房室ブロックとは|1度・2度・3度の違いと症状・治療|循環器内科

房室ブロックによる電気信号の伝わり方を心臓模型で説明する循環器内科医
循環器内科|徐脈性不整脈

房室ブロックの種類・症状と治療の考え方

同じ「房室ブロック」でも、心電図の型と原因によって緊急度が大きく異なります。

最終更新 2026.09.25監修日 2026.09.25
区別型で危険度が違う
確認薬・虚血・電解質
治療高い型は早期相談
結論から

房室ブロックは、心房から心室へ進む電気信号が遅れる、または途中で途切れる状態です。1度、2度、3度で意味が異なり、特にモビッツII型・高度・3度房室ブロックは、症状がなくても早い専門評価が必要です。

このページで分かること
  • どの型が危険?
  • 原因は薬だけ?
  • いつペースメーカーが必要?
最初に知っておきたい言葉
房室結節
心房から心室へ電気信号を中継する場所です。
PR間隔
心房の興奮から心室の興奮までの時間を心電図で表したものです。
高度房室ブロック
心房から心室への信号が二つ以上続けて伝わらない状態です。
完全房室ブロック
心房と心室の電気的なつながりが途絶え、それぞれ別のリズムで動く状態です。
01

失神・意識変化・胸痛・強い息苦しさは119番を考える

すぐ救急要請を考える状態

突然意識を失った、呼びかけへの反応が悪い、立てないほどのふらつき、冷汗を伴う胸痛、安静でも強い息苦しさがある状態です。

完全房室ブロックなどでは心拍が急に低下し、脳や全身への血流が不足することがあります。症状が治まっても運転せず、周囲に助けを求めてください。心筋梗塞に伴う場合もあるため、胸痛や冷汗を伴うときは特に急ぎます。[1][2][4][5]

02

1度・2度・3度は「信号がどこまで伝わるか」で分ける

心電図の型何が起きるか一般的な対応
1度すべて伝わるが時間がかかる原因と基礎疾患を確認し、多くは経過観察
2度I型徐々に遅れて一拍伝わらなくなる症状、起きる場所・時間、原因で判断
2度II型予告なく一拍以上伝わらなくなる高い型への進行を考え早く専門評価
高度二つ以上続けて伝わらない緊急度を評価しペースメーカーを検討
3度(完全)心房と心室が別々のリズムで動く可逆原因を確認し、多くはペースメーカーを検討
房室ブロックによる電気信号の伝わり方を心臓模型で説明する循環器内科医
図|房室ブロックは、心房から心室へ進む電気信号が遅れる・途切れる状態 1度、2度、3度で意味が異なり、心電図の型、症状、可逆的な原因の有無で対応を決めます。

2対1房室ブロックは、心電図だけではI型かII型か分けにくいことがあります。単なる数字ではなく、QRS波の幅、運動や薬への反応、基礎疾患を合わせて判断します。[1][4][5]

03

薬・心筋虚血・炎症・加齢変化などを確認する

薬
β遮断薬、一部のカルシウム拮抗薬、ジギタリス、抗不整脈薬など。
急性の心臓病
心筋梗塞、心筋炎、心臓手術やカテーテル治療の前後など。
全身の要因
電解質異常、甲状腺機能、感染症、低体温など。
慢性の病気
加齢性変化、心筋症、心サルコイドーシスなど。

原因によっては一時的に回復しますが、戻ったように見えても再発や進行の評価が必要です。処方薬を自己中止すると、狭心症や不整脈が悪化することがあります。変更は必ず医師の指示で行います。[1][4][5]

04

12誘導心電図で型を確認し、心臓の病気と一時的な原因を調べる

心電図でP波とQRS波の関係、PR間隔、QRS幅を確認します。発作的な場合はホルター心電図や長期間の記録器を用います。失神がある場合は、症状の頻度に合う記録法を選び、転倒やけがの状況も確認します。

  1. 緊急度を判断

    血圧、意識、胸痛、呼吸状態、心拍を確認します。

  2. 型を確認

    12誘導心電図とモニターで伝導の途切れ方を見ます。

  3. 原因を探す

    薬、採血、心筋虚血、感染、甲状腺などを確認します。

  4. 心臓を評価

    心エコーや必要な画像で心機能・基礎疾患を調べます。

心サルコイドーシスなどが疑われる場合は、MRIや核医学検査などを追加することがあります。検査の順番は発症状況と緊急度で変わります。[1][4][5]

05

危険な型では、症状がなくてもペースメーカーを検討する

急性期に血圧低下や意識障害がある場合は、原因治療と同時に薬や一時的なペーシングで心拍を確保します。回復可能な原因がなく、モビッツII型、高度、3度房室ブロックが確認された場合は、症状がなくても恒久的ペースメーカーが推奨されることがあります。[2][4][5]

どのペーシング方法を選ぶかは、心機能、心室を刺激する割合、年齢、静脈や感染のリスクなどで変わります。刺激伝導系ペーシングやリードレスペースメーカーは選択肢ですが、すべての人に同じ利点があるわけではありません。[3][5][6]

06

健診で見つかった場合も、型と次の行動を確認する

診察室から

日々の循環器内科診療では、紹介状に「房室ブロック」とだけ書かれていても、心電図の型、起きた時間帯、症状、薬、過去との変化を一つずつ確認します。患者さんには「1度か2度か」だけでなく、次に失神したらどう動くか、いつ再検査するかまで持ち帰ってもらうようにします。

受診時は健診心電図の原本、お薬手帳、失神・ふらつきの時刻、家族が見た様子を持参します。症状がある間は一人での入浴、高所作業、運転について安全性を相談してください。

1度や一部の2度I型は経過観察になることがありますが、自己判断で放置せず、病型・原因・再検査時期を確認してください。

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よくある質問

1度房室ブロックでもペースメーカーが必要ですか?

多くは不要ですが、症状、伝導障害の場所、ほかの心疾患、著しいPR延長などで判断が変わります。

2度I型なら安全ですか?

夜間の生理的な変化もありますが、症状、広いQRS、日中・運動時の出現、基礎疾患がある場合は詳しい評価が必要です。

薬をやめれば治りますか?

薬が原因でも自己中止は危険です。適応を確認したうえで医師が調整し、改善後も再発・基礎疾患を評価します。

完全房室ブロックでも症状がないことはありますか?

補充調律で一時的に症状が乏しいことがありますが、急な悪化リスクを含め早い専門評価が必要です。

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参考文献