ピコフラクショナル:ニキビ跡・毛穴への効果を医師が解説
最終更新日: 2026-06-06
📋 この記事のポイント
- ✓ ピコフラクショナルは、ニキビ跡の凹凸や毛穴の開きに効果が期待できるレーザー治療です。
- ✓ 非常に短いパルス幅で真皮層に光音響効果をもたらし、コラーゲンやエラスチンの生成を促進します。
- ✓ 従来のレーザーに比べダウンタイムが短く、色素沈着のリスクも低いとされています。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。
ピコフラクショナルは、ニキビ跡の凹凸や毛穴の開きといった肌の悩みにアプローチする最新のレーザー治療法です。この治療は、従来のレーザーでは難しかった肌の深部への作用と、ダウンタイムの短さを両立させることで注目を集めています。
📑 目次
ピコフラクショナルとは?そのメカニズムを解説

- ピコ秒レーザー
- 1兆分の1秒という極めて短い時間でレーザー光を照射する技術。熱ではなく光音響効果(衝撃波)でターゲットを破壊するため、周囲組織への熱ダメージが少ないのが特徴です。
- フラクショナルレーザー
- レーザー光を点状に照射し、皮膚に微細な穴を開けることで、自然治癒力を高め、新しい皮膚の再生を促す治療法です。周囲の健康な皮膚を残すため、ダウンタイムが比較的短いのが特徴です。
ニキビ跡への効果は?どのようなニキビ跡に有効か
ピコフラクショナルは、特に「萎縮性ニキビ跡(Atrophic acne scars)」と呼ばれる、皮膚が凹んでしまったタイプのニキビ跡に効果が期待できます。- アイスピック型: 毛穴に沿って深く、小さく凹んだ跡。
- ボックスカー型: 辺縁がはっきりした、四角い箱状の凹み。
- ローリング型: 広くなだらかな凹みで、皮膚が波打つように見える跡。
毛穴の開きに対する効果は?
毛穴の開きも、ピコフラクショナルの得意とする治療領域の一つです。毛穴の開きは、皮脂の過剰分泌、加齢によるコラーゲン減少、紫外線ダメージなどが複合的に関与して生じます。 ピコフラクショナルが真皮層のコラーゲン生成を促進することで、毛穴周囲の皮膚にハリが生まれ、毛穴がキュッと引き締まる効果が期待されます[1]。日常診療では、「ファンデーションで隠しきれなかった毛穴が目立たなくなった」「肌のキメが細かくなった」と相談される方が少なくありません。特に、鼻や頬の毛穴の開きに悩む患者さんから高い満足度を得られることが多いです。 また、肌全体のハリが向上することで、小じわの改善や肌質の底上げにも繋がる可能性があります[2]。毛穴の開きは、ニキビ跡と合併しているケースも多いため、両方の悩みに一度にアプローチできる点もピコフラクショナルの利点と言えるでしょう。治療の流れとダウンタイム、注意点は?

治療の一般的な流れ
- カウンセリング・診察: 医師が肌の状態を診断し、ニキビ跡や毛穴のタイプ、肌質を確認します。治療の適応や期待できる効果、リスクについて詳しく説明します。この際、過去の治療歴や内服薬、アレルギーなども確認します。
- 洗顔・麻酔: 治療部位を丁寧に洗顔し、メイクや皮脂を落とします。痛みに敏感な方には、麻酔クリームを塗布して30分程度置くことで痛みを軽減します。
- レーザー照射: 医師が肌の状態に合わせてレーザーの設定を調整し、治療部位に照射します。照射中は、輪ゴムで弾かれるような軽い痛みを感じることがあります。
- クーリング・鎮静: 照射後、肌の赤みや熱感を抑えるために、冷却パックや鎮静効果のあるパックを行います。
- アフターケアの説明: 治療後のスキンケアや注意点について説明を受け、帰宅します。
ダウンタイムはどのくらい?
ピコフラクショナルは、従来のCO2フラクショナルレーザーなどに比べてダウンタイムが短いことが大きな特徴です。照射直後から数時間は、日焼け後のような赤みやヒリつき感が生じることがありますが、多くの場合、数時間から1日程度で落ち着きます。稀に、点状の内出血や腫れが生じることもありますが、数日で改善することがほとんどです。⚠️ 注意点
治療後は肌が非常にデリケートになっているため、紫外線対策と保湿を徹底することが重要です。日焼け止めを塗布し、刺激の少ない保湿剤を使用してください。また、治療後数日間は、過度な摩擦やピーリング剤の使用は避けるべきです。
治療回数と間隔
ニキビ跡や毛穴の開きは、一度の治療で完全に改善することは稀です。一般的には、3〜5回程度の治療を1ヶ月程度の頻度で継続することで、より高い効果が期待できます[1]。臨床現場では、患者さんの肌の状態や生活習慣、予算などを考慮し、最適な治療計画を一緒に立てるようにしています。診察の場では、「何回くらいで効果が出ますか?」と質問される患者さんも多いですが、個人差が大きいため、具体的な回数をお伝えしつつ、経過を見ながら調整していく方針を説明しています。ピコフラクショナルと他の治療法の比較
ニキビ跡や毛穴の治療には、ピコフラクショナル以外にも様々な方法があります。ここでは、代表的な治療法との比較を通じて、ピコフラクショナルの位置づけを明確にします。| 項目 | ピコフラクショナル | CO2フラクショナルレーザー | ケミカルピーリング |
|---|---|---|---|
| 作用機序 | 光音響効果によるコラーゲン生成促進 | 熱作用による皮膚の蒸散と再生 | 酸による角質除去とターンオーバー促進 |
| ニキビ跡(凹凸)への効果 | ◎(特に萎縮性) | ◎(深い凹凸にも対応) | △(軽度なものに限定) |
| 毛穴の開きへの効果 | ◎ | ◎ | ○ |
| ダウンタイム | 短(数時間〜1日程度) | 長(数日〜1週間程度) | 短〜中(赤み、乾燥) |
| 色素沈着リスク | 低 | 中〜高 | 低〜中 |
| 痛み | 軽度〜中等度 | 中等度〜高度 | 軽度(ピリピリ感) |
ピコフラクショナルと併用できる治療法はある?
ピコフラクショナル単独でも効果は期待できますが、他の治療法と組み合わせることで、より高い相乗効果や幅広い肌悩みの改善が期待できます。最適な併用療法は、患者さんの肌の状態や目標によって異なります。- ピコトーニング: ピコフラクショナルが凹凸や毛穴にアプローチするのに対し、ピコトーニングは低出力のレーザーを顔全体に照射し、シミやくすみ、肝斑などの色素沈着に効果を発揮します。ニキビ跡の色素沈着(炎症後色素沈着)や肌全体のトーンアップを目指す場合に併用が検討されます。
- ダーマペン・ポテンツァ: これらの治療は、微細な針で皮膚に穴を開け、創傷治癒の過程でコラーゲン生成を促します。ピコフラクショナルとは異なるアプローチで真皮を刺激するため、深いニキビ跡に対して相乗効果が期待できる場合があります。
- 外用薬(レチノイド、過酸化ベンゾイルなど): 治療効果の維持や、新たなニキビの発生予防のために、アダパレン(ディフェリンゲル)[4]や過酸化ベンゾイル(ベピオゲル)[5]などの外用薬を併用することがあります。これらの薬剤は、毛穴の詰まりを改善したり、ニキビの原因菌を抑えたりする効果があります。
- 内服薬: 炎症性ニキビが頻繁に発生する場合は、抗生物質やビタミン剤などの内服薬を併用することで、肌の状態を安定させ、レーザー治療の効果をサポートします。
ピコフラクショナル治療を受ける際の注意点やリスク

- 赤み・腫れ: 治療直後から数時間〜1日程度、日焼け後のような赤みや軽い腫れが生じることがあります。
- 内出血: 稀に点状の内出血が生じることがありますが、数日で自然に吸収されます。
- 色素沈着: 非常に稀ですが、炎症後色素沈着(PIH)が生じる可能性があります。特に、日焼けをしている方や、治療後の紫外線対策が不十分な場合にリスクが高まります。
- 乾燥・かさつき: 治療後は一時的に肌が乾燥しやすくなることがあります。十分な保湿を心がけてください。
- 施術を受けられない方: 妊娠中・授乳中の方、重度の皮膚疾患がある方、光線過敏症の方、ケロイド体質の方などは、治療を受けられない場合があります。
まとめ
ピコフラクショナルは、ニキビ跡の凹凸や毛穴の開きに効果が期待できる画期的なレーザー治療です。ピコ秒という極めて短いパルス幅でレーザーを照射し、光音響効果によって真皮のコラーゲン生成を促進することで、肌の再生を促します。従来のレーザーに比べてダウンタイムが短く、色素沈着のリスクも低いとされており、忙しい現代人にも受けやすい治療法と言えるでしょう。ただし、治療効果には個人差があり、複数回の治療が必要となることが多いです。また、治療後の適切なスキンケアと紫外線対策が、良好な結果を得るために不可欠です。ニキビ跡や毛穴の開きでお悩みの方は、ぜひ専門の医師に相談し、ご自身の肌の状態に合った最適な治療法を見つけてください。よくある質問(FAQ)
📖 参考文献
- Thanaporn Puaratanaarunkon, Pravit Asawanonda. Efficacy of a one-session fractional picosecond 1064-nm laser for the treatment of atrophic acne scar and enlarged facial pores.. Journal of cosmetic and laser therapy : official publication of the European Society for Laser Dermatology. 2022. PMID: 35318885. DOI: 10.1080/14764172.2022.2055079
- Chung Hyeok Lee, Eun Mi Jin, Hee Seok Seo et al.. Efficacy and Safety of Treatment with Fractional 1,064-nm Picosecond Laser with Diffractive Optic Element for Wrinkles and Acne Scars: A Clinical Study.. Annals of dermatology. 2022. PMID: 34079185. DOI: 10.5021/ad.2021.33.3.254
- Yu Shi, Wencai Jiang, Wei Li et al.. Comparison of fractionated frequency-doubled 1,064/532 nm picosecond Nd:YAG lasers and non-ablative fractional 1,540 nm Er: glass in the treatment of facial atrophic scars: a randomized, split-face, double-blind trial.. Annals of translational medicine. 2022. PMID: 34164496. DOI: 10.21037/atm-21-1715
- ディフェリン(アダパレン)添付文書(JAPIC)
- ベピオ(過酸化ベンゾイル)添付文書(JAPIC)
🏛️ ガイドライン・公的資料
この記事の監修
👨⚕️
丸岩裕磨
美容皮膚科医

