弁膜症の心臓カテーテル検査|目的・流れ・造影剤の注意点を解説

弁膜症の評価のため心臓カテーテル検査を受ける前に手首を消毒される患者
循環器内科|心臓カテーテル検査

弁膜症の心臓カテーテル検査の目的・流れ・注意点

心エコーだけでは判断しにくい圧や血流を直接測り、治療方針を確かめます。

最終更新 2026.09.25監修日 2026.09.25
前提全員に行う検査ではない
目的画像との食い違いを確認
安全薬・腎機能・アレルギー
結論から

弁膜症の心臓カテーテル検査は、心エコーの結果と症状が合わないとき、肺や心臓内の圧を直接測る必要があるとき、治療前に冠動脈を確認するときなどに行います。弁膜症の全員が受ける検査ではなく、結果が治療方針にどう役立つかを確認して受けます。

このページで分かること
  • なぜ心エコーだけでは足りない?
  • どこから管を入れ、痛みはある?
  • 造影剤や出血で何に注意する?
最初に知っておきたい言葉
カテーテル
血管から心臓へ進める細い管です。
血行動態
心臓内の圧、血流量、血液中の酸素など、血液の流れの状態です。
右心カテーテル
静脈から入り、右心系と肺動脈の圧などを測る検査です。
造影剤
X線で血管や心臓を見やすくする薬です。検査目的によって使用量が異なります。
01

検査後の止まらない出血・胸痛・息苦しさはすぐ連絡する

圧迫しても出血が止まらない、状態が悪いときは救急要請

穿刺部から勢いよく出血する、急に腫れが広がる、手足が冷たい・しびれる、強い胸痛、息苦しさ、失神、意識変化がある場合です。

帰宅後に発熱、穿刺部の赤み・膿、腫れの増加、尿量の著しい減少、発疹が出た場合も検査施設へ連絡します。退院時にもらう緊急連絡先と、出血時の圧迫方法を家族と確認してください。

02

画像だけで答えにくい疑問を、直接測定で確かめる

現在は多くの弁膜症を心エコーで評価できます。カテーテル検査は、非侵襲的な検査の結果が不十分・矛盾している場合や、治療計画に直接測定が必要な場合に絞って行います。弁の前後の圧、肺動脈圧、心拍出量、酸素濃度などを測り、狭窄や逆流が循環に与える影響を確認します。[1][2][3][4]

右心カテーテル
右心房・右心室・肺動脈・肺動脈楔入圧、心拍出量などを測ります。
左心カテーテル
左心室や大動脈の圧を測り、弁前後の差を確認することがあります。
冠動脈造影
手術や弁治療前に冠動脈の狭窄を確認することがあります。
運動時測定
安静時だけでは症状の原因が分からない場合に検討されることがあります。
弁膜症の評価のため心臓カテーテル検査を受ける前に手首を消毒される患者
図|カテーテル検査では心臓内の圧や血流を直接測る 必要に応じて冠動脈の評価も行い、治療方針を決める材料にします。
03

薬・腎機能・アレルギー・帰宅支援を確認する

お薬手帳を持参し、抗凝固薬、抗血小板薬、糖尿病薬、利尿薬を含む全ての薬と最終服用時刻を伝えます。自己判断で中止すると血栓や血糖悪化につながるため、変更は必ず指示を受けます。過去の造影剤反応、喘息、腎臓病、透析、甲状腺疾患、妊娠の可能性、出血しやすさも申告します。[7]

血液検査で腎機能、貧血、血小板、凝固などを確認し、心電図や胸部画像を行うことがあります。絶食・飲水の指示は検査内容と時間で異なります。造影剤を使う可能性がある場合も、心不全や腎機能によって適切な水分量が違うため、自己判断で大量の水を飲まないでください。

04

局所麻酔後に細い管を進め、圧や血流を記録する

  1. 本人確認と点滴

    検査目的、薬、アレルギー、同意内容を再確認します。

  2. 穿刺部を消毒

    手首、腕、脚の付け根などを消毒し局所麻酔をします。

  3. カテーテルを進める

    X線透視や圧波形を見ながら目的の場所へ進めます。

  4. 測定・造影

    圧、血流量、酸素濃度を測り、必要時に造影します。

  5. 抜去・止血

    管を抜き、器具や圧迫で止血して経過を観察します。

局所麻酔の注射や圧迫の痛み、造影剤で体が熱くなる感覚が出ることがあります。強い痛み、胸苦しさ、息苦しさ、かゆみは我慢せずすぐ伝えます。検査時間は測る項目や同時に行う処置で異なります。

05

穿刺部を守り、出血・腫れ・尿量を確認する

安静時間と帰宅可否は、穿刺部位、止血方法、検査内容、鎮静の有無で異なります。手首からの検査後は重い物を持つ動作、脚の付け根からの場合は強く曲げる動作などを控えるよう案内されます。入浴、仕事、運転、運動の再開時期を退院前に確認します。

診察室から

日々の循環器内科診療では、検査説明の最後に「帰宅後に誰と過ごすか」「階段や重い荷物を避けられるか」まで確認します。穿刺部の小さな傷だけを見て普段どおり動くと出血することがあるため、患者さんの生活に合わせて具体的な制限を共有します。

結果説明では、どの圧が高い・低いかだけでなく、心エコーの評価と一致したか、治療方針が変わるかを聞きます。冠動脈造影を同時に行った場合は、その結果が手術・カテーテル治療の選択にどう関係するかも確認します。[5][6]

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出血・血管損傷・造影剤・不整脈などのリスクを個別に確認する

穿刺部出血、皮下血腫、血管損傷、不整脈、感染、造影剤反応、腎機能悪化などが起こる可能性があります。重い合併症は検査内容と基礎疾患で異なるため、自分の場合の見込みを説明担当者へ確認します。ヨード造影剤の腎リスクは腎機能、糖尿病、脱水、造影剤量などを考慮し、必要性と予防策を個別に判断します。[7]

心エコーと症状が一致し、治療方針がすでに明らかな場合には侵襲的検査を省けることがあります。一方、画像が矛盾する、肺高血圧の原因を分けたい、複合弁膜症で負担を整理したい場合は、直接測定が意思決定に役立ちます。[3][4][5][6]

検査の必要性と方法は個別に異なります。数値だけで実施の可否を自己判断せず、期待できる利益と代替法を確認してください。

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よくある質問

カテーテルは心臓に入っても痛くないですか?

血管の内側や心臓内で管そのものを痛く感じることは通常ありません。局所麻酔、穿刺、圧迫で痛みを感じることはあります。

造影剤は必ず使いますか?

圧測定中心の右心カテーテルではヨード造影剤を使わない場合もあります。冠動脈造影などを同時に行うか確認してください。

入院が必要ですか?

日帰りから入院まで、検査内容、穿刺部位、体調、施設で異なります。帰宅後の支援も含めて事前に確認してください。

抗凝固薬は中止しますか?

薬の種類、血栓リスク、穿刺方法で異なります。自己中止せず、検査担当から具体的な指示を受けてください。

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参考文献