子どもの感染症
症状・家庭でのケア・受診の目安
病名を当てることより、まずはお子さんの呼吸と元気、水分のとれ方を確認しましょう。気になる症状ごとに、ケアと受診の目安をまとめます。
子どもの感染症は、せきや鼻水、嘔吐・下痢、発疹など、似た症状で始まることがあります。症状だけで原因のウイルスや細菌を見分けるのは難しいため、まず呼吸・反応・水分のとれ方を確認します。家庭でのケアを続けてよいか迷うときは、年齢と経過を伝えて医療機関に相談してください。
受診を急ぐサイン
呼びかけても反応が乏しい、呼吸が止まりそう、唇が青紫、けいれんが続く場合は、記事を読むより救急対応を優先してください。 [1]
生後3か月未満の38℃以上、飲めずに尿が減っている、息が苦しそう、強い痛みや繰り返す嘔吐があるときは、様子を見続けず相談してください。緑色の嘔吐や血便、意識の変化も急ぐサインです。 [1] [2]
熱が5日以上続く場合や、いったん良くなった後に再び悪化した場合も再評価が必要です。予防接種後でも、強い不調を「副反応だろう」と決めつけないでください。 [2]
症状から気になる説明を選ぶ
| 主な症状 | 家庭で確かめること | 注意したい変化 |
|---|---|---|
| せき・鼻水・のどの痛み | 眠れるか、飲めるか、呼吸がいつもより速くないか | 胸や首がへこむ呼吸、苦しくて話せない・飲めない |
| 嘔吐・下痢 | 飲めた量、尿、便や嘔吐の回数・色 | 飲んでも繰り返し吐く、ぐったりする、血便 |
| 発熱と発疹 | 発疹が出た時期、かゆみ、痛み、薬を使った時期 | 急速に広がる紫色の斑点、反応低下、呼吸の異常 |
この表は病気を確定するものではありません。感染症以外でも似た症状は出ます。写真だけで判断せず、経過と全身の状態を医師に伝えてください。 [1]
家庭では水分と休息を優先する
- 少量ずつ飲ませる
嘔吐や下痢があるときは、経口補水液を少量ずつ、こまめに試します。一度に大量に飲ませないようにします。
- 飲めたかだけでなく尿も見る
最後に尿が出た時刻、普段より明らかに減っていないかを確かめます。飲めない、反応が鈍い場合は受診を優先します。
- 食事は無理をせず戻していく
吐き気が落ち着いたら、食べられるものを少しずつ。授乳や食事の進め方は、年齢と脱水の程度に合わせて相談します。
経口補水は軽〜中等度の脱水で有用ですが、重い脱水、意識の低下、飲めない状態まで家庭で対応する方法ではありません。点滴が必要かどうかは診察で判断します。 [3]
検査と抗菌薬は「必要なとき」に
迅速検査や血液検査は、結果で治療や感染対策が変わるかを考えて選びます。発症直後の検査が陰性でも、感染を完全には否定できない場合があります。必要な検査は病気と経過によって異なります。
通常のかぜはウイルスが原因のことが多く、抗菌薬で治りを早める利益は示されていません。鼻水が黄色や緑色になったことだけで、抗菌薬が必要とは決まりません。細菌感染が疑われるときは、診察や必要な検査に基づいて治療します。 [4] [5]
薬の名前、使う目的、回数、期間を確認しましょう。以前の残りや家族の薬を分けて使わず、副作用が気になるときは処方元や薬剤師へ相談してください。 [4]
発疹や発熱の経過を、どう伝える?
- 発熱・せき・下痢・発疹のうち、何が最初に始まったか。
- 発疹が出た場所と広がり方。痛み、かゆみ、使った薬があるか。
- 園・学校や家族で、似た症状の人がいるか。
- 海外への移動や、普段と違う食事・動物との接触があったか。
発疹は感染症だけでなく、薬やアレルギーなどでも起こります。「写真が似ている」だけで病名を決めると、必要な対応を見落とすことがあります。診断が分からない段階でも、医療機関には相談できます。
皮膚や白目が黄色い、尿が濃くなった、便が白っぽいときは、肝臓や胆道などを調べる必要がある場合があります。特に赤ちゃんの白っぽい便は、健診まで待たず相談してください。 [7]
相談した時点では家庭で見られる状態でも、その後に悪化することがあります。飲めなくなった、反応が鈍くなったなどの変化があれば、前の説明だけで判断を固定せず再び相談してください。 [1]
登園・登校と家庭の感染対策
登園・登校できる時期は病気によって異なります。「解熱したら全て登園できる」「検査が陰性なら必ず登園できる」という一律の判断はできません。診断がついたら、医師と園・学校に条件を確認してください。
手洗い、換気、せきやくしゃみへの配慮、必要な予防接種を組み合わせます。家族全員が完璧に対策できなくても責め合わず、続けられる方法を選びましょう。ワクチンで防げる病気は接種記録を見直します。 [6]
周囲で麻しん・水痘などが流行している、発熱と発疹があるなどの場合は、待合室での感染対策のため、予約時に症状を伝えてください。

よくある質問
鼻水が緑色なら抗菌薬が必要ですか?
色だけでは決まりません。かぜの経過でも鼻水の色は変わります。症状の長さや悪化の仕方、診察所見などから、細菌感染を疑うか判断します。
下痢のときは食事を止めますか?
水分補給を優先し、吐き気が落ち着けば年齢に合う食事を少しずつ戻します。無理に食べさせる必要はありませんが、自己判断で長時間の絶食を続けないでください。飲めないときは受診します。
熱が下がったら、すぐ登園できますか?
病気ごとの条件と、普段の活動ができるかを確認します。解熱だけでは判断できない病気もあるため、医師と園・学校に確認してください。
参考文献
本文の番号から、根拠となる資料を確認できます。制度や接種時期は最新の国内資料を優先し、海外研究の対象や限界も区別しています。
- 日本小児科学会「こどもの救急」小冊子国内学会・保護者向け資料
- NICE. Fever in under 5s: assessment and initial management. NG143.診療ガイドライン
- Hartling L, et al. Oral versus intravenous rehydration for treating dehydration due to gastroenteritis in children. Cochrane Database Syst Rev. 2006.系統的レビュー
- 厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き 第四版 医科・外来編」2026年国内診療手引き
- Kenealy T, Arroll B. Antibiotics for the common cold and acute purulent rhinitis. Cochrane Database Syst Rev. 2025.系統的レビュー
- 国立健康危機管理研究機構「日本の予防接種スケジュール」2026年8月1日版・9月24日注釈更新国内公的スケジュール
- 国立成育医療研究センター「胆道閉鎖症早期発見のために」国立医療機関・患者向け資料
資料確認:2026年9月28日。個々の症状への診断・処方を示すものではありません。
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