呼吸の仕組み|横隔膜・肋間筋と息の動きを医師が解説

胸郭、肺、肋間筋と横隔膜を側面から示す呼吸運動の医学イラスト
Respiratory medicine / Breathing mechanics

横隔膜と呼吸筋による呼吸の仕組み

肺に空気を出し入れする「ポンプ」の役割を、筋肉と圧力の変化から見ます。

更新日 2026.10.18監修日 2026.10.18
吸う胸腔を広げ圧を下げる
吐く肺と胸郭が元へ戻る
努力呼吸補助筋の参加が増える
結論から

安静時の吸気では横隔膜が収縮して下がり、胸腔が広がって肺内圧が下がるため空気が入ります。安静時の呼気は、横隔膜がゆるみ、肺と胸郭が元へ戻る力で起こります。息苦しいときに首や肩の筋肉まで大きく動くのは、呼吸の仕事量が増えているサインです。[1][2]

01

横隔膜が下がり、胸腔が広がると空気が入る

横隔膜は胸腔と腹腔を隔てるドーム状の筋肉で、安静時吸気の主役です。収縮するとドームが平らになり、胸腔が縦方向に広がります。外肋間筋も肋骨を動かし、胸郭の広がりを助けます。[1][2][3]

胸郭、肺、肋間筋と横隔膜を側面から示す呼吸運動の医学イラスト
図|横隔膜と肋間筋が胸腔の大きさを変える 安静呼吸を説明する生成イラストで、個人の呼吸状態を示すものではありません。
診察室から

診察では呼吸数だけでなく、胸と腹部が同じリズムで動くか、首の筋肉が浮き出ていないか、肩で息をしていないか、一文を続けて話せるかを見ます。これらは酸素飽和度とは別の重要な情報です。

02

安静時の呼気は、筋肉がゆるみ肺が元に戻る力で起こる

安静時には横隔膜がゆるんで上方へ戻り、肺と胸郭の弾性反跳によって空気が外へ出ます。一方、強く息を吐くときは腹筋群と内肋間筋が参加し、胸腔内圧を高めます。[2][3]

03

呼吸筋は一つではなく、状況によって分担が変わる

横隔膜と外肋間筋のほか、運動時や呼吸困難時には斜角筋、胸鎖乳突筋、小胸筋などが吸気を助けます。発声、咳、くしゃみ、飲み込みにも多くの筋群が協調します。[3]

安静時吸気
横隔膜が主役、外肋間筋が輔助
安静時呼気
主に肺・胸郭の弾性反跳
努力吸気
斜角筋・胸鎖乳突筋など
努力呼気
腹筋群・内肋間筋など
04

胸膜内圧の変化が、胸郭の動きを肺に伝える

肺表面と胸壁の胸膜の間は陰圧に保たれ、肺を胸壁側に引きつけています。吸気時に胸腔が広がると胸膜内圧がさらに低下し、肺が広がります。気胸で胸膜腔に空気が入ると、この力が伝わりにくくなります。[2][4]

05

気道抵抗と肺・胸郭の硬さで、呼吸の仕事量が変わる

気道が狭いと空気を通すための力が増え、肺や胸郭が硬いと広げるための力が増えます。COPDでは息を吐き切りにくく、間質性肺疾患では肺を広げにくくなるなど、病気で仕事量が増える仕組みが異なります。

「深く呼吸すれば大丈夫」とは限らない

呼吸困難の原因は気道、肺、心臓、血液、筋肉など多岐にわたります。無理な呼吸法を続けるより、急な症状は評価を受けます。

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肩で息をする、会話が途切れる、胸と腹が反対に動くのは要注意

急な強い息苦しさは、仕組みを調べるより受診を優先

会話が難しい、唇が青紫色、意識がぼんやりする、突然の胸痛を伴う場合は119番を考えてください。

緊急時は119番へ

呼吸補助筋を強く使う、肋骨の間がへこむ、一息で話せない、胸と腹部が反対に動くのは呼吸の余力が低下している手がかりです。家庭用パルスオキシメーターの値が保たれていても、見た目の呼吸努力が強い場合は受診を優先します。

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よくある質問

腹式呼吸は横隔膜呼吸と同じですか?

腹部の動きを意識する呼吸法では横隔膜の動きが関与しますが、胸郭の動きがゼロになるわけではありません。

息を吐くときも横隔膜は力を入れますか?

安静時の呼気は主に横隔膜がゆるむことと弾性反跳で起こります。強い呼気では腹筋群などが参加します。

呼吸筋を鍛えれば息苦しさは治りますか?

原因によります。呼吸筋トレーニングが適する病態もありますが、急な息苦しさや未診断の症状に自己判断で行いません。

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参考文献