肺がんの組織型とは|腺がん・扁平上皮がん・小細胞がんを解説

肺と四つの異なる顕微鏡像を組み合わせ、肺がんの組織型の違いを表した概念イラスト
Respiratory medicine / Histology

肺がんの組織型と病理結果の読み方

診断名、病期、追加検査を分けると、病理結果を治療の相談につなげやすくなります。

更新日 2026.09.27監修日 2026.09.27
大分類非小細胞・小細胞
標本検体の量と質も重要
理解一語だけで見通しを決めない
結論から

組織型とは、肺から採取したがん細胞の形や並び方を病理医が調べて付ける診断名です。肺がんは大きく非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分かれます。腺がん・扁平上皮がんなどの組織型は治療選択に重要ですが、広がりを示す病期とは別のため、両方を合わせて確認します。[1][2]

01

まず非小細胞肺がんと小細胞肺がんに分けます

非小細胞肺がんには腺がん、扁平上皮がん、大細胞がんなどが含まれます。小細胞肺がんは増殖や広がり方、治療への反応が異なるため、別の治療体系で扱います。この大分類は画像だけで決めず、細胞・組織の病理検査で確認します。[1]

「非小細胞肺がん」という表現は一つの病名ではなく、複数の組織型をまとめた呼び方です。小さな検体で詳しい分類が難しいときに一時的に用いられる場合もあるため、最終診断か暫定診断かを尋ねます。

02

四つの名称は特徴を示しますが、重症度の順番ではありません

腺がん

特徴
肺の末梢にみられ、非喫煙者にも起こる
治療との関係
分子検査が治療選択に重要
確認点
病期と遺伝子結果を別に確認

扁平上皮がん

特徴
太い気管支付近にも生じる
治療との関係
病期に応じた局所治療・薬物療法
確認点
喫煙歴だけで診断しない

小細胞がん

特徴
増殖が速く早期に広がることがある
治療との関係
薬物療法と放射線治療が中心
確認点
限局型・進展型を確認

大細胞がん

特徴
明確な腺・扁平上皮への分化を示さない
治療との関係
非小細胞肺がんとして治療を検討
確認点
大きな標本で確定する場合がある

「大細胞」は腫瘍の大きさを、「小細胞」は早期という意味を表す言葉ではありません。細胞の形態に由来する名称です。診断名から自分で重症度を並べず、病期と治療方針の説明を受けてください。[2]

肺と四つの異なる顕微鏡像を組み合わせ、肺がんの組織型の違いを表した概念イラスト
図|組織型は採取した細胞・組織の特徴から分類 説明のための生成イラストです。実際の病理標本や個人の診断結果を示すものではありません。
03

病変の位置と安全性に合わせて検体を採取します

気管支鏡、CTガイド下針生検、リンパ節の超音波内視鏡検査、胸水検査、手術などから方法を選びます。検体を採る検査には出血、気胸、鎮静薬の影響などのリスクがあり、病変の場所や呼吸状態によって向き不向きがあります。

採取した検体は、組織型の判定だけでなく、遺伝子や蛋白の検査にも使います。量が少ないと追加検査ができない場合があるため、治療に必要な情報と検査の安全性を比べて再生検を相談します。[3]

診察室から

診察では「もう一度組織を採る必要があります」と聞くと不安になる方が多いです。私たちは、今ある検体で何が分かり、追加採取で治療選択がどう広がる可能性があるか、検査の危険性とともに説明します。受ける・受けないを急いで決めず、目的を確認してください。

04

免疫染色は分類を助け、分子検査は治療標的を調べます

免疫染色は、細胞が持つ蛋白の特徴を見て、腺がん、扁平上皮がん、小細胞がん、ほかの臓器からの転移などを区別する助けになります。形態だけで分類しにくい非小細胞がんでは、標準化された免疫染色が推奨されます。[2]

分子検査は、EGFR、ALK、ROS1など治療に関係する遺伝子変化を調べます。免疫染色と分子検査は役割が違い、全員に同じ項目を行うとは限りません。進行・再発した腺がんなどでは、治療開始前に十分な分子情報を得ることが重要です。[4]

検査名より、結果が何を変えるかを確認します

陰性という結果にも「その変化が見つからなかった」「検体量が不足した」など異なる意味があります。判定可能だったか、追加検査が必要かを主治医に確認します。

05

病理報告書では最終診断、材料、追加検査を分けます

最終診断欄には組織型、材料欄には気管支鏡生検や手術標本など採取方法が記されます。免疫染色や分子検査は別紙や追補で後日報告されることがあります。「疑い」「示唆」「詳細不明」などの表現があれば、確定していない理由を尋ねてください。

手術標本では、組織型に加えて浸潤の広がり、リンパ節、切除断端などが詳しく評価されます。生検と手術後で名称が詳しくなることはありますが、必ずしも最初の検査が誤りという意味ではありません。検体の大きさと目的が違うためです。

06

結果説明で確認する六つの質問

①最終の組織型、②非小細胞か小細胞か、③病期は確定したか、④追加の遺伝子・蛋白検査、⑤結果予定日、⑥治療方針を決める日を確認します。説明用紙にそれぞれ書いてもらうと、家族や別の医師へ相談するときにも役立ちます。

病理診断の再確認やセカンドオピニオンを希望する場合は、標本、病理報告書、画像の貸し出し方法を尋ねます。結果待ちの間に症状が悪化したときの連絡先も控えてください。

検体が不足した場合は、再生検で得られる情報、代わりに血液などでできる検査、追加採取の危険性を比べて相談します。再検査を受けない場合に選べる治療も確認してください。

07

よくある質問

「非小細胞肺がん」だけでは不十分ですか?

治療場面によっては、腺がん・扁平上皮がんの区別や分子検査が必要です。検体量と追加検査の予定を確認してください。

大細胞がんは、腫瘍が大きいという意味ですか?

違います。細胞の形態に基づく病理分類で、腫瘍の直径や病期を表す言葉ではありません。

画像で腺がんと言われたら確定ですか?

画像は疑う手掛かりですが、原則として組織型は細胞・組織の病理検査で確認します。

08

参考文献