腎盂・尿管がん(上部尿路がん)|症状・検査・治療・術後フォロー

超音波・造影CT・MRIで腎腫瘍を比較する診察場面
UROLOGY / UPPER URINARY TRACT

腎盂・尿管がん(上部尿路がん)の症状・検査・治療ガイド

血尿から診断、リスクに応じた治療、術後の膀胱チェックまで、次の受診で確認したいことを順に整理します。

最終更新 2026.10.28監修日 2026.10.28
NOTICE血尿を放置しない
DIAGNOSE膀胱と上部尿路を確認
FOLLOW治療後も膀胱を追う
結論から

腎盂・尿管がんは、腎臓でつくられた尿が通る上部尿路の尿路上皮に生じるがんです。目で分かる血尿が代表的ですが、無症状で尿潜血や水腎症から見つかることもあります。CTウログラフィー、膀胱鏡、尿細胞診、必要時の尿管鏡で診断し、がんの悪性度・広がり・腎機能に応じて腎尿管全摘除術、腎温存治療、薬物療法を選びます。

知りたい内容から選ぶ症状・検査・ステージ・治療を詳しく確認する
01

血の塊で尿が出ない、失神や強い痛みがある時は救急を検討する

救急を検討

血の塊で尿が出ない、失神、意識がおかしい、息苦しい、強い痛みと冷汗がある。

当日中に相談

目で見て分かる血尿が続く、発熱を伴う背中・脇腹の痛み、尿量の急な低下がある。

早めに泌尿器科へ

一度でも血尿が出た、健診で尿潜血を繰り返し指摘された、水腎症や尿路の病変を指摘された。

血尿の原因は結石、感染、前立腺や腎臓の病気など複数ありますが、見た目だけで区別できません。血尿が止まっても、目で見て分かる血尿が一度でもあれば泌尿器科で相談します。抗凝固薬を飲んでいても、薬だけが原因と決めつけず評価を受けてください。[1][2]

02

腎盂・尿管がんは尿路上皮から生じ、膀胱がんと関連が深い

腎盂は腎臓でつくられた尿を集める場所、尿管は腎盂から膀胱へ尿を運ぶ管です。この二つを合わせて上部尿路と呼び、そこに生じる尿路上皮がんをupper tract urothelial carcinoma(上部尿路上皮がん、UTUC)と呼びます。腎実質から生じる腎細胞がんとは別の病気です。[1][2][6]

CT画像を見ながら上部尿路の病変について泌尿器科医へ相談する場面
図|画像で腎盂・尿管、膀胱、周囲への広がりを確認し、次の検査と治療を相談します。

尿路上皮は腎盂から膀胱まで連続しているため、診断時に膀胱がんがないかを確認し、治療後も膀胱内再発に注意します。喫煙歴、職業性化学物質への曝露、Lynch症候群などの遺伝背景も診療の手掛かりになります。家族歴が気になっても、自己判断で遺伝性と決めず、発症年齢や家族のがん種を整理して相談します。[1][6]

03

CTウログラフィー、膀胱鏡、尿細胞診を組み合わせて診断する

まず尿検査、腎機能、超音波、膀胱鏡を行い、上部尿路が疑われる場合は造影CTを尿の流れに合わせて撮影するCTウログラフィーで腫瘍の位置と広がりを確認します。造影CTが難しい場合はMRIなどを検討します。尿細胞診は尿中のがん細胞を調べますが、陰性でもがんを否定できません。確定やリスク分類のため、細い内視鏡を尿管へ入れる尿管鏡検査、生検、左右別の尿を採る選択的尿細胞診を追加することがあります。[1][3][6]

診察室から

日々の泌尿器科診療では、血尿の色だけでなく、血の塊の有無、痛みと発熱、出た時刻と回数、抗凝固薬、喫煙歴、過去の膀胱がん、造影剤アレルギー、腎機能を時系列で確認します。検査画像のCDと読影レポート、過去の尿検査があると、重複検査を避けながら次の検査を決めやすくなります。実際の掲載内容は担当監修医の確認後に確定します。

04

診断前と治療後で、先に確認したい内容を選ぶ

血尿や検査中の方は「症状・検査・治療」、手術後の方は「術後フォロー」を先に読むと、診察で聞く項目を整理しやすくなります。

05

低リスクでは腎温存、高リスクでは腎尿管全摘除術を軸に検討する

治療は、腫瘍の数・大きさ・場所、画像上の浸潤、尿細胞診や生検の悪性度、反対側の腎臓、全身状態を合わせて決めます。低リスクでは尿管鏡での内視鏡治療や尿管部分切除など腎臓を残す治療を検討できますが、再発確認のための内視鏡・画像フォローを継続できることが重要です。高リスクの局所がんでは、腎臓・尿管と膀胱につながる部分を一塊で切除する腎尿管全摘除術と膀胱カフ切除が標準的です。[1][4][6]

腎温存治療
腎機能を残せる一方、残った上部尿路の再発を繰り返し確認します。
腎尿管全摘除術
高リスク局所がんの標準。術後の腎機能低下と膀胱内再発に備えます。
周術期薬物療法
病期・腎機能・全身状態により、手術前後のプラチナ製剤を含む化学療法などを検討します。
進行・転移がん
全身薬物療法を中心に、症状緩和や局所治療を組み合わせます。

POUT試験では、筋層浸潤またはリンパ節転移を伴う非転移性UTUCで、腎尿管全摘除術後のプラチナ製剤併用化学療法が経過観察より無病生存期間を改善しました。ただし、対象となる病期、腎機能、有害事象、国内の承認・保険適用を個別に確認します。研究結果がそのまま一人ひとりの利益を保証するわけではありません。[7]

06

治療後は膀胱・残る上部尿路・全身を計画的に確認する

腎盂・尿管がんは治療後に膀胱で再発することがあるため、膀胱鏡と尿細胞診を中心に経過観察します。がんのリスクと治療法に応じ、CTウログラフィーなどの画像検査や尿管鏡も組み合わせます。腎尿管全摘除術後の膀胱内再発を減らす目的で、時期と安全性を確認したうえで術後早期の膀胱内薬剤注入を検討することがあります。ODMIT-C試験は単回ミトマイシンC注入で1年以内の膀胱再発を減らす方向を示しましたが、個別の適否と国内での運用は担当医へ確認します。[5][6][8]

治療後の通院は、再発の有無だけを調べる場ではありません。片方の腎臓になった後のeGFR、尿蛋白、血圧、薬の使い方を確認し、造影検査や追加薬物療法を安全に受けられる状態を保ちます。検査間隔を自己判断で延ばさず、転居や通院先変更の際は病理結果と検査履歴を引き継ぎます。

次回受診までに残すメモ血尿、排尿痛、発熱、脇腹痛、体重変化、検査日と結果、服薬変更を記録します。片腎となった場合は血圧、尿蛋白、eGFRも長期的に確認します。
07

よくある質問

腎盂がんと尿管がんは同じ病気ですか?

発生する場所は違いますが、多くは同じ尿路上皮から生じるため、腎盂・尿管がん、または上部尿路上皮がんとして共通の考え方で診断・治療します。

血尿が一度だけなら様子を見てもよいですか?

一度だけでも、目で見て分かる血尿は原因の確認が必要です。血の塊で尿が出ない、強い痛み、発熱、失神などがあれば受診を急いでください。

手術では必ず腎臓を一つ取りますか?

必ずではありません。低リスクや腎機能を守る必要が高い場合は腎温存治療を検討できます。腫瘍の位置・悪性度・広がりと、継続的な再発確認が可能かで選びます。

治療後に膀胱がんが見つかったら、元の治療が失敗したのですか?

膀胱内再発はこの病気の性質として起こり得ます。元の治療が不適切だったと直ちに意味するものではなく、再発の状態に応じて膀胱内治療や内視鏡治療などを検討します。

08

参考文献