産婦人科 / 妊娠合併症

妊娠高血圧症候群
血圧・症状と管理の目安

妊娠中の高血圧は症状がなくても確認が必要です。連絡を急ぐ血圧や頭痛・視覚異常、尿・血液・胎児の検査、薬と入院・出産時期の考え方、産後のフォローを整理します。

更新日 2026-10-27監修日 2026-10-27
POINT 1尿蛋白がなくても注意
POINT 2家庭血圧の連絡基準を共有
POINT 3薬は自己判断で変更しない
結論から

妊娠高血圧症候群は、妊娠中の高血圧を中心とする病気の総称で、自覚症状が乏しい場合もあります。尿蛋白がなくても臓器や胎盤の異常を伴うことがあり、血圧だけで安全とは判断できません。上が160または下が110mmHg以上、強い頭痛・目のちらつき・息苦しさがあるときは、次の健診を待たず産科へ直ちに連絡してください。[2][1]

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血圧と症状から連絡の目安を確認

この場合は直ちに産科へ

血圧の上(収縮期)が160mmHg以上、または下(拡張期)が110mmHg以上なら、症状がなくても直ちに連絡してください。激しい頭痛、目のちらつき・かすみ、治まらない上腹部痛、息苦しさがあるときは、血圧の数値にかかわらず連絡します。再測定を繰り返して受診を遅らせないでください。

意識の異常、けいれん、強い呼吸困難などがあれば119番で救急要請します。高血圧が関係する重い合併症の可能性があり、本人の運転は避けてください。[1][2]

診察室での上140mmHg以上または下90mmHg以上は、高血圧を評価する基準になります。ただし、一度の測定だけで自己診断はできません。家庭で普段より高い値が続く場合や、産科から決められた連絡基準を超えた場合は相談します。家庭での基準は測定状況や個別の経過で異なるため、診察室の基準をそのまま「ここまでは待てる」という線にしないでください。[2]

02

妊娠高血圧と妊娠高血圧腎症の違い

妊娠20週以降に新たに血圧が上がる場合、妊娠前や妊娠初期から高血圧がある場合などで分類が変わります。妊娠高血圧腎症では、高血圧に加えて尿蛋白、肝臓・腎臓・血液などの異常、または胎盤の働きの問題がみられます。尿蛋白が出ていない場合も、この病型に当てはまることがあります。[2]

むくみだけで診断はできず、むくみがないから否定できるわけでもありません。健診では妊娠前の血圧、過去の妊娠の経過、腎臓病や糖尿病などの持病、現在の薬を伝えます。以前の妊娠で高血圧になったことがあれば、今回症状がなくても共有してください。[3][2]

発症を本人の食事や過ごし方だけのせいにすることはできません。診断がついた後は、原因を一人で探し続けるより、変化を捉える方法と必要な治療を整理することが大切です。

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尿・血液・赤ちゃんの状態を一緒に見る

血圧の確認に加え、尿蛋白、血小板、肝臓や腎臓の働きなどを調べ、必要に応じて超音波による胎児の発育や胎児心拍を確認します。検査の組合せや間隔は、妊娠週数と母体・胎児の状態によって変わります。[1]

  • 前回との変化:一つの値だけでなく、上がり方や症状が加わっていないかを確認します。
  • 検査を追加する理由:血圧が下がっていても臓器の異常を確認する必要があるか、担当医に聞けます。
  • 赤ちゃんの評価:発育や元気さを確認します。母体の自覚症状と胎児の状態は必ずしも一致しません。
診察室から

血圧の記録を確認するときは、値だけでなく、測った姿勢、時刻、頭痛や目の症状があったかを合わせて整理します。測定への不安が強く、何度も測り直している場合には、記録の残し方と連絡の基準を具体的に共有することが大切です。ただし、測り方の影響と思って強い症状や著しく高い血圧を見過ごすことはできません。

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家庭血圧の測り方と記録の使い方

家庭で測るよう指示されたら、使用する機器、腕に合うカフ(腕帯)、測定する時刻と回数を医療機関で確認します。上腕式の機器を使う場合は、背もたれのある椅子に座り、足を組まず、腕を支え、落ち着いた状態で測ります。手順は機器の説明と医療機関の指示に従ってください。

妊婦が背もたれのある椅子に座り、腕を台で支えて上腕の血圧を測る説明用イラスト
家庭血圧は、測定する姿勢・時刻・回数を医療機関で確認して記録します。説明用の生成イラストで、実際の患者や測定結果ではありません。

測定日時、上と下の数値、症状、薬を飲んだ時刻などを記録します。低い値だけを選んで残さず、予想と違う結果も伝えましょう。次の受診時に機器を持参して、測定方法を確認することもできます。強い症状がある場合は、記録より連絡を優先します。[2]

仕事、家事、運動の調整は個別に決めます。血圧が高いからといって極端な食事制限や自己流の水分制限をせず、休む範囲も担当医に確認してください。通院回数が増えるときは、職場や家族に必要な支援を相談します。[2]

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薬・入院・出産時期はどう決まる?

治療の目的は、重い高血圧や母体の合併症を防ぎながら、胎児の状態を見守ることです。必要に応じて妊娠中に使える降圧薬などを選びます。薬を使って血圧が下がっても、胎盤や臓器の問題がすべて解消したとは限らないため、検査を続けます。[1]

妊娠前から軽度の高血圧がある単胎妊婦を対象にしたCHAP試験では、重症化するまで待つ方針より、医師が血圧を管理する方針で妊娠経過の複合的な悪い結果が減りました。この研究は妊娠高血圧のすべての病型を対象としたものではなく、個人の治療目標や薬の量を自己設定する根拠にはなりません。[4]

血圧、採血、症状、胎児の状態によっては入院が必要です。母体・胎児への危険が大きい場合は、早産となる時期でも出産を提案されることがあります。妊娠を続けるリスクと、早く生まれる赤ちゃんの負担を比較し、産科と新生児科などで判断します。出産方法も一律ではありません。[1]

薬の開始・中止・増減は自己判断で行わず、市販薬やサプリメントを含めて一覧を伝えてください。処方薬が合わないと感じる場合や、飲み忘れた場合の対応も相談できます。

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産後の血圧と次の妊娠への備え

出産後すぐに血圧や体調が安定するとは限りません。退院前に、家庭血圧の記録方法、服薬、受診日、夜間の連絡先を確認します。産後にも強い頭痛や視覚の異常、息苦しさが出たときは、育児の疲れと決めつけず医療機関へ連絡してください。[1]

血圧が戻った後も、将来の健康管理に妊娠高血圧の経験を生かすことが大切です。健診や内科受診では妊娠中に高血圧だったことを伝え、定期的な血圧確認などを相談します。次の妊娠を希望する場合は、現在の血圧や薬、前回の経過を妊娠前から確認できます。[3]

授乳中の薬についても、薬を続ける利益と児への影響を個別に検討します。「授乳するから全部やめる」「前と同じ薬ならそのまま使える」と判断せず、産科・処方医・薬剤師で確認しましょう。

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よくある質問

上か下の片方だけが高い場合も相談しますか?

はい。上と下のどちらかが高い場合も確認が必要です。上160または下110mmHg以上なら直ちに産科へ連絡し、それ未満でも担当医と決めた基準や強い症状があれば相談してください。

尿蛋白が陰性なら妊娠高血圧腎症ではありませんか?

尿蛋白がなくても、肝臓・腎臓・血液などの異常や胎盤の働きの問題を伴うと妊娠高血圧腎症に当てはまる場合があります。血圧と尿だけでは判断できません。

産後に血圧が下がれば薬をやめてもよいですか?

自己判断で中止せず、血圧の経過と薬の内容を処方医に確認してください。出産後も病状が変化することがあり、退院後の診察と記録が大切です。

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参考文献