【不整脈とは?】種類・症状・治療法を医師が解説

不整脈
最終更新日: 2026-04-07
📋 この記事のポイント
  • ✓ 不整脈は心臓のリズムの乱れで、自覚症状がない場合から重篤なものまで様々です。
  • ✓ 心房細動、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈など、種類によって原因や治療法が異なります。
  • ✓ 早期発見と適切な治療が、合併症の予防と生活の質の向上に繋がります。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

不整脈とは、心臓の拍動リズムが乱れる状態の総称です。心臓は通常、一定のリズムで収縮と拡張を繰り返していますが、不整脈ではそのリズムが速すぎたり(頻脈)、遅すぎたり(徐脈)、あるいは不規則になったりします[1]。不整脈には様々な種類があり、自覚症状がほとんどないものから、めまい、動悸、息切れ、胸の不快感などを引き起こし、時には命に関わる重篤な状態に至るものまで存在します。適切な診断と治療が重要であり、早期発見が合併症の予防に繋がります。

心房細動とは?その特徴とリスク

心房細動の発生メカニズムと心臓内部の異常な電気信号の様子
心房細動のメカニズム

心房細動とは、不整脈の中でも特に頻繁に見られるタイプの一つで、心臓の上部にある心房が小刻みに震え、規則的な収縮ができなくなる状態を指します。これにより、心房から心室への血液の流れが不規則になり、全身への血液供給効率が低下する可能性があります。

心房細動の主な症状と原因は?

心房細動の症状は多岐にわたり、動悸、息切れ、胸部不快感、めまい、疲労感などが挙げられますが、中には全く自覚症状がないまま進行するケースも少なくありません。臨床の現場では、健康診断や他の病気で受診された際に偶然発見される患者さんも少なくありません。主な原因としては、高血圧、糖尿病、甲状腺機能亢進症、心臓弁膜症虚血性心疾患、睡眠時無呼吸症候群などが挙げられます。また、加齢とともに発症リスクが高まる傾向にあります。

心房細動が引き起こす合併症とは?

心房細動の最も重要な合併症は、脳梗塞のリスク増加です。心房が不規則に震えることで、心房内に血液が滞留しやすくなり、血栓(血の塊)ができやすくなります。この血栓が心臓から全身に流れ出し、脳の血管を詰まらせると脳梗塞を引き起こします[1]。脳梗塞は、重篤な後遺症を残したり、命に関わることもあります。実臨床では、心房細動と診断された患者さんには、脳梗塞予防のための抗凝固療法について丁寧にご説明し、適切な治療法を検討しています。また、心不全のリスクも高まることが知られています。

心房細動の診断と治療法

心房細動の診断は、心電図検査が基本となります。24時間心電図(ホルター心電図)やイベントレコーダーなどを用いて、発作性の心房細動も見逃さないよう努めます。治療の目標は、症状の緩和、脳梗塞の予防、心機能の維持です。薬物療法としては、抗不整脈薬によるリズムコントロール(心房細動を正常なリズムに戻す、または維持する)やレートコントロール(心拍数を適切な範囲に抑える)が行われます。脳梗塞予防のためには、抗凝固薬が用いられます。近年では、カテーテルアブレーションという治療法も広く行われています。これは、心房細動の原因となっている異常な電気信号の発生源や伝導路をカテーテルを用いて焼灼・凝固することで、不整脈を根治的に治療することを目指すものです。治療を始めて数ヶ月ほどで「動悸が気にならなくなった」「息切れが改善した」とおっしゃる方が多いです。

治療法目的主な薬剤/手技
リズムコントロール正常洞調律の維持フレカイニド、アミオダロン、カテーテルアブレーション
レートコントロール心拍数の調整β遮断薬、カルシウム拮抗薬
抗凝固療法脳梗塞予防ワルファリン、DOAC(直接経口抗凝固薬)

頻脈性不整脈とは?心臓が速く打つ原因と対処法

頻脈性不整脈とは、心臓の拍動が異常に速くなる不整脈の総称です。安静時の心拍数が1分間に100回を超える状態が続く場合を指すことが一般的です。心臓が速く打ちすぎると、十分な血液を全身に送り出せなくなり、様々な症状を引き起こすことがあります。

頻脈性不整脈の種類と症状

頻脈性不整脈には、心房細動の他に、心房粗動、発作性上室性頻拍、心室頻拍、心室細動など、様々な種類があります。それぞれ心臓のどの部位で異常な電気信号が発生しているかによって分類されます。症状としては、動悸、胸の痛みや不快感、息切れ、めまい、失神などが挙げられます。特に心室頻拍や心室細動は、心臓がポンプ機能を果たせなくなるため、非常に危険な状態であり、緊急の対応が必要です。臨床の現場では、突然の動悸や胸の苦しさを訴えて来院される患者さんが多くいらっしゃいます。

頻脈性不整脈の原因と診断

頻脈性不整脈の原因は多岐にわたります。ストレス、過労、睡眠不足、カフェインやアルコールの過剰摂取、喫煙などの生活習慣が関与することもあります。また、甲状腺機能亢進症のような内分泌疾患、貧血、発熱、脱水なども誘因となることがあります。さらに、心筋梗塞や心不全、心臓弁膜症などの基礎疾患がある場合に発生しやすくなります。診断には、心電図検査が不可欠です。発作が一時的で通常の心電図で捉えられない場合は、ホルター心電図やイベントレコーダー、植込み型心電図記録計などが用いられます。電気生理学的検査によって、不整脈の発生源や回路を特定することも可能です。

頻脈性不整脈の治療選択肢

頻脈性不整脈の治療は、その種類、重症度、基礎疾患の有無によって異なります。薬物療法としては、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬などが用いられ、心拍数をコントロールしたり、不整脈の発生を抑制したりします[2]。例えば、ソタロールなどの抗不整脈薬は、心拍数の調整に有効であることが報告されています[2]。根治的な治療としては、カテーテルアブレーションが有効な場合が多く、異常な電気信号の発生源や伝導路を高周波電流などで焼灼することで、不整脈を停止させることを目指します。命に関わる重篤な頻脈性不整脈(心室頻拍、心室細動)に対しては、植込み型除細動器(ICD)の植込みが検討されることもあります。ICDは、不整脈を感知すると自動的に電気ショックを与え、心臓の正常なリズムを取り戻す装置です。実際の診療では、患者さんの症状の程度や生活背景を詳しくお伺いし、最適な治療法を一緒に検討することが重要なポイントになります。

カテーテルアブレーション
足の付け根や首の血管から細い管(カテーテル)を挿入し、心臓内の異常な電気信号の発生源や伝導路を特定し、高周波電流などで焼灼することで不整脈を治療する手技です。

徐脈性不整脈とは?心臓が遅く打つ原因と対策

徐脈性不整脈により心拍数が低下した心臓の動きと原因
徐脈性不整脈の原因と対策

徐脈性不整脈とは、心臓の拍動が異常に遅くなる不整脈の総称です。一般的に、安静時の心拍数が1分間に50回未満の状態が続く場合を指します。心臓の拍動が遅すぎると、全身に十分な血液が送られなくなり、様々な症状を引き起こす可能性があります。

徐脈性不整脈の種類と症状

徐脈性不整脈には、洞不全症候群や房室ブロックなどがあります。洞不全症候群は、心臓の電気信号の発生源である洞結節の機能が低下することで、心拍数が減少する状態です。房室ブロックは、心房から心室への電気信号の伝達が障害されることで、心拍数が遅くなる状態を指します。症状としては、めまい、ふらつき、倦怠感、息切れ、失神などが挙げられます。特に、脳への血流が一時的に途絶えることで意識を失うアダムス・ストークス発作は、非常に危険な状態です。初診時に「最近、立ちくらみがひどくて…」「急に目の前が真っ暗になることがある」と相談される患者さんも少なくありません。

徐脈性不整脈の原因と診断

徐脈性不整脈の主な原因は、加齢による心臓の電気伝導系の線維化や変性です。その他、心筋梗塞、心筋症などの心臓の病気、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、特定の薬剤(β遮断薬、カルシウム拮抗薬、ジギタリス製剤など)の副作用によっても引き起こされることがあります。診断は、心電図検査によって行われます。持続的な徐脈や、心拍数が極端に低下する発作が確認された場合に診断されます。24時間心電図(ホルター心電図)は、日常生活の中での心拍数の変動を評価するために有用です。

徐脈性不整脈の治療法

徐脈性不整脈の治療は、その原因と症状の重症度によって決定されます。薬剤が原因の場合は、その薬剤の中止や減量で改善することがあります。しかし、症状が重く、日常生活に支障をきたす場合や、失神のリスクが高い場合には、ペースメーカーの植込みが唯一かつ最も効果的な治療法となります。ペースメーカーは、心臓に電気的な刺激を与え、心拍数を適切な範囲に保つ医療機器です。植込み手術は通常、局所麻酔下で行われ、比較的安全な手技です。植込み後は定期的なチェックが必要ですが、多くの患者さんが症状の改善を実感し、通常の生活に戻ることができます。診察の中で、ペースメーカー植込み後の患者さんが「以前のように活動できるようになった」と笑顔でお話しされるのを実感しています。

⚠️ 注意点

徐脈性不整脈の症状は、加齢によるものと誤解されがちですが、放置すると失神や転倒による怪我のリスクが高まります。気になる症状がある場合は、自己判断せずに医療機関を受診しましょう。

不整脈の検査と治療の流れとは?

不整脈の診断と治療は、患者さんの症状、不整脈の種類、基礎疾患の有無などを総合的に評価して行われます。正確な診断が、適切な治療への第一歩となります。

不整脈の診断に必要な検査とは?

不整脈の診断には、いくつかの検査が組み合わされます。まず、問診で自覚症状や既往歴、生活習慣などを詳しくお伺いします。次に、身体診察で心音や脈拍を確認します。主要な検査は以下の通りです。

  • 心電図検査: 心臓の電気活動を記録し、不整脈の有無や種類を判断します。発作性の不整脈では、通常の心電図では異常が捉えられないこともあります[3]
  • ホルター心電図: 小型記録装置を装着し、24時間またはそれ以上の期間、心電図を記録します。日常生活中の不整脈の発生状況や頻度を評価できます。
  • イベントレコーダー/植込み型心電図記録計: 数週間から数年間、不整脈の発生を記録できる装置です。症状が稀にしか出ない場合に有効です。
  • 心臓超音波検査(心エコー): 心臓の動きや構造、弁の状態などを確認し、不整脈の原因となる基礎疾患の有無を評価します。
  • 電気生理学的検査: カテーテルを心臓内に挿入し、心臓内の電気信号を直接記録・刺激することで、不整脈の発生源や回路を詳細に特定する検査です。カテーテルアブレーションの前に行われることが多いです。

不整脈の治療法にはどのようなものがある?

不整脈の治療法は、その種類や重症度、患者さんの全身状態によって選択されます。主な治療法は以下の通りです。

  1. 薬物療法: 抗不整脈薬、β遮断薬、カルシウム拮抗薬、抗凝固薬などが用いられます。心拍数のコントロール、不整脈の発生抑制、血栓予防などが目的です。
  2. カテーテルアブレーション: 頻脈性不整脈の根治を目指す治療法です。異常な電気信号の発生源を焼灼することで、不整脈を止めることを期待します。
  3. ペースメーカー植込み: 徐脈性不整脈に対して行われる治療法です。心臓の拍動が遅すぎる場合に、電気刺激を与えて心拍数を正常に保ちます。
  4. 植込み型除細動器(ICD)植込み: 命に関わる重篤な頻脈性不整脈(心室頻拍、心室細動)のリスクがある患者さんに用いられます。不整脈を感知すると自動的に電気ショックを与え、心臓の機能を回復させます。

治療法の選択にあたっては、患者さんのライフスタイルや価値観も考慮し、十分な説明を行った上で、最適な選択肢を提案することを心がけています。治療を始める前に、患者さんが納得できるよう、疑問点を解消することが非常に重要です。

最新コラム(不整脈): 新しい治療法と予防策

不整脈の最新治療法と予防策に関する研究データと進歩
不整脈の最新治療と予防

不整脈の診断と治療は日々進化しており、新しい治療法の開発や予防策の研究が進められています。ここでは、不整脈に関する最新の知見や、患者さんの生活に役立つ情報をご紹介します。

不整脈治療の最新動向とは?

不整脈治療の分野では、カテーテルアブレーションの技術が特に進歩しています。3Dマッピングシステムや高周波アブレーションに加え、クライオアブレーション(冷凍凝固術)など、様々な手技が開発され、より安全で効果的な治療が可能になってきました。これにより、複雑な不整脈に対しても高い成功率が報告されています。また、抗凝固薬の分野では、ワルファリンに加えて、直接経口抗凝固薬(DOAC)が登場し、患者さんの利便性と安全性が向上しました。DOACは、定期的な血液検査が不要であるなど、ワルファリンと比較して管理が容易な点が特徴です。日常診療では、患者さん一人ひとりの状態に合わせた最新の治療法を検討し、提供できるよう努めています。

不整脈の予防に役立つ生活習慣とは?

不整脈の発症や悪化を防ぐためには、健康的な生活習慣が非常に重要です。以下の点を心がけることが推奨されます。

  • 規則正しい生活: 十分な睡眠をとり、ストレスを溜めないように心がけましょう。
  • バランスの取れた食事: 塩分や脂質の摂取を控え、野菜や果物を積極的に摂りましょう。
  • 適度な運動: ウォーキングなどの有酸素運動を継続的に行うことで、心血管系の健康を維持できます。ただし、過度な運動は不整脈を誘発することもあるため、医師と相談しながら行いましょう。
  • 禁煙・節酒: 喫煙は心臓に大きな負担をかけ、不整脈のリスクを高めます。アルコールの過剰摂取も不整脈の誘因となるため、控えめにしましょう。
  • 基礎疾患の管理: 高血圧、糖尿病、高脂血症などの基礎疾患がある場合は、適切な治療と管理を継続することが重要です。

これらの生活習慣の改善は、不整脈だけでなく、他の生活習慣病の予防にも繋がります。日々の心がけが、心臓の健康を保つ上で大きな役割を果たします。不整脈の患者さんにとって、生活習慣の改善は治療効果を高める上で非常に重要であり、医師や看護師、栄養士など多職種でサポートしています。

不整脈とメンタルヘルス

不整脈は、動悸や息切れといった身体症状だけでなく、不安やストレスといった精神的な負担も引き起こすことがあります。特に、心房細動の患者さんは、不整脈の発作への不安や脳梗塞への恐れから、生活の質が低下することが報告されています。メンタルヘルスを良好に保つことも、不整脈の管理において非常に重要です。リラックスできる趣味を見つけたり、適度な運動を取り入れたり、必要であれば専門家への相談も検討しましょう。心臓の健康と心の健康は密接に関連しており、両面からのアプローチが大切です。

まとめ

不整脈は、心臓の拍動リズムが乱れる状態の総称であり、心房細動、頻脈性不整脈、徐脈性不整脈など多岐にわたります。自覚症状がない場合から、動悸、息切れ、めまい、失神など様々な症状を引き起こし、時には脳梗塞や心不全といった重篤な合併症に至ることもあります。診断には心電図検査が不可欠であり、ホルター心電図や心エコー検査なども用いられます。治療法は、薬物療法、カテーテルアブレーション、ペースメーカー植込み、植込み型除細動器(ICD)など、不整脈の種類や重症度に応じて選択されます。健康的な生活習慣の維持は、不整脈の予防と管理において非常に重要です。気になる症状がある場合は、早期に医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが、心臓の健康を守る上で最も大切です。

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よくある質問(FAQ)

不整脈は誰にでも起こるものですか?
不整脈は、健康な人でも一時的に起こることがあります。特に、ストレスや疲労、カフェインの摂取などで動悸を感じることは珍しくありません。しかし、頻繁に症状が出たり、めまいや息切れなどの症状が伴う場合は、医療機関での検査をおすすめします。
不整脈と診断されたら、運動は控えるべきですか?
不整脈の種類や重症度によって、運動の可否や程度は異なります。一般的に、軽度の不整脈であれば適度な運動は推奨されますが、重症な不整脈や特定の種類の不整脈では運動制限が必要な場合があります。必ず医師と相談し、指示に従って運動を行いましょう。
不整脈の治療は完治しますか?
不整脈の種類や原因によって異なります。カテーテルアブレーションなどの治療で根治が期待できる頻脈性不整脈もありますが、薬物療法で症状をコントロールしながら付き合っていく不整脈も多く存在します。完治が難しい場合でも、適切な治療と管理によって、症状を抑え、合併症のリスクを低減し、生活の質を向上させることが可能です。
この記事の監修医
👨‍⚕️
馬場理紗子
循環器内科医
👨‍⚕️
安藤昂志
循環器内科医