【上まぶたのたるみ取り(眉下切開・上眼瞼切開)の効果を医師が解説】

上まぶたのたるみ取り(眉下切開・上眼瞼切開)の効果を医師が解説
最終更新日: 2026-08-30
📋 この記事のポイント
  • ✓ 上まぶたのたるみ取りには、目元の印象を大きく変えずにたるみを取る「眉下切開」と、二重ラインの作成や調整を同時に行う「上眼瞼切開」の2種類があります。
  • ✓ 眉下切開は厚い皮膚を眉毛の境界に沿って除去するため自然に仕上がりやすく、上眼瞼切開は一重から二重への変更や、まつ毛付近のたるみを直接除去するのに適しています。
  • ✓ どちらの手術も解剖学的な特徴や仕上がりの希望、ダウンタイムの許容度に応じて適した術式を選択することが、高い満足度と自然な仕上がりを得るために極めて重要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

上まぶたのたるみとは?その原因とメカニズム

上まぶたのたるみは、加齢による皮膚の弾力低下や支持組織の緩みによって引き起こされ、目元の重たさや視界の狭さ(視野障害)を生じさせる代表的な老化現象です。

私たちのまぶたの皮膚は、身体の中でも極めて薄くデリケートな構造をしています。加齢に伴い、真皮層に存在するコラーゲンやエラスチンといった弾力線維が減少し、皮膚自体の伸び(皮膚弛緩)が生じます。さらに、まぶたの開閉をサポートする「眼輪筋(がんりんきん)」の衰えや、まぶたの奥にある眼窩脂肪(がんかしぼう)を支える「眼窩隔膜(がんかかくまく)」の緩みによって、脂肪が前方に突出してくることも、たるみや厚ぼったさを強調する原因となります。

このように皮膚や脂肪が垂れ下がることで、本来の目の大きさが隠されてしまい、「目が小さくなった」「以前よりも二重の幅が狭くなった」「夕方になると目が極端に疲れる」といった自覚症状が現れます。また、眉毛を持ち上げるおでこの筋肉(前頭筋)を使って目を開けようとするため、額にしわが深く刻まれたり、慢性的あるいは急性の頭痛や肩こりを引き起こしたりすることも少なくありません。この状態は、まぶたを開ける筋肉自体が弱まる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」とは異なり、まぶたを挙げる力は保たれているものの、余剰な皮膚が覆いかぶさっている「偽性(ぎせい)眼瞼下垂」に分類されます。

上まぶたのたるみ取り(眉下切開・上眼瞼切開)の治療法とは?

上まぶたのたるみを物理的に改善するための代表的な外科的手法が、「眉下切開(びかぜっかい)」と「上眼瞼切開(じょうがんけんせっかい)」の2つです。

これらの術式は、単に伸びてしまった余分な皮膚を取り除くだけでなく、まぶたの機能的な軽さと、審美的な美しさを同時に取り戻すことを目的としています。たるみの度合いや皮膚の厚み、そして患者さまが希望する最終的な仕上がりのデザインによって使い分けられます。眉下切開は眉毛の下の境界に沿って切開を行うため、目元の本来の印象を変えずにたるみをリフトアップするのに優れています。一方、上眼瞼切開は二重ライン(または新しく作成する二重ライン)上で切開を行うため、二重の幅や形を抜本的に修正したり、一重まぶたを二重にしたりする際に行われます。

眉下切開(びかぜっかい / Subbrow Blepharoplasty)
眉毛の直下の皮膚を切除し、上まぶたの余剰皮膚を引き上げる手術。まぶたの皮膚の中でも最も厚い部分(眉毛に近い部分)を切り取るため、まつ毛側の薄く自然な皮膚が残り、腫れぼったさのないナチュラルな仕上がりが特徴です。
上眼瞼切開(じょうがんけんせっかい / Upper Eyelid Blepharoplasty)
二重のライン(または新しくつくる二重の予定線)に沿って皮膚を切開し、余剰皮膚や必要に応じて眼窩脂肪を取り除く手術。二重のデザイン(幅や形)を自由に変更することができ、まつ毛付近のたるみを確実に除去するのに適しています。
眼窩脂肪(がんかしぼう)
眼球の周囲を取り囲んでいるクッション性の高い脂肪組織。加齢によってこれを支える膜が緩むと前方に突出し、まぶたの重みやふくらみ、たるみの原因になります。

眉下切開と上眼瞼切開の違いとは?

眉下切開と上眼瞼切開の最も本質的な違いは、「切除する皮膚の位置」とそれに伴う「仕上がりのニュアンス、ダウンタイムの違い」にあります。

私たちのまぶたの皮膚は、眉毛に近づくほど厚く、まつ毛に近づくほど極端に薄くなるという解剖学的なグラデーションを持っています。そのため、どちらの位置で皮膚を切除するかによって、手術後のまぶたの厚みや印象が大きく変わります。実臨床では、これらの解剖学的特徴を踏まえ、患者さまのまぶたの厚さや、一重・二重の形状に関するご希望に応じて術式を選択しています。日常診療では、「顔全体の印象を変えたくない」「不自然な二重になりたくない」というご要望に対しては眉下切開を第一選択とすることが多く、一方で「この機会にしっかりとした平行二重にしたい」「細かな二重幅の調整をしたい」というご要望には上眼瞼切開を検討するケースをよく経験します。

比較項目眉下切開(眉下リフト)上眼瞼切開(二重切開を伴う)
傷跡の位置眉毛のすぐ下のラインに沿うため目立ちにくい二重ラインと同化するため、目を開けている時は見えない
目元の印象の変化本来の目の形を変えず、自然に若返る二重の幅や形を自在に変えられ、華やかな印象に
皮膚の厚みへの対応厚い皮膚を効率よく切除でき、腫れぼったさが減少薄い皮膚を切除。厚いまぶたの場合、仕上がりが厚ぼったくなる可能性あり
ダウンタイム(目安)腫れが引きやすく比較的短い(約1〜2週間)二重を作成するため腫れが目立ちやすい(約2〜4週間)
適応となる方目元の印象を変えずに、皮膚のたるみ・重みだけを解消したい方同時に二重を新しく作りたい方、または二重幅を大きく変えたい方

眉下切開のメリットと向いている人は?

眉下切開は、目元本来の自然な魅力を保ちながら、加齢によって生じた上まぶたのたるみを効果的に解消できる手術です。

この術式の最大の医学的メリットは、眉毛に近い「厚い皮膚」を選択的に取り除ける点にあります。まぶたの下部(まつ毛側)の薄く柔軟な皮膚がそのまま引き上げられるため、術後に目元が「不自然に突っ張る」「二重ラインが分厚く不自然な印象になる」といったトラブルを避けることができます。重度の皮膚弛緩に対しても、眉下切開に特殊な修正や工夫を凝らすことで、上まぶたの外側の皮膚の被さりを極めて美しく改善できることが各種臨床データでも証明されています[1]。元々はアジア人に適した術式として発展してきましたが、現在では白人をはじめとする多様な人種の目元のアンチエイジング対策としても、その解剖学的なメリットと有効性が世界中で広く認められています[2]

日々の診療では、「年齢とともにまぶたが重くなり、視界が狭くなってきたが、周りに手術をしたことを気づかれたくない」「二重の形は今のままで、たるみだけをすっきりと引き上げたい」と相談される方が少なくありません。眉下切開は、こうした「自然な若返り」を熱望される患者さまに最適です。また、もともとまぶたの皮膚が厚く、上眼瞼切開を行うと二重ラインの上がぽってりと厚ぼったくなってしまうリスクが高い方にとっても、眉下切開は非常に有力な選択肢となります。実際の治療プロセスにおいては、術後数ヶ月で眉毛の下の傷跡はほとんど認識できないほど白く細い線へと馴染んでいくため、傷跡の面でも患者さまから高い満足度とご評価をいただいております。

上眼瞼切開のメリットと向いている人は?

上眼瞼切開は、上まぶたのたるみを根こそぎ除去すると同時に、二重まぶたの形状や幅を劇的かつ美しく変えることができる手術です。

この術式は、主に二重の予定線上を切開し、まつ毛に近い側(まぶたの下部)の「薄いたるみ皮膚」を取り除きます。上眼瞼切開の大きなアドバンテージは、皮膚のたるみ取りと同時に、一重をくっきりとした二重にしたり、すでに存在する二重のラインを広げたり狭めたりする「デザイン性」の高さにあります。また、切開した部分から直接、必要に応じて眼輪筋の処理や、脂肪組織(眼窩脂肪)の切除を確実に行えるため、まぶた全体のボリュームを大きく減少させることが可能です。国内外の多くの臨床研究やメタアナリシスにおいても、上眼瞼切開(上瞼の眼瞼形成術)は非常に安全かつ治療効果が永続しやすい優れた術式として定着しています[3]。手術の成功には、患者さま個人の骨格や皮膚の厚み、挙筋機能(まぶたを開ける力)などを踏まえた、綿密な術前評価と繊細なデザイン設計が最も重要となります[4]

外来診療では、「ただまぶたの重みを取るだけでなく、この機会にパッチリとした華やかな目元にしたい」「昔のようにアイラインがしっかり映える二重まぶたを取り戻したい」と希望され、上眼瞼切開を選ばれる患者さまが多く見られます。また、眉毛と目の距離が非常に近く、眉下切開を行うと眉毛がさらに下がって目元が険しい印象になってしまうリスクがある場合も、上眼瞼切開によるアプローチが推奨されます。筆者の臨床経験では、徹底したカウンセリングを通じて患者さまのご要望を細かく聞き取り、適切な切除幅を1ミリ単位でシミュレーションすることが、術後のミスマッチを防ぎ、何年経っても色褪せない理想的な目元を実現する鍵であると確信しています。

治療後に生じる副作用やダウンタイムは?

眉下切開や上眼瞼切開は非常に効果的な治療法である一方、メスを使用する外科手術であるため、術後の副作用や一定のダウンタイム(回復期間)は避けられません。

手術直後から数日間は、多かれ少なかれ腫れや内出血が生じます。これらは一般的に、眉下切開であれば1〜2週間程度、上眼瞼切開であれば2〜4週間程度で大部分が治まっていきます。また、術後の創傷治癒プロセス(傷が治る過程)において、切開部位に軽いつっぱり感や一時的な左右差、感覚の鈍さ、赤みが生じることがありますが、多くは数ヶ月かけて徐々に落ち着き、最終的にはほとんど目立たない状態へと成熟していきます。しかし、体質や術後の過ごし方によっては、稀に傷跡が赤く盛り上がる「肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)」を生じたり、切除幅のわずかな狂いによって不自然な非対称が残ったりする可能性もゼロではありません。

⚠️ 注意点

手術後は傷口のきれいな治癒を助け、腫れを最小限に抑えるために、以下の日常生活の制限を厳守してください。
・術後1週間程度は、傷口を強く擦ったり、メイクを直接塗布したりすることは避けてください。
・飲酒、長時間の入浴、激しい運動など、血流を急激に促進させる行為は内出血や腫れを悪化させるため控えてください。
・外出時は紫外線による傷跡の色素沈着を防ぐため、サングラスや帽子などの遮光対策を行ってください。







実際の診療では、術後1週間目に行う「抜糸(ばっし)」の際に傷口の状態を綿密に確認し、その後の自宅ケアやスキンケアの方法を患者さま一人ひとりの肌質に合わせてきめ細かくアドバイスしています。また、臨床経験上、ダウンタイム中の経過にはどうしても個人差があるため、術後の経過検診(術後1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月など)を通じて、不安なことや気になる症状を気軽に医師に相談できる環境作りを徹底することが、患者さまの安心感に直接つながると感じています。

まとめ

上まぶたのたるみ取り(眉下切開・上眼瞼切開)は、年齢とともに変化したデリケートな目元を美しく蘇らせ、視界をクリアにする非常に有益な手術です。目元の自然な印象を損なわず皮膚の厚みや重さをすっきりと取り除きたい場合は「眉下切開」が適しており、同時に二重のデザインを確立させたり華やかな目元を追求したい場合は「上眼瞼切開」が強力な選択肢となります。どちらの手術にも、それぞれ特有のメリット、適応、そしてダウンタイムやリスクが存在します。ご自身のまぶたの解剖学的特徴を正しく見極めてくれる信頼できる医師とじっくり相談し、最も納得のいくオーダーメイドの治療プランを選択してください。

よくある質問(FAQ)

💡 よくある質問(FAQ)
Q1. 眉下切開の傷跡は本当に目立たなくなりますか?
眉毛の直下、極めて境界線に近い位置に沿って精密な切開と縫合を行うため、術後3ヶ月〜半年が経過すると、傷跡は細く白い線のようになって眉毛に隠れ、ほとんど目立たなくなります。ただし、赤みがあるうちはメイク(コンシーラー等)でカバーしていただくことをおすすめします。
Q2. 手術中に痛みを感じることはありますか?また、術後の痛みはどうですか?
手術は局所麻酔(必要に応じて静脈麻酔や極細針の使用など)を施した上で行うため、手術中の痛みはほとんどありません。麻酔が切れた後の術後数日間はじんわりとした鈍痛を感じることがありますが、処方される内服の痛み止めで十分に対処できる程度であることがほとんどです。
Q3. たるみ取りの手術効果は、どれくらい持続しますか?
一度切除した皮膚のたるみは元に戻らないため、その効果は長期間にわたって持続します。ただし、手術を行った後も、人体の自然な加齢プロセス(皮膚のさらなる老化や筋肉の衰え)自体は止まらないため、数年〜十数年かけてわずかに新たなたるみが生じることはあります。それでも、手術をしていない場合と比べてはるかに若々しい目元を長く維持できます。
📖 参考文献
  1. Qiu Y, Liu F, Yang J, et al. A Modified Subbrow Blepharoplasty for Correction of Severe Upper Eyelid Skin Laxity. Aesthetic Plast Surg. 2024. doi:10.1007/s00266-024-03973-8
  2. Eid L, Tsirbas A. Subbrow Blepharoplasty in Caucasians. Plast Reconstr Surg. 2021. doi:10.1097/PRS.0000000000007633
  3. Rodrigues C, Carvalho F, Marques M. Upper Eyelid Blepharoplasty: Surgical Techniques and Results-Systematic Review and Meta-analysis. Aesthetic Plast Surg. 2023. doi:10.1007/s00266-023-03436-6
  4. Hahn S, Holds JB, Couch SM. Upper Lid Blepharoplasty. Facial Plast Surg Clin North Am. 2017. doi:10.1016/j.fsc.2016.01.002
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この記事の監修
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新井智博
美容外科医
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