急性細菌性前立腺炎とは|高熱・排尿痛の受診目安と検査・治療を解説

発熱と排尿痛がある男性を泌尿器科医が緊急に診察する場面
UROLOGY / ACUTE BACTERIAL PROSTATITIS

急性細菌性前立腺炎:発熱・排尿痛の検査と治療

発熱を伴う排尿症状は早めに評価し、重症化と尿が出なくなる状態を見逃さないことが重要です。

最終更新 2026.10.06監修日 2026.09.30
URGENT敗血症と尿閉を見逃さない
CULTURE抗菌薬前の培養を重視
REASSESS反応不良なら膿瘍を確認
結論から

急性細菌性前立腺炎は、細菌感染によって高熱・悪寒、排尿痛、頻尿、会陰部や下腹部の痛みが急に現れる病気です。意識変化、息苦しさ、尿がまったく出ない時は救急を検討します。尿培養を採り、重症度に合わせた抗菌薬を速やかに開始します。

01

高熱と排尿症状が同時に出たら、当日中に医療機関へ相談する

救急を検討

高熱や悪寒、意識がぼんやりする、息苦しい、尿がまったく出ない、ぐったりして水分が取れない。

当日中に相談

発熱を伴う排尿痛、急な会陰部・下腹部痛、血尿、症状の急速な悪化。泌尿器科または救急へ連絡します。

泌尿器科へ予約

骨盤周辺の痛み、排尿の違和感、射精時痛が続く・繰り返す、生活や睡眠に支障がある。

高熱、震えるような悪寒、強いだるさに排尿痛や尿の出にくさが重なった時は、急性細菌性前立腺炎を含む尿路感染を考えます。特に意識がぼんやりする、呼吸が速い、血圧が下がる、尿が出ない、嘔吐で薬や水分を取れない時は、敗血症や尿閉の危険があり救急対応が必要です。[1][2][4]

02

数時間〜数日で発熱、悪寒、排尿痛、会陰部痛が現れる

代表的な症状は、発熱、悪寒、全身倦怠感、排尿時の痛み、頻尿、急な尿意、尿の勢い低下、会陰部・下腹部・腰の痛みです。尿道カテーテル、膀胱鏡、前立腺生検などの尿路操作後に起こることもあります。糖尿病、免疫を抑える治療、尿路閉塞がある人では重症化に注意します。[1][3][5]

発熱と排尿痛がある男性を泌尿器科医が緊急に診察する場面
図|高熱、悪寒、排尿痛、尿が出ない症状は当日中に相談し、全身状態を評価します。

同じ症状は腎盂腎炎、尿路結石、精巣上体炎などでも起こります。痛む場所だけで自己診断せず、発症日時と全身症状を伝えて診察を受けてください。

03

尿検査・尿培養を基本に、全身状態に応じて血液検査を追加する

可能であれば抗菌薬を飲む前に中間尿を採取し、尿検査と尿培養を行います。高熱や全身状態不良では、血液検査、腎機能、炎症反応、血液培養を確認します。直腸診で前立腺の圧痛や腫大をみることがありますが、強い前立腺マッサージは菌血症を起こす懸念があるため避けます。[1][4]

PSAは急性炎症で上昇し得るため、感染の確定診断やがんの判定目的に急性期へ測る検査ではありません。必要なら回復後に再評価します。画像検査は全員に必要ではなく、尿閉、結石・閉塞、前立腺膿瘍、治療反応不良が疑われる時に選びます。

04

重症度と培養結果に合わせ、十分な前立腺移行性を考えて抗菌薬を選ぶ

軽症で内服と水分摂取が可能なら外来治療を検討できますが、重症、敗血症、嘔吐、免疫低下、尿閉、膿瘍の疑いがある場合は入院して静脈内抗菌薬などを行います。薬剤は地域の耐性状況、過去の培養、アレルギー、腎機能、相互作用を踏まえて選択し、培養・感受性結果が出たら必要に応じて狭い範囲の薬へ変更します。[1][4]

症状が軽くなっても、処方日数を自己判断で短くしません。一方、発熱が続く、症状が悪化する、副作用がある時は、同じ薬をそのまま続けず早めに再評価します。抗菌薬の具体的な種類・期間は病状と国内の承認・耐性状況で異なります。

05

尿が出ない時は排尿路を確保し、反応不良なら膿瘍を調べる

前立腺の腫れやもともとの前立腺肥大症によって尿閉になることがあります。導尿の方法は感染や尿道損傷のリスクを考えて医療者が選びます。無理に自分で排尿しようとして大量に水を飲むことは避けてください。[1]

適切な治療を始めても発熱が下がらない、痛みや炎症が改善しない場合は、超音波、CT、MRIなどで前立腺膿瘍を評価します。膿瘍が大きい、全身状態が悪い、抗菌薬だけで改善しない場合は排膿処置を検討します。[1][4]

診察室から

日々の泌尿器科診療では、発熱した時刻、尿の出方、尿路操作の有無、直近に使った抗菌薬を最初に確認します。治療開始後は体温だけでなく、排尿量、意識、食事・水分、痛みの変化を追うと、外来継続か入院・画像検査かを判断しやすくなります。

06

抗菌薬歴と検査結果を持参し、家族にも悪化サインを共有する

受診時に伝える
発症日時、最高体温、悪寒、排尿痛・頻尿・尿閉、血尿、腰や会陰の痛み、尿路操作、糖尿病・免疫低下。
薬の情報
最近3か月の抗菌薬、お薬手帳、アレルギー、腎機能、抗凝固薬を含む併用薬。
帰宅後の観察
体温、意識、呼吸、尿量、水分・食事、痛み。悪化時の連絡先を確認します。
再診
培養結果の確認、薬の変更要否、症状消失、再発時の受診方法を確認します。

解熱鎮痛薬で一時的に熱が下がっても、感染が治ったとは限りません。予約日まで待つか迷う場合は医療機関へ電話で症状を伝えてください。

自宅では、処方薬を決められた方法で使い、体温、尿量、食事と水分、痛みの変化を記録します。家族や同居者にも、受け答えがおかしい、呼吸が苦しい、立てない、尿が出ない時は救急へ連絡することを共有します。培養結果の連絡方法と再診日を確認し、改善しても自己判断で薬を中断しません。

治療後に同じ菌による尿路感染を繰り返す場合は、慢性細菌性前立腺炎、結石、残尿、尿路の形態的な問題などを再評価します。反対に、培養で感染が確認されず骨盤痛だけが長く残る場合は、抗菌薬を重ねる前にCP/CPPSとして痛み・排尿・骨盤底の評価へ切り替えます。

07

よくある質問

前立腺をマッサージすると治りますか?

急性細菌性前立腺炎が疑われる時の強い前立腺マッサージは、菌血症を起こす懸念があるため行いません。

市販の抗菌薬で様子を見てもよいですか?

自己判断は避けてください。培養採取、重症度評価、適切な薬・用量・期間の選択が必要です。

入院が必要になるのはどんな時ですか?

敗血症の兆候、嘔吐で内服不能、尿閉、免疫低下、膿瘍疑い、外来治療への反応不良などで検討します。

家族にうつりますか?

一般的な原因菌による前立腺炎が日常接触で家族へうつる病気ではありません。性感染症が疑われる場合は別途検査と対応を相談します。

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参考文献