【小児感染症とは?】種類・症状・予防法を医師が解説

小児感染症
最終更新日: 2026-04-06
📋 この記事のポイント
  • 小児感染症は、年齢や免疫機能の発達段階に応じて多様な種類があります。
  • ✓ 感染症の種類によって症状、治療法、予防策が異なるため、正確な診断が重要です。
  • ✓ 適切な手洗いや予防接種は、小児感染症の予防に極めて有効な手段とされています。
※ 本記事は医療に関する情報提供を目的としています。個別の症状については、かかりつけの医療機関にご相談ください。

小児感染症は、乳幼児から学童期の子どもたちが罹患しやすい様々な感染症の総称です。子どもの免疫システムは発達途上にあるため、大人よりも感染症にかかりやすく、また症状が重くなることもあります[2]。適切な知識と対応が子どもの健康を守る上で非常に重要となります。

風邪・上気道感染症とは?主な症状と対策

鼻水や咳で苦しそうな小児の風邪症状。上気道感染症の対策が重要。
風邪症状の小児

風邪や上気道感染症は、鼻や喉などの上気道にウイルスが感染することで引き起こされる、小児で最も頻繁に見られる疾患群です。これらの感染症は、通常、発熱、鼻水、咳、喉の痛みといった症状を伴います。

小児の風邪の約90%はウイルス感染によるものであり、ライノウイルス、RSウイルス、アデノウイルスなど多種多様なウイルスが原因となります。特に乳幼児期は免疫力が未熟なため、年間6~8回程度風邪をひくことも珍しくありません。臨床の現場では、保育園や幼稚園に通い始めたばかりのお子さんが、頻繁に発熱や鼻水で来院されるケースをよく経験します。これは集団生活によって様々なウイルスに曝露されるためであり、免疫を獲得していく過程と捉えることができます。

一般的な症状と経過

上気道感染症の症状は、原因となるウイルスや子どもの年齢によって異なりますが、一般的に以下の症状が見られます。

  • 発熱: 37.5℃以上の微熱から39℃を超える高熱まで様々です。
  • 鼻水・鼻づまり: 透明な水様性から、感染が進むと黄色や緑色の粘性になることがあります。
  • 咳: 乾いた咳から痰の絡む湿った咳まで、多様なタイプがあります。
  • 喉の痛み: 食事や水分摂取を嫌がる原因となることがあります。

これらの症状は通常1週間から10日程度で自然に軽快することが多いですが、乳幼児では気管支炎や肺炎などの下気道感染症に進行することもあります。特にRSウイルス感染症は、乳幼児において重症化しやすいことで知られています[3]

家庭でのケアと予防策

風邪や上気道感染症に対する特効薬は存在しないため、対症療法が中心となります。実臨床では、発熱に対しては解熱剤、鼻水や咳に対しては症状を和らげる薬を処方することがありますが、最も重要なのは安静と十分な水分補給です。加湿器の使用や鼻吸引も症状緩和に役立ちます。

予防策としては、手洗いの徹底が最も効果的です。特に外出後や食事前には、石鹸と流水で20秒以上かけて丁寧に手洗いをするよう指導しています。また、咳エチケットとして、咳やくしゃみをする際には口と鼻をティッシュや腕で覆うことも重要です。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、特定のウイルスに対する予防接種も、重症化を防ぐ上で有効な手段とされています。

胃腸炎・下痢はなぜ小児に多い?原因と対処法

胃腸炎は、胃や腸の炎症によって引き起こされる疾患で、小児期に非常によく見られます。主な症状は嘔吐、下痢、腹痛、発熱などです。特に乳幼児では脱水症状に陥りやすく、注意が必要です。

小児の胃腸炎の多くはウイルス感染によるもので、ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどが主な原因となります。細菌性胃腸炎(サルモネラ菌、O-157など)も存在しますが、ウイルス性が圧倒的に多いです。初診時に「急な嘔吐と下痢でぐったりしている」と相談される患者さんも少なくありません。特に冬場に流行するノロウイルスやロタウイルスは感染力が強く、家族内での二次感染も頻繁に起こります。

主な原因と感染経路

  • ウイルス性胃腸炎: ロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどが原因です。感染者の便や嘔吐物に含まれるウイルスが、手や食品を介して口に入ることで感染します(糞口感染)。
  • 細菌性胃腸炎: サルモネラ菌、カンピロバクター、病原性大腸菌(O-157など)などが原因です。加熱が不十分な食品や汚染された水、ペットとの接触などから感染することがあります。

これらの病原体は、特に集団生活を送る保育園や幼稚園で広がりやすく、衛生管理が重要となります。

家庭での対処法と注意点

胃腸炎の治療は、脱水症状の予防と症状の緩和が中心です。嘔吐が続く場合は、少量ずつ頻回に水分(経口補水液など)を与えることが重要です。下痢がひどい場合でも、無理に食事を止める必要はなく、消化の良いもの(おかゆ、うどん、すりおろしリンゴなど)を少量ずつ与えるようにします。

⚠️ 注意点

嘔吐や下痢が激しく、水分が摂れない、ぐったりしている、おしっこが出ないなどの症状が見られる場合は、速やかに医療機関を受診してください。特に乳幼児は脱水症状が急速に進行する可能性があります。

ロタウイルスに対しては、生後早期に接種するワクチンがあり、重症化を予防する効果が期待できます。実臨床でも、ロタウイルスワクチンの重要性について保護者の方に説明し、接種を推奨しています。

発疹を伴う感染症の種類と見分け方

発疹が体に出ている小児の手足。感染症による皮膚症状の種類と見分け方。
発疹を伴う小児の感染症

小児期には、発疹を伴う様々な感染症が存在します。これらの感染症は、発熱と同時に皮膚に特徴的な発疹が現れることが多く、診断の重要な手がかりとなります。発疹の性状(大きさ、色、形、広がり方)や出現時期、他の症状との組み合わせによって、どの感染症であるかを判断します。

臨床の現場では、保護者の方が「熱が出て、体にブツブツができた」と心配して来院されるケースをよく経験します。発疹の種類は非常に多岐にわたるため、問診で発疹の出始めや広がり方、かゆみの有無などを詳しく聞くことが診断の第一歩となります。例えば、手足口病では手のひら、足の裏、口の中に水疱性の発疹が見られ、水痘(水ぼうそう)では全身に水疱が広がるなど、それぞれ特徴的なパターンがあります。

主な発疹性疾患と特徴

小児でよく見られる発疹を伴う感染症には、以下のようなものがあります。

疾患名主な原因発疹の特徴その他の症状
麻疹(はしか)麻疹ウイルス赤く盛り上がった斑点状、融合して広がる高熱、咳、鼻水、結膜炎、コプリック斑
風疹風疹ウイルス淡いピンク色の小さな斑点、全身に広がる微熱、リンパ節腫脹
水痘(水ぼうそう)水痘・帯状疱疹ウイルス赤い斑点→水ぶくれ→かさぶた発熱、強いかゆみ
手足口病エンテロウイルスなど手、足、口の中に水疱性発疹発熱、口内炎による痛み
突発性発疹ヒトヘルペスウイルス6型、7型解熱後に体幹から顔、四肢に広がる紅斑高熱(3~4日)、解熱後発疹

診断と治療、予防

発疹を伴う感染症の診断は、発疹の視診と問診が中心となります。特に麻疹や風疹は、予防接種で防ぐことができる重要な疾患です。MMRワクチン(麻疹・風疹・おたふくかぜ混合ワクチン)の接種は、これらの疾患の予防に非常に有効であり、定期接種として推奨されています。日常診療では、予防接種のスケジュール管理の重要性を保護者の方々に丁寧に説明し、接種率向上に努めています。

治療は、疾患によって異なりますが、多くは対症療法が中心です。水痘ではかゆみ止めの処方や、重症化リスクのある場合には抗ウイルス薬が使用されることもあります。発疹を伴う感染症は、周囲への感染拡大を防ぐため、適切な期間の登園・登校停止が必要となることが多いです。

その他の感染症:小児に特有の疾患と注意点

小児期には、風邪や胃腸炎、発疹性疾患以外にも、年齢や季節によって様々な感染症が流行します。これらの中には、重症化するリスクのあるものや、特有の症状を示すものも含まれます。早期発見と適切な治療が、子どもの健康を守る上で非常に重要です。

日々の診療では、季節の変わり目や特定の感染症が流行する時期には、保護者の方々へ注意喚起を行うとともに、疑わしい症状が見られた際には速やかに受診するよう呼びかけています。特に、急な高熱や意識障害、けいれんなど、普段と異なる様子が見られた場合は、迷わず救急医療機関を受診するよう指導しています。臨床の現場では、髄膜炎や急性骨髄炎といった重篤な感染症の初期症状を見逃さないよう、常に細心の注意を払っています[1]

小児に多いその他の感染症

  • 中耳炎: 風邪に続いて起こりやすく、耳の痛みや発熱、耳だれが主な症状です。乳幼児では不機嫌や夜泣きとして現れることもあります。
  • 溶連菌感染症: 喉の痛み、発熱、体や手足の小さな赤い発疹(猩紅熱)が特徴です。適切な抗菌薬治療を行わないと、リウマチ熱や急性糸球体腎炎などの合併症を引き起こす可能性があります。
  • インフルエンザ: 高熱、全身倦怠感、関節痛、筋肉痛などが強く現れます。小児では脳症などの重篤な合併症のリスクがあり、予防接種が推奨されます。
  • マイコプラズマ肺炎: 比較的長引く咳が特徴で、発熱や倦怠感を伴うこともあります。一般的な風邪薬が効きにくいことがあります。
  • 髄膜炎: 脳や脊髄を覆う髄膜の炎症で、発熱、頭痛、嘔吐、首の硬直などが主な症状です。細菌性髄膜炎は重篤化しやすく、緊急の治療が必要です。

予防接種の重要性

これらの感染症の中には、予防接種によって重症化を防ぐことができるものが多くあります。例えば、インフルエンザワクチン、肺炎球菌ワクチン、Hibワクチンなどは、小児の重篤な感染症を予防するために非常に重要です。外来診療では、定期接種・任意接種の予防接種スケジュールについて、保護者の方に詳細な情報を提供し、接種を積極的に推奨しています。

予防接種(ワクチン)とは
病原体の一部や毒性を弱めたものを体内に投与し、免疫システムにあらかじめ病原体を認識させておくことで、実際に感染した際に重症化を防いだり、発症を予防したりする医療行為です。小児の感染症予防において極めて重要な役割を果たします。

予防接種は、お子さん自身の健康を守るだけでなく、集団免疫を高めることで、ワクチン接種ができない乳幼児や免疫不全の患者さんを感染症から守る効果も期待できます。

最新コラム(感染症):小児医療の進歩と課題

小児感染症の分野は、ワクチンの開発や診断技術の進歩により、近年目覚ましい発展を遂げています。しかし、新たな病原体の出現や薬剤耐性菌の問題など、常に新たな課題に直面しています。小児感染症の専門家は、これらの課題に対応し、子どもたちの健康を守るために日々研究と臨床に取り組んでいます[4]

診察の中で、保護者の方々が最新の感染症情報や予防策について強い関心を持っていることを実感しています。特にSNSなどで情報が氾濫する現代において、エビデンスに基づいた正確な情報を提供し、不安を解消することが私たちの重要な役割だと考えています。例えば、新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、小児感染症の分野に大きな影響を与え、感染対策やワクチンに関する新たな知見が急速に蓄積されました。

小児感染症治療の最新動向

  • 新規ワクチンの開発: ロタウイルスワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、多くの新規ワクチンが導入され、小児の重症感染症の発生率を大幅に減少させました。今後もRSウイルスなどに対する新たなワクチンの開発が期待されています。
  • 診断技術の進歩: 迅速診断キットやPCR検査の普及により、感染症の早期診断が可能となり、適切な治療介入につながっています。これにより、特に細菌性感染症の重症化予防に貢献しています。
  • 薬剤耐性菌への対応: 抗生物質の不適切な使用が薬剤耐性菌の増加を招くため、小児感染症の治療においては、必要最低限かつ適切な抗生物質の使用が強く推奨されています。

感染症対策における社会的な役割

小児感染症の対策は、医療機関だけでなく、家庭、保育園、学校、地域社会全体で取り組むべき課題です。感染症の流行状況を把握し、適切な情報共有と予防策の徹底が求められます。臨床現場では、地域の保健所や学校医と連携し、感染症の発生動向を監視し、流行時には迅速な情報提供と対策の呼びかけを行っています。保護者の方々には、感染症に関する正しい知識を身につけ、予防接種の重要性を理解していただくことが、地域全体の感染症対策に繋がると考えています。

小児の肝炎・肝疾患:感染症との関連性

小児の肝臓を指し示す医療関係者。肝疾患と感染症の関連性を解説。
小児の肝炎・肝疾患

小児の肝臓は、感染症によって影響を受けることがあります。肝炎とは肝臓の炎症を指し、ウイルス感染が主な原因となることが多いですが、薬剤や自己免疫疾患によっても引き起こされます。小児の肝炎は、時に重篤な経過をたどることもあり、早期の診断と治療が重要です。

臨床の現場では、発熱や倦怠感、黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)を主訴に来院されたお子さんの血液検査で、肝機能異常が判明し、ウイルス性肝炎と診断されるケースを経験します。特にA型肝炎やB型肝炎は、小児期に感染する可能性のあるウイルス性肝炎であり、その予防が非常に重要です。B型肝炎については、母子感染予防対策や定期接種の導入により、新規感染が大幅に減少しています。

小児の肝炎の主な原因

  • ウイルス性肝炎:
    • A型肝炎ウイルス (HAV): 汚染された食品や水を介して感染します。乳幼児期に感染すると症状が出にくいこともありますが、学童期以降では発熱、倦怠感、黄疸などの症状が現れることがあります。
    • B型肝炎ウイルス (HBV): 血液や体液を介して感染します。母子感染が主な経路ですが、小児期に感染すると慢性化しやすく、将来的に肝硬変や肝がんのリスクとなることがあります。予防接種が非常に有効です。
    • C型肝炎ウイルス (HCV): 血液を介して感染します。小児の感染は稀ですが、慢性化しやすい特徴があります。
    • その他: サイトメガロウイルス、EBウイルスなどのウイルス感染症が、肝機能障害を引き起こすこともあります。
  • 薬剤性肝障害: 特定の薬剤が肝臓に負担をかけ、肝炎を引き起こすことがあります。
  • 自己免疫性肝炎: 免疫システムが誤って自身の肝臓を攻撃することで起こる肝炎です。

症状と診断、治療

小児の肝炎の症状は、原因や重症度によって様々ですが、発熱、倦怠感、食欲不振、吐き気、腹痛、黄疸、尿の色が濃くなる、便の色が薄くなるなどがあります。乳幼児では症状が非特異的で、診断が難しいこともあります。

診断には、血液検査による肝機能マーカー(AST, ALTなど)やウイルス抗体の測定、画像検査(腹部超音波検査など)が行われます。治療は原因によって異なりますが、ウイルス性肝炎の場合は対症療法が中心となることが多いです。B型肝炎の慢性化を防ぐためには、早期の抗ウイルス療法が検討されることもあります。

B型肝炎ワクチンは、小児の定期接種として導入されており、肝炎予防に非常に貢献しています。実際の診療では、生まれたばかりのお子さんへのB型肝炎ワクチン接種の重要性を保護者の方に伝え、適切な時期に接種できるようサポートしています。

まとめ

小児感染症は、子どもたちの成長と発達に大きな影響を与える可能性のある重要な健康問題です。風邪や胃腸炎といった一般的なものから、発疹を伴う疾患、さらには肝炎などの重篤な感染症まで、その種類は多岐にわたります。子どもの免疫システムは未熟であるため、感染症にかかりやすく、症状が重くなることも少なくありません。

しかし、手洗いの徹底、咳エチケット、そして最も重要な予防接種によって、多くの感染症は予防したり、重症化を防いだりすることが可能です。保護者の方々が小児感染症に関する正しい知識を持ち、適切な時期に医療機関を受診し、必要な予防策を講じることが、子どもたちの健康を守る上で不可欠です。診察の場では、エビデンスに基づいた最新の医療情報を提供し、お子さんの健やかな成長をサポートしてまいります。

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よくある質問(FAQ)

小児感染症で病院を受診する目安は?
発熱が続く、ぐったりしている、水分が摂れない、嘔吐や下痢がひどい、けいれんを起こした、発疹が急速に広がる、呼吸が苦しそうなど、普段と異なる様子が見られた場合は、速やかに医療機関を受診してください。特に乳幼児は症状が急変することがあるため、注意が必要です。
予防接種はなぜそんなに重要なのでしょうか?
予防接種は、お子さんが特定の感染症にかかるのを防いだり、かかったとしても重症化するリスクを大幅に減らす効果があります。また、集団免疫を高めることで、ワクチンを接種できない乳幼児や免疫不全の子どもたちを間接的に守る役割も果たします。
抗生物質はどんな時に使いますか?
抗生物質は細菌による感染症に効果がありますが、ウイルス性の感染症には効果がありません。小児の風邪や胃腸炎の多くはウイルス性であるため、抗生物質は不要です。医師が細菌感染と診断した場合にのみ、適切な抗生物質が処方されます。不必要な使用は薬剤耐性菌の増加につながるため避けるべきです。
この記事の監修医
👨‍⚕️
清水果歩
小児科医
👨‍⚕️
小柳太一
小児科医