虚血性心疾患とは|狭心症・心筋梗塞の症状・検査・治療を解説

循環器内科医が患者から胸部症状の起こる状況を丁寧に聞いている診察場面
循環器内科|虚血性心疾患

虚血性心疾患の症状・検査・治療ガイド

胸の症状を感じたときの行動から、検査・薬・カテーテル治療・手術・再発予防までを順に整理します。

最終更新 2026.09.06医学レビュー 2026.09.06
先に判断救急性を先に判断
検査で確認症状だけで決めない
一緒に選ぶ治療を一緒に選ぶ
結論から

虚血性心疾患は、心臓を養う冠動脈の血流が不足する病気の総称で、狭心症と心筋梗塞などを含みます。胸の圧迫感が続く、冷汗、息苦しさ、吐き気、失神を伴う場合は119番を考えてください。安定していても運動時に繰り返す症状は放置せず、心電図、血液検査、冠動脈CTなどを組み合わせ、薬・PCI・CABGと再発予防を選びます。

このページで分かること
  • この胸痛は119番が必要?
  • どの検査で何が分かる?
  • 薬・PCI・CABGをどう選ぶ?
最初に知っておきたい言葉
冠動脈
心臓の筋肉へ酸素と栄養を届ける血管です。
虚血(きょけつ)
血流が不足し、心筋へ十分な酸素が届かない状態です。
急性冠症候群(ACS)
心筋梗塞や不安定狭心症など、緊急治療が必要になり得る状態の総称です。
PCI/CABG
PCIはカテーテルで血管を広げる治療、CABGは別の血管で迂回路を作る手術です。
01

胸の圧迫感が続き、冷汗・息苦しさを伴えば119番を考える

記事を読み続けず救急要請を考える症状

胸の中央の圧迫感・締めつけが安静でも続く、背中・腕・肩・顎へ広がる、冷汗、息苦しさ、吐き気、失神・意識変化を伴う場合です。一人で運転しないでください。

症状だけで心筋梗塞を確定も除外もできません。女性、高齢者、糖尿病がある人では胸痛が目立たず、息苦しさ、強いだるさ、吐き気などが中心の場合があります。[1][3]

02

狭心症は一時的な血流不足、心筋梗塞は心筋の傷害を伴う

安定狭心症
歩行・坂道・寒さなどで似た症状を繰り返し、休むと軽くなることがあります。
不安定狭心症
新しく始まった、回数が増えた、安静時にも出るなどパターンが変化した状態で、急性冠症候群として評価します。
心筋梗塞
冠動脈の血流障害により心筋が傷害された状態です。心電図とトロポニンなどで診断します。
冠攣縮・微小血管の異常
太い血管の固定した狭窄だけでなく、血管のけいれんや細い血管の機能異常でも胸痛が起こります。

心筋梗塞は必ずしも「血管が完全に詰まった」と一言で説明できません。発症の仕組みや心電図所見が異なるため、早期評価が重要です。[1][2][4]

03

救急性、心筋傷害、血流不足、治療選択の順に確認する

  1. 救急性を判断

    症状、血圧、脈拍、酸素、意識と心電図を確認します。

  2. 心筋の傷害を確認

    高感度トロポニンを発症時刻に応じて再検し、変化を見ます。

  3. 冠動脈と虚血を評価

    冠動脈CT、負荷画像、必要時の冠動脈造影やFFRで調べます。

  4. 治療を選ぶ

    急性期は再灌流を急ぎ、安定期は薬を土台にPCI・CABGの必要性を検討します。

  5. 再発を防ぐ

    服薬、心臓リハビリ、禁煙、血圧・脂質・糖尿病管理を続けます。

循環器内科医が患者から胸部症状の起こる状況を丁寧に聞いている診察場面
図|症状が出る場面と続く時間を整理する 運動・安静・食事との関係、広がる場所、冷汗や息苦しさを合わせて伝えると診断の手掛かりになります。
04

知りたい内容から詳しい解説を選ぶ

05

治療後も、薬・運動・危険因子管理を続ける

薬を続ける

抗血小板薬や脂質を下げる薬などを、出血や副作用も確認しながら継続します。

心臓リハビリ

安全な運動、食事、禁煙、心理面、仕事復帰を多職種で支えます。

数値を管理

血圧、LDLコレステロール、血糖、腎機能を個別目標に合わせます。

再発時に動く

いつもの狭心症と違う、安静で治らない、冷汗・息苦しさがあるときは救急評価します。

診察室から

日々の循環器内科診療では、胸痛という言葉だけでなく、どの動作で始まり、何分続き、休むとどうなるか、前回より軽いか重いかを確認します。検査画像の狭さだけでなく、症状と心筋への血流、出血リスク、生活目標を並べて治療を選びます。

06

検査が一度正常でも、症状の経過によって再評価が必要

安静時心電図が正常でも狭心症は否定できず、トロポニンも発症直後は上昇していないことがあります。反対に、トロポニン上昇は心筋梗塞以外の病気でも起こります。検査は「何を確かめたいか」に合わせて選びます。[3][5][6]

慢性冠動脈疾患では、PCIを最初から全員に行うのではなく、薬物療法、症状、虚血の程度、病変部位、左心機能などを踏まえて選びます。[2][7][8]

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よくある質問

狭心症と心筋梗塞は同じ病気ですか?

どちらも冠動脈の血流不足に関連しますが、心筋梗塞では心筋の傷害を伴います。症状だけでは区別できません。

胸痛がなければ心筋梗塞ではありませんか?

胸痛が目立たない場合もあります。息苦しさ、冷汗、吐き気、失神、急な強いだるさがあれば救急相談を考えます。

ステントを入れれば薬は不要ですか?

不要にはなりません。血栓予防や再発予防の薬が重要で、自己中止は危険です。

運動は控え続けた方が安全ですか?

急性期は医療者の指示に従いますが、安定後は評価に基づく心臓リハビリが回復と再発予防に役立ちます。

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参考文献