医療者の見守りのもと低強度の歩行運動を行う心臓リハビリのイメージ
循環器内科|心臓リハビリ

心不全の心臓リハビリと再入院予防

運動だけでなく、服薬・栄養・自己管理・こころや生活面を多職種で整える心臓リハビリの役割を説明します。

最終更新 2026.09.18医学レビュー 2026.09.04
開始前確認開始前に安全確認
生活に合わせる生活動作に合わせる
無理なく続ける段階的に継続
結論から

心不全の心臓リハビリは、運動だけでなく、病状評価、服薬、栄養、自己管理、心理社会面を多職種で支える治療です。うっ血や血圧、不整脈が安定してから、歩行などの有酸素運動、筋力・バランス練習を個別に開始します。胸痛、安静時の強い息切れ、失神前兆、急な体重増加やむくみがある日は自己判断で運動を続けず、医療者へ相談してください。

運動を中止する症状と、医療機関へ相談する目安を先に確認する

このページで分かること
  • いつから運動してよい?
  • 何をどの程度行う?
  • どの症状で中止・受診する?
最初に知っておきたい言葉
心臓リハビリ
運動だけでなく、薬、栄養、自己管理、心理面も多職種で支える治療です。
有酸素運動
歩行や自転車など、呼吸をしながら一定時間続ける運動です。
運動耐容能
どの程度の運動や生活動作まで無理なく行えるかを示す力です。
フレイル
体力・筋力・回復力が低下し、転倒や生活機能低下が起こりやすい状態です。
心肺運動負荷試験
運動中の呼吸、心拍、酸素の使われ方を測り、安全な運動強度を考える検査です。
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心臓リハビリは、運動・病気の学習・生活支援を組み合わせる

心臓リハビリは、できる運動や生活動作を増やすだけでなく、心不全の理解、服薬、栄養、体重・症状の記録、禁煙、心理的支援、社会復帰を含む治療です。2025年ガイドラインは、回復期の包括的心臓リハビリを生活の質改善と再入院予防のために推奨しています。[1][2]

医師・看護師
病状、薬、悪化サイン、運動の安全性を確認します。
理学療法士
歩行、筋力、バランス、日常動作を評価し運動を調整します。
管理栄養士・薬剤師
栄養不足を避けた食事、服薬継続と副作用を支援します。
02

入院中は早期離床、退院後は安定を確認して段階的に進める

急性心不全の治療中は、呼吸、血圧、脈拍、うっ血、酸素、腎機能を確認しながら、座位・立位・歩行へ進めます。退院後は、心肺運動負荷試験、6分間歩行、筋力、フレイル、転倒リスク、生活環境などをもとに運動処方を調整します。[1]

開始を検討しやすい状態

  • 安静時の呼吸と循環が安定
  • 急な体重増加やむくみがない
  • 運動時の症状・脈拍を評価できる
  • 本人の生活目標が決まっている

先に医療評価する状態

  • 安静時呼吸困難や胸痛
  • 症候性の不整脈・血圧不安定
  • 急速なうっ血悪化
  • 発熱、感染、転倒・骨折
医療者の見守りのもと低強度の歩行運動を行う心臓リハビリのイメージ
図|心臓リハビリは安全確認をしながら段階的に進める 症状、血圧、脈拍、うっ血、疲労を確認し、生活で必要な動作へつなげます。写真は運動療法場面のイメージです。
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有酸素運動だけでなく、筋力・バランス・生活動作を組み合わせる

有酸素運動

歩行、自転車エルゴメーターなどを、会話や自覚症状、心拍反応を見て調整します。

筋力トレーニング

下肢・体幹を中心に、息こらえを避け、低負荷から進めます。

バランス・柔軟性

高齢者やフレイルでは転倒予防と関節可動域を重視します。

生活動作

入浴、買い物、階段、仕事、家事に必要な動作へつなげます。

歩数や時間を全員で同じにせず、運動前後の体重、血圧、脈拍、息切れ、疲労と翌日の回復を見ながら増やします。

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胸痛・強い息切れ・失神前兆では運動を中止する

運動を中止し、救急要請を考える状態

持続する胸痛や圧迫感、安静でも改善しない強い呼吸困難、失神、意識変化、唇が青紫、片側の麻痺・言語障害がある場合は119番を考えてください。

いつもより強い動悸、めまい、息切れ、極端な疲労、血圧や脈拍の大きな変化、急な体重増加・むくみがある日は中止し、心臓リハビリ担当者または主治医へ連絡します。無理に「決めた量」を達成しません。

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外来・自宅・地域の方法を組み合わせ、途切れない形にする

通院型、在宅、訪問、遠隔支援などの選択肢があります。家庭で行う場合も、開始前の評価、具体的な運動強度、悪化時の中止基準、連絡先を決めます。家族や介護者が支える場合は、本人の自立を損なわない役割分担にします。

診察室から

日々の循環器内科診療では、「毎日30分歩けたか」より、トイレ、入浴、買い物、階段のどこで息切れや疲労が出るかを確認します。退院前の歩行距離をそのまま目標にせず、翌日に疲れを残さず続けられる量から始め、生活で取り戻したい動作へ結びつけます。

06

根拠と限界:できる運動や生活動作は改善する可能性がある

2023年Cochraneレビューは、運動を中心とする心臓リハビリが心不全患者の健康関連QOL(生活の質)や入院を改善する可能性を示しましたが、死亡への効果や研究間の違いには不確実性があります。HF-ACTIONでも、運動療法は監視下で行われ、主要な結果の解釈には調整前後の違いがあります。[3][5]

REHAB-HFは、急性心不全で入院した高齢患者の個別化された多領域リハビリにより身体機能改善を示しましたが、すべての患者へ同じ運動内容を適用する根拠ではありません。HFpEFのメタ解析も運動でできることの改善を示す一方、心機能指標や長期的な結果の結論は限定的です。[4][6]

心臓リハビリは「運動すれば心臓が元に戻る」と保証する治療ではありません。症状、入院予防、身体機能、生活の質を目標に、薬物療法と自己管理を組み合わせます。

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よくある質問

心不全では安静にした方がよいですか?

急性増悪時は安静が必要ですが、安定後の長期的な不活動は筋力低下につながります。医療者が安全性を確認し段階的に活動を戻します。

1日何歩歩けばよいですか?

一律の歩数はありません。病状、運動負荷試験、フレイル、普段の活動量から個別に決めます。

自宅の動画を見て運動してもよいですか?

病状が安定し、中止基準と強度を医療者と確認してから行ってください。一般向けの高強度運動を自己判断で始めないでください。

ペースメーカーやICDがあっても参加できますか?

参加できる場合があります。機器設定、不整脈、上肢運動、植込み部位の状態を確認して個別に処方します。

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参考文献