上室性頻拍(SVT)とは|症状・検査・治療と受診目安|循環器内科

突然始まる動悸を訴える患者と発作時心電図を確認する循環器内科医
循環器内科|頻脈性不整脈

上室性頻拍(SVT)の症状・検査・治療

突然始まり突然止まる動悸は、発作中の心電図を残すことが診断への近道です。

最終更新 2026.10.01監修日 2026.10.01
記録開始時刻と持続
検査12誘導・長時間心電図
相談再発頻度と生活への影響
結論から

上室性頻拍(SVT)は、心臓の上側で電気信号が速く回り、脈が突然速くなる不整脈です。失神、胸痛、強い息苦しさ、冷汗を伴うときは救急要請を考え、安定していても発作中の心電図を残して治療を相談します。

このページで分かること
  • どんな症状なら救急?
  • AVNRT・AVRTとは?
  • 薬とカテーテル治療の違いは?
最初に知っておきたい言葉
上室性頻拍(SVT)
心室より上にある心房や房室結節が関わる、急に速くなる不整脈の総称です。
AVNRT
房室結節の近くで電気信号が旋回して起こる頻拍です。
AVRT
心房と心室を結ぶ通常とは別の伝導路を電気信号が旋回する頻拍です。
WPW症候群
心房と心室を結ぶ副伝導路があり、特有の心電図や頻拍を生じる状態です。
01

失神・胸痛・強い息苦しさを伴う速い脈は119番を考える

記事を読み続けず助けを求める状態

意識を失った、冷汗を伴う胸痛、安静でも強い息苦しさ、顔色不良、片側の麻痺や言葉の異常がある場合です。本人が運転して移動しないでください。

発作が長く続き、ふらついて立てない、妊娠中、重い心臓病がある場合も早めの評価が必要です。症状が治まっても、失神や胸痛があったなら受診を先延ばしにしません。[1][2][4]

02

「突然始まり、突然止まる」動悸が手掛かりになる

上室性頻拍では、普段どおりだった脈が急に規則正しく速くなり、数分から数時間続くことがあります。動悸、胸の不快感、息切れ、めまい、首が脈打つ感じなどが代表的です。洞性頻脈のように運動や発熱に応じて徐々に速くなる脈とは、始まり方が違うことがあります。

突然始まる動悸を訴える患者と発作時心電図を確認する循環器内科医
図|上室性頻拍は「突然始まり、突然止まる」経過と発作時心電図が手掛かり 安全に記録できる場合は時刻、持続時間、症状、波形を残します。

症状だけでAVNRT、AVRT、心房頻拍などを確定することはできません。脈拍の数字も機器によって誤差があるため、発作中の心電図と症状を結びつけて判断します。[1][4][5]

03

AVNRT・AVRT・心房頻拍は、電気信号が回る場所が違う

AVNRT
房室結節の近くで電気信号が旋回します。成人の発作性上室性頻拍でよくみられる型です。
AVRT
通常とは別の副伝導路を使って心房と心室を回ります。WPW症候群が背景にあることがあります。
心房頻拍
心房の一部から速い電気信号が出ます。基礎心疾患や手術歴との関係を調べることがあります。

同じ「速い脈」でも治療法や注意する薬が異なります。自己判断で家族の薬を使ったり、処方薬を追加したりしないでください。[3][4]

04

発作中の12誘導心電図を優先し、頻度に合う記録法を選ぶ

診察では開始と停止の仕方、持続時間、規則性、胸痛や失神、誘因、薬、妊娠可能性、心臓病の有無を確認します。12誘導心電図で頻拍の幅や規則性を見ますが、受診時に止まっていれば診断できないことがあります。

  1. 頻回に起こる

    ホルター心電図や携帯型記録器を選びます。

  2. 月に数回以下

    より長いイベント記録やスマートフォン連携機器を検討します。

  3. 治療を検討する

    心エコー、採血、必要に応じて電気生理検査を行います。

スマートウォッチの波形は手掛かりになりますが、医療用心電図で確認します。画像だけでなく、症状と時刻も保存してください。[1][4]

05

安定している発作の対処と、再発を防ぐ治療を分けて考える

医療機関では血圧や意識が安定しているかを確認し、病型に応じて迷走神経刺激、薬、電気的治療を選びます。自己流で首を強く圧迫する方法は危険です。自宅で行う方法は診断後に医療者から具体的に教わった範囲に限ります。

再発予防には経過観察、薬、カテーテルアブレーションがあります。アブレーションは細いカテーテルを血管から入れ、頻拍の回路を治療します。高い有効性が期待できますが、血管合併症や房室ブロックなどの負担もあり、病型、再発頻度、希望を合わせて選びます。[2][3][4][6]

06

受診前に「始まり方・終わり方・持続・症状」を一つにまとめる

診察室から

日々の循環器内科診療では、脈拍の最高値だけでなく、急に始まったか、何分続いたか、胸痛やふらつきが同時だったかを確認します。発作時の画面とお薬手帳を一緒に見られると、記録期間や治療相談を具体化しやすくなります。

発作中に安全に記録できるなら、時刻、姿勢、直前の行動、脈拍・血圧、症状、止まった時刻を残します。カフェイン、飲酒、睡眠不足との関係も伝えますが、それだけを原因と決めつけません。

医師には、病型、救急要請の条件、自宅で許可された対処、薬の目的、再発時の連絡先、アブレーションの利益・合併症・代替法を確認します。家族にも救急症状と連絡先を共有しておくと、再発時に迷いにくくなります。

07

よくある質問

発作が止まれば受診しなくてよいですか?

初回、失神や胸痛を伴う、頻回に再発する場合は止まっても相談してください。

スマートウォッチだけで診断できますか?

手掛かりになりますが、病型の確定には医療用心電図が必要です。

カテーテル治療は必ず必要ですか?

症状、頻度、病型、薬の効果、本人の希望を踏まえて選びます。

発作中に運動して止めてもよいですか?

危険です。失神や転倒につながるため、一人で運動して確かめないでください。

08

参考文献