【動悸の原因と治し方】|専門医が解説する対処法

動悸 原因 治し方
動悸の原因と治し方|専門医が解説する対処法
最終更新日: 2026-05-12
📋 この記事のポイント
  • ✓ 動悸は心臓疾患だけでなく、ストレスや生活習慣など心臓以外の原因でも起こり得ます。
  • 不整脈による動悸は、心房細動や期外収縮など多岐にわたり、適切な診断が重要です。
  • ✓ 市販薬で一時的に症状が緩和されることもありますが、根本的な治療には医療機関での精密検査と診断が不可欠です。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
動悸は、心臓の拍動を意識する不快な感覚の総称です。普段は意識しない心臓の動きが、速く感じたり、強く感じたり、あるいは不規則に感じたりすることがあります。この症状は、心臓そのものの問題だけでなく、全身の様々な要因によって引き起こされることがあります。

心臓の病気・不整脈による動悸とは?

心臓の鼓動が速い不整脈で動悸を感じる状態を示す臓器の概念
不整脈による動悸のメカニズム
心臓の病気や不整脈による動悸は、心臓の電気的な活動や構造に異常がある場合に生じるものです。心臓が規則正しく収縮するためには、電気信号が正常に伝わる必要がありますが、この経路に乱れが生じると不整脈となり、動悸として自覚されることがあります。

不整脈の種類と特徴

不整脈は、心拍のリズム、速さ、規則性のいずれかに異常がある状態を指します。動悸の原因となる不整脈には、主に以下の種類があります。
期外収縮
心臓が正常なタイミングよりも早く収縮する不整脈です。心臓が「ドキッ」と一瞬止まるような感じや、「トクン」と強く打つような感覚として自覚されることが多いです。心室性期外収縮は、心臓のポンプ機能に異常がない限り、多くの場合良性ですが、症状が強い場合は治療を検討することもあります[2]。日常診療では、「一瞬心臓が止まるような感じがして怖い」と相談される方が少なくありません。
心房細動
心臓の上部(心房)が不規則に震えるように動き、心拍が速く不規則になる不整脈です。脈がバラバラに打つため、「脈が乱れる」「胸がザワザワする」といった動悸を感じることがあります。心房細動は脳梗塞のリスクを高めるため、適切な診断と治療が重要です[1][4]。実臨床では、健康診断で不整脈を指摘され、精密検査で心房細動が見つかるケースも多く見られます。
頻脈
心拍数が異常に速くなる状態です。洞性頻脈、発作性上室性頻拍、心室頻拍など様々な種類があります。突然心臓がバクバクと速く打ち始め、めまいや息切れを伴うこともあります。特に心室頻拍は重篤な不整脈であり、速やかな対応が必要です。
徐脈
心拍数が異常に遅くなる状態です。脈が遅いことで、心臓が強く打つように感じたり、めまいや倦怠感を伴うことがあります。洞不全症候群などが原因となることがあり、ペースメーカーの植え込みが必要となる場合もあります[3]

心臓の構造的な問題による動悸

不整脈だけでなく、心臓の構造的な問題が動悸を引き起こすこともあります。
  • 心臓弁膜症: 心臓の弁に異常があると、血液の流れが滞り、心臓に負担がかかり動悸を感じることがあります。
  • 心筋症: 心臓の筋肉自体に異常がある病気で、心機能が低下し、不整脈や動悸を引き起こすことがあります。
  • 狭心症・心筋梗塞: 虚血性心疾患と呼ばれるこれらの病気では、胸痛が主な症状ですが、動悸や息切れを伴うこともあります。
臨床現場では、動悸を訴える患者さんに対して、まずは心電図検査を行い、不整脈の有無や種類を確認することが重要です。特に、心房細動のような重篤な不整脈を見逃さないよう、詳細な問診と検査を心がけています。

心臓以外が原因の動悸・対処法とは?

動悸は心臓の病気だけでなく、心臓以外の様々な要因によっても引き起こされます。これらの原因は多岐にわたり、適切な対処法も異なります。

ストレス・精神的な要因

精神的なストレスや不安、パニック障害、自律神経失調症などは、心拍数を増加させ、動悸を引き起こす一般的な原因です。交感神経が優位になることで、心臓の収縮力が増し、脈が速く感じられることがあります。日常診療では、「仕事のプレッシャーが強い時期に動悸がひどくなった」と訴える患者さまも少なくありません。このような場合、心臓の検査で異常が見つからないことが多く、心身両面からのアプローチが必要となります。
  • 対処法: ストレスマネジメント、リラクゼーション法(深呼吸、瞑想)、適度な運動、十分な睡眠などが有効です。必要に応じて、心療内科や精神科でのカウンセリングや薬物療法も検討されます。

生活習慣・嗜好品

特定の生活習慣や嗜好品も動悸の原因となり得ます。
  • カフェイン: コーヒー、紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、心臓を刺激し、心拍数を増加させることがあります。
  • アルコール: 過剰な飲酒は、不整脈(特に心房細動)を引き起こすリスクを高めることが知られています。
  • 喫煙: ニコチンは血管を収縮させ、心臓に負担をかけるため、動悸や不整脈の原因となります。
  • 睡眠不足: 睡眠不足は自律神経のバランスを崩し、動悸を引き起こすことがあります。
  • 脱水: 体内の水分不足は、血液量を減らし、心臓がより強く働く必要が生じるため、動悸につながることがあります。
⚠️ 注意点

カフェインやアルコール摂取後に動悸を感じる場合は、摂取量を控えるか、一時的に中止してみることを推奨します。特に、不整脈の既往がある方は注意が必要です。

全身性疾患・薬剤

心臓以外の全身の病気や服用している薬が動悸の原因となることもあります。
  • 甲状腺機能亢進症: 甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで、新陳代謝が活発になり、心拍数が増加し動悸を引き起こします。
  • 貧血: 血液中のヘモグロビンが不足すると、全身に酸素を運ぶために心臓がより速く、強く拍動する必要が生じ、動悸を感じやすくなります。
  • 低血糖: 血糖値が急激に下がると、交感神経が刺激され、動悸や冷や汗、手の震えなどの症状が現れることがあります。
  • 発熱・感染症: 体温が上昇すると心拍数も増加するため、動悸を感じることがあります。
  • 薬剤の副作用: 気管支拡張薬、甲状腺ホルモン製剤、一部の抗うつ薬、漢方薬などが動悸の副作用を引き起こすことがあります。
外来診療では、動悸を訴えて受診される患者さんの問診で、服用中の薬や既往歴を詳しく確認することで、心臓以外の原因を見つける手がかりにしています。特に、甲状腺機能亢進症や貧血は血液検査で比較的容易に診断できるため、動悸の原因が不明な場合には考慮すべき疾患です。

動悸の応急処置・市販薬・受診先は?

動悸を感じた際の応急処置、市販薬の選択、医療機関受診の流れ
動悸の対処法と市販薬、受診先
動悸を感じた際に、まずはどのように対処すべきか、市販薬は有効なのか、そしてどのタイミングで医療機関を受診すべきかについて解説します。

動悸が起きた時の応急処置

突然動悸が始まった場合、まずは落ち着いて以下の対処法を試みることが大切です。
  1. 安静にする: 座るか横になり、楽な姿勢で休んでください。体を動かすと心臓に負担がかかることがあります。
  2. 深呼吸をする: ゆっくりと深く呼吸することで、自律神経のバランスを整え、心拍数を落ち着かせることが期待できます。鼻から息を吸い込み、口からゆっくりと吐き出すことを繰り返しましょう。
  3. 冷たい水を飲む: 冷たい水をゆっくり飲むことで、迷走神経が刺激され、心拍数が落ち着くことがあります。
  4. バルサルバ法を試す: 息を大きく吸い込み、お腹に力を入れていきむ動作です。トイレで排便するようなイメージで行います。ただし、心臓に持病がある方や高齢者は、医師に相談せずに試さないでください。
  5. 首や顔を冷やす: 冷たいタオルなどで首筋や顔を冷やすことも、迷走神経を刺激し、心拍数を落ち着かせる効果が期待できます。
これらの応急処置は、一時的な症状緩和に役立つ可能性がありますが、根本的な治療ではありません。特に、動悸が頻繁に起こる場合や、他の症状を伴う場合は、医療機関を受診することが重要です。

動悸に効く市販薬はある?

動悸の市販薬として、漢方薬や生薬を配合した製品が販売されています。これらは、自律神経の乱れを整えたり、精神的な緊張を和らげたりする効果が期待されるものが多いです。例えば、以下の成分を含む製品があります。
  • 柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう): 精神不安や不眠、動悸、イライラなどに用いられます。
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん): ストレスによる動悸、のぼせ、イライラなどに用いられます。
  • 救心(きゅうしん): 動植物生薬を配合し、動悸や息切れ、気付けなどに効果があるとされています。
市販薬は、一時的な症状緩和には役立つかもしれませんが、動悸の原因が心臓疾患や他の重篤な病気である場合には、根本的な治療にはなりません。自己判断で市販薬を使用し続けると、病気の発見が遅れる可能性もあります。臨床現場では、市販薬で様子を見ていたものの、症状が改善せず受診され、結果的に治療が必要な不整脈が見つかるケースも経験します。

医療機関を受診すべきタイミングと受診先

以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
  • 動悸が非常に強い、または長時間続く
  • 胸の痛み、息切れ、めまい、失神、冷や汗などを伴う
  • 意識が朦朧とする
  • 脈が明らかに不規則、または異常に速い・遅い
  • 以前に心臓病と診断されたことがある
受診先としては、まずは内科や循環器内科が適切です。特に循環器内科は、心臓の専門医がおり、心電図、ホルター心電図、心臓超音波検査、血液検査などを用いて、動悸の原因を詳細に調べることができます。診察の場では、「動悸がいつ、どのような状況で、どのくらいの時間続いたか」「他にどのような症状があったか」といった具体的な情報を質問される患者さんも多いです。これらの情報は診断に非常に役立つため、メモしておくと良いでしょう。

動悸+〇〇の症状の掛け合わせで考えられる病気は?

動悸は単独で現れることもありますが、他の症状と組み合わさることで、特定の病気の可能性が高まります。ここでは、動悸に加えて特定の症状がある場合に考えられる病気について解説します。

動悸+胸痛

動悸に胸痛が伴う場合、心臓疾患の可能性を強く疑う必要があります。
  • 狭心症・心筋梗塞: 心臓の血管が狭くなったり詰まったりすることで、心筋への血流が不足し、胸痛(締め付けられるような痛み)と動悸が現れます。特に心筋梗塞は緊急性が高く、速やかな医療介入が必要です。
  • 不整脈: 頻脈性の不整脈(例: 発作性上室性頻拍、心室頻拍)が原因で、心臓への負担が増し、胸痛を伴うことがあります。
  • 心筋炎: 心臓の筋肉に炎症が起こる病気で、動悸、胸痛、息切れ、発熱などの症状が見られることがあります。

動悸+息切れ

動悸と息切れが同時に現れる場合も、心臓や肺の病気が考えられます。
  • 心不全: 心臓のポンプ機能が低下し、全身に十分な血液を送れなくなる状態です。わずかな労作でも動悸や息切れを感じるようになります。足のむくみや疲労感を伴うことも多いです。
  • 不整脈: 特に心房細動や頻脈性不整脈では、心臓の効率的な拍動が損なわれ、動悸とともに息切れを感じることがあります。
  • 貧血: 酸素運搬能力の低下により、心臓がより速く動くため動悸を感じ、同時に息切れも伴います。
  • 肺疾患: 喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの肺の病気でも、呼吸困難と同時に心臓への負担が増し、動悸を感じることがあります。

動悸+めまい・失神

動悸にめまいや失神が伴う場合は、脳への血流が一時的に不足している可能性があり、特に注意が必要です。
  • 重症不整脈: 特に徐脈性不整脈(心拍数が極端に遅くなる)や頻脈性不整脈(心拍数が極端に速くなる)では、心臓からの血液拍出量が減少し、脳への血流が不足するため、めまいや失神を引き起こすことがあります。
  • 起立性低血圧: 立ち上がった際に血圧が急激に低下し、めまいや動悸を感じることがあります。
  • 心臓弁膜症: 重度の弁膜症では、心臓からの血液拍出量が不十分となり、めまいや失神を伴う動悸が見られることがあります。
これらの症状の組み合わせは、病状が進行している可能性や、緊急性の高い病気が隠れている可能性を示唆しています。臨床現場では、動悸だけでなく、どのような症状が同時に現れているかを詳細に確認し、適切な検査や治療へとつなげることが非常に重要になります。例えば、「動悸と同時に目の前が真っ暗になった」という訴えは、重篤な不整脈による失神を示唆するため、緊急で検査を進める必要があります。

まとめ

動悸の原因、対処法、市販薬に関する情報をまとめた全体像
動悸の全ガイドまとめ
動悸は、心臓の拍動を自覚する不快な症状であり、その原因は心臓の病気(不整脈、弁膜症など)から、ストレス、生活習慣、全身性疾患(甲状腺機能亢進症、貧血など)、薬剤の副作用まで多岐にわたります。動悸を感じた際には、まずは落ち着いて深呼吸などの応急処置を試みることが大切ですが、市販薬での対処は一時的なものに過ぎず、根本的な解決にはなりません。特に、胸痛、息切れ、めまい、失神などの症状を伴う場合は、速やかに循環器内科などの医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。動悸の症状は個人差が大きく、軽視せずに専門医に相談することで、安心して日常生活を送れるようになります。

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よくある質問(FAQ)

動悸はどのような時に起こりやすいですか?
動悸は、運動後や興奮時、ストレスを感じた時、カフェインやアルコールを摂取した後など、様々な状況で起こり得ます。また、安静時や睡眠中に突然起こることもあり、その場合は不整脈の可能性も考慮されます。
動悸が頻繁に起こる場合、どのような検査が必要ですか?
動悸が頻繁に起こる場合は、心電図検査、24時間ホルター心電図検査、心臓超音波検査、血液検査(貧血、甲状腺機能など)が一般的に行われます。これらの検査で心臓の状態や全身の異常を詳しく調べ、原因を特定します。
動悸はストレスが原因の場合でも治療は必要ですか?
ストレスが原因の動悸であっても、症状が日常生活に支障をきたす場合は治療が推奨されます。心臓に異常がないことを確認した上で、ストレスマネジメント、生活習慣の改善、必要に応じて心療内科でのカウンセリングや薬物療法などが検討されます。
この記事の監修
👨‍⚕️
馬場理紗子
循環器内科医
👨‍⚕️
安藤昂志
循環器内科医
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