〜7日目に行う適切なタイミングでの抜糸は、ダウンタイムを短縮し、傷跡をきれいに治すために不可欠な要素です。ご自身の生活サイクルやイベントの予定を考慮し、十分な回復期間をスケジュールに組み込んだ上で、信頼できる医師とともに理想のデザインを目指していきましょう。

よくある質問(FAQ)

切開法の抜糸は痛いですか?
抜糸の痛みには個人差がありますが、一般的には「チクチクする程度」であり、手術中の麻酔のような強い痛みはありません。皮膚に食い込んだ糸をピンセットでつまみ、細い専用のハサミでカットしていく作業ですが、通常は数分程度で終了し、麻酔なしで十分に耐えられる範囲の痛みです。痛みに非常に弱い方は、処置の前に医師へご相談ください。
術後の腫れを少しでも早く引かせる方法はありますか?
術後72時間(3日間)は、冷やすセルフケアが有効です。その後、傷口がくっつき、腫れのピークを過ぎた4日目以降は、冷やすのをやめて「適度に温める」もしくは自然に任せる方が血流を促進し、溜まった内出血やリンパ液の吸収を促すため効果的です。また、過度のスマホ利用や読書などで目を酷使するとまぶたがうっ血するため、術後数日は目を休めることもダウンタイムを短縮させるポイントです。
抜糸後、いつからコンタクトレンズやアイメイクが可能ですか?
コンタクトレンズの装用やアイメイクは、一般的に「抜糸の翌日」から可能となります。抜糸直後はまだ糸が通っていた小さな穴が開いており、微細な傷口が完全に閉じていないため、抜糸当日はメイクを控えてください。翌日以降も、アイメイクを落とす(クレンジングする)際には決してまぶたをごしごしと強く擦らず、優しくなじませて落とすよう細心の注意を払いましょう。
この記事の監修
👨‍⚕️
新井智博
美容外科医
👨‍⚕️
林一樹
美容外科医