突然の体調変化やけがで迷ったときは、病名を当てることより、いま必要な行動を選ぶことが先です。意識、呼吸、胸痛、麻痺、大量出血など生命に関わる可能性がある症状は119番へ連絡します。緊急性がはっきりしない場合に限り、地域の救急相談や公的な判定支援を使います。
このページを読み続けず、119番へ連絡してください。通報後は通信指令員の質問と口頭指導に従います。周囲の安全を確認し、反応と呼吸を見ながら、必要に応じて胸骨圧迫やAEDの手配を行います。

まず確認:119番を呼ぶ目安
呼びかけに反応しない、正常な呼吸がない、強い呼吸困難、突然の強い胸や背中の痛み、顔や手足の片側の麻痺・言葉の障害、大量出血などは、迷わず119番を検討する症状です。自分で運転せず、救急隊の指示に従ってください。
症状だけで原因を断定することはできません。胸痛でも心臓・大血管・肺・消化器など複数の原因があり、頭痛やしびれにもさまざまな原因があります。受診判断では「何の病気か」ではなく、「突然か」「急速に悪化しているか」「意識・呼吸・循環・神経に異常があるか」を優先します。
反応がない、正常な呼吸がない
肩をたたいて声をかけても反応がない、呼吸がない、普段どおりの呼吸ではない場合は、119番通報とAEDの手配を行います。通信指令員から胸骨圧迫などの指示を受けたら、その指示に従ってください。判断に迷っても、反応と正常な呼吸が確認できなければ緊急対応が必要です。
突然の強い症状、急速な悪化
突然の強い胸痛や背中の痛み、顔のゆがみ、片腕が上がらない、言葉が出にくい、経験したことのない急な頭痛、血を吐く・大量に吐血する、圧迫しても出血が止まらないなどは緊急性が高い可能性があります。症状が一度軽くなっても、重大な病気を否定できるとは限りません。
迷うときの相談先:#7119・Q助・#8000

119番が必要な明確な緊急症状ではないものの、救急車を呼ぶべきか、今すぐ受診すべきか迷う場合には、公的な相談・判定支援があります。相談の途中で意識や呼吸が悪化した場合は、相談を続けず119番へ切り替えます。
| 手段 | 向いている状況 | 確認したい限界 |
|---|---|---|
| 119番 | 生命に関わる可能性がある、急速に悪化している、搬送が必要と考えられる | 緊急通報。一般的な健康相談の窓口ではありません |
| #7119 | 救急車を呼ぶか、今すぐ医療機関へ行くか迷う | 実施地域・受付時間が異なります |
| Q助 | 画面上の質問に答え、緊急度と次の行動を整理したい | 自己診断や診察の代わりではありません |
| #8000 | 子どもの急な症状や家庭での対応に迷う | 都道府県ごとに実施時間が異なります |
| 医療情報ネット | 現在受診できる医療機関などを検索したい | 掲載情報と実際の受付状況が異なる場合があるため受診前に確認します |
消防庁の「全国版救急受診アプリ(愛称Q助)」は、該当する症状を選ぶと緊急度に応じた結果を表示し、医療機関検索などへつなぐ仕組みです。#7119は医師・看護師・相談員等が電話で助言する事業ですが、全国一律の実施ではありません。子どもの相談には厚生労働省の#8000があります。
呼びかけに反応しない、正常な呼吸がない、顔色が明らかに悪い、強い胸痛、片側の麻痺、大量出血などがある場合は、#7119やアプリの操作より119番を優先します。
症状別にみる緊急サイン
次の例は、消防庁などの公的資料をもとに、一般の人が行動を決めるための目安として整理したものです。該当しなくても、普段と明らかに違う、急速に悪化する、複数の症状が重なる場合は、早めに相談・受診してください。
意識・けいれん・激しい頭痛
- 呼びかけに反応しない、もうろうとして会話が成り立たない
- けいれんが続く、繰り返す、けいれん後も意識が戻らない
- 突然発症した、これまでにない強い頭痛
- 頭を強く打った後に意識、嘔吐、行動の変化がある
呼吸困難・胸痛・冷汗
- 息が苦しく会話が続かない、横になれない、唇が紫色に見える
- 胸の中央が締め付けられる、圧迫されるように痛む
- 胸や背中の突然の激痛、痛む場所が移動する
- 胸部症状に冷汗、吐き気、意識の変化を伴う
脳卒中を疑う症状
顔の片側が下がる、片腕に力が入らない、言葉が出ない・ろれつが回らないといった症状が突然現れた場合は、脳卒中の可能性を考え119番を検討します。症状が始まった時刻、または最後に普段どおりだった時刻を確認し、救急隊へ伝えます。症状が消えても自己判断で様子を見ないでください。
出血・腹痛・中毒・外傷
- 直接圧迫しても止まらない大量出血、血を吐く、黒い便とふらつき
- 突然の強い腹痛、腹部が硬い、意識や冷汗を伴う腹痛
- 薬物・洗剤・化学物質などの誤飲で意識や呼吸に異常がある
- 高所からの転落、交通事故、体の変形、動かせないほどの痛み
発熱・腹痛・嘔吐などで緊急性が明確でないとき
発熱、頭痛、腹痛、嘔吐、下痢、めまいは、症状名だけで救急車が必要かを決められません。意識と呼吸が保たれていても、水分がとれない、尿が極端に少ない、立てない、痛みが急速に強くなる、血を吐く・血便がある、持病や免疫低下がある、乳幼児や高齢者で反応が鈍いといった条件が重なると、早い評価が必要になることがあります。発症時刻、体温、飲水量、尿、便や嘔吐の回数、痛む場所と変化を整理し、#7119や医療機関へ相談します。
軽い症状に見えても、市販薬で長く抑え続ける、処方薬を自己判断で増減する、飲酒して様子を見るといった対応は、変化の把握を難しくすることがあります。急速な悪化がなくても、症状が続く、日常生活に支障がある、原因が分からず不安が強い場合は、診療時間内の医療機関やかかりつけ医へ相談してください。
119番で伝えることと救急隊到着までの準備
119番では、まず救急であること、場所、誰がどうしたか、年齢、意識と呼吸の状態などを質問されます。完璧に説明しようとせず、通信指令員の質問に一つずつ答えます。スマートフォンはスピーカーモードにすると、指示を聞きながら傷病者を観察しやすくなります。
- 場所:住所、建物名、部屋番号、目印。屋外では交差点や店舗名など。
- 状態:意識、呼吸、主な症状、けがの状況、症状が始まった時刻。
- 安全:交通、火災、感電、化学物質など、救助者にも危険がないか。
- 準備:可能なら玄関を開け、誘導する人を配置する。
- 情報:マイナ保険証・健康保険証、お薬手帳、持病・アレルギー、かかりつけ医の情報。
保険証や持ち物を探すために通報を遅らせてはいけません。意識がなく正常な呼吸がない場合は、通信指令員の指示に従い胸骨圧迫を開始し、周囲にAEDを依頼します。吐いたものがある、誤飲が疑われる場合は、容器や残った物を安全に保管すると情報になることがありますが、無理に吐かせないでください。
救急外来で行われる評価と診療順
救急外来では、来院順だけでなく緊急度を評価して診療順が決まります。受付後に待つ場合でも、意識、呼吸、痛み、しびれ、出血などが悪化したら、すぐに医療者へ伝えてください。待ち時間があることは「問題がない」と確定した意味ではありません。
最初に確認されること
症状の始まり方と時刻、悪化・改善の経過、持病、内服薬、アレルギー、妊娠の可能性、最近の手術や外傷などが確認されます。血圧、脈拍、呼吸数、酸素飽和度、体温、意識状態などの測定も、緊急度を判断する材料になります。
検査は症状と緊急度に応じて選ばれる
血液検査、心電図、X線、超音波、CT、MRIなどが検討されますが、全員に同じ検査を行うわけではありません。検査には得意な病変、負担、放射線被ばく、造影剤のリスク、実施できる時間や施設条件があります。医師は診察所見と緊急度を踏まえて必要性を判断します。
子ども・高齢者・妊娠中に注意したいこと
子ども
子どもは症状を言葉で十分に説明できないことがあります。呼吸が苦しそう、顔色が悪い、反応が乏しい、けいれんが続く、水分がとれず尿が減っているなどは重要な観察点です。緊急症状は119番、迷う場合は#8000を利用できます。月齢、症状の開始時刻、体温、飲水・哺乳量、尿、けいれん時間などを記録すると相談に役立ちます。
高齢者
高齢者では、典型的な強い症状が出ないことや、複数の病気・薬が影響することがあります。「急に動けない」「普段より反応が鈍い」「食事や水分がとれない」といった変化も軽視できません。抗凝固薬・抗血小板薬を使用している人が頭を打った場合など、受診の必要性を早めに相談します。
妊娠中・産後
妊娠中または産後に、強い腹痛、多量の出血、けいれん、意識の変化、強い頭痛や息苦しさがある場合は、産科へ連絡するか119番を検討します。妊娠週数、出産日、かかりつけ産科を伝えてください。母体の安全確保を優先し、自己判断で薬を追加しないようにします。
アナフィラキシーを疑うとき
食物、薬、昆虫刺傷などの後に、じんましんだけでなく、呼吸困難、声が出にくい、繰り返す嘔吐、ふらつき、意識の変化などが急速に現れた場合は、アナフィラキシーの可能性があります。複数の臓器症状が短時間に広がる場合は緊急です。
本人または介助者は、事前に受けた指導と製品の使用方法に従って速やかに使用し、119番へ連絡します。使用後に改善しても医療機関での評価が必要です。呼吸が苦しい人を無理に歩かせず、急に立ち上がらせないようにします。
自己注射薬がない場合や判断に迷う場合も、呼吸・循環・意識に異常があれば119番です。原因と考えられる食物や薬の情報は伝えますが、緊急対応を遅らせないでください。
救急受診後の経過観察と再受診

救急外来は、その時点で緊急性の高い状態を見つけ、必要な初期対応を行う役割があります。症状の原因が一度の受診で確定しないことや、時間がたって所見が明らかになることもあります。帰宅時に受けた説明、服薬方法、再診先、受診期限、悪化時の連絡方法を確認してください。
すぐ再相談・再受診したい変化
- 意識や呼吸の異常、胸痛、麻痺、大量出血など新しい緊急症状が出た
- 痛み、発熱、嘔吐、脱水、腫れなどが急速に悪化する
- 薬を使った後に息苦しさ、全身の発疹、ふらつきなどが出る
- 説明された帰宅時の注意事項や再受診基準に当てはまる
自宅で様子を見る場合は、一人にならないほうがよい時間、食事・水分、運転、入浴、飲酒、仕事や運動の再開を個別に確認します。救急受診の記録や検査結果がある場合は、かかりつけ医や指定された診療科へ持参します。

