肺胞で酸素と二酸化炭素が交換される仕組み
空気が肺胞へ届いた後、血液との間で何が起こるかを順に追います。
肺胞内の酸素は、薄い肺胞上皮・基底膜・毛細血管内皮からなる境界を拡散し、血液に入ります。二酸化炭素は逆方向へ移動し、呼気で排出されます。ガス交換には、肺胞へ空気が届くこと、毛細血管に血液が流れること、境界が十分に薄いことが必要です。[1][2]
肺胞と毛細血管は、非常に薄い境界を挟んで接する
ガス交換の場は、肺胞上皮、共通する基底膜、毛細血管内皮からなる肺胞毛細血管膜です。I型肺胞上皮細胞が広い面積を覆い、薄い拡散距離を作ります。[2][3]

息苦しさを診るときは、空気が入るかだけでなく、肺炎や肺水腫のように肺胞が液体で埋まっていないか、間質が厚くなっていないか、肺塞栓症のように血流が途絶えていないかを分けて考えます。
気体は分圧の高い側から低い側へ拡散する
肺胞内では酸素分圧が静脈血より高いため、酸素は血液側へ拡散します。二酸化炭素は静脈血側で分圧が高く、肺胞側へ拡散します。拡散のしやすさは面積、膜の厚さ、分圧差、気体の性質に影響されます。[1][3]
酸素の多くはヘモグロビンと結びついて運ばれる
血液に入った酸素の大部分は赤血球のヘモグロビンと結合して組織へ運ばれます。そのため貧血でヘモグロビンが少ないと、SpO2が保たれていても運べる酸素の総量は減ります。二酸化炭素は主に重炭酸イオンの形で運ばれ、肺で再び二酸化炭素となって排出されます。[3]
肺胞への空気と毛細血管の血流が合っていることが重要
肺胞に空気が届いても血流がなければガス交換に使われず、逆に血流があっても肺胞が換気されなければ酸素化できません。この釣り合いを換気血流比といい、肺炎、COPD、肺塞栓症などでずれが起こります。[4]
低酸素の原因によっては、気道狭窄の治療、感染の治療、肺塞栓症の治療、換気補助など原因への対応が必要です。
換気、拡散、血流のどこが障害されるかで低酸素の仕組みが変わる
喘息やCOPDで気道が狭くなると肺胞換気が不均一になります。肺炎で肺胞が液体で埋まり、間質性肺疾患で境界が厚くなるとガス交換が妨げられます。肺塞栓症では血栓より先の血流が減ります。
SpO2は酸素化の一部を見る指標で、ガス交換のすべてではない
会話が難しい、唇が青紫色、意識がぼんやりする、突然の胸痛を伴う場合は119番を考えてください。
緊急時は119番へパルスオキシメーターはヘモグロビンの酸素飽和度を推定しますが、二酸化炭素の値、貧血、血流、呼吸仕事量は直接分かりません。冷え、体動、マニキュア、測定器の精度で誤差も生じます。数値だけでなく、息苦しさ、呼吸数、会話、意識を合わせて判断します。
よくある質問
肺胞で酸素と二酸化炭素が「交換」されると、ぶつかり合うのですか?
いいえ。それぞれが分圧差に従って反対方向へ拡散することをガス交換と呼びます。
SpO2が100%なら呼吸に問題はありませんか?
そうとは限りません。二酸化炭素貯留、貧血、呼吸仕事量の増大などはSpO2だけでは評価できません。
酸素と二酸化炭素は同じ検査で分かりますか?
SpO2は主に酸素化の指標です。二酸化炭素の貯留は、必要に応じて動脈血ガスや経皮・呼気ガスなどで評価します。
参考文献
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