手足口病の症状・治療・登園基準|口の痛みと脱水に注意

Pediatrics / Hand, foot and mouth disease

手足口病は
口の痛みと脱水を優先して見る

発疹の数が少なくても、口内炎で飲めなくなることがあります。水分、尿、反応を確認し、眠り込み・けいれん・呼吸異常は急いで受診します。

最終更新 2026.09.03医学レビュー 2026.09.03
HYDRATION少量ずつ水分
NEURO反応・けいれんに注意
RETURN食事と全身状態で判断
結論から

手足口病はエンテロウイルスによる感染症で、手のひら、足の裏、口の中、お尻などに発疹・水疱が出ます。多くは自然に回復し、治療は水分と痛みへの対応が中心です。家庭では発疹の数より飲める量、尿、反応を優先してください。まれに中枢神経・心肺の合併症があり、眠り込み、けいれん、手足の震え、呼吸異常は急いで受診します。登園は、発熱がなく口の痛みの影響がなく普段の食事がとれることが目安です。[1][2]

まず30秒で受診の緊急度を確認

発疹の見た目より、呼吸・反応・水分・皮膚の痛みを先に確認します。

今すぐ救急受診・119番

呼吸が苦しい、唇が青紫、呼びかけに反応しにくい、けいれん、押しても消えない紫色の斑点と強いぐったり、皮膚が広くむける。

今日中に医療機関へ相談

口が痛くてほとんど飲めない、半日ほど尿が出ない、繰り返し吐く、高熱が続く、眠り込む・起こしにくい、手足が震える、けいれん、呼吸が速い・苦しい。

自宅で観察しやすい

呼吸・顔色・反応が普段どおりで、水分と尿が保たれ、発疹や発熱が全体として改善方向にある。

押しても消えない発疹
透明なコップなどで軽く押しても色が薄くならない赤紫色の点や斑。
粘膜症状
口・目・陰部の強い痛み、ただれ、水疱。皮膚がむける場合は急ぎます。
脱水の目安
飲めない、尿が明らかに減る、口が乾く、涙が出ない、ぐったりする状態。

受診時に伝えるメモ:発熱と発疹が始まった日時、広がった順序、かゆみ・痛み、口や目の症状、飲水と最後の尿、予防接種歴、周囲の流行、直近の薬。緊急時は撮影より受診を優先します。

01

手・足・口だけでなく、お尻や腕にも出る

口の中の水疱・潰瘍と、手のひら、足の裏の小さな水疱が典型ですが、お尻、膝、肘、腕、顔などに広がることがあります。熱がない、発疹が少ない場合もあります。

原因ウイルスは複数あり、コクサッキーA6などでは発疹が広範囲、かさぶた状になるなど非典型的な所見も報告されています。発疹だけでヘルパンギーナ、水痘、膿痂疹などと区別できない場合があります。[1][3]

手足口病の子どもが少量ずつ水分を取り、保護者と医師が口・手・足・お尻の発疹と尿を確認する医療イラスト
図1|発疹の部位より水分・尿・反応を優先 イラストは観察項目を示すもので、発疹の見た目だけで診断するためのものではありません。
日々の皮膚科診療で確認していること手足だけでなく、口の中、肘・膝、お尻、もともと湿疹がある部位まで見ます。見た目が派手でも元気な子がいる一方、発疹が少なくても口の痛みで飲めない子がいます。重症度は発疹の面積ではなく、飲水、尿、反応、呼吸で判断します。
02

脱水と神経・呼吸のサインを見逃さない

手足口病の重症度の見方
目安見方行動
自宅観察少量ずつ飲める、尿が出る、反応が普段どおり、呼吸が楽家庭ケアと経過観察
当日相談飲水が進まない、尿が減る、繰り返し吐く、高熱が続く、ぐったり小児科へ相談
救急起こしにくい、けいれん、手足の震え、息苦しい、唇が青い救急受診・119番

78万例超を含む系統的レビューでは、傾眠、けいれん、手足の震え、呼吸困難などが重症例と関連しました。研究は主に中国の流行データで、その数値を個々の子どもの確率に直接当てはめることはできませんが、家庭で見逃さないサインとして重要です。[4]

03

水分と痛みへの対応が治療の中心

日本で一般に使う特異的な抗ウイルス薬はなく、多くは1週間程度で改善します。抗菌薬はウイルスには効きません。口内炎が痛むときは、酸味・塩味・熱いものを避け、冷たい飲み物、ゼリーなどを少量ずつ試します。

一度に多く飲ませない

5〜10分ごとなど、少量を繰り返す。

尿を記録

最後の尿と回数を確認。

痛み止め

年齢・体重に合う薬を医師・薬剤師に確認。

発疹

つぶさず、掻き壊しと二次感染を防ぐ。

食事より水分を優先数日食べる量が落ちても、水分と尿が保たれることが先です。ほとんど飲めない、尿が明らかに減る場合は受診します。
04

治った後に爪が浮くことがある

手足口病の回復後、数週間して手足の皮がむけたり、爪に横線が入ったり、爪が根元から浮くことがあります。2023年の系統的レビューでは、非典型例で皮むけが約2週間後、爪甲脱落が約3週間後にみられる傾向が報告されました。多くは新しい爪が伸びますが、痛み、赤み、膿があれば受診してください。[3]

05

手洗いと排泄物の扱いを続ける

飛沫、接触、便を介して広がります。症状が治った後もしばらく便からウイルスが排泄されるため、登園停止だけで感染を完全に防げるわけではありません。おむつ交換後・トイレ後・食事前の石けんと流水による手洗い、タオルや食器の共用回避、よく触る場所の清掃を続けます。[1][2]

06

発熱がなく普段の食事がとれれば登園の目安

こども家庭庁の保育所ガイドラインでは、発熱や口腔内の水疱・潰瘍の影響がなく、普段の食事がとれることが登園の目安です。発疹が全て消えるまで待つ基準ではありません。園のルールと医師の判断を確認し、手洗いは継続します。[2]

FAQ

よくある質問

発疹が残っていても登園できますか?

発疹の消失ではなく、発熱がなく、口の痛みの影響がなく普段の食事がとれ、全身状態がよいことが目安です。園の規定も確認してください。

手足に発疹がなければ手足口病ではありませんか?

発疹が少ない、手足以外が目立つ非典型例もあります。口内炎や周囲の流行、経過と合わせて診断します。

爪がはがれそうですが救急ですか?

回復後に起こることがあり、多くは新しい爪が伸びます。赤み、腫れ、痛み、膿がある、複数の爪で強い変化がある場合は皮膚科・小児科へ相談してください。

きょうだいへの感染を防げますか?

完全に防ぐのは難しいものの、手洗い、おむつ・トイレ後の衛生、タオル・食器の共用回避、よく触る場所の清掃でリスクを減らします。

REF

参考文献