【息切れの原因と病院受診】|専門医が解説

息切れ 原因 病院
息切れの原因と病院受診|専門医が解説
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 息切れは肺、心臓、貧血など多岐にわたる原因で生じ、適切な診断が重要です。
  • ✓ 呼吸器内科や循環器内科など、原因に応じた専門科の受診が推奨されます。
  • ✓ 症状が急激に悪化した場合や、胸痛・意識障害を伴う場合は緊急受診が必要です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
息切れは、呼吸が苦しい、息が足りない、息がしにくいといった不快な感覚の総称で、医学的には「呼吸困難感」と表現されます。この症状は、健康な人でも激しい運動後に一時的に感じることがありますが、病気が原因で生じることも少なくありません。息切れの原因は多岐にわたり、肺や心臓の病気だけでなく、貧血や精神的な要因など様々なものが考えられます。適切な診断と治療のためには、症状を正確に把握し、必要に応じて医療機関を受診することが重要です。

肺・呼吸器の病気による息切れとは?

呼吸困難を感じる女性の横顔、肺疾患による息切れの症状
肺の病気で息苦しさを感じる
肺・呼吸器の病気による息切れとは、気管支、肺、胸膜などの呼吸器系に異常が生じることで、酸素の取り込みや二酸化炭素の排出が効率的に行えなくなり、呼吸困難感が生じる状態を指します。これらの病気は、慢性的なものから急性で命に関わるものまで様々です。
呼吸器内科
肺、気管支、胸膜など呼吸器全般の病気を専門とする診療科です。息切れの原因が呼吸器系にある場合、まず受診を検討すべき専門科の一つです。

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

COPDは、タバコの煙などの有害物質を長期間吸入することで、気管支や肺胞に炎症が起き、空気の通り道が狭くなったり、肺胞が破壊されたりする病気です。主な症状は、労作時の息切れ、咳、痰で、進行すると日常生活にも支障をきたします。日常診療では、長年の喫煙歴がある方が「最近少し動くと息が切れるようになった」と相談されるケースをよく経験します。早期発見と禁煙が非常に重要です。
  • 原因: 喫煙が最大の原因ですが、受動喫煙や大気汚染なども関与します。
  • 症状: 階段を上る、坂道を歩くなどの軽い労作で息切れを感じるようになります。進行すると、安静時にも息苦しさを感じることがあります。
  • 検査: 肺機能検査(スパイロメトリー)で診断されます。
  • 治療: 禁煙が最も重要です。気管支拡張薬の吸入や、呼吸リハビリテーションが行われます。呼吸リハビリテーションは、COPD患者の運動能力向上とQOL改善に有効であることが示されています[2]。急性増悪時には、入院して酸素療法やステロイド治療などが必要になることもあります[4]

気管支喘息

気管支喘息は、気道が慢性的に炎症を起こし、様々な刺激に対して過敏に反応して気道が狭くなる病気です。発作的に咳、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音)、息苦しさが現れます。特に夜間や早朝に症状が悪化しやすい傾向があります。診察の場では、「夜中に咳で目が覚めて、息苦しくて眠れない」と質問される患者さんも多いです。
  • 原因: アレルギー体質が関与することが多く、ダニ、ハウスダスト、花粉、ペットの毛などがアレルゲンとなります。風邪や運動、ストレスなども発作の誘因になります。
  • 症状: 咳、喘鳴、息苦しさ(特に呼気性呼吸困難)、胸の圧迫感など。重症発作では、会話が困難になったり、意識障害を伴うこともあります[1]
  • 検査: 肺機能検査、気道過敏性検査、呼気NO(一酸化窒素)検査、アレルギー検査など。
  • 治療: 吸入ステロイド薬による気道の炎症抑制が中心です。発作時には短時間作用型β2刺激薬の吸入を使用します。重症喘息では生物学的製剤が用いられることもあります。

肺炎・気胸・肺がんなど

これらの病気も息切れの原因となります。
  • 肺炎: 細菌やウイルス感染により肺に炎症が起き、発熱、咳、痰、息切れなどが現れます。高齢者や免疫力の低下した人では重症化しやすいです。
  • 気胸: 肺に穴が開き、空気が漏れて肺がしぼんでしまう病気です。突然の胸痛と息切れが特徴で、若い痩せ型の男性に多く見られます。
  • 肺がん: 進行すると、気管支の閉塞や胸水貯留、肺組織の破壊などにより息切れが生じることがあります。

心臓・その他の原因による息切れとは?

心臓・その他の原因による息切れとは、呼吸器系以外の全身の臓器やシステムに異常が生じることで、身体の酸素需要と供給のバランスが崩れ、結果として息切れの症状が現れる状態を指します。心臓病はその代表的な原因であり、血液を全身に送り出すポンプ機能が低下することで、肺に血液がうっ滞し、息苦しさを感じます。
循環器内科
心臓、血管など循環器全般の病気を専門とする診療科です。息切れの原因が心臓病にある場合、この科の受診が適切です。

心不全

心不全は、心臓のポンプ機能が低下し、全身に必要な血液を十分に送り出せなくなる状態です。これにより、肺に血液がうっ滞しやすくなり、息切れ(特に労作時や横になった時の息苦しさ)やむくみなどの症状が現れます。外来診療では、「最近、少し歩くだけで息が上がる」「夜中に息苦しくて目が覚める」と訴えて受診される患者さんが増えています。心不全は様々な心臓病の終末像であり、早期の診断と治療が重要です。
  • 原因: 虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)、高血圧、弁膜症、心筋症、不整脈など、様々な心臓病が原因となります。
  • 症状: 労作時の息切れ、夜間就寝時の息切れ(起坐呼吸)、むくみ(特に足)、疲労感、動悸など。
  • 検査: 心電図、胸部X線検査、心臓超音波検査、血液検査(BNPなど)など。
  • 治療: 利尿薬、血管拡張薬、β遮断薬、ACE阻害薬/ARBなどの薬物療法が中心です。原因となる疾患の治療も並行して行われます。生活習慣の改善(塩分制限、適度な運動)も重要です。

貧血

貧血は、血液中の赤血球やヘモグロビンが減少し、全身に酸素を運ぶ能力が低下する状態です。これにより、身体が酸素不足に陥り、息切れや動悸、めまい、倦怠感などの症状が現れます。実臨床では、特に女性で月経量が多い方や、消化管出血に気づかず貧血が進行している患者さんが多く見られます。
  • 原因: 鉄欠乏性貧血が最も多く、月経、消化管出血、栄養不足などが原因となります。その他、再生不良性貧血、溶血性貧血など様々な種類があります。
  • 症状: 労作時の息切れ、動悸、顔色不良、めまい、倦怠感、頭痛など。
  • 検査: 血液検査(血算、血清鉄、フェリチンなど)で診断されます。
  • 治療: 鉄欠乏性貧血の場合は鉄剤の内服が基本です。原因となる疾患の治療も行われます。

精神的な要因(パニック障害など)

精神的な要因による息切れは、身体的な病変がないにもかかわらず、強い不安やストレスによって呼吸困難感が生じる状態です。パニック障害はその代表例で、突然の激しい息切れ、動悸、胸痛、めまいなどが発作的に現れます。臨床経験上、身体的な検査では異常が見つからないにもかかわらず、強い息苦しさを訴える患者さんには、精神的な側面からのアプローチも検討するようにしています。
  • 原因: ストレス、不安、過労などが引き金となることが多いです。
  • 症状: 過呼吸、息苦しさ、動悸、胸痛、手足のしびれ、めまい、発汗など。
  • 検査: 身体的な病気を除外するために、心電図や血液検査などが行われます。
  • 治療: 精神科や心療内科でのカウンセリング、薬物療法(抗不安薬、抗うつ薬)などが行われます。呼吸法指導も有効です。

息切れの対処法・受診先・検査とは?

医師が患者の胸部を聴診器で診察し、息切れの原因を特定
息切れの診察と検査
息切れの対処法・受診先・検査とは、息切れを感じた際に、自宅でできる応急処置、医療機関を受診すべきタイミング、そしてどの診療科を受診すべきか、さらにどのような検査が行われるかについて具体的に解説するものです。息切れは放置すると重篤な病気のサインを見逃す可能性があるため、適切な行動が求められます。

自宅でできる応急処置は?

息切れを感じた際に、一時的に症状を和らげるための応急処置としては、以下の方法が挙げられます。
  • 楽な姿勢をとる: 座位で前かがみになる(前傾姿勢)、壁にもたれる、椅子に座って肘を膝につけるなどの姿勢は、呼吸筋の負担を軽減し、呼吸を楽にする効果が期待できます。
  • 換気をする: 窓を開けて新鮮な空気を取り入れることで、一時的に呼吸が楽になることがあります。
  • 深呼吸を試みる: 落ち着いてゆっくりと深呼吸をすることで、過呼吸を抑え、呼吸リズムを整える助けになります。口すぼめ呼吸(ゆっくりと口をすぼめて息を吐き出す)も有効です。
  • 安静にする: 無理に動かず、安静にして体の負担を減らすことが重要です。
これらの応急処置はあくまで一時的なものであり、症状が改善しない場合や、繰り返す場合は速やかに医療機関を受診してください。

息切れで病院に行くべきタイミングと受診先は?

息切れは、その症状や経過によって緊急性が異なります。以下の場合は速やかに医療機関を受診することが推奨されます。
⚠️ 注意点

以下の症状がある場合は、迷わず救急車を呼ぶか、緊急で医療機関を受診してください。

  • 急激に息切れが悪化し、呼吸が非常に苦しい
  • 胸の痛みや圧迫感を伴う
  • 意識がもうろうとする、呼びかけへの反応が鈍い
  • 唇や指先が紫色になる(チアノーゼ)
  • 冷や汗が止まらない
受診先の目安 日常診療では、患者さんの初期症状や既往歴を詳しく問診し、適切な専門科への受診を促すことが重要になります。筆者の臨床経験では、問診で喫煙歴や喘息の既往がある場合は呼吸器内科、高血圧や糖尿病などの生活習慣病がある場合は循環器内科を推奨することが多いです。
症状の特徴考えられる原因推奨される受診先
咳、痰、喘鳴を伴う息切れ、喫煙歴COPD、気管支喘息、肺炎など呼吸器内科
胸痛、動悸、むくみを伴う息切れ、高血圧や糖尿病の既往心不全、狭心症、不整脈など循環器内科
めまい、倦怠感を伴う息切れ、顔色不良貧血内科、血液内科
強い不安やストレスと関連する息切れ、過呼吸パニック障害、心身症など心療内科、精神科
上記に当てはまらない、または判断に迷う場合多岐にわたる可能性かかりつけ医、総合内科

どのような検査が行われる?

医療機関では、息切れの原因を特定するために様々な検査が行われます。
  • 問診・身体診察: 息切れの状況(いつから、どんな時に、どの程度か)、既往歴、喫煙歴、家族歴などを詳しく聞き取り、呼吸音や心音の聴診、むくみの有無などを確認します。
  • 血液検査: 貧血の有無(ヘモグロビン値)、炎症の程度(CRP)、心臓への負担(BNP)、腎機能、肝機能などを調べます。
  • 胸部X線検査: 肺や心臓の形、大きさ、肺の炎症やうっ血の有無、胸水の有無などを確認します。
  • 心電図検査: 不整脈や心筋虚血の有無を調べます。
  • 肺機能検査(スパイロメトリー): 肺活量や1秒量などを測定し、COPDや気管支喘息の診断に役立てます。
  • パルスオキシメトリー: 指先に装着する機器で、動脈血中の酸素飽和度(SpO2)を測定します。
  • 心臓超音波検査(心エコー): 心臓の動きや弁の状態、心臓の大きさなどを詳しく評価します。
  • **CT検査:** 胸部X線検査で異常が疑われる場合や、より詳細な情報が必要な場合に、肺や縦隔の病変を精密に評価します。

症状の掛け合わせ(息切れ+〇〇)で何がわかる?

症状の掛け合わせ(息切れ+〇〇)で何がわかるかとは、息切れに加えて他の症状が同時に現れることで、特定の病気をより強く示唆する手がかりとなることを指します。複数の症状が組み合わさることで、診断の精度を高め、適切な専門医への受診を促すことができます。臨床現場では、患者さんの訴えを注意深く聞き取り、複数の症状の組み合わせから鑑別診断を進めることが非常に重要です。

息切れ+咳・痰

息切れに加えて咳や痰が続く場合、呼吸器系の病気が強く疑われます。特に、長期間にわたる咳や痰、そして喫煙歴がある場合は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の可能性が高まります。また、発熱や胸の痛み、黄色の痰を伴う場合は肺炎、夜間や早朝に喘鳴(ヒューヒュー、ゼーゼー)を伴う咳と息切れがある場合は気管支喘息が考えられます。日常生活では、「風邪が治った後も咳と息切れがなかなか良くならない」と相談される方が少なくありません。このような場合、単なる風邪の延長ではなく、気管支炎や喘息の可能性も考慮して検査を進めます。
  • 考えられる病気: COPD、気管支喘息、肺炎、急性気管支炎、肺がん、肺結核など。
  • 受診先: 呼吸器内科

息切れ+胸痛

息切れに胸痛が伴う場合、心臓の病気や肺の緊急性の高い病気が疑われるため、特に注意が必要です。胸痛が「締め付けられるような」「圧迫されるような」感覚で、運動時に悪化し、安静にすると改善する場合は狭心症の可能性があります。突然の激しい胸痛と息切れ、特に若い痩せ型の男性で発症した場合は気胸を疑います。また、深呼吸で痛みが悪化する場合は、胸膜炎の可能性もあります。これらの症状は命に関わることもあるため、速やかな医療機関受診が不可欠です。
  • 考えられる病気: 狭心症、心筋梗塞、気胸、肺塞栓症、胸膜炎、大動脈解離など。
  • 受診先: 循環器内科、呼吸器内科(緊急の場合は救急外来)

息切れ+動悸・むくみ

息切れに動悸やむくみが伴う場合、心臓の機能低下、特に心不全の可能性を強く示唆します。動悸は「心臓がドキドキする」「脈が飛ぶ」といった感覚で、むくみは足の甲やすねが腫れる、靴がきつくなるなどの症状として現れます。夜間、横になると息苦しくなる「起坐呼吸」も心不全の典型的な症状です。高齢者でこれらの症状が見られる場合は、心臓の評価が重要です。筆者の臨床経験では、心不全の患者さんに対して、利尿剤の調整や心臓リハビリテーションの導入を検討することで、症状の改善や再入院の予防に努めています。吸気筋トレーニングも、人工呼吸器からの離脱を促進する効果が報告されています[3]
  • 考えられる病気: 心不全、不整脈、弁膜症、腎不全など。
  • 受診先: 循環器内科

息切れ+めまい・倦怠感

息切れにめまいや強い倦怠感が伴う場合、貧血や甲状腺機能の異常、あるいは慢性的な疲労症候群などが考えられます。貧血では、酸素運搬能力の低下により、身体が酸素不足となり、息切れだけでなく、立ちくらみや全身の倦怠感、顔色不良などが現れます。甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)では、代謝が亢進し、動悸や息切れ、発汗、体重減少などの症状が見られることがあります。これらの症状は、日常生活に大きな影響を与えるため、早期の診断と治療が望まれます。
  • 考えられる病気: 貧血、甲状腺機能亢進症、慢性疲労症候群、起立性調節障害など。
  • 受診先: 内科、血液内科、内分泌内科

まとめ

息切れの原因、対処法、受診先の要点をまとめたフローチャート
息切れのガイドまとめ
息切れは、日常的によく経験する症状の一つですが、その裏には様々な病気が隠されている可能性があります。肺の病気であるCOPDや気管支喘息、肺炎、心臓の病気である心不全、全身性の貧血、さらにはパニック障害のような精神的な要因まで、原因は多岐にわたります。症状の組み合わせや発生状況によって、疑われる病気や受診すべき専門科が異なります。特に、急激な息切れの悪化、胸痛、意識障害などを伴う場合は、緊急性が高いため速やかに医療機関を受診することが重要です。適切な診断と治療のためには、自己判断せずに医療機関を受診し、医師の指示に従うことが何よりも大切です。

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よくある質問(FAQ)

息切れと呼吸困難は同じですか?
息切れは、呼吸が苦しい、息が足りないといった主観的な不快感を指す一般的な表現です。医学的には「呼吸困難感」と呼ばれ、呼吸困難はその医学的な症状名にあたります。基本的には同じ状態を指しますが、呼吸困難はより広範な医学的定義を含みます。
ストレスで息切れすることはありますか?
はい、ストレスや不安、パニック障害などの精神的な要因で息切れ(過呼吸発作など)が生じることがあります。身体的な病気がないにもかかわらず息苦しさを感じる場合は、心療内科や精神科への相談も検討してください。
高齢者の息切れで特に注意すべきことは何ですか?
高齢者の息切れは、心不全やCOPD、肺炎など、複数の病気が同時に存在することが多く、症状が非典型的であることもあります。また、加齢による身体機能の低下と区別がつきにくい場合もあります。いつもと違う息切れを感じたら、早めに医療機関を受診し、全身的な評価を受けることが重要です。
息切れの予防法はありますか?
原因となる病気によって予防法は異なりますが、一般的には禁煙、バランスの取れた食事、適度な運動、十分な睡眠、ストレス管理が重要です。特に喫煙はCOPDや肺がん、心臓病のリスクを高めるため、禁煙は最も効果的な予防策の一つです。基礎疾患がある場合は、定期的な通院と治療の継続が症状悪化の予防につながります。
この記事の監修
👨‍⚕️
馬場理紗子
循環器内科医
👨‍⚕️
安藤昂志
循環器内科医
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